倉荷証券が作成されたときは、これと引換えでなければ、寄託物の返還を請求することができない。
要点商法 613 条は、倉荷証券が作成されたときは証券と引換えでなければ寄託物の返還を請求できないと定める。倉荷証券を所持する者だけが荷物の返還を受けられる。
Q · 倉荷証券を持っていないと、自分が預けた荷物でも倉庫から引き出せないの?
証券を持つ人だけが荷物を引き出せます
商法 613 条により、倉荷証券が作成されたときは、証券と引換えでなければ寄託物の返還を請求できません。これを受戻証券性と呼びます。たとえ自分が荷物を預けた本人でも、証券をすでに売却・差入れなどで手放していれば、倉庫業者に返還を求めることはできません。逆に証券を所持していれば、荷物のそばに行かなくても支配できます。証券を紛失した場合は、公示催告と除権決定(民法 520 条の 12)を経なければ返還を受けられず、数か月を要します。
商社で働くあなたが、倉庫に大量の小麦を預け、倉庫業者から倉荷証券を受け取ったとする。その紙を取引先に売れば、小麦を一粒も動かさずに所有権を移せる。銀行に差し入れれば、小麦を担保に運転資金が引ける。商法613条が定めているのは、この紙の正体だ。「倉荷証券が作成されたときは、これと引換えでなければ、寄託物の返還を請求することができない」。つまり、いったん証券が発行されると、たとえあなたが荷物を預けた本人でも、その紙を持っていなければ倉庫から荷物を取り戻せない。逆に、紙さえ握っていれば、荷物のそばに一度も行かずに支配できる。これを受戻証券性(証券と引換えでなければ給付を受けられない性質)と呼ぶ。紙が荷物に化けるこの仕組みが、現代の貿易金融と在庫担保融資を静かに支えている。証券を手放すことは、荷物を手放すことと同じである。
商法 613 条は倉荷証券の受戻証券性を定める規定であり、倉荷証券が作成された場合には、証券と引換えでなければ寄託物の返還を請求できない旨を規律する。これにより寄託物の引渡しは証券の呈示・回収を要件とし、証券が物品を表象する有価証券として流通する基礎となる。
倉庫業者が寄託物を受け取った際に発行する有価証券で、荷物そのものを表象します。証券の譲渡で荷物を処分でき、証券と引換えでなければ荷物は返還されません(商法 613 条)。
証券と引換えでなければ給付を受けられない性質をいいます。倉荷証券では、証券を呈示・回収しなければ倉庫業者は寄託物を返還しないという形で現れます。
原則として裏書により譲渡します(商法 604 条)。裏書の連続した証券を交付することで、寄託物の処分の効力が生じます(商法 605 条)。
できます。証券を裏書して銀行に差し入れれば、荷物を倉庫に置いたまま在庫担保融資(ABL)を受けられます。返済まで荷物は引き出せません。
証券面の裏書欄を最初の権利者から現所持人まで指でたどり、譲渡の連鎖が途切れていないかを確認します。連続が切れた証券は権利移転が認められない場合があります。
対象が異なり、倉荷証券は倉庫内の寄託物、船荷証券は運送中の荷物を表象します。受戻証券性・処分証券性という基本構造は同じです。
紛失の場合、裁判所の公示催告を申し立て除権決定を得る必要があり、通常 2 か月以上を要します(民法 520 条の 12)。
防げます。倉庫業者は証券所持人にしか荷物を渡さないため、証券を握っている者が優先し、二重売りは証券の前で止まります。
戻せますが、すぐには無理です。証券と引換えが原則なので、紛失したままでは倉庫業者は渡せません。裁判所の公示催告手続で証券を無効にする除権決定を得て、それと引換えに荷物の返還や証券の再発行を請求します(民法520条の12)。業界裏話ヒント:除権決定まで最低でも2か月、その間に誰かが拾った証券を善意で取得すると話が一気に複雑になります。紛失に気付いた瞬間、倉庫業者への事故届と公示催告の申立てを同時に動かすのが鉄則です
預かり証は「預けた事実」を示す証拠にすぎませんが、倉荷証券は荷物そのものを表象する有価証券です。証券を裏書譲渡すれば荷物の処分の効力が生じ(商法605条、606条)、証券と引換えでなければ荷物は出てきません(613条)。業界裏話ヒント:実務では多くの倉庫が有価証券である倉荷証券を出さず、ただの「預り証」しか発行しないことが珍しくありません。融資や転売を視野に入れるなら、契約段階で『倉荷証券を発行してくれるか』を確認しないと、後から担保化できず詰みます
その倉庫業者は、正当な証券所持人に対し債務不履行または不法行為の責任を負います。613条の引換給付は所持人を守る制度なので、これを破った業者は損害を賠償しなければなりません。業界裏話ヒント:だからこそ倉庫業者は証券回収に神経質で、コピーや念書では絶対に渡しません。裏を返せば、あなたが正当な所持人なら、業者の『本人確認できないので渡せない』という言い訳は通りません。証券さえ呈示すれば引換給付を強く請求できます
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|---|---|---|
| 条文の役割 | 商法 613 条:受戻証券性(証券と引換えでなければ返還請求不可) | — |
| 規律の対象 | 寄託物の返還を受ける場面 | — |
| 前提 | 倉荷証券が作成・発行されていること | — |
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