刑事訴訟法 第207条の2
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- 検察官は、第二百一条の二第一項第一号又は第二号に掲げる者の個人特定事項について、必要と認めるときは、前条第一項の勾留の請求と同時に、裁判官に対し、勾留を請求された被疑者に被疑事件を告げるに当たつては当該個人特定事項を明らかにしない方法によること及び被疑者に示すものとして当該個人特定事項の記載がない勾留状の抄本その他の勾留状に代わるものを交付することを請求することができる。
- 2.裁判官は、前項の規定による請求を受けたときは、勾留を請求された被疑者に被疑事件を告げるに当たつては、当該請求に係る個人特定事項を明らかにしない方法によるとともに、前条第五項本文の規定により勾留状を発するときは、これと同時に、被疑者に示すものとして、当該個人特定事項を明らかにしない方法により被疑事実の要旨を記載した勾留状の抄本その他の勾留状に代わるものを交付するものとする。ただし、当該請求に係る者が第二百一条の二第一項第一号又は第二号に掲げる者に該当しないことが明らかなときは、この限りでない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第207条の2は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第207条の2の条文原文は「検察官は、第二百一条の二第一項第一号又は第二号に掲げる者の個人特定事項について、必要と認めるときは、前条第一項の勾留の請求と同時に、裁判官に対し、勾留を請求され…」で始まります。
- 刑事訴訟法第207条の2は第一章 捜査に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第207条の2の前の条は刑事訴訟法第207条です。
- 刑事訴訟法第207条の2の次の条は刑事訴訟法第207条の3です。
- 刑事訴訟法第207条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第207条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第207条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/207_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法207条の2は、検察官の請求により、勾留段階で被害者・証人の氏名や住所を被疑者に伏せたまま手続を進められる制度。被疑事実の要旨は告げられる。
Q · ストーカーを通報したら、勾留状で加害者に私の住所が伝わってしまうの?
検察官が請求すれば氏名・住所を伏せたまま勾留できる
刑事訴訟法207条の2により、検察官は勾留請求と同時に、被害者・証人の個人特定事項(氏名・住所など)を被疑者に明らかにしない方法で被疑事件を告げ、当該事項の記載がない勾留状の抄本を交付するよう裁判官に請求できます。要件は201条の2第1項各号、名誉・平穏が著しく害されるおそれ、または報復のおそれです。ただし秘匿されるのは『誰か』であって、被疑事実の要旨自体は被疑者に告げられます。
解説
ストーカーや性犯罪の被害をようやく警察に訴えるとき、多くの人の胸に同じ恐怖がよぎる。加害者に自分の氏名や住所が知られたら、報復されるのではないか。2023年改正で生まれたこの条文は、その恐怖に手続の最前線で応える。検察官は、加害者の勾留を裁判官に請求するのと同時に、二つのことを請求できる。被疑者に容疑を告げる際、被害者の個人特定事項(氏名・住所など、あなたを特定できる情報)を明らかにしない方法でおこなうこと。そして、その情報を消した勾留状の抄本を被疑者に渡すこと。裁判官は要件を満たせばこれに応じる。被害者であるあなたの身元は、最も早い拘束の段階から伏せられる。ただし守られる範囲は『誰か』であって、『何があったか』ではない。被疑事実の要旨は被疑者に告げられる。だからこそ、相手の防御権も最低限は保たれる設計になっている。
法的な位置づけ
刑事訴訟法207条の2は、勾留段階における個人特定事項の秘匿措置を定める規定である。検察官の請求に基づき、裁判官は被疑者への被疑事件の告知を個人特定事項を伏せた方法で行い、当該事項の記載がない勾留状の抄本を交付する。201条の2第1項各号に掲げる被害者・証人の保護を前提とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.被害申告の最初の段階で秘匿を明確に申し出る 被害を申告する最初の段階で、担当の警察官・検察官に『加害者に氏名・住所を知られたくない』と明確に伝える。本条の秘匿は自動では発動せず、検察官が請求して初めて動くため、最初の意思表示が決定的
- 2.報復・名誉侵害のおそれを示す資料を早期提出 脅迫メッセージのスクリーンショット、過去のつきまとい記録、加害者との関係を示すメモなどを早い段階で捜査機関に提出する。資料が揃うほど裁判官が201条の2の要件該当を認めやすくなる
- 3.勾留請求と同時の秘匿請求を弁護士経由で働きかける 検察官が勾留請求と『同時に』裁判官へ秘匿を請求する仕組みのため、被害者支援に詳しい弁護士を通じて、勾留請求のタイミングまでに希望が検察官の手元にあるよう働きかける
- 4.各段階で秘匿の継続を確認する 勾留段階で秘匿されても起訴後の公判段階では別の判断がありうる。検察官・被害者支援の弁護士と、起訴後も秘匿(271条の2・290条の2)が続くかを各段階で確認していく
よくある質問 AI による整理
Q1個人特定事項の秘匿とは?
被害者・証人の氏名や住所など本人を特定できる情報を、刑事手続のなかで被疑者・被告人に明らかにしない措置です。刑訴法207条の2は勾留段階での秘匿を定めます。
Q2刑事訴訟法207条の2はいつから?
令和5年(2023年)の刑事訴訟法等改正で新設され、2024年に施行されました。被害者・証人の個人特定事項を秘匿する制度群の一環です。
Q3被害者特定事項の秘匿はどう申し出る?
被害申告の最初の段階で、担当の警察官・検察官に『加害者に氏名・住所を知られたくない』と明確に伝えます。検察官が勾留請求と同時に裁判官へ請求します。
Q4勾留状の抄本とは何ですか?
勾留状の一部を写した書面で、本条では個人特定事項を伏せたものを被疑者に示します。被疑者は被疑事実の要旨は確認できますが、被害者の氏名等は読めません。
Q5201条の2と207条の2の違いは?
201条の2は逮捕状段階の秘匿、207条の2は勾留段階の秘匿です。手続が進む各段階で個別に秘匿の請求・判断がなされます。
Q6秘匿措置は起訴後も続きますか?
勾留段階で伏せられても、起訴後の公判段階は271条の2や290条の2で別に判断され、被告人の防御権との調整で開示される場合があります。
Q7ストーカーを通報したら住所はばれる?
従来は書面を通じて伝わるのが原則でしたが、207条の2で検察官が秘匿を請求すれば伏せられます。ただし自動発動ではないため早めの申し出が必要です。
Q8報復のおそれがある証人も守られますか?
201条の2第1項2号の報復のおそれに該当すれば、本条により証人の個人特定事項を被疑者から遮断できます。脅迫記録などの資料提出が有効です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1被害届を出したら、加害者に私の名前や住所は必ず知られてしまうんですか?
以前は勾留状などの書面を通じて被疑者に伝わるのが原則だった。だが2023年改正の刑訴法207条の2で、検察官が勾留請求と同時に裁判官へ秘匿を請求すれば、氏名・住所などの個人特定事項を明らかにしない方法で手続が進む。前提は201条の2第1項各号の要件、名誉・平穏が著しく害される、または報復のおそれに該当すること。実務のポイント:この秘匿は自動では発動しない。検察官が請求して初めて動く。だから早い段階で担当の警察官・検察官に『身元を加害者に知られたくない』と明確に伝えておくことが決定的。言わなければ通常どおり情報が渡る
Q2誰に訴えられたのか分からないまま勾留されるなんて、防御できないのでは?
個人特定事項、氏名・住所など特定につながる情報は伏せられるが、被疑事実の要旨自体は告げられる(207条の2第2項)。いつ・どこで・何をしたとされるかは伝わるので、アリバイなどの防御は可能という建付けだ。さらに被疑者側が個人特定事項の該当性を争う余地もある。実務のポイント:秘匿の当否は弁護人を通じて裁判所に意見を述べられる。『相手が誰か教えろ』ではなく『事実の特定が足りず防御できない』という切り口が実務上効く
Q3秘匿してもらえば、加害者には一生私が誰か分からないままですか?
そうとは限らない。秘匿は手続の段階ごとに判断される。勾留段階で伏せられても、起訴後の公判段階では271条の2や290条の2などの別の判断があり、被告人の防御権との調整で開示される場合もある。実務のポイント:段階が進むほど被告人の防御権が重くなり、秘匿が維持されにくくなる傾向がある。だから一度秘匿されたから安心ではなく、各段階で検察官・被害者支援の弁護士と秘匿の継続を確認していく必要がある。(最新の運用状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 被害届を出せば役所が自動で守ってくれると思いがちだが、この秘匿は自動では発動しない。検察官が勾留請求と同時に裁判官へ請求して初めて動く。あなたが希望を伝えず検察官も請求しなければ、氏名・住所は通常どおり被疑者へ渡る
- 一度秘匿されれば加害者は永遠にあなたが誰か分からない、と安心しがちだが、秘匿は手続の段階ごとに判断される。勾留段階で伏せられても、起訴後の公判段階では被告人の防御権との調整で別の判断がありうる。深刻なのは、段階が進むほど秘匿が維持されにくくなる点だ
- 被疑者から見れば『相手が誰か分からないまま拘束されるのは防御権の侵害だ』と映る。だが法律から見れば、被疑事実の要旨は告げられるので防御は可能、という建付けになっている。この落差を知らずに『相手の名前を教えろ』と争うと、本来主張すべき点を外して時間を浪費する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 秘匿される手続段階 | 207条の2:勾留段階(勾留状の抄本) | 201条の2:逮捕状段階 290条の2:公判段階(被害者特定事項の秘匿) |
| 発動の主体・前提 | 検察官が勾留請求と同時に裁判官へ請求 | 検察官・司法警察員が逮捕状請求と同時に請求 被害者等の申出を受け裁判所が決定 |
| 対象者の要件 | 201条の2第1項各号(名誉・平穏侵害/報復のおそれ) | 201条の2第1項各号(本条と共通の基礎規定) 性犯罪被害者等、特定事項が公開法廷で明らかになると害される者 |
| 被疑者・被告人への告知 | 個人特定事項を伏せつつ被疑事実の要旨は告げる | 個人特定事項を伏せつつ被疑事実の要旨は告げる 起訴状抄本(271条の2)と連動し公判で配慮 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は証人保護法で身元秘匿・別室訊問等を定め、被害者保護は刑訴法で陪同・付添を中心に規律。勾留段階に特化した個人特定事項秘匿という日本の枠組みとは構成が異なる。
韓国は特定犯罪申告者等保護法で申告者の人的事項の記載省略・仮名処理を定める。報復のおそれへの対応という点で本条と方向性を共有する。
ドイツは証人尋問において、身体・生命・自由への危険があれば住所や氏名の供述を留保できる。被告人の防御権との調整を前提とする点が共通。
米国は被害者の尊厳・プライバシーを尊重される権利を連邦法で保障。証人保護プログラム(WITSEC)と併せて身元保護を図るが、手続段階ごとの秘匿という構成ではない。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 別れた交際相手にストーカー化され、ようやく警察に被害を訴えた。加害者が勾留されると聞いてほっとした次の瞬間、不安がよぎる。勾留状に私の住所が書いてあって、それが本人に渡るのでは。207条の2は、まさにその瞬間のためにある。検察官が勾留請求と同時に秘匿を求めれば、あなたの住所は伏せられたまま手続が進む
- もし、暴力団がらみの事件で証人になったあなたの氏名が、勾留状を通じて被疑者に伝わったらどうなる。報復への恐怖で、多くの人が証言をためらってきた。第201条の2第1項2号の『報復のおそれ』がある場合、この条文があなたの個人特定事項を被疑者から遮断する
- あなたが痴漢を疑われ逮捕・勾留された。勾留状の抄本を見ると、被害者の氏名が伏せられている。誰が訴えたのか分からないのに、どう争えばいいのか。だが被疑事実の要旨、いつ・どの電車で・何をしたとされるかは告げられている。防御の出発点はそこにある
- 逮捕から検察官の勾留請求まで、長くても72時間。秘匿を望むなら、その短い時間内に捜査機関へ意思を伝えなければ間に合わない。黙っていれば、あなたの情報は通常どおり相手に渡る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 被害を申告する最初の段階で、担当の警察官・検察官に『加害者に氏名・住所を知られたくない』と明確に伝える。2. 報復や名誉侵害のおそれを示す資料、脅迫のスクショ・つきまとい記録・関係性のメモを早期に提出する。3. 検察官が勾留請求と同時に秘匿を請求するよう、被害者支援に詳しい弁護士を通じて働きかける。4. 起訴後も秘匿が続くか各段階で確認する。黙っていれば情報は通常どおり渡る
訴えられた側:1. 勾留状の抄本で個人特定事項が伏せられていても、被疑事実の要旨、日時・場所・行為は告げられるので、まずそこから防御を組み立てる。2. 事実の特定が不十分で防御に支障があるなら、『相手を教えろ』ではなく『事実の特定が足りず防御できない』という形で弁護人を通じ裁判所に主張する。3. 秘匿対象者の要件、201条の2第1項各号に該当しないと考えるなら、その点を争う。4. 弁護人は当番弁護士制度で初回無料、勾留段階で早期に選任する
時効(請求できる期限):特定の消滅時効はない。ただし本条の秘匿請求は検察官の勾留請求と『同時』に行われるため、被害者・告訴人は逮捕後おおむね72時間以内、逮捕後48時間+検察官送致後24時間の枠内に秘匿の希望を捜査機関へ伝える必要がある。実務の運用は最新状況をご確認ください
学説
通説(立法趣旨):本条は被疑者の防御権(憲法34条・31条)と被害者・証人保護を全か無かで衝突させず、個人特定事項は伏せるが被疑事実の要旨は告げるという分離で均衡を取る建付けと理解される。ただし書により、対象者に明らかに該当しない場合は秘匿しないとして被疑者の防御権が不当に削られないよう配慮する。
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)新設 刑事訴訟法等の一部を改正する法律(令和5年法律第28号)により新設。犯罪被害者や証人の個人特定事項を被疑者から秘匿する制度の一環として、勾留段階での秘匿措置、被疑事件の告知方法の制限と個人特定事項を伏せた勾留状抄本の交付を新たに規定した。2024年に施行
改正の年表
- 1.令和5年(2023年) 新設:刑事訴訟法等の一部を改正する法律(令和5年法律第28号)により新設。犯罪被害者・証人の個人特定事項を被疑者から秘匿する制度群の一環として、勾留段階の秘匿措置と、個人特定事項を伏せた勾留状の抄本の交付を規定。2024年に施行。
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