要点民事再生法 92 条は、再生債権者が再生債務者に負う債務と自らの債権が債権届出期間の満了前に相殺適状となれば、届出期間内に限り再生計画によらず相殺できると定める。
Q · 取引先が民事再生を申し立てたら、売掛金はもう数割しか戻らないの?
届出期間内に相殺すれば重なった債権は満額残せます
民事再生法 92 条により、再生手続開始時にあなたが相手に債務(買掛金・前受金など)を負い、その債権と債務の双方が債権届出期間の満了前に相殺適状となれば、届出期間内に限り再生計画によらず相殺できます。重なった部分はカットを免れ、満額回収と同じ効果になります。ただし相殺は債権届出期間内に意思表示しなければならず、一日過ぎればこの権利は失われます。賃料債務と敷金返還請求権には 6 か月分を限度とする特則もあります。
取引先から「民事再生を申し立てました」という通知が届く。多くの経営者はここで肩を落とす。売掛金は再生計画でカットされ、戻ってくるのは数割だろうと。だが、もしあなたがその取引先に対して買掛金や借入金を負っていたら、話は一変する。民事再生法 92 条は、再生手続開始時にあなたが相手に債務を負っていて、その債権と債務が債権届出期間の満了前に相殺適状になっていれば、再生計画によらずに相殺できると定める。相殺とは、あなたの売掛金とあなたの買掛金を帳消しにすること。つまり重なった部分は、カットされず満額回収したのと同じ効果になる。一般債権者が数割しか受け取れない再生手続の中で、相殺できる債権者だけが事実上の優先弁済を手にする。これが倒産局面における最強の自衛手段の一つだ。ただし鉄の制約がある。相殺は債権届出期間内にしなければならない。一日過ぎれば、この武器は手から消える。
民事再生法 92 条は再生手続における相殺権を定める規定であり、再生債権者が再生手続開始当時に再生債務者へ債務を負う場合、その債権と債務が債権届出期間の満了前に相殺適状となったときは、届出期間内に限り再生計画の定めによらず相殺できることを規定する。賃料債務および敷金返還請求権については 6 か月分を限度とする特則を置く。
AI 輔助整理,以條文原文為準
再生債権者が再生債務者に債務を負う場合、双方が債権届出期間の満了前に相殺適状となれば、届出期間内に限り再生計画によらず相殺できる権利です(民事再生法 92 条)。
相殺適状が債権届出期間の満了前に生じ、かつ届出期間内に相殺の意思表示をする必要があります。期間は数週間で満了することもあり、一日過ぎると相殺できません。
できます。92 条 1 項後段は債務が期限付でも相殺できると定め、期限の利益を放棄すれば相殺適状を前倒しで作り出せます。
放置すれば再生債権として数割ですが、開始後の賃料を弁済期に払い続ければ、敷金返還請求権が賃料 6 か月分を限度に共益債権となり優先回収できます(92 条 3 項)。
大枠は似ますが、民事再生は債権届出期間内という明確な時間制限がある点が決定的に異なります。破産法(67 条以下)より窓が狭くなる場面があります。
危機時期に作られた債権債務など、93 条・93 条の 2 に該当する場合は相殺が禁止されます。不当な相殺は再生債務者側から拒絶されます。
内容証明郵便で送付し、到達日を明確に記録します。届出期間内に到達したことが後日の争いを防ぐ決定的証拠になります。
使えます。92 条 4 項が賃料に関する 2 項・3 項の規定を地代・小作料の支払を目的とする債務に準用しています。
いいえ、あなたが負う買掛金などの債務は原則として満額払う義務が残ります。消せるのは、あなたが相手に持つ債権と相殺した範囲だけです(92 条 1 項)。相殺の意思表示をしないと、債務は満額、債権は再生計画で数割という非対称になります。業界裏話ヒント:相殺は黙っていても自動ではなく、こちらから意思表示して初めて効力が出る。経理任せにして届出期間を逃すと、満額確保できたはずの債権が消える。
放置すれば敷金返還請求権は再生債権として数割しか戻りません。ただし 92 条 3 項により、手続開始後の賃料を弁済期にきちんと払えば、賃料 6 か月分を限度に敷金返還請求権が共益債権となり、優先して回収できます。業界裏話ヒント:大家が倒産したから家賃を払わないという対応は最悪手。払い続けることこそが敷金を守る法的条件で、止めた瞬間に保護が外れる。
できます。92 条 1 項後段は債務が期限付きでも相殺できると定め、期限の利益を放棄すれば相殺適状を作れます。重要なのは、相殺適状が債権届出期間の満了前に整っていることです。業界裏話ヒント:弁護士はこの期限の利益放棄で相殺適状を前倒しするテクニックを当然に使うが、自社の経理だけでは気付かないことが多い。期限未到来を理由に諦める前に専門家に相談する価値がある。
大枠は似ていますが、民事再生では債権届出期間内という明確な時間制限がある点が決定的に違います(92 条、94 条)。破産法(67 条以下)より相殺できる窓が狭くなる場面があります。業界裏話ヒント:同じ取引先でも、選ばれた手続が破産か民事再生かで相殺の締切が変わる。再生のほうが急がされるケースがあり、通知を受けたらまず手続の種類を確認するのが鉄則。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 相殺の根拠 | 民再 92 条:再生手続の相殺権(届出期間内に限る) | — |
| 時間的制限 | 債権届出期間の満了前に相殺適状 + 届出期間内に意思表示 | — |
| 禁止類型 | 危機時期の債権債務等(民再 93 条・93 条の 2) | — |
| 賃料・敷金の特則 | 賃料 6 か月分を限度に相殺・敷金の共益債権化(92 条 2〜4 項) | — |
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