第五百七十二条、第七百三十九条第一項並びに第七百四十条第一項及び第三項の規定は定期傭船契約に係る船舶により物品を運送する場合について、第七百三条第二項の規定は定期傭船者の船舶の利用について生ずる先取特権について、それぞれ準用する。この場合において、第七百三十九条第一項中「発航の当時」とあるのは、「各航海に係る発航の当時」と読み替えるものとする。
要点商法707条は、定期傭船船による物品運送に堪航能力担保義務などを準用し、傭船者の船舶利用から生じた先取特権を船舶そのものに及ぼす規定。堪航能力は各航海の発航の当時に問われる。
Q · 定期傭船で船を貸したら、傭船者の燃料代の未払いで自分の船が差し押さえられるって本当?
本当です。703条2項準用の先取特権が船主の船に及びます
商法707条が準用する703条2項により、定期傭船者がその船を使う中で生じた燃料代や港湾費などの未払いは、貸したその船そのものへの先取特権となります。傭船者が倒産しても、債権者は傭船者の財産ではなく船主の船を差し押さえに来る可能性があります。ただし船舶先取特権は発生から1年で消滅するため(商法846条)、起算点の特定が回収・防御の鍵となります。
船を半年や一年といった期間まるごと借り、船長や乗組員は船主が付けたまま、運ぶ貨物と航路だけを自分が決める。これが定期傭船であり、海運ビジネスの主力形態だ。借りたのは傭船者なのに、そこから生じた責任やリスクの一部が船主に跳ね返る。第707条はその橋渡しをする。高価品の特則(572条)、堪航能力担保義務(739条1項)、運送品の供託・競売(740条)を、定期傭船船による運送にそのまま当てはめ、さらに先取特権(703条2項)を準用する。つまり傭船者が船を使う中で生じた燃料代や港湾費の未払いは、船そのものへの先取特権となり、貸しただけの船主の財産を直撃する。極めつけは堪航能力の読み替えで、一度の出航で足りる単発運送と違い、ここでは各航海の発航のたびに船の安全性が問われ続ける。
商法707条は、定期傭船契約に基づき船舶で物品を運送する場合に、高価品の特則・堪航能力担保義務・運送品の供託及び競売の規定を準用し、また定期傭船者の船舶利用について生ずる先取特権に船舶賃借人に関する規定を準用する条文である。堪航能力の判定時期は「各航海に係る発航の当時」へと読み替えられる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
船長・乗組員は船主が付けたまま、傭船者が一定期間その船を借りて航路と貨物を商業的に指図する契約です(商法704条)。船だけを借りる裸傭船とは異なります。
高価品の特則(572条)、堪航能力担保義務(739条1項)、運送品の供託・競売(740条1項・3項)を運送について、703条2項の先取特権を定期傭船者の船舶利用について準用します。
商法846条により、船舶先取特権はその発生後1年の経過によって消滅します。起算点が早く消滅も早いため、古い未払いほど主張が難しくなります。
船を発航させる際、航海に堪える安全な状態にする義務です(商法739条1項)。707条では「各航海に係る発航の当時」に読み替えられ、航海ごとに問われます。
航海傭船は特定の航海単位で船腹を借りる契約、定期傭船は一定期間まるごと借り航路・貨物を継続的に指図する契約です。堪航能力の問われ方も異なります。
707条が準用する703条2項の先取特権により、運航したその船そのものが担保として差押え・競売の対象になり得ます。契約相手が傭船者でも船主の船に及びます。
平成30年(2018年)商法改正で海商編に第4節として新設され、平成31年(2019年)4月1日に施行されました。それ以前は解釈と実務慣行に委ねられていました。
貨物の種類と価額を荷送人が運送人に通知しなかった高価品については、運送人が滅失・損傷の責任を負わないとする規定です(商法572条)。707条で準用されます。
裸傭船は船だけを借り、乗組員の手配も運航指揮も借主が全部やります。定期傭船は船長・乗組員は船主が付けたまま、傭船者は航路と貨物という商業的利用だけを指図します(商法704条)。707条はこの中間形態に、運送と船舶賃貸借の規定を必要な範囲で接ぎ木した条文です。業界裏話ヒント:実務では「実際に誰が運航を指揮していたか」が責任の分かれ目になり、契約書の肩書きより運航の実態で判断されることが多い。名目が定期傭船でも、実態が裸傭船に近ければ責任配分も変わる
傭船者がその船を使う中で生じた燃料代や港湾費などの未払いは、707条が準用する先取特権(703条2項)により、貸したその船そのものに及びます。つまり傭船者の倒産でも、債権者はあなたの船を差し押さえに来る可能性があります。業界裏話ヒント:先取特権は発生から1年で消えるので、古い未払いほど主張されにくい。貸し出し前に傭船者の支払い実績を確認し、契約書に未払い時の即時解除条項を入れておくと、自分の船が他人の借金の担保になる時間を最短化できる
国内航海なら商法の堪航能力担保義務(739条1項、707条で各航海ごとに読み替え)が基準です。ただし国際海上運送では国際海上物品運送法が優先し、堪航能力に関する注意義務は同法5条が規律します。業界裏話ヒント:国際取引では「どの法が適用されるか」自体が争点になり、契約の準拠法条項とヘーグ・ヴィスビー・ルール(国際海上物品運送法として国内化)のどちらが効くかで、運送側の免責範囲が大きく変わる。準拠法条項を先に読むのが鉄則です
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| 船員・運航指揮 | 定期傭船:船長・乗組員は船主が手配、傭船者は航路・貨物を指図(商法704条) | — |
| 契約の単位 | 定期傭船:一定期間まるごと | — |
| 堪航能力の問われ方 | 定期傭船:707条で『各航海に係る発航の当時』に読み替え | — |
| 先取特権の及ぶ先 | 定期傭船:傭船者の船舶利用について生じた債権が船そのものに(703条2項準用) | — |
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