民事再生法 第140条(詐害行為取消訴訟等の取扱い)
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- 否認権限を有する監督委員又は管財人は、第四十条の二第一項の規定により中断した訴訟手続のうち、民法第四百二十四条第一項の規定により再生債権者の提起した訴訟又は破産法の規定による否認の訴訟若しくは否認の請求を認容する決定に対する異議の訴訟に係るものを受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
- 2.前項の場合においては、相手方の再生債権者又は破産管財人に対する訴訟費用請求権は、共益債権とする。
- 3.第一項に規定する訴訟手続について同項の規定による受継があった後に再生手続が終了したときは、次条第一項の規定により中断している場合を除き、当該訴訟手続は中断する。
- 4.前項の場合又は第一項に規定する訴訟手続が次条第一項の規定により中断した後に再生手続が終了した場合には、再生債権者又は破産管財人において当該訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
この条文の基本情報
詐害行為取消訴訟等の取扱いとは何ですか?
定義詐害行為取消訴訟等の取扱いとは、民事再生法第140条に定められた規定で、「否認権限を有する監督委員又は管財人は、第四十条の二第一項の規定により中断した訴訟手続のうち、民法第四百二十四条第一項の規定により再生債権者の提起した訴訟又は破産…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第140条(詐害行為取消訴訟等の取扱い)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第140条の条文原文は「否認権限を有する監督委員又は管財人は、第四十条の二第一項の規定により中断した訴訟手続のうち、民法第四百二十四条第一項の規定により再生債権者の提起した訴訟又は破産…」で始まります。
- 民事再生法第140条は第二節 否認権に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第140条の前の条は民事再生法第139条です。
- 民事再生法第140条の次の条は民事再生法第141条です。
- 民事再生法第140条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第140条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第140条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/140
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法140条は、否認権限を有する監督委員又は管財人が、中断した詐害行為取消訴訟等を受け継げると定める。受継後の回収は再生債権者全体の責任財産に入り、相手方の訴訟費用請求権は共益債権となる。
Q · 取引先が民事再生に入ったら、自分が起こした財産取り戻しの裁判はどうなるの?
監督委員か管財人に受け継がれ、取り分は全債権者で分ける
民事再生法140条により、否認権限を有する監督委員又は管財人は、再生手続開始で中断した詐害行為取消訴訟(民法424条1項)等を受け継ぐことができます。受け継がれると、勝訴で取り戻した財産は再生債権者全体の責任財産に入り、あなたの取り分は配当率に応じた一部に縮みます。相手方(被告)からも受継の申立てができ(1項後段)、相手方の訴訟費用請求権は共益債権として優先弁済されます(2項)。再生手続が途中で終わると訴訟は再び中断します(3項)。
解説
債務者に貸した金を取り戻すため、あなたは民法424条の詐害行為取消訴訟を起こした。相手が貸し倒れ直前に親族へ不動産を移していたからだ。判決まであと一歩。ところがある日、訴訟手続が止まる。債務者が民事再生を申し立て、監督委員が「あなたの訴訟を受け継ぐ」と通告してきた。これが140条の世界だ。あなた一人が勝ち取るはずだった財産は、再生債権者全員で分ける共同の財布に変わる。一人で戦って一人で回収する図式が、集団のための否認権に吸い上げられる。だが逆の使い方も条文に隠れている。あなたが財産を受け取った側、つまり相手方なら、宙ぶらりんの訴訟を自分から受継申立てして決着を急がせることができる。さらにあなたの訴訟費用請求権は共益債権として優先弁済される。止まった訴訟を、ただ待つのか、自分から動かすのか。その選択権は条文の文言の中に置かれている。
法的な位置づけ
民事再生法140条は、否認訴訟の受継を定める規定である。否認権限を有する監督委員又は管財人は、40条の2により中断した詐害行為取消訴訟又は破産法上の否認訴訟等を受け継ぐことができ、その申立ては相手方からもできる。受継後の相手方の訴訟費用請求権は共益債権とされ、再生手続終了時には当該訴訟手続が再び中断する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.債務者の再生手続開始と訴訟中断を確認 取引先(債務者)が民事再生を申し立てたら、係属中の詐害行為取消訴訟が40条の2により中断するか確認する。否認権限者の有無で中断の要否が変わるため、監督委員選任・否認権限付与の有無を裁判所書記官や監督委員に照会する
- 2.受継の要否と申立主体を判断 自分が原告(債権者)側か相手方(被告)側かを整理し、受継が誰の利益になるかを判断する。原告側は単独回収が按分配当に変わる前提を、相手方側は宙づり解消のメリットを検討する
- 3.相手方なら自ら受継申立てを検討 あなたが被告(相手方)で、原告側が動かず訴訟が止まったままなら、140条1項後段により自分から受継を申し立てて決着を早める。証拠や証人の記憶が新しいうちに争うほど有利になる
- 4.共益債権となる訴訟費用請求権を交渉材料に 相手方が勝訴した場合の訴訟費用請求権は共益債権として優先弁済される(2項)。和解交渉ではこの優先弁済を前提に和解ラインを引き直す
- 5.再生手続終了時の再中断に備える 受継後に再生手続が終了すると訴訟は再び中断する(3項)。再生債権者又は破産管財人が受け継がなければ止まったままとなるため(4項)、受継者を早期に確定させ、放置による時効・証拠散逸を防ぐ
- 6.再生債権届出を期限内に行う 原告(債権者)側は、受継により単独回収が消え配当ベースになる前提で、別途の再生債権届出を届出期間内に必ず行う。届出を怠ると配当から漏れる
よくある質問 AI による整理
Q1否認訴訟の受継とは何ですか?
係属中の詐害行為取消訴訟等を、否認権限を有する監督委員又は管財人が引き継ぐ手続です。民事再生法140条が根拠で、相手方からも受継を申し立てられます。
Q2詐害行為取消訴訟は民事再生でどうなりますか?
債務者が民事再生を申し立てると、否認権限者があるときは訴訟が中断し(40条の2)、140条により監督委員又は管財人が受け継ぐことができます。原告個人の単独回収は按分配当に変わります。
Q3監督委員は詐害行為取消訴訟を引き継げますか?
否認権限を付与された監督委員(137条)であれば、140条により受け継げます。付与がなければ管財人が担い、いずれもいなければ受継できません。
Q4受継後の訴訟費用は誰が負担しますか?
相手方が勝訴した場合、その再生債権者又は破産管財人に対する訴訟費用請求権は共益債権となり(140条2項)、再生債権に優先して弁済されます。
Q5再生手続が終了したら訴訟はどうなりますか?
受継後に再生手続が終わると当該訴訟手続は中断し(3項)、再生債権者又は破産管財人が受け継がなければ進みません(4項)。相手方からも受継を申し立てられます。
Q6否認権とは何ですか?
再生債務者が債権者を害する行為をした場合に、その効力を否定して財産を取り戻す倒産手続上の権利です。全債権者のために監督委員又は管財人が行使します(135条・137条)。
Q7相手方から受継を申し立てられますか?
できます。140条1項後段は受継の申立てを相手方(被告)からもできると定めており、訴訟が宙づりになるのを避けたい相手方が自ら決着を早められます。
Q8民事再生と破産で否認訴訟の扱いは違いますか?
枠組みは類似しますが根拠条文が異なります。民事再生は民事再生法140条、破産は破産法の対応規定によります。受継主体や共益債権化のルールは各法で定められています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1自分で起こした取消訴訟を勝手に他人に持っていかれるなんて、おかしくないですか?
民事再生という集団手続では、否認権は監督委員や管財人が全債権者のために一括行使する建前です(140条1項、135条)。だから個別の詐害行為取消訴訟も受継の対象になります。実務のポイント:受継されても、あなたが調べ上げた証拠や訴訟上の地位が無駄になるわけではない。監督委員はあなたの積み上げをそのまま引き継ぐので、早い段階で代理人を通じて協力姿勢を示すと、費用や手続の進め方で実務上配慮されることがある
Q2相手方の自分が、訴えられている裁判を自分から進めるってどういうことですか?
140条1項後段は、受継の申立てを相手方からもできると定めています。原告側が動かず訴訟が止まったままだと、あなたの財産の帰属がいつまでも宙づりになる。それが嫌なら自分で受継を申し立てて決着を急げます。実務のポイント:弁護士でも『受継申立ては原告側がするもの』と思い込み、相手方の申立権を使い損ねる人がいる。宙づりが長引くほど立場が弱くなる相手方こそ、この一手を握っている
間違えやすい点 AI による整理
- 「詐害行為取消訴訟は自分が原告だから最後まで自分が仕切れる」と思っている人が多い。確かに通常はそうだ。だが債務者が民事再生に入ると、その訴訟は監督委員に吸い上げられ、あなたは原告の座を失う。自分が始めた裁判の主導権を奪われる事態があることを、ほとんどの債権者は知らない
- 「相手方は受継されるのを黙って待つしかない」という前提そのものが誤っている。140条1項後段は相手方にも受継申立権を与えている。立てるべき問いは『いつ受継されるか』ではなく『自分から受継を仕掛けて決着を早めるべきか』だ
- 勝訴して回収できる金は全部自分のもの、と思いがちだが、受継後の回収成果は再生債権者全体の責任財産に入る。あなたの取り分は配当率に応じた一部に縮む。先に訴訟を起こした者勝ち、ではなくなる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 140条:否認訴訟(詐害行為取消訴訟等)の受継 | 40条の2:否認権限者がある場合の訴訟手続の中断 141条:再生手続終了による訴訟手続の中断 |
| 誰が主体か | 監督委員又は管財人が受継(相手方からも申立て可) | 訴訟が自動的に中断(主体の交代はまだない) 再生債権者又は破産管財人が受継 |
| 適用場面 | 中断した否認訴訟を集団手続へ取り込む局面 | 再生手続開始で否認権限者が生じた局面 受継後に再生手続が終了した局面 |
| 回収の帰属 | 再生債権者全体の責任財産(按分配当) | 中断中で未確定 手続終了後の受継者に応じて決まる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も詐害行為の撤銷権を破産管財人が全債権者のために行使する構造をとる。ただし民事再生に相当する再建型手続の整備状況は日本と異なる
韓国は破産・再生を統合した単一法典で否認権と否認訴訟の受継を規律する。日本の分立方式(破産法・民事再生法)と体系が異なる
ドイツは倒産否認(Insolvenzanfechtung)と係属中の能動訴訟の受継(§ 85)を単一の倒産法に規定。日本の倒産法制が継受した源流の一つ
米国では管財人(trustee)が詐害的譲渡を否認する avoiding powers を有し、係属中の訴訟も承継しうる。DIP 型では債務者自身が権限を行使する点が特徴
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先に800万円が貸し倒れそうになり、相手が妻名義に自宅を移したのを掴んで詐害行為取消訴訟を起こした。勝訴目前で相手が民事再生を申し立て、監督委員が訴訟を受継。あなたの単独回収はご破算になり、全債権者で按分する共益の財布行きになった
- もし、あなたが知人から「これで借金が片付く」と言われて土地を譲り受けた側だったら? その知人が民事再生に入った瞬間、あなたを被告とする取消訴訟は監督委員に受け継がれうる。だが宙づりが嫌なら、あなたの側から受継を申し立てて土俵に引きずり出せる
- 再生手続が途中で終わった。その瞬間、訴訟はまた中断する。再生債権者か破産管財人が受け継がなければ一歩も進まない。誰も動かない数週間、時効と証拠が静かに腐っていく
取るべき行動
被害を受けた側:1. 債務者が民事再生を申し立てたら、係属中の詐害行為取消訴訟は40条の2で中断すると心得る2. 監督委員・管財人に否認権限があるか確認し、受継するか否かを早期に問い合わせる3. 受継後は単独回収が消え配当ベースになる前提で、別途の再生債権届出を期限内に必ず行う4. 再生手続が途中終了したら自分(再生債権者)が受け継がなければ訴訟は止まったまま、放置による時効進行に注意する
訴えられた側:1. あなたを被告とする取消訴訟が中断したら、待たずに自分から受継を申し立てて決着を早める選択肢を検討する(1項後段) 2. 受継後の勝訴で得た訴訟費用請求権は共益債権として優先弁済される点を、和解交渉のテコに使う3. 再生手続が途中で終わった場合、相手方の側からも受継申立てができる(4項後段)、宙づりを避けたければ先に動く4. 否認の実体要件(詐害性・受益者の悪意)を争う準備を並行して進める
時効(請求できる期限):受継申立て自体に固有の期間制限はないが、訴訟手続の中断中は放置するほど不利になる。再生手続終了後は再生債権者または破産管財人が受け継がなければ訴訟は止まったまま進まず、その間に詐害行為取消権の出訴期間(民法426条、債務者が害することを知って行為したと知った時から2年・行為時から10年)や証拠の散逸リスクが走る(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:民事再生法140条の受継は、個別債権者が提起した詐害行為取消訴訟を否認権限者に集約し、回収成果を再生債権者全体の責任財産へ取り込むことで債権者間の公平を確保する趣旨と解される。相手方にも受継申立権を与え、訴訟費用請求権を共益債権とすることで手続的公平を担保する。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)の制定に伴い新設。和議法に代わる再生型倒産手続として、否認訴訟の受継・共益債権化・相手方の受継申立権を明文化した。
- 民事再生法 第40条の2否認権限者がある場合の訴訟手続の中断
- 民事再生法 第127条詐害行為の否認の実体要件
- 民事再生法 第135条否認権の行使方法(訴え・否認の請求)
- 民事再生法 第137条否認権限を有する監督委員の指定
- 民事再生法 第141条次条、再生手続終了による訴訟手続の中断
- 民法 第424条詐害行為取消権の一般法上の根拠
- 破産法 第173条破産手続における否認権行使の対応規定(現行効力を要確認)
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