要点商法 826 条は海上保険で保険者が免責される五類型を定める。目的物の性質・故意重過失・戦争変乱・堪航能力欠如・荷造り不完全であり、4 号のみ被保険者が無過失の立証責任を負う。
Q · 海上保険に入っていれば、海の事故は全部カバーされるの?
いいえ。商法 826 条が五つの免責事由を定めています。
海上保険に入っていても、商法 826 条が定める五つの損害は補償されません。①目的物の性質・瑕疵・自然損耗、②故意・重過失、③戦争その他の変乱、④船舶の堪航能力欠如、⑤荷造りの不完全がそれです。とくに④の堪航能力欠如については、ただし書きにより、保険契約者・被保険者の側が『発航時に堪航能力について注意を怠らなかった』ことを証明しなければ免責されます。立証責任が被保険者に転換される点が、事故後の証拠収集を左右します。
海上保険に入っていれば、海の上で起きたことはすべて補償される。多くの荷主や船主がそう信じている。だが商法 826 条は、保険会社が金を払わなくてよい五つの「穴」を正面から定めている。貨物そのものの性質や欠陥、自然な目減りで生じた損害(1号)。保険契約者や被保険者の故意・重過失、責任保険なら故意のみ(2号)。戦争その他の変乱(3号)。船舶保険で出航時に堪航能力、つまり航海に堪える状態(739 条)を欠いていたことによる損害(4号)。そして貨物保険で、荷造りが不完全だったために生じた損害(5号)。あなたが知っておくべきは、この五つが「例外的に揉める論点」ではなく、保険会社が支払いを拒むときの定番カードだという点だ。とくに四号は、ただし書きで構造が逆転する。あなた(保険契約者・被保険者)が「出航時に堪航能力について注意を怠らなかった」と証明できなければ免責される。払う側ではなく、あなたが証明しなければならない。この一点を知っているかどうかで、事故が起きた後の証拠の集め方が根本から変わる。
商法 826 条は海上保険における保険者の免責事由を定める規定である。目的物の性質・瑕疵・自然損耗(1号)、保険契約者等の故意・重過失(2号)、戦争その他の変乱(3号)、船舶の堪航能力欠如(4号)、貨物の荷造り不完全(5号)の五類型を補償の枠外とする。4号についてはただし書きが立証責任を被保険者側に転換する。
商法 826 条です。目的物の性質・瑕疵・自然損耗、故意重過失、戦争その他の変乱、船舶の堪航能力欠如、貨物の荷造り不完全の五つの損害について、保険者は塡補責任を負わないと定めています。
船舶が特定の航海を安全に遂行できる状態を指します。船体・機関の整備、適切な人員配置、貨物の積付けなどを含み、商法 739 条が担保義務を定めています。826 条 4 号はこの欠如を免責事由とします。
3 年です。保険法 95 条 1 項により、保険給付を請求する権利は 3 年で消滅時効にかかります。起算点は原則として保険事故の発生時で、免責を争う交渉中も時効は進行します。
戦争・変乱による損害は商法 826 条 3 号で本体保険から免責されるため、別建てで引き受ける特約です。危険海域を通る場合、出航前に付保することで 3 号の免責の穴を塞げます。
補償されません。商法 826 条 1 号により、目的物の性質・瑕疵・通常の損耗によって生じた損害は免責です。倉庫で長期保管した果物が傷むような自然損耗は、保険が元から効いていません。
免責されません。商法 826 条 2 号は原則として故意・重過失を免責としますが、責任保険契約では括弧書きにより『故意』のみが免責対象です。重過失は補償される点が他の保険と異なります。
船舶保険で 4 号(堪航能力欠如)を主張された場合、被保険者が無過失を立証する必要があるためです。出航前の点検記録・整備履歴・船級協会の検査証明があるかどうかで、4 号免責の攻防は事故前にほぼ決します。
海上保険は商法 826 条が戦争変乱・堪航能力欠如・荷造り不完全など海特有の五免責を定めます。陸上の運送保険は保険法と約款が中心で、堪航能力のような海事固有の免責構造はありません。
貨物保険では 826 条 5 号により、荷造りの不完全によって生じた損害は免責です。ただし保険会社が「荷造りが不完全で、それが損害の原因だ」という因果関係まで立証する必要があります。業界裏話ヒント:荷造りをしたのが輸出者(売主)で、あなたが買主として保険をかけている場合、誰の行為を「荷造り不完全」と評価するかは一律ではありません。INCOTERMS の取引条件(誰が荷造り責任を負うか)と保険の付保主体を突き合わせると、5 号免責を覆せる余地が出てくる。
3 号の「戦争その他の変乱」は、宣戦布告された戦争に限りません。内乱・暴動・武力衝突など、平時とは言えない事態まで含みうると解釈されています。業界裏話ヒント:実務では戦争・変乱リスクは本体の海上保険から切り離し、別建ての「戦争特約(war risk)」でカバーするのが通例です。あなたの証券に戦争特約が付いているか、付いていなければ 3 号の穴がそのまま空いている。航路の地政学リスクが上がる前に、特約の有無を確認するのが鉄則。
船舶保険の 4 号(堪航能力欠如)については、826 条ただし書きにより、保険契約者・被保険者の側が「出航当時、堪航能力について注意を怠らなかった」ことを証明しなければなりません。他の号と立証責任が逆になっています。業界裏話ヒント:だからこそ、出航前の点検記録・整備履歴・船級協会(日本海事協会など)の検査証明を日頃から残しておくことが命綱になる。事故後に集めようとしても遅い。この記録があるかないかで、4 号免責の攻防は事故の前にほぼ決着している。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律対象 | 商法 826 条:海上保険の五つの免責事由 | — |
| 立証責任 | 原則は保険者、4 号(堪航能力欠如)のみ被保険者に転換 | — |
| 適用場面 | 海上保険契約(船舶保険・貨物保険) | — |
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