民事訴訟法 第248条(損害額の認定)
クイックジャンプ
損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。
この条文の基本情報
損害額の認定とは何ですか?
定義損害額の認定とは、民事訴訟法第248条に定められた規定で、「損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第248条(損害額の認定)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第248条の条文原文は「損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な…」で始まります。
- 民事訴訟法第248条は第五章 判決に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第248条の前の条は民事訴訟法第247条です。
- 民事訴訟法第248条の次の条は民事訴訟法第249条です。
- 民事訴訟法第248条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第248条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第248条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/248
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法248条は、損害の発生が認められるが額の立証が性質上極めて困難なとき、裁判所が口頭弁論の全趣旨と証拠調べから相当な損害額を認定できると定める。発生の立証は別途必要。
Q · 損害が出たのは確実なのに金額を証明できない場合、賠償請求は諦めるしかない?
損害の発生を示せば、額は裁判所が相当な額を認定できます
民事訴訟法248条により、損害の発生が認められ、その性質上、額の立証が極めて困難なときは、裁判所が口頭弁論の全趣旨と証拠調べの結果から相当な損害額を認定できます。重要なのは『発生』と『額』を分けて考える点で、発生さえ立証すれば額の算定は裁判所が引き取ります。逸失利益・信用毀損・知財侵害など額が宿命的に算定困難な場面で機能しますが、可能な算定資料は出し切る必要があり、出し惜しみは『困難ではない』と判断され適用外になります。
解説
取引先に裏切られて売上が激減した、欠陥商品で営業機会を失った、無断で写真を使われてブランド価値が傷ついた。損害が出たことは間違いない。だが『正確に何円か』と問われた瞬間、領収書も帳簿も完璧には揃わず、立証で行き詰まる。多くの人はここで『証明できないなら諦めるしかない』と思う。民事訴訟法248条は、その思い込みを覆す。損害が生じたことが認められ、かつ性質上その額の立証が極めて困難なときは、裁判所が口頭弁論の全趣旨と証拠調べの結果から『相当な損害額』を認定できる。つまり、額の壁で請求がゼロになるのを防ぐ安全装置だ。注意すべきは、これは『損害の発生』までは立証が必要だという点。発生さえ示せれば、あとは裁判所が金額を引き取る。逸失利益、信用毀損、知財侵害、額の算定が宿命的に難しい場面でこそ、この条文があなたの請求を生かす。
法的な位置づけ
民事訴訟法248条は損害額の認定に関する規定であり、損害の発生が認められる場合において、その性質上、額の立証が極めて困難であるときに、裁判所が口頭弁論の全趣旨および証拠調べの結果に基づいて相当な損害額を認定できる権限を定める。自由心証主義(民訴247条)の特則として位置づけられる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.まず『損害の発生』だけを確実に立証する 248条適用の前提は損害の発生。売上の減少、機会の喪失、毀損の事実など『損害が生じたこと』そのものを、額の議論より先に固める。ここが崩れると相当額の認定に進めない
- 2.算定の手がかりとなる資料を可能な限り提出 売上推移、業界平均利益率、過去実績、専門家意見など、裁判所が『相当な額』を引き出せる土台を出し切る。出し惜しみは『立証困難ではない』と判断され248条適用を失う
- 3.訴状・準備書面で明示的に248条適用を主張 『発生は立証済み、額は性質上立証困難ゆえ248条による相当額認定を求める』と整理して主張する。漫然と金額だけ主張するより裁判所が動きやすくなる
- 4.高額鑑定の前に248条で足りるか検討 鑑定は数十万〜数百万円かかることがある。248条で相当額を引き出せれば立証コストを抑えられ、回収純額が変わる。費用対効果を弁護士と判断する
- 5.事実審の口頭弁論終結前に出し切る 248条適用の主張と算定の手がかりは事実審のうちに完結させる。控訴審では新たな主張立証が制限され、取り返しがつかなくなる
よくある質問 AI による整理
Q1民事訴訟法248条とは何ですか?
損害の発生は認められても額の立証が性質上極めて困難なとき、裁判所が口頭弁論の全趣旨と証拠調べの結果から相当な損害額を認定できる規定です。
Q2248条が適用される要件は?
二つです。第一に損害の発生自体が立証されていること、第二にその性質上、額の立証が極めて困難であること。発生が示せなければ適用されません。
Q3逸失利益にも248条は使えますか?
使える典型例です。取引打切りや営業機会喪失による『あったはずの利益』は精密な立証が難しく、248条で裁判所が相当額を認定する余地があります。
Q4慰謝料の算定にも248条は関係しますか?
精神的損害は性質上額の立証が困難なため親和性があります。もっとも慰謝料は従来から裁判所の裁量的算定が広く認められてきた領域です。
Q5248条を主張すれば鑑定は不要になりますか?
不要にはなりません。可能な算定資料を出さず鑑定も避けると『立証困難ではない』と判断され適用外に。鑑定費用との費用対効果で弁護士と検討すべきです。
Q6控訴審でも248条の適用を主張できますか?
事実審の口頭弁論終結前に損害発生の立証と相当額の主張を出し切る必要があります。控訴審では新たな主張立証が制限され、手遅れになる恐れがあります。
Q7裁判所は申立額を超えて認定できますか?
できません。処分権主義(民訴246条)により相当額の認定も申立額が上限です。請求額の設定そのものが回収の天井を決めます。
Q8知的財産の侵害にも248条は使えますか?
一般法の248条のほか、特許法105条の3・不正競争防止法9条・著作権法114条の5に同趣旨の特則があり、知財ではこれら特則が優先的に機能します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1損害が出たのは確実なのに、金額の証明ができません。やっぱり請求は通らないんですか?
通る可能性があります。民事訴訟法248条は、損害の発生さえ認められれば、額の立証が性質上極めて困難なとき、裁判所が相当な額を認定できると定めています。つまり『発生』と『額』は別問題です。実務のポイント:実務では『発生は明らかだが額が立証困難』という枠組みを準備書面で明確に立てられるかが勝負どころ。漫然と『いくら損した』と主張するより、『発生は立証済み、額は248条で認定を』と整理した方が、裁判官は格段に動きやすくなる
Q2特許を侵害されたんですが、いくら損したか計算できません。
知財には専用の規定があります。特許法105条の3が民訴248条と同じ発想で相当な損害額の認定を認め、不正競争防止法9条、著作権法114条の5にも同様の規定があります。実務のポイント:知財事件では一般法の248条より、これら各分野の特則の方が裁判所が額を認定しやすい運用になっている。さらに特許法102条には損害額の推定規定もあり、これらを組み合わせると立証のハードルが一気に下がる。知財に強い弁護士は最初からこの三段構えで攻める
Q3248条があるなら、もう細かい証拠は集めなくていいんですか?
それは危険な誤解です。248条はあくまで『額の立証が極めて困難』な場合の最後の受け皿で、証拠を出せるのに怠ると『困難ではない』と判断され、適用されません。実務のポイント:248条は証拠の手抜きを許す条文ではなく、限界まで出してもなお足りないときに裁判所が橋渡しする条文です。可能な限りの算定資料を出した上で『これ以上は性質上不可能』と示すと、裁判官は安心して相当額を認定する。出し惜しみは逆効果になる
間違えやすい点 AI による整理
- 『金額を1円単位で立証しないと損害賠償は認められない』という前提そのものが誤っている。248条がある以上、本当に問われるのは『損害が発生したか』であって『額を完璧に立証できるか』ではない。問いの立て方を間違えると、勝てる事件を自分から落とすことになる
- 248条の存在は知っていても、その射程の広さを知らない人が多い。逸失利益、信用毀損、慰謝料的損害、知財侵害、これら『性質上、額が宿命的に算定困難』な領域すべてに効く。自分の事件がこの射程に入ると気づくかどうかで、請求額の現実味が一変する
- 『248条があるから裁判所が勝手に高めに認定してくれる』と期待しがちだが、実態は逆。裁判所は申立額(民訴246条)を超えて認定できず、算定資料が乏しければ低めに抑えられる。裁判所が動けるのは、あなたが出した土台の上だけだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 248条:額の立証困難時に裁判所が相当額を認定 | 247条:自由心証主義(証拠評価の一般原則) 246条:処分権主義(申立額の拘束) |
| 立証との関係 | 損害の発生は要立証、額のみ裁量認定 | 事実認定全般を裁判官の心証に委ねる 認定額は申立額を超えられない |
| 適用される局面 | 逸失利益・信用毀損・知財侵害など額が宿命的に困難な場面 | あらゆる事実認定の場面 請求の範囲・上限の画定 |
| 資料収集との関係 | 212条の鑑定等を尽くしてなお困難な場合の受け皿 | — — |
他国ではどう定めているか 4 か国
当事者が損害を受けたことは証明したが、その数額の証明が不能または重大な困難があるとき、法院が一切の事情を斟酌し心証に基づき数額を定める。日本248条とほぼ同一の発想。
損害が発生したことは認められるが具体的な損害額の証明が事案の性質上極めて困難な場合、裁判所が弁論全体の趣旨と証拠調べの結果から相当な額を認定できる。日本法を参照した規定。
損害の発生およびその額について争いがある場合、裁判所が全事情を評価して自由心証で判断する。日本248条の母法的存在で、適用範囲はより広いとされる。
損害の『事実』が確実であれば、額の『正確な算定』が不可能でも合理的な推定で賠償を認める。米国の損害額不確実性法理として連邦最高裁が確立。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、長年取引してきた相手に契約を一方的に切られ、見込んでいた売上が消えたら? 逸失利益は『あったはず』だが、正確な額は誰にも言い切れない。248条は、この『あったはずの利益』を裁判所に認定させる道を開く
- あなたが訴えられた側で、相手が『損害額は248条で認定してほしい』と主張してきた。ここで額の議論に乗ってはいけない。まず『損害の発生自体がない』と叩けるか、そこが防御の分かれ目だ
- 事実審の口頭弁論終結まであと一回。損害発生の立証は済んだが、額の根拠が薄い。この最後の期日までに248条適用の主張と算定の手がかりを出し切らないと、控訴審では新たな主張が制限され、取り返しがつかなくなる
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず『損害が発生した事実』だけは確実に立証する。これが248条適用の前提で、ここが崩れると相当額の認定に進めない2. 額については算定根拠となる資料(売上推移、業界平均、専門家意見)を可能な限り提出し、裁判所が『相当な額』を引き出せる土台を作る3. 訴状や準備書面で明示的に248条の適用を主張する4. 高額な鑑定を入れる前に、248条で足りるかを弁護士と検討し、立証コストを抑える
訴えられた側:1. 相手の『損害の発生』自体を争う。発生が立証されなければ248条は使えず、請求は棄却される2. 発生を争えないなら、額は『立証が極めて困難』ではない(資料で算定可能だ)と主張し、248条の適用範囲外に押し込む3. 過失相殺(民法722条)や損益相殺で減額要素を主張する4. 相手が出した算定根拠の信用性や前提の誤りを具体的に突く
時効(請求できる期限):248条自体に固有の時効はない。ただし損害賠償請求権そのものに時効があり、不法行為は損害および加害者を知った時から3年(人の生命・身体侵害は5年、民法724条、724条の2)、債務不履行は権利を行使できることを知った時から5年または行使できる時から10年(民法166条)。提訴のタイミングはこの時効で決まる。また248条の適用を求めるなら、事実審の口頭弁論終結前に損害発生の立証と相当額認定の主張を出し切ること(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:248条は損害の発生が認められることを前提に、額の立証が性質上極めて困難な場合に限って裁判所の裁量的認定を認める規定と理解する。証拠の提出を怠った当事者を救済するものではなく、限界まで立証してもなお額の確定が不能な場合の橋渡しとして機能する。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 現行民事訴訟法の全部改正で新設された条文。損害の発生が認められるが額の立証が性質上極めて困難な場合に、裁判所が相当な損害額を認定できる権限を立法的に明文化した。旧法下で判例・学説が模索していた運用を条文化したもの
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 新設:民事訴訟法全部改正により新設。損害の発生は認められるが額の立証が性質上極めて困難な場合に、裁判所が相当な損害額を認定できる権限を立法的に明文化した。旧法下で判例・学説が模索していた運用を条文化したもの。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める