刑事訴訟法 第163条
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- 裁判所外で証人を尋問すべきときは、合議体の構成員にこれをさせ、又は証人の現在地の地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。
- 2.受託裁判官は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に転嘱することができる。
- 3.受託裁判官は、受託事項について権限を有しないときは、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に嘱託を移送することができる。
- 4.受命裁判官又は受託裁判官は、証人の尋問に関し、裁判所又は裁判長に属する処分をすることができる。但し、第百五十条及び第百六十条の決定は、裁判所もこれをすることができる。
- 5.第百五十八条第二項及び第三項並びに第百五十九条に規定する手続は、前項の規定にかかわらず、裁判所がこれをしなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第163条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第163条の条文原文は「裁判所外で証人を尋問すべきときは、合議体の構成員にこれをさせ、又は証人の現在地の地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第163条は第十一章 証人尋問に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第163条の前の条は刑事訴訟法第162条です。
- 刑事訴訟法第163条の次の条は刑事訴訟法第164条です。
- 刑事訴訟法第163条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第163条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第163条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/163
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法163条は、裁判所外で証人を尋問すべきとき、受命裁判官に行わせるか証人の現在地の裁判官に嘱託でき、その裁判官は尋問に関する処分権を行使すると定める。
Q · 証人に呼ばれたけど、事件の裁判所がすごく遠い。必ずそこまで行かないとダメ?
必ずではない。地元の裁判官に尋問が嘱託される制度がある
刑事訴訟法163条により、裁判所外で証人を尋問すべきときは、合議体の構成員(受命裁判官)に行わせるか、証人の現在地の地方・家庭・簡易裁判所の裁判官(受託裁判官)に尋問を嘱託できます。重い病気や遠隔地などで出頭が著しく困難な証人は、法廷まで呼び出されず地元で尋問を受けられる場合があります。ただし受託裁判官の前の証言も宣誓のうえ法廷と同じ証拠価値を持ち、正当な理由なく拒めば過料(150条・160条)の対象になります。
解説
刑事裁判の証人尋問は、必ずしも事件を審理している法廷で行われるわけではない。刑事訴訟法163条は、裁判所の外で証人を尋問すべきときに、二つの経路を用意している。一つは合議体のメンバーの一人にやらせる「受命裁判官」、もう一つは証人がいる土地の地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所の裁判官に頼む「受託裁判官」だ。重い病で動けない証人、遠隔地に住む証人、出廷が著しく困難な証人。彼らは法廷まで引きずり出されるのではなく、地元で尋問を受けられる。しかも4項により、その受命・受託裁判官は証人尋問に関して裁判所や裁判長が持つ権限をほぼそのまま行使し、証言を拒んだ証人への過料(150条・160条)まで打てる。あなたが証人なら、どこで尋問されるかには交渉の余地がある。あなたが当事者なら、出てこられない重要証人をどう確保するかの鍵がここにある。
法的な位置づけ
刑事訴訟法163条にいう裁判所外の証人尋問とは、事件を審理する受訴裁判所の法廷以外の場所で、合議体の構成員である受命裁判官、又は証人の現在地を管轄する地方・家庭・簡易裁判所の受託裁判官が証人を尋問する手続をいう。受命・受託裁判官は尋問に関し裁判所又は裁判長に属する処分を行う権限を有する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.重要証人の出頭可否を早期に確認 立証に不可欠な証人が高齢・重病・遠隔地で受訴裁判所への出頭が困難でないかを、公判が深く進む前の早い段階で確認する。証言能力が失われてからでは手遅れになる
- 2.裁判所外の証人尋問を申し立て 出頭が著しく困難な証人について、検察官または弁護人を通じて163条に基づく裁判所外の証人尋問(受託裁判官による地元尋問)を申し立てる。証言能力喪失の緊急性があるほど早く動く
- 3.緊急性・出頭困難の疎明資料を添付 重病・寝たきり・遠隔地・介護等で出頭できない事情を、診断書や居住地証明などの客観資料で疎明する。事情が具体的で資料が揃うほど裁判所外尋問が認められやすい
- 4.受託裁判官の前での立会・尋問を準備 場所と日程が決まったら、157条の立会・尋問権を行使するため、尋問のポイントと反対尋問事項を事前に整理する。地元裁判所でも証言は法廷と同じ証拠価値を持つことを前提に臨む
よくある質問 AI による整理
Q1受命裁判官とは何ですか?
事件を審理する合議体の構成員の一人が、裁判所の命を受けて証人尋問などの手続を単独で行う裁判官です。刑事訴訟法163条が裁判所外尋問の担い手として定めています。
Q2受託裁判官とは何ですか?
証人の現在地を管轄する地方・家庭・簡易裁判所の裁判官が、事件を審理する裁判所からの嘱託を受けて尋問を行うものです。証人の地元で尋問が完結します。
Q3受命裁判官と受託裁判官の違いは何ですか?
受命裁判官は同じ合議体の内部の裁判官、受託裁判官は他の裁判所の裁判官です。いずれも163条4項により尋問に関し裁判所・裁判長の処分権を行使できます。
Q4裁判所外の証人尋問はどんなときに行われますか?
証人が重い病気・遠隔地居住などで受訴裁判所への出頭が著しく困難なとき、証言能力が失われる恐れがあるときなど、法廷外で尋問すべき事情がある場合です。
Q5受託裁判官は証人に過料を科せますか?
科せます。163条4項により尋問に関し裁判所・裁判長の処分権を行使でき、証言拒絶等への過料(160条)も可能です。ただし150条・160条の決定は裁判所も行えます。
Q6証人尋問の場所はどこになりますか?
原則は受訴裁判所ですが、裁判所外尋問では証人の現在地の地方・家庭・簡易裁判所が場所になります。呼出状の裁判所名を必ず確認してください。
Q7受託裁判官は別の裁判官に頼み直せますか?
できます。163条2項により受託の権限を有する他の地方・家庭・簡易裁判所の裁判官へ転嘱でき、3項により権限がないときは移送もできます。
Q8裁判所外の尋問でも当事者は立ち会えますか?
立ち会えます。157条の当事者の立会・尋問権は裁判所外尋問でも保障され、検察官・被告人・弁護人は反対尋問の機会を確保できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1証人に呼ばれたんですが、事件と関係ない遠くの裁判所まで本当に行かなきゃダメですか?
原則は呼出状に書かれた裁判所への出頭義務がありますが、出頭が著しく困難な事情があれば、163条に基づき証人の現在地の地方・家庭・簡易裁判所の裁判官に尋問が嘱託されることがあります。実務のポイント:この切り替えは自動では起きない。あなたが「遠くて行けない」「病気で動けない」と具体的に裁判所へ申し出て初めて検討される。黙って我慢して往復する人が大半だが、事情を伝えれば地元で済む余地は実際にある
Q2出張先の裁判官の前で証言した内容って、ちゃんとした証拠になるんですか?軽く扱われませんか?
なります。受託裁判官は4項により証人尋問について裁判所・裁判長とほぼ同等の権限を持ち、宣誓のうえで取られた証言は法廷での証言と同じ証拠価値を持ちます。実務のポイント:むしろ注意すべきは逆方向。場所がローカルでも証言拒絶には過料(160条)が科せるし、嘘をつけば偽証罪(刑法169条)の対象になる。「本番の法廷じゃないから」と気を抜くと足をすくわれる
間違えやすい点 AI による整理
- 「証人は必ず裁判所の法廷に出頭しなければならない」という前提でスケジュールや負担を見積もっている人が多い。だがその問いの立て方自体がずれている。法律は最初から、証人が動けない・動きにくい場合のために、地元の裁判官に尋問を委ねる仕組みを置いている。問うべきは「出頭できるか」ではなく「どこで尋問を受けるか」だ
- 受託裁判官はただ代わりに話を聞くだけの存在だと軽く見られがちだ。実際の権限はもっと重い。4項により、証人尋問に関しては裁判所や裁判長とほぼ同等の処分権を持ち、証言を拒んだ証人に過料(160条)まで科せる。地元の一裁判官の前だからと油断して証言を拒めば、本物の制裁が飛んでくる
- 「裁判所の外で尋問されるなら、手続も証言の重みも軽くなる」と思われがちだが逆だ。受託裁判官の前で取られた証言も、宣誓のうえでなされ、法廷での証言と同じ証拠価値を持つ。場所がローカルでも、責任は一切軽くならない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 尋問する主体 | 163条:受命裁判官(合議体の構成員)または受託裁判官(証人現在地の裁判官) | 受訴裁判所:事件を審理する裁判所(裁判官・裁判員)自身 — |
| 尋問の場所 | 受訴裁判所の法廷外(証人の現在地の地方・家庭・簡易裁判所等) | 受訴裁判所の法廷 — |
| 権限の根拠 | 163条4項:尋問に関し裁判所・裁判長に属する処分を行使(150条・160条の決定は裁判所も可) | 本来の裁判所・裁判長としての固有権限 — |
| 他の裁判官への引継ぎ | 受託裁判官は転嘱(2項)・移送(3項)が可能 | 原則不可(自ら審理) — |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も受訴法院が証人所在地の法院に証人尋問を嘱託でき、受命法官・受託法官の制度を持つ。法廷外尋問という発想は日本と共通する
韓国も法院外の証人尋問につき受命法官・受託判事による尋問を認め、構造は日本と近い
ドイツは出頭が長期に妨げられる証人等につき beauftragter Richter(受命裁判官)・ersuchter Richter(受託裁判官)による尋問を認める。日本の制度の沿革的な源流に当たる
米国はコモンロー系で証人の公判出廷・対面(confrontation)を強く要求するが、例外的状況では deposition(証言録取)が認められる点で機能的に対応する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 北海道で起きた事件の重要証人にあなたが指名された。だが審理は東京地裁。往復の交通費も、何日も仕事を休む負担も、本来あなたが丸ごと背負う筋合いではない。163条があれば、地元の地方裁判所の裁判官が、あなたを東京へ呼びつけずに尋問を引き受けられる
- 余命幾ばくもない証人がいたら、どうなる? 公判期日まで待っていたら証言を永遠に失う。裁判所はその証人がいる病院の最寄りの裁判官に尋問を嘱託できる。残された時間が短いほど、この条文が動く
- あなたが被告人で、無罪を裏づける唯一の証人が寝たきりだとする。証人が来られないからと諦める必要はない。弁護人を通じて裁判所外の尋問を求め、受託裁判官の前で証言を取れば、その証言は法廷の証拠と同じ重みを持つ
- 証人尋問の呼出状が届いたのに、書かれていた場所が事件の裁判所ではなく自分の住む街の簡易裁判所だった。これは事務のミスではない。あなたは受託裁判官による尋問の対象になっている
取るべき行動
被害を受けた側:あなたが証言を必要とする側(被害者・告訴人・当事者)なら。1. 立証に不可欠な証人が高齢・重病・遠隔地で出廷困難なら、検察官または弁護人を通じて、裁判所外での証人尋問(163条)を早期に申し立てる2. 証言能力が失われる恐れがある場合は、その緊急性を示す資料(診断書等)を添える3. 受託裁判官の前での尋問でも当事者の立会・尋問の機会(157条)は確保されるので、立会と尋問事項の準備を怠らない4. 場所と日程が決まったら、尋問のポイントを事前に整理しておく
訴えられた側:あなたが証人として呼ばれた側なら。1. 出頭が著しく困難な事情(病気・遠隔・介護等)があるなら、その事実を早めに裁判所へ申し出る2. 受託裁判官による地元尋問になっても、宣誓のうえ証言義務があり、正当な理由なく拒めば過料(150条・160条)の対象になると理解しておく3. 自己が刑事訴追を受けるおそれ等の証言拒絶権(146条)は、尋問の場所を問わず行使できる4. 出頭にかかった旅費・日当の請求(164条)も忘れない
時効(請求できる期限):163条自体に固有の期間制限はない。証人尋問の申立ては証拠調べ手続の中で行われ、公判前整理手続(316条の13以下)が実施される事件ではその段階で証拠調べ請求をするのが原則。証言能力が失われる前という事実上の時間的制約が最も重い(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:裁判所外の証人尋問は、事件を裁く裁判官が証人を直接観察するという直接主義の理想から一歩離れるが、出頭困難な証人からの証言確保・証人の負担軽減という要請に応えるための例外として位置づけられる。163条5項が一定の手続を裁判所自身に留保し、当事者の立会・尋問権を保つことで適正手続との均衡が図られていると解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 制定:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定に伴い、裁判所外で証人を尋問すべきときの受命裁判官・受託裁判官による尋問とその権限を規定。
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