民事訴訟法 第360条(異議の取下げ)
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- 異議は、通常の手続による第一審の終局判決があるまで、取り下げることができる。
- 2.異議の取下げは、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。
- 3.第二百六十一条第三項から第六項まで、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条の規定は、異議の取下げについて準用する。
この条文の基本情報
異議の取下げとは何ですか?
定義異議の取下げとは、民事訴訟法第360条に定められた規定で、「異議は、通常の手続による第一審の終局判決があるまで、取り下げることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第360条(異議の取下げ)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第360条の条文原文は「異議は、通常の手続による第一審の終局判決があるまで、取り下げることができる。」で始まります。
- 民事訴訟法第360条は第五編 手形訴訟及び小切手訴訟に関する特則に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第360条の前の条は民事訴訟法第359条です。
- 民事訴訟法第360条の次の条は民事訴訟法第361条です。
- 民事訴訟法第360条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第360条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第360条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/360
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法360条は、手形訴訟の異議を通常手続の第一審終局判決まで取り下げられると定める。ただし取下げは相手方の同意がなければ効力を生じない。
Q · 自分で出した異議って、相手の許可なく自由に取り下げられないんですか?
いいえ、異議の取下げには相手方の同意が必要です(民訴360条2項)。
民事訴訟法360条1項により、異議は通常の手続による第一審の終局判決があるまで取り下げることができます。しかし2項で「相手方の同意を得なければ、その効力を生じない」と定められており、申立人の一存では取り下げられません。異議によって事件が通常訴訟へ移った時点で、相手方にも本格的な審理と判決を受ける利益が生じるからです。取下げが成立すると262条1項の準用により手形判決はその時点で確定します。
解説
取引先が振り出した約束手形が不渡りになった。あなたは手形金を回収するため、通常の訴訟ではなく手形訴訟という高速レーンを選んだ。証拠は原則として書証(文書による証拠)に限られ、判決も早く出る。だが相手は手形判決に対して「異議」を申し立て、土俵を通常訴訟へ引き戻した。ここで相手が突然「やっぱり異議を取り下げる」と言い出したら何が起きるか。360条の急所はここにある。異議を取り下げれば手形判決はそのまま確定する。しかしその取下げは、あなた(相手方)の同意がなければ効力を生じない。つまり相手は一度通常訴訟に持ち込んだ以上、あなたの首を縦に振らせない限り、勝手に元の高速レーンへは戻れない。あなたの一票が、原因関係まで踏み込んだ本格審理を続けるか、手形判決で幕を引くかの分岐点になる。
法的な位置づけ
民事訴訟法360条は、手形訴訟・小切手訴訟における異議の取下げを規律する規定である。異議は通常の手続による第一審の終局判決があるまで取下げが可能だが(1項)、その取下げは相手方の同意を効力要件とし(2項)、訴えの取下げに関する261条3項から5項まで、262条1項および263条の規定が準用される(3項)。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.手形判決の認容範囲を確認してから取下げを判断 異議を取り下げると手形判決がそのまま確定する。まず手形判決が自分の請求を満額認めているかを確認し、満額なら早期確定の選択肢、減額や原因関係の決着が必要なら通常訴訟継続を検討する
- 2.相手方の同意取得の可否を見極める 取下げには相手方の同意が必須(360条2項)。相手が単独で同意を拒むのは、原因関係まで含めた決着や費用負担で譲歩を引き出したいサインのことが多い。なぜ同意しないのかの裏を読む
- 3.同意は和解条項とパッケージで取り付ける 取下げの同意を相手にタダで渡さず、遅延損害金・訴訟費用の負担や分割払いの譲歩を引き出す対価として、和解条項を詰めてから取下げに進む
- 4.取下げ書面の提出と擬制取下げの回避 取下げは方式(261条準用)に従って書面で行う。なお口頭弁論期日に双方が二回連続欠席すると263条準用で取下げが擬制され不利な手形判決が確定するため、期日管理を徹底する
よくある質問 AI による整理
Q1手形訴訟とは何ですか?
約束手形・小切手の支払を求める請求について、証拠を原則書証に限り迅速に手形判決を得る特別な訴訟手続です。簡易・迅速な回収を目的とします。
Q2異議の取下げはいつまでできますか?
通常の手続による第一審の終局判決があるまでです(民訴360条1項)。終局判決が出た瞬間に取下げの窓は閉じます。
Q3異議を取り下げると手形判決はどうなりますか?
262条1項の準用により、取下げの時点で手形判決がそのまま確定します。確定すると既判力が生じ、同じ手形金請求を蒸し返せません。
Q4なぜ異議の取下げに相手の同意が必要なのですか?
異議で事件が通常訴訟へ移った時点で、相手方にも書証以外の証拠を使った本格審理と判決を受ける利益が生じるためです。
Q5手形が不渡りになったらどう裁判すればいいですか?
通常訴訟のほか、書証中心で迅速な手形訴訟を選べます。手形判決後に異議が出ると通常訴訟へ移行し、本格的な審理になります。
Q6異議の取下げ擬制とは何ですか?
当事者双方が口頭弁論期日に欠席し、誰も期日指定を申し立てない場合、263条の準用で異議を取り下げたものとみなされる制度です。
Q7手形訴訟と通常訴訟は何が違いますか?
手形訴訟は証拠が原則書証に限られ判決が早く出る高速レーン、通常訴訟は証人尋問など全証拠を使える一般道です。異議で前者から後者へ移ります。
Q8約束手形はいつ廃止されますか?
2026年度末をめどに約束手形の利用廃止へ向かい、企業間決済は電子記録債権(でんさい)へ移行が進んでいます。手形訴訟の出番は今後減ります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1異議を取り下げたら、もう一度同じ手形で争えないんですか?
原則として争えません。異議の取下げには訴えの取下げに関する262条1項が準用され、手形判決はその時点で確定します(360条3項)。確定判決には既判力が生じるため、同じ手形金請求を蒸し返すことはできません。実務のポイント:ただし確定するのは「手形金請求」についての判断だけで、その手形の原因になった売買代金などの実体的な権利関係には既判力が及ばないことが多い。最終決着を狙うなら手形訴訟の土俵だけで終わらせず、原因関係の処理まで設計しておく
Q2相手が異議の取下げに同意してくれません。嫌がらせですか?
嫌がらせとは限りません。360条2項が同意を効力要件にしているのは、異議で事件が通常訴訟へ移った時点で、相手にも本格的な審理と判決を受ける正当な利益が生じているからです。同意しない自由は法律が認めた権利です。実務のポイント:実務では、取下げの同意は和解とパッケージで動くことがほとんど。相手が単独で同意を拒むのは、原因関係まで含めた決着や費用負担で譲歩を引き出したいというサインのことが多い。なぜ同意しないのかの裏を読めば、和解の落としどころが見えてくる
間違えやすい点 AI による整理
- 「異議は自分が申し立てたものだから、自分の意思だけで自由に取り下げられる」と思われがちだが、360条2項は相手方の同意を効力要件にしている。一度通常訴訟に引き込んだ以上、相手にも本格審理を受ける利益が生じているからだ。あなた一人では引き返せない
- 異議の取下げが「手形判決の確定」を意味することは知っていても、その確定判決が原因関係(手形の元になった売買代金などの実体的な権利関係)まで既判力で固めるわけではない、という限界まで意識している人は少ない。確定するのはあくまで手形金請求についての判断だ
- 「異議さえ取り下げれば、面倒な裁判はすぐ終わる」という前提でものを考えていると足をすくわれる。問いの立て方が違う。本当に決めるべきは「相手が同意するか」であり、同意しない相手を前にしたら、取下げという選択肢はそもそも机上に存在しない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 行為の性質 | 360条:異議の取下げ(高速レーンへの逆走) | 357条:異議の申立て(通常訴訟への移行) 262条:訴えの取下げ(請求全体の撤回) |
| 相手方同意の要否 | 必須(360条2項、効力要件) | 不要(一方的に申立て可能) 本案弁論後は必要(262条準用構造の基礎) |
| 時間的限界 | 通常手続による第一審の終局判決まで(360条1項) | 手形判決送達から二週間の不変期間内(357条) 判決確定まで |
| 効果 | 262条1項準用で手形判決が確定 | 事件が通常訴訟へ移行し本格審理が始まる 訴訟係属が遡及的に消滅 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾は手形訴訟の特別手続を持たないため、相手方同意を要する一般の訴え取下げ規定が機能的に対応する
ドイツの証書・手形訴訟では Vorbehaltsurteil(留保付判決)と Nachverfahren(後続手続)により本案審理へ移行する構造をとり、日本の手形訴訟・異議制度の母法的位置にある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは手形金請求の手形訴訟で負け、二週間の不変期間ギリギリで異議を申し立てた(357条)。その後、弁護士と相談して「争っても勝ち目が薄い、和解で減額した方が得だ」と判断した。だが異議を取り下げるには相手の同意が要る(360条2項)。相手が同意しなければ、あなたは望まぬ通常訴訟を最後まで戦わされる。あと数回の期日で終局判決が見えてきた、決断は早い方がいい
- もし、異議を取り下げた後で「やっぱり争いたい」と思い直したら、もう一度異議を申し立てられるか。答えは原則ノー。取下げには訴えの取下げに関する262条1項が準用され、手形判決はその時点で確定する。引き返せない一手だ
- 相手が口頭弁論期日に二回連続で出頭せず、誰も期日指定を申し立てない。263条が準用され、異議は取り下げたものとみなされる。沈黙が手形判決を確定させる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手(異議申立人)が異議を取り下げたい意向を示しても即答で同意せず、まず手形判決が自分の請求を満額認めているか確認する2. 満額なら同意して早期確定もあり、減額や原因関係の決着まで欲しいなら同意を保留し通常訴訟を続ける選択を検討3. 同意は和解交渉の対価として使い、遅延損害金や訴訟費用の負担で相手から譲歩を引き出す4. 確定後は仮執行宣言付手形判決や確定判決を債務名義として強制執行へ進む
訴えられた側:1. 異議を取り下げれば手形判決が確定し、もう争えなくなる(262条1項準用)。本当に勝ち目がないか弁護士と再検証してから動く2. 取下げには相手の同意が必須(360条2項)。同意が得られないなら通常訴訟を戦い切る覚悟か、和解での取下げ合意を目指す3. 取り下げる場合も、和解条項に分割払いや減額を盛り込んでから取下げ書を出す順序を守る4. 二回連続の期日欠席は263条準用で取下げ擬制となり不利な手形判決が確定するため、期日管理を徹底する
時効(請求できる期限):異議の取下げができるのは、通常の手続による第一審の終局判決があるまで(360条1項)。この終局判決が出た瞬間に取下げの窓は閉じる。なお異議の申立て自体は、手形判決の送達を受けた日から二週間の不変期間内(357条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:360条2項が相手方の同意を効力要件とするのは、異議により事件が証拠制限のない通常手続へ移行した時点で、相手方に書証以外の証拠を用いた本格的審理と判決を受ける利益が生じるためと解されている。申立人の処分権と相手方の審理利益を調整する規定である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正(平成8年法律第109号)。手形訴訟に関する規定が再編され、異議の取下げと相手方同意の効力要件が現行360条として整理された。
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