民事再生法 第210条(相互の手続参加)
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- 外国管財人は、届出をしていない再生債権者であって、再生債務者についての外国倒産処理手続に参加しているものを代理して、再生債務者の再生手続に参加することができる。ただし、当該外国の法令によりその権限を有する場合に限る。
- 2.再生債務者等は、届出再生債権者(第百一条第三項の規定により認否書に記載された再生債権を有する者を含む。次項において同じ。)であって、再生債務者についての外国倒産処理手続に参加していないものを代理して、当該外国倒産処理手続に参加することができる。
- 3.再生債務者等は、前項の規定による参加をした場合には、その代理する届出再生債権者のために、外国倒産処理手続に属する一切の行為をすることができる。ただし、届出の取下げ、和解その他の届出再生債権者の権利を害するおそれがある行為をするには、当該届出再生債権者の授権がなければならない。
この条文の基本情報
相互の手続参加とは何ですか?
定義相互の手続参加とは、民事再生法第210条に定められた規定で、「外国管財人は、届出をしていない再生債権者であって、再生債務者についての外国倒産処理手続に参加しているものを代理して、再生債務者の再生手続に参加することができる。…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第210条(相互の手続参加)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第210条の条文原文は「外国管財人は、届出をしていない再生債権者であって、再生債務者についての外国倒産処理手続に参加しているものを代理して、再生債務者の再生手続に参加することができる。…」で始まります。
- 民事再生法第210条は第十一章 外国倒産処理手続がある場合の特則に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第210条の前の条は民事再生法第209条です。
- 民事再生法第210条の次の条は民事再生法第211条です。
- 民事再生法第210条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第210条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第210条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/210
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法210条は、外国管財人が未届出の再生債権者を代理して再生手続に参加でき、再生債務者等が届出再生債権者を代理して外国倒産処理手続に参加できると定める。ただし和解等には本人の授権が必要である。
Q · 海外の取引先が現地で倒産して、日本でも民事再生に入った。日本で債権届出を忘れたらもう終わりですか?
外国管財人が代理して日本の手続に参加できる余地があります
民事再生法210条1項により、外国倒産処理手続に参加している債権者であれば、日本で届出をしていなくても、外国管財人がその債権者を代理して再生手続に参加できます。ただし当該外国の法令により外国管財人が代理権限を有する場合に限られます。逆に、日本で届出済みだが外国手続に参加していない債権者については、再生債務者等が代理して外国手続に参加できます(2項)。もっとも3項但書により、届出の取下げ・和解その他権利を害するおそれのある行為には、本人の授権が必要です。
解説
グローバルに取引する会社が破綻すると、その後始末は一つの国では完結しない。日本で民事再生、本国で破産、というように複数国で手続が同時並行に走る。問題は、あなたの債権がその両方で正しく拾われるとは限らないことだ。210条は、この国境をまたぐ穴を二方向から塞ぐ。第一に、日本で債権届出をしていない債権者でも、海外の倒産手続に参加していれば、その外国管財人があなたを代理して日本の再生手続に参加できる(1項)。第二に、逆方向もある。日本で届出済みだが海外手続には参加していない債権者を、日本の再生債務者側が代理して海外手続に参加させられる(2項)。ただし届出の取下げや和解など、あなたの権利を削る危険のある行為には、あなた自身の授権が要る(3項)。代理はされても、損する決定まで勝手にはされない。その線引きがこの条文の肝だ。
法的な位置づけ
民事再生法210条は、外国倒産処理手続と日本の再生手続との相互の手続参加を定める規定である。外国管財人は当該外国の法令により権限を有する場合に限り、未届出の再生債権者を代理して再生手続に参加でき、再生債務者等は届出再生債権者を代理して外国倒産処理手続に参加できる。権利を害するおそれのある行為には当該債権者の授権を要する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.倒産した取引先の手続を国別に洗い出す 取引先がどの国で、どの手続(日本の民事再生・破産、外国の破産・更生・Chapter 11等)に入っているかを一覧化する。手続名・裁判所・事件番号・管財人名を必ず特定する
- 2.自分がどの手続に登録済みかを確認する 日本の再生手続で債権届出をしたか、外国倒産処理手続に債権者として参加しているかを二列で突き合わせる。登録のない側が取りこぼしの温床であり、210条で橋を架ける対象になる
- 3.外国管財人の代理権限を照会する(1項ルート) 日本で未届出だが外国手続に参加している場合、外国管財人に対し、当該外国の法令上、域外の債権者を代理して他国手続に参加する権限があるかを書面で照会する。選任証明書や宣誓供述書の提出を求める
- 4.再生債務者等による代理参加を設計する(2項ルート) 再生債務者側の立場であれば、届出再生債権者のうち外国手続に未参加の者を特定し、代理参加の可否と実益を検討する。外国手続の参加要件・提出書類・現地代理人の要否を先に確定する
- 5.権利を害するおそれのある行為には書面授権を取る 届出の取下げ、和解、減額に応じる合意など、3項但書に該当する行為を行う前に、当該届出再生債権者から個別の書面授権を取得する。包括委任状ではなく行為類型を限定した授権書にする
- 6.両手続の期限をカレンダー化し短い方から潰す 日本の再生債権の届出期間と外国手続の参加期限は独立に進行する。両方を単一のカレンダーに落とし、期限の早い方から順に対応する。配当原資確定後は事後的な橋渡しができない
よくある質問 AI による整理
Q1民事再生法210条とは何ですか?
日本の再生手続と外国の倒産処理手続との間で、当事者が相互に代理して手続に参加できることを定めた国際倒産の特則です。1項は外国管財人、2項は再生債務者等が代理人になります。
Q2外国管財人とは誰ですか?
外国の倒産手続で選任され、財産の管理処分権や事業の再建を行う者です。日本の管財人や再生債務者等に相当し、定義は承認援助法2条に置かれています。
Q3日本で債権届出をしていない場合でも参加できますか?
外国倒産処理手続に参加していれば、外国管財人が代理して日本の再生手続に参加できます(210条1項)。ただし外国管財人が本国法上その権限を有することが条件です。
Q4外国管財人の代理が認められないのはどんな場合ですか?
210条1項但書により、当該外国の法令によって代理権限が与えられていない場合です。本国法が域外での代理権を認めていなければ、その代理参加は効力を持ちません。
Q5再生債務者が債権者を代理して和解できますか?
できません。3項但書は、届出の取下げ・和解その他債権者の権利を害するおそれがある行為には、当該届出再生債権者の授権を要求しています。
Q6国際倒産で二重に配当を受けられますか?
受けられません。国内外の手続で重複した弁済を受けた場合、配当の調整(ホッチポット・ルール)が働き、後行手続での取り分が減額される仕組みになっています。
Q7承認援助手続と210条はどう違いますか?
承認援助手続は外国倒産処理手続そのものを日本で承認し援助する制度です。210条は既に進行中の日本の再生手続に、代理という形で外国側をつなぐ規定にとどまります。
Q8海外取引先が倒産したらいつまでに動くべきですか?
210条自体に固有の期間制限はありませんが、日本の再生債権の届出期間と外国手続の参加期限は独立に進行します。短い方を基準に直ちに動く必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1外国管財人って、日本の弁護士とは違うんですか? 信用していいの?
外国管財人は、外国の倒産手続で裁判所等に選任された管理処分権者で、日本の管財人や再生債務者に相当します。ただし210条1項の代理が有効なのは「当該外国の法令によりその権限を有する場合」だけです。承認援助法2条で外国倒産処理手続の範囲も定まっています。実務のポイント:実務では、外国管財人が日本で本格的に動くにはまず承認援助手続を通すのが筋で、210条だけで完結する場面は限られます。代理権限を示す本国の選任証明や宣誓供述書(affidavit)の有無を最初に確認します。
Q2代理してもらった結果、勝手に和解されて減額されたら泣き寝入りですか?
いいえ。3項但書が、届出の取下げ・和解その他あなたの権利を害するおそれのある行為には、あなた自身の授権を要求しています。授権なく代理人がこれらをすれば、その行為はあなたに効力を及ぼさないか、代理人が責任を負う構造です。実務のポイント:「包括的に任せます」と一筆書くと、この但書の保護が骨抜きになります。授権書には「減額和解・取下げは事前承認制」と個別留保を入れておくと、代理されても不利な決定だけは自分の手に残せます。
間違えやすい点 AI による整理
- 「日本で届出さえすれば債権は守られる」という前提自体が、国際倒産では崩れる。海外資産からの配当は海外手続で分配されるため、日本の届出だけでは海外の配当原資に手が届かない。問うべきは「どこで届けるか」ではなく「どの手続とどの手続をつなぐか」だ。
- 「外国管財人が代理してくれるなら、自分は何もしなくていい」と思いがちだが逆だ。1項の代理が成立するのは「当該外国の法令によりその権限を有する場合」に限る。本国法が管財人に域外の代理権を与えていなければ、代理は空振りし、あなたの債権は宙に浮く。
- 3項但書を「形式的な確認規定」と軽く見る人が多い。だが届出の取下げや和解は、あなたの回収額を直接削る。代理人が良かれと思って早期和解を飲むことが、あなたにとって最悪の結果になりうる。授権の要否は、回収額そのものを左右する実質ルールだ。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 民事再生法210条:日本の再生手続と外国倒産処理手続の相互の手続参加 | 民事再生法94条:再生債権の届出期間(国内手続の入口) 破産法247条:破産手続における相互の手続参加の並行規定 |
| 誰が動くか | 外国管財人(1項)または再生債務者等(2項)が債権者を代理する | 再生債権者本人が自ら届け出る 破産管財人または外国管財人が代理する |
| 本人の授権の要否 | 参加自体は授権不要。届出取下げ・和解等には授権が必要(3項但書) | 本人の行為であり代理構成を要しない 権利を害するおそれのある行為に授権を要する点は同旨 |
| 怠った場合のリスク | 国内外いずれかの手続で債権が拾われず、配当原資に届かない | 届出期間の徒過により再生計画で権利変更を受けるおそれ 破産財団からの配当を受けられない |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は UNCITRAL モデル法を採用せず、外国での和解・破産は国内財産に効力を及ぼさないという属地主義を維持する。日本210条に相当する相互参加の明文はなく、日台間の跨境倒産では協調が片務的になりやすい
韓国は2006年施行の統合倒産法でモデル法を採用し、外国倒産手続の承認と外国代表者の参加を制度化した。日本の承認援助法+各倒産法の特則という二層構造と異なり、単一法典内に国際倒産編を置く
EU 域内では欧州倒産規則が直接適用され、倒産管財人は自らの手続で届け出られた債権を他の加盟国の手続に届け出る権限を持つ。域外国との関係では InsO 第11編の国際倒産法が適用される
フランスも同じ欧州倒産規則の適用を受け、praticien de l'insolvabilité が他の加盟国の手続で債権を届け出られる。EU 法の直接適用により、国内立法での相互参加規定を必要としない構造
米国は2005年にモデル法を Chapter 15として導入した。承認(recognition)を得た foreign representative は米国裁判所に直接アクセスでき、外国債権者も内国債権者と同等に手続参加できる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの会社が出資した海外スタートアップが現地で破産し、その日本法人も民事再生を申し立てたら? 二つの国で別々に債権を主張しないと、片方で取りこぼす。日本の届出期間はあと数週間、海外手続の参加期限も別軌道で進む。210条を知らないと、二重の期限に挟まれて両方落とす。
- あなたが再生債務者側の経理担当だとする。届出済みの取引先の中に、海外でも倒産処理が走っている相手がいる。その相手を代理して海外手続に参加し、回収を図れる(2項)。だが和解で減額を飲むような決定は、相手の授権なしにはできない。勝手にサインすれば、後で「権利を害された」と責任を問われる。
- 外国管財人と名乗る人物から「あなたを代理して日本の手続に参加する」と通知が届いた。まず確認すべきは、その人物が本国法で本当に代理権を持つかだ。権限のない代理は、210条1項但書で弾かれる。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 倒産した取引先が「どの国で、どの手続(日本の民事再生/外国の破産・更生)に入っているか」をすべて洗い出す。2. 自分がどの手続に債権者として登録されているか確認、登録のない手続こそ取りこぼしの温床。3. 日本で未届出だが海外手続に参加しているなら、その外国管財人に本国法上の代理権限の有無を照会し、210条1項での日本手続参加を依頼する。4. 届出期間・参加期限を両国分カレンダー化し、短い方から潰す。
訴えられた側:1. 届出済み債権者の中に、海外でも倒産処理が走っている相手がいないか棚卸しする。2. その相手を代理して海外手続に参加する場合(2項)、できる行為とできない行為を線引きし、届出取下げ・和解・権利を害するおそれのある行為には必ず本人の書面授権を取る(3項但書)。3. 授権なく不利な決定をすれば代理権逸脱で責任を問われる。4. 海外手続の進行と国内手続のスケジュールを突き合わせ、二重弁済や配当の重複を避ける調整を早期に設計する。
時効(請求できる期限):210条自体に固有の期間制限はないが、参加の前提として各手続の債権届出期間・参加期限が走る。日本の再生手続では裁判所が定める再生債権の届出期間(民事再生法94条)が起点、外国手続は当該国法の期限に従う。両者は独立に進行するため、短い方を基準に動く。
学説
通説(修正普遍主義):本条を含む民事再生法第11章は、従来の属地主義を放棄し、外国倒産処理手続の存在を前提とした手続間協調を志向するものと解される。代理参加は協調の実効性を担保する手段であり、3項但書は代理権限の外延を画す実質的な債権者保護規定と位置づけられる
実務的理解:210条は単独で機能する場面が限られ、外国管財人が日本で本格的に活動するには承認援助法に基づく承認援助手続を経るのが通常とされる。本条は既に係属中の再生手続への「参加」に射程を限定した規定と読むのが実務の一般的理解である
改正沿革 AI による整理
- 平成12年(2000年) 外国倒産処理手続の承認援助に関する法律の制定に伴い、民事再生法に第11章「外国倒産処理手続に関する特則」が新設され、本条も外国管財人・再生債務者による相互の手続参加を定める一部として加えられた。UNCITRAL国際倒産モデル法の採用に対応する立法である
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)が公布され、和議法に代わる再建型倒産手続として整備された
- 2.平成12年(2000年) 改正:外国倒産処理手続の承認援助に関する法律の制定に伴い、民事再生法に外国倒産処理手続に関する特則が置かれ、本条も外国管財人・再生債務者等による相互の手続参加を定める規定として整備された。UNCITRAL 国際倒産モデル法の採用に対応する立法である
- 民事再生法 第101条認否書記載の再生債権、2項の届出再生債権者の範囲を画定
- 民事再生法 第94条再生債権の届出期間、参加の前提となる手続的起算点(現行効力を要確認)
- 民事再生法 第209条外国倒産処理手続の特則中、外国管財人の権限に関する規定(現行効力を要確認)
- 民事再生法 第211条外国手続との配当等の調整に関する特則(現行効力を要確認)
- 外国倒産処理手続の承認援助に関する法律 第2条外国倒産処理手続・外国管財人の定義の母法
- 破産法 第247条破産手続における相互の手続参加の並行規定(現行効力を要確認)
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