民事再生法 第212条(簡易再生の決定の効力等)
クイックジャンプ
- 簡易再生の決定があった場合には、一般調査期間に関する決定は、その効力を失う。
- 2.裁判所は、簡易再生の決定と同時に、議決権行使の方法としての第百六十九条第二項第一号に掲げる方法及び第百七十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により議決権の不統一行使をする場合における裁判所に対する通知の期限を定めて、前条第一項後段の再生計画案を決議に付する旨の決定をしなければならない。
- 3.簡易再生の決定があった場合には、その主文、前条第一項後段の再生計画案について決議をするための債権者集会の期日、前項に規定する期限及び当該再生計画案を公告するとともに、これらの事項を第百十五条第一項本文に規定する者に通知しなければならない。この場合においては、当該債権者集会の期日を労働組合等に通知しなければならない。
- 4.前項の債権者集会については、第百十五条第一項から第四項までの規定は適用しない。
- 5.簡易再生の決定があった場合における第百七十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、同条第二項中「第百六十九条第二項前段」とあるのは、「第二百十二条第二項」とする。
この条文の基本情報
簡易再生の決定の効力等とは何ですか?
定義簡易再生の決定の効力等とは、民事再生法第212条に定められた規定で、「簡易再生の決定があった場合には、一般調査期間に関する決定は、その効力を失う。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第212条(簡易再生の決定の効力等)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第212条の条文原文は「簡易再生の決定があった場合には、一般調査期間に関する決定は、その効力を失う。」で始まります。
- 民事再生法第212条は第一節 簡易再生に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第212条の前の条は民事再生法第211条です。
- 民事再生法第212条の次の条は民事再生法第213条です。
- 民事再生法第212条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第212条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第212条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/212
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法212条は、簡易再生の決定により一般調査期間の決定を失効させ、債権調査を省いて再生計画案を直接債権者集会の決議に付すことを定める規定である。
Q · 簡易再生の決定が出ると、手続はどう変わるんですか?
債権調査が省かれ、計画案が直接、決議に進みます。
民事再生法212条により、簡易再生の決定があると一般調査期間に関する決定は失効し、届出・調査・確定の手続を経ずに再生計画案がそのまま債権者集会の決議に付されます。裁判所は決定と同時に議決権行使方法の通知期限を定め、集会期日や計画案を債権者に公告・通知します。前提として議決権者の5分の3以上の同意(民再211条)が必要で、債権額に争いのない事案でこそ調査の数か月を短縮できます。
解説
民事再生を申し立てた会社にとって、最大の敵は時間だ。通常の手続では債権の届出、調査、確定に何か月もかかり、その間に取引先は離れ、運転資金は尽きていく。212条が定める簡易再生は、この調査手続をまるごと飛ばす仕組みである。1項で一般調査期間に関する決定が失効し、2項以降で計画案がいきなり債権者集会の決議に進む。条文は無味乾燥に見えるが、実務での重みは大きい。債権額に争いがなく、議決権の5分の3以上の同意が見込めるなら、調査の数か月を丸ごと短縮できる。あなたの会社が一日でも早くスポンサーへ事業を引き継ぎたいとき、この一条の使い方を知っているかどうかが、再建と清算の分かれ目になる。
法的な位置づけ
民事再生法212条は、簡易再生の決定に伴う手続的効果を規定する条文である。決定により一般調査期間に関する決定が失効し、裁判所は議決権行使方法の通知期限を定めたうえで、再生計画案を債権者集会の決議に付す決定を行う。債権届出・調査・確定の各段階を省略する点に本条の中核がある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自社の再生債権に争いがあるか洗い出す 申立て前に再生債権を一覧化し、債権額に争いのある債権がどれだけあるかを確認する。争いが実質的にないことが簡易再生の大前提になる
- 2.大口債権者の同意を事前に固める メインバンクなど大口債権者に簡易再生の決定への同意を打診し、議決権の5分の3以上(民再169条・211条)を確保できるか逆算する。動くべきは手続開始の直後、相手が強硬になる前
- 3.一般調査期間の経過前に申し立てる 簡易再生の申立ては、一般調査期間の経過前または一般調査期日の終了前(民再211条)でなければできない。この時期を逃すと正規ルートしか残らないため、期限を厳守する
- 4.通知期限と集会期日を全債権者に確実に通知する 簡易再生の決定後、裁判所が定める議決権行使方法の通知期限(212条2項)と債権者集会の期日(212条3項)を全債権者に公告・通知し、賛成派の議決権行使を期限内に段取りする
よくある質問 AI による整理
Q1簡易再生とは何ですか?
民事再生の一類型で、議決権者の5分の3以上の同意を得て債権の届出・調査・確定を省き、再生計画案を直接、債権者集会の決議に付す迅速型の手続です(民再211条・212条)。
Q2民事再生法212条の効果は?
簡易再生の決定により一般調査期間に関する決定が失効し、裁判所は議決権行使の通知期限を定めて計画案を決議に付します。調査を経ずに決議へ進む点が効果の中核です。
Q3簡易再生の要件は?
債権額に実質的な争いがないこと、議決権者の5分の3以上の同意、そして一般調査期間の経過前という申立ての時期制限(民再211条)を満たす必要があります。
Q4簡易再生と同意再生の違いは?
簡易再生は債権調査を省きますが決議は行います。同意再生(民再214条)は全債権者の同意を前提に決議すら省く、さらに一段迅速な手続です。
Q5簡易再生でどれくらい早くなりますか?
届出・調査・確定に要する数か月を省けます。事案により異なりますが、この数か月の短縮が事業価値の劣化を止め、スポンサー離脱を防ぐ効果につながります。
Q6一般調査期間が失効するとどうなりますか?
民再212条1項により、簡易再生の決定と同時に一般調査期間に関する決定は効力を失い、その後の調査期日は開かれず、手続は計画案の決議へ移行します。
Q7議決権の5分の3とは何を基準に数えますか?
議決権の額を基準に数えます(民再169条)。届出債権者のうち議決権を行使できる者の議決権額の合計に対する5分の3以上の同意が必要です。
Q8簡易再生のデメリットは?
債権額に争いがある債権者の個別調査の機会が省かれる点です。争いがある事案では使えず、大口債権者の同意を事前に固められないと選択できない点も制約になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1簡易再生って、普通の民事再生と何が違うんですか?
大きく違うのは債権調査の有無です。簡易再生(民再211条・212条)では、議決権者の5分の3以上の同意を得て調査手続をまるごと省き、計画案を直接決議に付します。届出・調査・確定の数か月が消えます。実務のポイント:実務家がこれを使うのは、債権額に争いがほぼなく、メインバンクなど大口債権者の同意を事前に固められる事案に限られる。逆に言えば、申立て前の根回しで大口の同意さえ取れれば、再建のスピードは劇的に変わる。勝負は法廷ではなく事前交渉で決まる
Q2債権者ですが、簡易再生だと自分の債権が勝手に決められてしまうのですか?
勝手に決められるわけではありません。省かれるのは「調査」であって、計画案の可否はあくまで債権者集会の決議(民再212条2項・3項)で決まります。あなたには議決権があり、計画に反対できます。実務のポイント:簡易再生の前提は議決権の5分の3同意ですが、これは「簡易再生の決定」への同意であって、出てきた個別の計画案への賛成とは別物。決定に同意した後でも、計画の中身が不満なら決議で反対する余地は残る。同意書にサインする段階で、計画の骨子まで確認しておくのが鉄則
間違えやすい点 AI による整理
- 「簡易再生だから手続が雑で危ない」という心配は、問いの立て方がずれている。省かれるのは債権調査だけで、計画の決議も認可も通常どおり踏む。問うべきは「自社の債権額に争いがないか」であって、手続の安全性ではない
- 簡易再生が「早い」ことは知られているが、その早さの本当の意味を見落としがちだ。早いほど事業価値の劣化が止まり、スポンサーが逃げず、従業員も残る。数か月の短縮は単なる時間節約ではなく、再建可能性そのものを押し上げる
- 「同意さえ集めれば簡易再生にできる」と思われがちだが、申立てには時期制限がある。一般調査期間の経過前または一般調査期日の終了前(民再211条)でなければ申立てられない。タイミングを逃すと、もう正規ルートしか残らない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 債権調査手続 | 簡易再生(212条):一般調査期間の決定が失効し調査を省略 | 通常の民事再生:届出・調査・確定を通常どおり実施 同意再生(214条):調査を省略 |
| 債権者集会の決議 | 決議は行う(債権者集会で計画案を採決) | 決議を行う 決議も省略(全債権者の同意が前提) |
| 前提となる同意 | 議決権者の5分の3以上の同意(民再211条) | 特段の事前同意は不要 全債権者の同意 |
| 申立ての時期制限 | 一般調査期間の経過前・一般調査期日の終了前(民再211条) | 手続開始後の通常スケジュール 一般調査期間の経過前・一般調査期日の終了前 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は簡易再生に完全対応する制度を持たないが、再建型手続として公司重整があり、手続迅速化の要請は共通する。
韓国は2015年の改正で中小企業向けの簡易回生手続を導入。日本の簡易再生と趣旨が近い迅速型の再建手続。
ドイツは倒産計画手続で柔軟な再建を可能にする。迅速化・当事者自治の思想は共通するが、調査省略という構造は異なる。
米国のプレパッケージ型 Chapter 11は、事前に債権者の同意を固めて手続を大幅に短縮する点で簡易再生と機能的に類似する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 資金が尽きるまであと二か月。通常の再生では債権調査だけで足が出る。債権額に争いがないなら、簡易再生で調査を飛ばし、いきなり計画決議へ進めるか? この判断が会社の延命期間を決める
- あなたが取引先の再生手続で債権者の立場にいる。突然「簡易再生の決定」の通知が届いた。これは債権調査が省かれ、計画案がすぐ採決に付されるという合図。異議を述べる調査期日はもう来ない、議決権行使の準備を急ぐ番だ
- スポンサーが事業譲渡を急いでいる。調査に数か月かければスポンサーは降りる。簡易再生はその数か月を消す。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 申立て前に自社の再生債権を洗い出し、債権額に争いのある債権がどれだけあるか確認2. 大口債権者(特にメインバンク)に簡易再生の決定への同意を打診し、議決権の5分の3以上を固められるか逆算3. 見込みが立てば、一般調査期間の経過前(民再211条)という期限を逃さず申立て4. 決定後は裁判所が定める議決権行使の通知期限・債権者集会期日(212条)を全債権者に確実に通知し、可決へ向けた賛成派の議決権行使を段取りする
訴えられた側:1. 「簡易再生の決定」の通知が届いたら、債権調査が省かれることを意味すると理解し、自分の届出債権額が計画上どう扱われるか確認2. 計画案の弁済率・弁済期間が不当に低くないか精査3. 反対なら債権者集会の決議で反対票を投じる、議決権行使の通知期限(212条2項)を厳守4. 大口で計画を阻止したいなら、他の債権者と連携して反対の議決権を集める
時効(請求できる期限):簡易再生の申立て自体は、一般調査期間の経過前または一般調査期日の終了前にしなければならない(民再211条1項)。この時期を過ぎると簡易再生は選べない。簡易再生の決定後は、裁判所が定める議決権行使方法の通知期限(212条2項)と債権者集会の期日が手続の起点になる
学説
通説:簡易再生は債権額に実質的な争いがないことを前提とし、議決権者の5分の3以上の同意という多数決の歯止めのもとで調査手続の省略を正当化するものと解されている。手続保障を全廃するのではなく、迅速性と債権者保護の均衡を図る制度と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)の制定により、旧和議法に代わる再生手続の一環として簡易再生の制度が設けられた。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める