刑事訴訟法 第271条の2
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- 検察官は、起訴状に記載された次に掲げる者の個人特定事項について、必要と認めるときは、裁判所に対し、前条第一項の規定による起訴状の謄本の送達により当該個人特定事項が被告人に知られないようにするための措置をとることを求めることができる。
- 一次に掲げる事件の被害者
- 一刑法第百七十六条、第百七十七条、第百七十九条、第百八十一条若しくは第百八十二条の罪、同法第二百二十五条若しくは第二百二十六条の二第三項の罪(わいせつ又は結婚の目的に係る部分に限る。以下このイにおいて同じ。)、同法第二百二十七条第一項(同法第二百二十五条又は第二百二十六条の二第三項の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。)若しくは第三項(わいせつの目的に係る部分に限る。)の罪若しくは同法第二百四十一条第一項若しくは第三項の罪又はこれらの罪の未遂罪に係る事件
- 二児童福祉法第六十条第一項の罪若しくは同法第三十四条第一項第九号に係る同法第六十条第二項の罪、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第四条から第八条までの罪又は性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律第二条から第六条までの罪に係る事件
- 三イ及びロに掲げる事件のほか、犯行の態様、被害の状況その他の事情により、被害者の個人特定事項が被告人に知られることにより次に掲げるおそれがあると認められる事件
- 二前号に掲げる者のほか、個人特定事項が被告人に知られることにより次に掲げるおそれがあると認められる者
- 一その者の名誉又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれ
- 二イに掲げるもののほか、その者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれ
- 2.前項の規定による求めは、公訴の提起において、裁判所に対し、起訴状とともに、被告人に送達するものとして、当該求めに係る個人特定事項の記載がない起訴状の抄本その他の起訴状の謄本に代わるもの(以下「起訴状抄本等」という。)を提出して行わなければならない。
- 3.前項の場合には、起訴状抄本等については、その公訴事実を第二百五十六条第三項に規定する公訴事実とみなして、同項の規定を適用する。この場合において、同項中「できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実」とあるのは、「罪となるべき事実」とする。
- 4.裁判所は、第二項の規定による起訴状抄本等の提出があつたときは、前条第一項の規定にかかわらず、遅滞なく起訴状抄本等を被告人に送達しなければならない。この場合において、第二百五十五条及び前条第二項中「起訴状の謄本」とあるのは、「起訴状抄本等」とする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第271条の2は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第271条の2の条文原文は「検察官は、起訴状に記載された次に掲げる者の個人特定事項について、必要と認めるときは、裁判所に対し、前条第一項の規定による起訴状の謄本の送達により当該個人特定事項…」で始まります。
- 刑事訴訟法第271条の2は第一節 公判準備及び公判手続に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第271条の2の前の条は刑事訴訟法第271条です。
- 刑事訴訟法第271条の2の次の条は刑事訴訟法第271条の3です。
- 刑事訴訟法第271条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第271条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第271条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/271_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法271条の2は、検察官が必要と認めるとき、被害者等の個人特定事項を伏せた起訴状抄本等を提出し、被告人に知られないようにできると定める。2024年2月施行。
Q · 性犯罪で告訴したら、加害者に名前や住所を知られてしまうの?
検察官が必要と認めれば、伏せて起訴できます
刑事訴訟法271条の2により、検察官は被害者等の氏名・住所などの個人特定事項を、必要と認めるとき、被告人に知られないようにする措置を裁判所に求めることができます。求めは公訴提起と同時に、当該事項を記載しない起訴状抄本等を提出して行います。被告人本人には伏せられますが、弁護人には原則として開示されます。また自動では起きず、捜査段階で被害者側が秘匿の希望を明確に伝えることが事実上の起点になります。2024年2月施行の新しい仕組みです。
解説
性犯罪の被害に遭った人が告訴をためらう最大の理由の一つが、これだ。起訴されれば、加害者の手元に届く起訴状の謄本に自分の名前と住所がそのまま載る。報復が怖くて泣き寝入りする。その構造を、2024年2月に施行された刑事訴訟法271条の2が壊した。検察官は、一定の被害者や関係者について、被告人に渡る起訴状から名前・住所などの「個人特定事項」(その人が誰でどこにいるかを特定できる情報)を伏せた抄本を裁判所に提出できる。被告人は事件の中身(罪となるべき事実)は知らされるが、あなたが誰でどこに住んでいるかは、少なくとも最初の段階では知らされない。対象は、一定の犯罪の被害者に加え、名前が知られることで報復や名誉侵害、生活の平穏が害されるおそれのある人。あなたが知っておくべきは、これが自動では起きないという点だ。検察官が「必要と認める」ときに動く。だから被害者側から秘匿を求める一言が、その後の安全を分ける。
法的な位置づけ
刑事訴訟法271条の2は、起訴状の謄本送達の段階における個人特定事項の秘匿措置を定める規定である。検察官は、一定の被害者等の氏名・住所など個人を特定できる事項について、必要と認めるとき、これらを記載しない起訴状抄本等を裁判所に提出し、被告人に知られないよう求めることができる。被告人の防御権と被害者保護の調整を図る手続規定である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.捜査段階で秘匿の希望を明確に伝える 警察・検察の事情聴取で「加害者に氏名や住所を知られたくない」と明確に述べ、必ず調書に記録してもらう。口頭で言うだけで記録がないと、起訴の現場で必要性が見落とされる
- 2.被害者支援に詳しい弁護士をつける 被害者参加や告訴の弁護士をつけ、最初の面談で「個人特定事項を秘匿してほしい」と明示的に依頼する。検察官の職権発動を待つより能動的に材料を渡す
- 3.検察官へ秘匿を求める意見書を提出する 弁護士を通じて、報復・生活の平穏侵害のおそれを具体的に示す意見書を担当検察官に提出し、起訴前に「必要と認める」判断の材料をそろえる
- 4.起訴前に希望が届いているか確認する 求めは公訴提起と同時に起訴状抄本等を提出して行われるため、起訴の直前に担当検察官へ希望が確実に反映されているか確認する。一日のずれが手続の重さを変える
よくある質問 AI による整理
Q1個人特定事項の秘匿とは何ですか?
被害者等の氏名・住所など個人を特定できる事項を、起訴状の謄本送達の段階で被告人に知られないようにする刑事訴訟法271条の2の措置です。検察官が必要と認めるときにとります。
Q2起訴状抄本等とはどういう書面ですか?
秘匿対象の個人特定事項を記載しない、起訴状の謄本に代わる書面です。被告人にはこの抄本等が送達されますが、罪となるべき事実自体は記載されます。
Q3秘匿措置は誰が対象になりますか?
一定の犯罪の被害者に加え、氏名等を知られることで報復・名誉侵害・生活の平穏が害されるおそれがあると認められる人が対象です。性犯罪に限られません。
Q4秘匿を求めるにはいつまでに動けばいいですか?
求めは公訴の提起と同時に行われるため、捜査段階で希望を検察官に伝え、調書に残しておくことが重要です。起訴後では別の秘匿手続になり負担が増えます。
Q5弁護人にも被害者の名前は伏せられますか?
原則として弁護人には個人特定事項が開示されます。被告人本人には伏せても、防御権との調整から弁護人経由で知られる経路は残っています。
Q6秘匿された情報を被告人が知る方法はありますか?
防御に必要な場合、被告人側は裁判所に個人特定事項を知る機会を求める手続をとれます(刑事訴訟法271条の5等、現行効力を要確認)。
Q7公判廷での秘匿と何が違いますか?
271条の2は起訴状の謄本送達という被告人本人への告知段階の保護です。公開法廷での被害者特定事項の秘匿は290条の2が別に定めます。
Q8性犯罪以外でも秘匿措置は使えますか?
使えます。ストーカーや配偶者暴力など、氏名・住所を知られると報復のおそれがある被害者・関係者一般が対象になり得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1告訴したら、絶対に加害者へ名前や住所を知られずに済むんですか?
残念ながら「絶対」ではない。271条の2は検察官が「必要と認めるとき」に措置をとる仕組みで、被害者の希望が自動的に通るわけではない。さらに被告人本人には伏せられても、弁護人には原則として開示される。実務のポイント:実務では、捜査の早い段階で秘匿希望を明確に伝え、それが調書に残っているかどうかが結果を大きく左右する。聴取で口にしただけで記録になければ、起訴の現場で必要性が見落とされる。「調書に書いてください」の一言が効く
Q2被告人側ですが、相手の名前も分からずにどうやって反論しろというんですか?
罪となるべき事実そのものは起訴状抄本にも記載される(本条3項により256条3項をみなし適用)。氏名や住所が伏せられて防御が著しく困難な場合は、裁判所に個人特定事項を知る機会を求める手続がある(刑事訴訟法271条の5等、現行効力を要確認)。実務のポイント:弁護人には原則開示されるため、防御の実務は弁護人を軸に回る。被告人本人が「相手の名前が分からない」と焦るより、弁護人がどこまで把握しているかを確認する方が早い。本人と弁護人で情報が非対称になるのが、この制度の設計そのものだ
間違えやすい点 AI による整理
- 「刑事裁判では被害者の名前は守られるから安心」と思っている人がいるが、それは公開の法廷での話(刑事訴訟法290条の2)。被告人本人に渡る起訴状の謄本はまったく別の問題で、271条の2ができるまで、被告人は起訴状で被害者の氏名や住所を確実に知ることができた。守られる場面と漏れる場面が分かれていた
- 秘匿措置があること自体は知っていても、その「穴」を知らない人が多い。被告人本人には伏せられても、弁護人には原則として個人特定事項が伝わる仕組みになっている。完全な秘密ではなく、被告人の防御権とのバランスで設計されている。被告人が弁護人から間接的に知る経路は残っていることまで理解して初めて、この制度を正しく使える
- 「黙っていても検察官が自動で守ってくれる」と期待するのは、問いの立て方が誤っている。条文は検察官が「必要と認めるとき」と書く。捜査段階の聴取で秘匿の希望を明確に伝えていなければ、その必要性は検察官の視野に入ってこない。守られるかどうかは、あなたが声を上げて記録に残したかどうかにかかっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 保護される場面 | 271条の2:起訴状の謄本送達(被告人本人への告知) | 290条の2:公開の法廷での被害者特定事項の秘匿 299条の4等:証拠開示における証人等の特定事項の秘匿 |
| 発動主体・要件 | 検察官が必要と認め、起訴状抄本等を提出して求める | 裁判所が決定(被害者等の申出が起点) 検察官が証拠開示の際に条件・措置を求める |
| 弁護人への扱い | 被告人本人には伏せても弁護人には原則開示 | 法廷での氏名等の呼称・公表を制限 開示の相手方・条件を限定して秘匿 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は性侵害被害者の身分資訊の揭露を一般的に禁止し、被害者保護を図る。起訴状単位の抄本制度というより、手続全体での揭露禁止構成
韓国は特定犯罪の申告者・被害者について、調書等への人的事項の記載を省略できる制度をもつ。日本の個人特定事項秘匿と機能的に近い
ドイツは証人の住所・身元の開示を制限できる制度をもつ。報復のおそれがある場合に氏名や住所の記載を省略できる点が共通
米国は被害者が合理的に保護される権利を連邦法で定め、実務では仮名(pseudonym)使用や情報制限で対応。起訴状単位の統一制度ではない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが性被害を警察に相談したら、加害者にあなたの名前と住所が裁判所経由で伝わってしまうのでは。そう恐れて通報を諦めかけているなら、2024年からは検察官に起訴状抄本での秘匿を求める道がある。報復の恐怖と、告訴するかどうかの決断を切り離せる
- 起訴状を受け取ったら、被害者の名前と住所が黒塗りだった。何の事件で訴えられているかは書いてあるが、相手が誰か分からない。あなたは弁護人を通じて開示を求めるか、その情報なしで防御方針を立て直すことになる
- ストーカー加害者から逃げて転居した直後、刑事告訴に踏み切る。だが起訴まであと数日、検察官に住所秘匿の希望が届いていなければ、せっかく隠した新しい住所が起訴状で加害者の手に渡るかもしれない。今すぐ担当検察官に伝える必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 捜査段階(警察・検察の事情聴取)で「加害者に氏名や住所を知られたくない」と明確に伝え、必ず調書に記録してもらう2. 可能なら被害者支援に詳しい弁護士をつけ、検察官に秘匿を求める意見書を出してもらう3. 起訴前に希望が届くようにする。起訴後では起訴状抄本ではなく公判段階の別の秘匿手続になり、負担が増える4. 秘匿しても弁護人には開示されうる点を理解した上で、弁護人経由の漏れが心配なら担当検察官に率直に相談する
訴えられた側:1. 起訴状抄本で被害者の氏名等が伏せられていても、罪となるべき事実は記載されている。防御に何が必要かをまず精査する2. 個人特定事項が分からないと防御が著しく困難な場合、裁判所に個人特定事項を知る機会を求める手続を弁護人と検討する(刑事訴訟法271条の5等、現行効力を要確認) 3. 弁護人には原則として開示されるため、弁護人を軸に防御方針を組む4. 秘匿の当否そのものを争う場合は、措置の変更・取消しの可否を弁護人と確認する
時効(請求できる期限):秘匿の求めは、公訴の提起(起訴)と同時に、起訴状抄本等を裁判所へ提出して行う(本条2項)。つまり起訴の瞬間がタイムリミットで、それより前に検察官の判断材料がそろっている必要がある。被告人側が個人特定事項を知る機会を求める手続には公判前の各段階で期限があるため、弁護人と早期に確認すること(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)改正・令和6年(2024年)2月15日施行 刑事訴訟法等の一部改正(令和5年法律第28号)により新設。被害者等の個人特定事項を起訴状の謄本送達の段階で被告人に知られないよう、検察官が起訴状抄本等を提出して秘匿を求める制度を創設した。性犯罪被害者の二次被害防止が立法目的
改正の年表
- 1.令和5年(2023年)法律第28号・令和6年(2024年)2月15日施行 新設:刑事訴訟法等の一部を改正する法律により新設。被害者等の個人特定事項を起訴状の謄本送達の段階で被告人に知られないようにするため、検察官が起訴状抄本等を提出して秘匿を求める制度を創設。性犯罪被害者等の二次被害防止が立法目的
- 刑事訴訟法 第271条起訴状謄本の送達、本条が修正する原則規定
- 刑事訴訟法 第256条起訴状の記載事項、本条3項で公訴事実をみなし適用
- 刑事訴訟法 第255条起訴状謄本送達不能時の手続、抄本への読替えの対象
- 刑事訴訟法 第271条秘匿措置後の手続規定群(271条の3以下、現行効力を要確認)
- 刑事訴訟法 第290条公判廷での被害者特定事項の秘匿決定、別段階の保護(290条の2)
- 刑事訴訟法 第299条証拠開示における証人等特定事項の秘匿措置(299条の4等、現行効力を要確認)
- 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律 第1条刑事手続全体で被害者を保護する一般枠組み(通称 犯罪被害者保護法)
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