民事再生法 第141条(否認の訴え等の中断及び受継)
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- 次の各号に掲げる裁判が取り消された場合には、当該各号に定める訴訟手続は、中断する。
- 一監督命令又は第五十六条第一項の規定による裁判否認権限を有する監督委員が当事者である否認の訴え若しくは第百三十七条第一項の訴えに係る訴訟手続、否認権限を有する監督委員が第百三十八条第一項の規定による参加をした訴訟手続又は否認権限を有する監督委員が受継した前条第一項に規定する訴訟手続
- 二管理命令管財人が当事者である第百三十七条第一項の訴えに係る訴訟手続又は管財人が受継した前条第一項に規定する訴訟手続
- 2.前項の規定により中断した訴訟手続は、その後、監督委員が第五十六条第一項の規定により否認権を行使する権限を付与された場合又は管財人が選任された場合には、その監督委員又は管財人においてこれを受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
この条文の基本情報
否認の訴え等の中断及び受継とは何ですか?
定義否認の訴え等の中断及び受継とは、民事再生法第141条に定められた規定で、「次の各号に掲げる裁判が取り消された場合には、当該各号に定める訴訟手続は、中断する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第141条(否認の訴え等の中断及び受継)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第141条の条文原文は「次の各号に掲げる裁判が取り消された場合には、当該各号に定める訴訟手続は、中断する。」で始まります。
- 民事再生法第141条は第二節 否認権に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第141条の前の条は民事再生法第140条です。
- 民事再生法第141条の次の条は民事再生法第142条です。
- 民事再生法第141条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第141条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第141条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/141
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法141条は、監督命令や管理命令が取り消されると否認訴訟が中断し、否認権を付与された監督委員または管財人が受け継ぐと定める。受継の申立ては相手方からもできる。
Q · 倒産しかけた相手から返してもらった金の否認訴訟で、監督委員や管財人が代わったら訴訟は終わるの?
終わりません。中断後に後任が受け継ぎ、請求は続きます
民事再生法141条により、監督命令・第56条の裁判・管理命令が取り消されると、否認権限を有する監督委員や管財人が当事者となる否認訴訟はいったん中断します。しかし否認権を付与された監督委員、または新たに選任された管財人がそれを受け継がなければなりません(141条2項)。担当者の交代は返還請求を消す出口ではなく中継ぎにすぎません。しかも受継の申立ては、訴えられた相手方の側からもできるため、宙吊りの訴訟を自分から動かして決着させることも可能です。
解説
経営の傾いた取引先が、民事再生を申し立てる直前、なぜかあなたにだけ先に借金を返してくれた。ありがたい話に見えるが、その数か月後、見知らぬ「監督委員」から訴状が届く。あなたが受け取ったその返済は、他の債権者を出し抜く不公平な弁済だとして取り戻されようとしている。これが否認の訴えだ。141条が扱うのは、その訴訟の途中で再生手続の枠組みが変わったとき、誰が訴訟を引き継ぐかという問題。監督命令や管理命令が取り消されると、進行中の否認訴訟はいったん中断する。そして否認権を与えられた監督委員や、新たに選ばれた管財人がそれを受け継ぐ。重要なのは、この受継の申立ては相手方であるあなたの側からもできるという点だ。訴訟が宙ぶらりんのまま放置されるのを、あなた自身の手で動かして終わらせられる。
法的な位置づけ
民事再生法141条は、否認訴訟の中断と受継を定める手続規定である。監督命令・第56条の裁判・管理命令が取り消されると、否認権限を有する監督委員や管財人が当事者となる否認訴訟は中断し、否認権を付与された監督委員または選任された管財人がこれを受け継ぐ。受継の申立権は相手方にも認められる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.起点となった裁判を確定する 自分が受けている否認訴訟が、監督命令(第56条の裁判を含む)に基づくものか、管理命令に基づくものかを確定する。どちらかで141条1項の中断ルートと受継主体が変わる
- 2.否認権者が確定したか確認する 監督委員が第56条1項により否認権を行使する権限を付与されたか、または管財人が選任されたかを確認する。否認権者が確定して初めて受継が可能になる
- 3.相手方の立場から受継を申し立てる 訴訟が中断したまま権利関係が宙吊りで困る場合、141条2項に基づき、訴えられた相手方の側から受継の申立てを行い、中断した訴訟を再開させて早期決着を図る
- 4.受継後の相手を見極め和解か判決かを試算する 受継した相手が否認権を持つ監督委員か管財人かを見極め、否認の要件(危機時期の認識・行為の有害性)を争えるかを検証しつつ、和解と判決のどちらが有利かを試算する
よくある質問 AI による整理
Q1否認の訴えとは何ですか?
倒産手続の直前などに特定の債権者だけが受けた弁済や担保供与を、他の債権者との公平のために取り戻す訴えです。否認権者が原告となります。
Q2民事再生法141条の受継とは?
監督命令や管理命令が取り消されて中断した否認訴訟を、否認権を付与された監督委員や新たな管財人が引き継いで続行することです。相手方からも申立てできます。
Q3監督委員と管財人の違いは?
監督委員は再生債務者の業務を監督する立場で、第56条で否認権限を付与されます。管財人は管理命令下で財産の管理処分権を握る立場です。
Q4否認権の行使期間はいつまで?
民事再生手続開始の日から2年、または否認対象行為の時から20年で行使できなくなります。中断した訴訟は受継まで進行しません(最新の改正状況をご確認ください)。
Q5民事再生が破産に移行したら否認訴訟はどうなりますか?
手続の種類が変わっても、破産管財人の下で対応する否認制度により争いは生き続けます。担当者の交代で自然消滅はしません。
Q6訴訟手続の中断とは?
当事者や訴訟追行権者に一定の事由が生じたとき、訴訟が一時停止する状態です。受継があるまで期日は進みません。
Q7監督命令と管理命令の違いは?
監督命令は再生債務者が業務を続けつつ監督委員が監督する体制、管理命令は管財人が財産の管理処分権を掌握する体制です。中断・受継のルートが変わります。
Q8倒産直前の弁済は取り戻されますか?
他の債権者を害する偏頗弁済や詐害行為に当たれば、否認権により取り戻される可能性があります。担当者が交代しても請求は続きます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1訴えてきた監督委員の立場が変わったら、否認の訴えは消えてくれるんですか?
消えません。141条により訴訟はいったん中断するだけで、否認権を付与された後任の監督委員、または新たに選任された管財人がそれを受け継ぎます(141条2項)。担当者の交代はあなたの返還義務を消す出口ではなく、単なる中継ぎです。実務のポイント:実務では中断中に相手側の体制が固まるまで時間がかかることがある。その間に和解の地ならしをしておくと、受継後の相手は訴訟再開の手間を嫌い、交渉に応じやすくなる。
Q2訴訟が止まったまま何も進まないんですが、こちらから動かせないんですか?
動かせます。141条2項は、受継の申立ては相手方、つまり訴えられたあなたからもできると定めています。否認の対象とされた財産の権利関係を早く確定させたいなら、相手の動きを待たず自分で受継を申し立てる手があります。実務のポイント:この『相手方からの受継申立て』は条文に明記されているのに見落とされがち。宙吊りで困るのが自分の側なら、待つより仕掛けた方が早く決着する。
間違えやすい点 AI による整理
- 監督委員や管財人が交代すれば、面倒な否認訴訟は自然消滅すると思われがちだが、141条はその逆を定める。訴訟は中断するだけで、否認権を持つ後任が受け継げばそのまま続く。担当者の交代は、あなたの返還責任を消す出口ではない。
- 「受継は再生側がやるものだから、訴えられた自分は待つしかない」という前提そのものが誤っている。141条2項は、受継の申立ては相手方、つまり訴えられたあなたからもできると明記する。膠着を解く鍵を、相手ではなくあなたが握っている場面がある。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 141条:監督命令・第56条の裁判・管理命令が取り消された場合の中断と受継 | 140条:否認権者の交代等に伴う中断・受継(本条が前提とする前条) 民訴124条:当事者死亡・法人合併等の一般的な中断・受継 |
| 中断の効果 | 否認訴訟が中断し、受継があるまで進行しない | 否認権者の地位変動に応じて中断・受継 訴訟一般が中断し、受継または続行命令で再開 |
| 受継の主体 | 否認権を付与された監督委員または選任された管財人 | 新たな否認権者 相続人・新法人など承継人 |
| 相手方からの申立て | 141条2項で相手方からも受継を申立て可能 | 受継規定により申立て可能 相手方からの受継申立ても可能(民訴126条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は破産手続で詐害行為・偏頗行為の撤銷権を定めるが、担い手交代時の訴訟受継を条文単位で細かく規律する明文は乏しく、日本ほど手続の連続性を精緻化していない
韓国は統合倒産法で부인권(否認権)を定め、日本法を強く継受。管理人・부인권자の変動に伴う訴訟処理も類似の発想をとる
ドイツは倒産管財人(Insolvenzverwalter)が否認権を一元的に行使する構造で、日本の監督委員・管財人の二層構造ほど担い手交代の場面が複雑化しにくい
米国はトラスティまたは DIP が preference / fraudulent transfer の avoidance を行使。手続転換時は Federal Rules of Bankruptcy Procedure の substitution により当事者が引き継がれる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、否認の訴えで訴えられている最中に、相手の監督委員の権限の裏付けが突然失われたら? 訴訟はそこで止まる。だが終わったわけではない。否認権を与えられた監督委員や新たな管財人が受け継いだ瞬間、また同じ戦いが再開する。
- 再生手続が頓挫し、管理命令に切り替わった。進行中の否認訴訟は中断する。だが管財人が受け継げば、あなたへの返還請求はそのまま生きている。
- 受継されないまま訴訟が宙吊りになって半年。否認の対象とされたあなたの不動産は権利関係が固まらず、売却も担保設定もできない。この膠着を解くには、相手の動きを待つのではなく、あなたの側から受継を申し立てる手がある。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 監督命令に基づく訴訟か管理命令に基づく訴訟か、どちらの裁判を起点とするかを確定する。中断・受継のルートが変わる2. 監督委員が56条1項で否認権限を付与されたか、または管財人が選任されたかを確認3. 否認権者が確定したら、速やかに受継の申立てを行い、中断した訴訟を再開させる4. 中断期間中に相手方の財産処分が進まないよう、否認の登記や保全処分の維持を確認する
訴えられた側:1. まず否認の要件(危機時期の認識、行為の有害性)を争えるか検証する。手続の担い手の交代は責任そのものを消さない2. 訴訟が中断したまま権利関係が宙吊りなら、141条2項で自分から受継を申し立て、決着を急ぐ選択肢を持つ3. 受継後の相手(否認権を持つ監督委員か管財人か)を見極め、和解と判決のどちらが有利かを試算4. 否認が認められた場合の原状回復(受領額の返還)の範囲が過大でないか精査する
時効(請求できる期限):本条の中断・受継自体に固有の期間制限はない。ただし否認権そのものには行使期間があり、再生手続開始の日から2年、または否認対象行為の時から20年を経過すると行使できなくなる(最新の改正状況をご確認ください)。中断した訴訟は、受継があるまで進行しない。
学説
通説:141条の中断・受継は、否認訴訟の担い手(否認権限を持つ監督委員か管財人か)が手続の進行に応じて交代しうる中で、手続の連続性と訴訟追行権限の正統性を両立させる規律と解される。受継申立権を相手方にも認める点で、一方当事者の都合による訴訟の塩漬けを防ぐ趣旨をもつ。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)の制定により新設。旧和議法に代わる再生型倒産手続の整備の一環として、否認訴訟の中断・受継を明文化した。施行は平成12年(2000年)4月1日。
- 民事再生法 第56条否認権限を有する監督委員、本条の受継主体の根拠
- 民事再生法 第137条否認権者が当事者となる訴え、中断対象の訴訟
- 民事再生法 第138条否認権者の訴訟参加、中断対象の手続
- 民事再生法 第140条訴訟手続の中断及び受継(前条)、本条が前提とする受継規定
- 民事訴訟法 第124条訴訟手続の中断・受継の一般原則、本条はその特則
- 破産法 第160条破産移行時の詐害行為否認、再生否認に対応する制度
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