民事訴訟法 第239条(受命裁判官による証拠調べ)
クイックジャンプ
第二百三十五条第一項ただし書の場合には、裁判所は、受命裁判官に証拠調べをさせることができる。
この条文の基本情報
受命裁判官による証拠調べとは何ですか?
定義受命裁判官による証拠調べとは、民事訴訟法第239条に定められた規定で、「第二百三十五条第一項ただし書の場合には、裁判所は、受命裁判官に証拠調べをさせることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第239条(受命裁判官による証拠調べ)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第239条の条文原文は「第二百三十五条第一項ただし書の場合には、裁判所は、受命裁判官に証拠調べをさせることができる。」で始まります。
- 民事訴訟法第239条は第七節 証拠保全に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第239条の前の条は民事訴訟法第238条です。
- 民事訴訟法第239条の次の条は民事訴訟法第240条です。
- 民事訴訟法第239条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第239条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第239条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/239
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法239条は、訴訟係属中に受訴裁判所へ証拠保全が申し立てられた場合、裁判所が受命裁判官に証拠調べをさせることができると定める手続規定である。
Q · 裁判が始まった後でも証拠保全はできる?裁判官一人で大丈夫なの?
できます。係属中は受命裁判官一人が証拠調べを行えます
民事訴訟法239条により、証拠保全が訴訟係属中に受訴裁判所へ申し立てられた場合(235条1項ただし書)、裁判所は合議体の裁判官全員ではなく、そのうちの一人である受命裁判官に証拠調べをさせることができます。三人の期日を揃える必要がないため、証拠固定までの日数が大幅に短縮されます。受命裁判官一人による手続でも証拠価値は正式な証拠調べと同じで、後の本案でも完全に通用します。
解説
カルテの改ざんを恐れ、病院を訴える前に診療記録を押さえたい。手抜き工事の跡が補修で消される前に現場を検証したい。こうした「証拠が消える前に裁判所の手で固定する」手続が証拠保全(民訴234条)であり、239条はその歯車の一つだ。本条が動くのは、すでに裁判が始まっている局面(235条1項ただし書、訴訟係属中で受訴裁判所、つまりその事件の本体を審理している裁判所に申し立てる場合)。このとき裁判所は、合議体の裁判官全員ではなく、そのうちの一人である受命裁判官(パネルを代表して証拠調べを行う裁判官)に証拠調べをさせることができる。あなたにとっての意味は速度だ。三人の日程を揃えるより一人が動く方が圧倒的に速く、証拠が消えるかどうかは時間との勝負だからである。
法的な位置づけ
民事訴訟法239条は、証拠保全が訴訟係属中に受訴裁判所へ申し立てられた場合(235条1項ただし書)について、裁判所が合議体を構成する裁判官の一人である受命裁判官に証拠調べを実施させることができる旨を定める手続規定である。合議体全員による期日を待たずに証拠を迅速に固定するための仕組みとして機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.証拠が消える危険を疎明する材料を集める カルテ開示の拒否のやり取り、補修・廃棄の予告、投稿削除の動きなど、証拠が改ざん・廃棄される具体的な危険を示す資料を集める。疎明が証拠保全の入口になる
- 2.申立先を判断して証拠保全を申し立てる 訴え提起前なら証拠所在地の地裁・簡裁、訴訟係属中なら受訴裁判所へ申し立てる(民訴235条)。申立書に証明すべき事実と証拠方法、保全の必要性を明記する
- 3.係属中は受命裁判官による迅速実施を求める 訴訟係属中の申立てでは、民訴235条1項ただし書と239条をセットで示し、合議体全員の期日を待たずに受命裁判官一人による証拠調べを求める。相手に証拠を整える時間を与えない
- 4.立会期日に出席し調書を確認する 証拠保全期日に必ず立ち会い、検証・尋問の内容が漏れなく調書に記載されているかをその場で確認する。受命裁判官一人の手続でも証拠価値は正式な証拠調べと同じである
よくある質問 AI による整理
Q1受命裁判官とは何ですか?
合議体を構成する裁判官のうち、裁判所から特定の手続を委ねられた一人の裁判官です。証拠保全では、この一人が代表して証拠調べを実施します。
Q2証拠保全は訴訟中でもできますか?
できます。民訴235条1項ただし書により訴訟係属中は受訴裁判所へ申し立て、239条で受命裁判官一人が迅速に証拠調べを行えます。
Q3証拠保全の申立てに必要な書類は?
申立書、証明すべき事実と証拠方法を示す資料、証拠の改ざん・廃棄の危険を疎明する材料(開示拒否のやり取り、補修予告など)が必要です。
Q4証拠保全にかかる費用はいくらですか?
申立手数料の収入印紙、予納郵券のほか、検証に専門家を要する場合の鑑定費用がかかります。事案により数万円から十数万円が目安です。
Q5証拠保全の決定に不服申立てはできますか?
できません。民訴238条により証拠保全の決定に対して不服を申し立てることはできず、相手方は数日後の立会期日を前提に動くことになります。
Q6証拠保全で尋問した証人は本案でもう一度尋問されますか?
当事者が求めれば本案の口頭弁論で再度尋問できます(民訴242条)。一発勝負ではないため、保全段階で全てを出し切る必要はありません。
Q7カルテの証拠保全はどうやるのですか?
改ざんの危険を疎明して申し立て、裁判所が病院に出向きカルテを検証・複写して固定します。係属中なら239条で受命裁判官が迅速に実施します。
Q8証拠保全は相手に知られずにできますか?
申立て自体は相手に知られる前に動くのが鉄則です。期日には原則相手方を呼び出しますが、急速を要する場合は例外があります(民訴240条ただし書)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1証拠保全って、結局どんな時に使えるんですか?
あらかじめ調べておかないと後で証拠を使えなくなる事情がある時に使えます(234条)。典型はカルテの改ざんが疑われる医療事件、補修で消える工事の欠陥、削除されるネット投稿など。裁判官が相手方の場所に出向いて記録や物を固定します。実務のポイント:弁護士が証拠保全を選ぶ最大の理由は不意打ちです。申立てから実施まで数日で、相手に証拠を整える時間を与えない。係属中なら本条で受命裁判官一人が動くため、さらに速い。
Q2裁判官が一人で証拠調べして、ちゃんとした証拠になるんですか?
なります。235条1項ただし書の場合、裁判所は受命裁判官(合議体の一人)に証拠調べをさせることができ(本条)、その結果は正式な証拠として本案で使えます。実務のポイント:一人だからと軽く見て立会いを怠ると、相手に有利な記録だけが残ることがある。さらに証拠保全で尋問した証人は、本案の口頭弁論で改めて尋問を求められる(242条)。一発勝負ではないので、保全段階で全部を出し切る必要はない。
間違えやすい点 AI による整理
- 証拠保全という制度の存在は知っていても、その「速度」がどれほど勝敗を分けるかを甘く見ている人が多い。記録の改ざんや物の補修は数日で完了する。受命裁判官による単独実施を可能にする本条は、その数日を削るための条文だ。速さこそが証拠保全の本質である
- 「証拠保全は訴える前にしかできない」という思い込みがある。実際は訴訟係属中でも可能で(235条1項ただし書)、本条はむしろその係属中の局面を想定した規定だ。「もう訴えてしまったから手遅れ」は前提からして誤っている
- 申立人から見れば「裁判官一人で大丈夫なのか」と不安になるが、法から見れば受命裁判官による証拠調べは正式な手続そのもので、後の本案でも完全な証拠価値を持つ。人数の少なさを手続の軽さと取り違えると、相手の引き延ばし論に乗せられる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 239条:係属中の受命裁判官による証拠調べ(速度の確保) | 234条:証拠保全の要件(制度の基礎) 235条:証拠保全の管轄(申立先) |
| 適用の局面 | 訴訟係属中、受訴裁判所への申立て(235条1項ただし書) | あらかじめ調べないと証拠が使えなくなる事情がある時 提訴前は所在地裁判所、係属中は受訴裁判所 |
| 手続の主体 | 合議体の一人=受命裁判官が単独で実施 | 受訴裁判所または所在地裁判所 受訴裁判所(係属中) |
| 後の本案との関係 | 保全で尋問した証人は本案で再尋問可(242条) | 保全結果は本案で正式な証拠となる 決定に不服申立て不可(238条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も提訴前・係属中の証拠保全制度を持ち、証拠が滅失・使用困難となるおそれを要件とする点で日本と類似する。
韓国も証拠保全制度を備え、証拠調べが困難となる事情を要件とする。手続主体の柔軟化の発想は日本と共通する。
ドイツの独立証拠手続が日本の証拠保全の母法的位置にあり、受命裁判官による証拠調べの構造も ZPO の系譜に連なる。
米国は提訴前後の証言保全(perpetuation)制度を持つが、合議体の一人が代行する受命裁判官の概念は大陸法系特有で直接の対応物はない。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 医療ミスを疑い、カルテを保全したい。だが裁判はすでに係属中。三人の裁判官の期日が揃うのを待つ間に記録が書き換えられたら、すべてが水の泡だ。本条があれば受命裁判官一人が動ける。
- もし相手方が「証拠調べは合議体の裁判官全員が立ち会うべきだ」と引き延ばしを図ってきたら、どうなる? 本条は受命裁判官一人による実施を正面から認めており、その遅延戦術は通らない。
- あなたが病院や施工会社の側で、ある日突然「証拠保全決定」の通知を受け取る。立会いの期日は数日後、しかも担当は受命裁判官一人。準備の時間はほとんどない。これが証拠保全の不意打ち性だ。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 証拠が改ざん・廃棄される具体的危険を疎明できる材料を集める(カルテ開示拒否のやり取り、補修予告など)。2. 訴え提起前なら証拠所在地の地裁・簡裁、係属中なら受訴裁判所に証拠保全を申し立てる(235条)。3. 申立ては相手に知られる前に動くのが要点。相手方への呼出しは原則あるが、急速を要する場合は例外(240条ただし書)。4. 係属中なら本条で受命裁判官による迅速な実施を求め、相手に時間を稼がせない。
訴えられた側:1. 証拠保全決定に不服申立てはできない(238条)。立会期日が数日後に迫る前提で動く。2. 保全の対象範囲を確認し、正当な業務上の記録管理を主張、無関係な資料まで広げさせない。3. 受命裁判官一人の手続でも証拠価値は完全。軽く考えず、必ず立会い、調書の内容をその場で確認する。4. 後の本案では同じ証人の再尋問を求める権利がある(242条)ことを念頭に置く。
時効(請求できる期限):証拠保全自体に出訴期間のような期限はない。だが本質は「証拠が消える前」という時間勝負であり、危険を察知した瞬間が事実上の起算点に等しい。なお本案請求の時効(例:医療過誤の不法行為は、損害および加害者を知った時から人身被害5年、民法724条、724条の2)が別途進行する点に注意(最新の改正状況をご確認ください)。
学説
通説:民訴239条の受命裁判官による証拠調べは、直接主義の例外として迅速性を優先するものであり、その結果は本案で正式な証拠価値を有する。証拠保全で尋問した証人について本案での再尋問が認められる(242条)ことで、直接主義の要請は後の本案手続で回復されると解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正により、旧法下の証拠保全規定を整理。訴訟係属中に受訴裁判所へ申し立てられた場合の受命裁判官による証拠調べを現行239条として規定した。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める