刑事訴訟法 第316条の25
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- 裁判所は、証拠の開示の必要性の程度並びに証拠の開示によつて生じるおそれのある弊害の内容及び程度その他の事情を考慮して、必要と認めるときは、第三百十六条の十四第一項(第三百十六条の二十一第四項において準用する場合を含む。)の規定による開示をすべき証拠については検察官の請求により、第三百十六条の十八(第三百十六条の二十二第四項において準用する場合を含む。)の規定による開示をすべき証拠については被告人又は弁護人の請求により、決定で、当該証拠の開示の時期若しくは方法を指定し、又は条件を付することができる。
- 2.裁判所は、前項の請求について決定をするときは、相手方の意見を聴かなければならない。
- 3.第一項の請求についてした決定に対しては、即時抗告をすることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第316条の25は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第316条の25の条文原文は「裁判所は、証拠の開示の必要性の程度並びに証拠の開示によつて生じるおそれのある弊害の内容及び程度その他の事情を考慮して、必要と認めるときは、第三百十六条の十四第一…」で始まります。
- 刑事訴訟法第316条の25は第三目 証拠開示に関する裁定に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第316条の25の前の条は刑事訴訟法第316条の24です。
- 刑事訴訟法第316条の25の次の条は刑事訴訟法第316条の26です。
- 刑事訴訟法第316条の25には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第316条の25 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第316条の25(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/316_25
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法316条の25は、裁判所が証拠開示の必要性と弊害を考慮し、必要と認めるとき開示の時期・方法の指定や条件付けができると定める。決定には即時抗告ができる。
Q · 証拠開示で、弁護人は見られるのに被告人本人には見せてもらえないことってあるの?
ある。裁判所が条件を付ければ弁護人限りの開示も可能
刑事訴訟法316条の25により、裁判所は証拠開示の必要性と弊害(証人威迫・証拠隠滅・プライバシー侵害)を比較衡量し、必要と認めるときは開示の時期・方法を指定し、又は条件を付けられます。たとえば証人の氏名・住所を黒塗りにする、弁護人限りで被告人本人には見せない、原本ではなく謄本のみといった条件が実務で使われます。これは弁護人が信用されていないのではなく証人保護の措置で、弁護人を通じて内容の要旨説明は受けられます。決定に不服なら3日以内に即時抗告できます。
解説
重大事件で起訴され、公判前整理手続にかけられたとき、検察官と弁護側は手持ちの証拠を一定のルールで開示し合う。だがその開示は無制限ではない。316条の25が裁判所に与えるのは、開示の蛇口の開け方を調整する権限だ。証拠開示の必要性と、開示によって生じる弊害(証人への威迫、証拠隠滅、プライバシー侵害)を天秤にかけ、必要と認めれば、開示の時期を遅らせ、方法を限定し(例:原本ではなく謄本のみ、弁護人限りで被告人本人には見せない)、条件を付けられる。検察官が請求すれば防御側への開示に制限がかかり、弁護側が請求すれば検察官側の開示に制限がかかる。あなたが被告人なら、この一条が証人の連絡先を黒塗りにするか、その証拠がいつ手元に来るかを左右する。裁判の土俵が整地される前の、見えない攻防がここにある。
法的な位置づけ
刑事訴訟法316条の25は、公判前整理手続における証拠開示の裁定を定める規定である。裁判所が開示の必要性の程度と開示により生じる弊害その他の事情を考慮し、必要と認めるときに、開示の時期・方法を指定し、又は条件を付すことができる。検察官請求証拠と被告人側請求証拠の双方が対象となり、当事者の意見聴取を経て決定し、即時抗告の対象となる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.公判前整理手続で開示済み証拠と条件を整理する 検察官請求証拠・類型証拠・主張関連証拠について、何が開示され、何に時期・方法の指定や条件(黒塗り、弁護人限り、謄本限定)が付いているかを一覧化し、防御の生命線となる証拠を特定する
- 2.制限の必要性そのものを争う 開示の時期・方法・条件が防御に不可欠な証拠に及んでいる場合、弁護人を通じて制限の必要性と弊害の存在を争い、必要に応じて316条の26の証拠開示命令の裁定を申し立てて制限の解除・緩和を求める
- 3.決定告知から3日以内に即時抗告を準備する 裁判所の決定に不服なら、決定の告知を受けた日の翌日から3日以内に即時抗告を提起する(刑訴法422条)。重大事件では決定前から不服なら即時抗告という構えを弁護人と共有しておく
- 4.弁護人限りの開示でも防御方針を共有する 弁護人限りの開示条件が付いても、内容の要旨説明は受けられるため、被告人本人は弁護人と密に情報を共有し、要旨を踏まえて防御方針を一緒に組み立てる
よくある質問 AI による整理
Q1証拠開示の裁定とは何ですか?
公判前整理手続で、裁判所が証拠開示の時期・方法を指定し、又は条件を付ける決定のことです。刑事訴訟法316条の25が根拠で、当事者の請求によって行われます。
Q2証拠開示の時期や方法はいつまでに争えますか?
決定に対する即時抗告は3日以内です(刑訴法422条)。一度開示されたものは取り消せないため、条件を求めるなら相手に証拠が渡る前に動く必要があります。
Q3弁護人限りの開示とは何ですか?
証拠を弁護人だけが閲覧でき、被告人本人には見せない条件付き開示です。証人威迫のおそれがある場合に用いられ、弁護人を通じて要旨の説明は受けられます。
Q4証拠開示を制限されたら防御はできなくなりますか?
いいえ。316条の25は開示の拒否ではなく調整の規定で、防御に必要な範囲は確保される建前です。316条の26の開示命令の裁定で制限の緩和も求められます。
Q5証人の住所が黒塗りなのは誰が決めるのですか?
裁判所です。検察官が316条の23で開示制限を求め、316条の25により裁判所が氏名・住所の開示方法に制限を付ける決定をします。
Q6被害者として証言する場合、住所を隠せますか?
可能です。報復のおそれを具体的に検察官へ伝えれば、検察官が裁判所に開示方法の制限を請求でき、氏名・住所の秘匿措置が認められる余地があります。
Q7証拠開示の条件付けは検察官と弁護側どちらにも及びますか?
双方に及びます。検察官請求証拠は検察官の請求で被告人側への開示が、被告人側請求証拠は被告人・弁護人の請求で検察官側への開示が制限されます。
Q8即時抗告すると証拠開示は止まりますか?
即時抗告は決定の確定を妨げる効力を持ちます。抗告審が原決定を取り消せば開示の条件が変わりますが、提起期間は3日と極めて短い点に注意が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1証人の住所が黒く塗りつぶされた状態で届きました。これって違法じゃないんですか?
違法ではない。316条の25と316条の23により、検察官の請求で裁判所が証人の氏名・住所の開示方法に制限を付けられる。証人威迫のおそれがある場合の措置だ。ただし防御に必要な範囲は確保される建前になっている。実務のポイント:弁護人限りの開示(被告人本人には見せない)という条件は実務で実際に使われる。被告人が自分には見せてくれないと不満を持っても、それは弁護人が信用されていないのではなく制度上の証人保護措置で、弁護人を通じて内容の要旨は説明を受けられる
Q2裁判所が出した開示の決定に納得できないとき、ひっくり返す方法はありますか?
ある。316条の25第3項により、決定に対して即時抗告ができる(提起期間は3日、刑訴法422条)。抗告審が原決定を取り消せば、開示の条件が変わる。実務のポイント:即時抗告の3日は極めて短く、決定を受けてから弁護人と方針を相談していると簡単に過ぎてしまう。重大事件では、決定が出る前から不服なら即時抗告という構えを弁護人と共有しておくのが実務の鉄則。決定後に慌てて検討を始める弁護人と、事前に準備している弁護人で、3日の使い方がまるで違う
間違えやすい点 AI による整理
- 公判前整理手続に入れば証拠は全部そのまま見られる、と思っている人が多い。実際は、裁判所が必要と認めれば開示の時期を遅らせ、方法を絞り、条件を付けられる。証拠が手に入る事実と、いつ・どんな形で手に入るかは別問題だ
- 「証拠開示を制限されたら防御は終わり」と問いを立てる人がいるが、その問いの立て方自体が誤っている。316条の25は開示の拒否ではなく調整の規定であり、しかも第3項で即時抗告という争う道が用意されている。終わりではなく、争いの起点だ
- 弁護側から見れば、開示への条件付けは防御の妨害に映る。だが証人や被害者から見れば、それは報復から身を守る安全網だ。同じ一つの決定が、立つ位置によって正反対の意味を持つ。この落差を理解しない弁護方針は、裁判所を説得できない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 316条の25:裁判所が開示の時期・方法を指定し条件を付す(調整弁) | 316条の23:証人等の氏名・住所の開示に係る措置の要請 316条の26:裁判所による証拠開示命令の裁定 |
| 誰の証拠が対象か | 検察官請求証拠(316条の14)と被告人側請求証拠(316条の18)の双方 | 主に検察官側の証人等の身元情報 開示が拒まれた証拠全般 |
| 請求できる者 | 検察官請求証拠は検察官、被告人側請求証拠は被告人・弁護人 | 検察官 被告人・弁護人 |
| 不服申立て | 即時抗告(316条の25第3項、提起期間3日) | 措置の要請段階で直接の抗告はなし 即時抗告(316条の26第4項) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は被告の巻証情報獲知権(卷證資訊獲知權)を中心に整備。証人保護のための情報秘匿の調整は別途規定され、日本のような時期・方法・条件の一体的裁定規定とは構造が異なる。
韓国も公判準備手続で証拠開示制度を持ち、開示の範囲や制限・不服申立てを規律する。証人保護と開示の調整という発想は日本と共通する。
ドイツは弁護人の記録閲覧権(Akteneinsicht)を中心とし、捜査目的を害する場合に閲覧を制限できる。職権主義的構造の下での開示制限という点で日本と親和的。
米国は当事者主義に基づくディスカバリーと、被告人に有利な証拠の開示義務(Brady ルール)を持つ。保護命令(protective order)で開示の方法・条件を制限できる点が本条の発想に近い。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが傷害事件で起訴され、公判前整理手続に入った。弁護人が目撃証人の氏名と住所の開示を求めたところ、検察官が報復のおそれを理由に裁判所へ制限を請求。結果、住所は黒塗り、内容は弁護人限りという条件が付いた。あなた本人には見せてもらえない。これは弁護人が信用されていないのではなく、316条の25による証人保護措置だ
- もし、証拠開示の方法に条件を付ける決定が出て、防御の生命線になる証拠が手元に来るのが大幅に遅れたら? 公判の準備時間は刻一刻と削られる。不服なら即時抗告は3日以内。この3日を逃せば決定は固まり、開示条件はもう動かせない
- あなたが特殊詐欺事件の被害者として証言を求められた。自分の現住所が被告人グループに渡ると思うと、夜も眠れない。検察官はあなたの不安を裁判所に伝え、開示の方法を制限する請求ができる。あなたの安全は、この条文の弊害判断の中にある
取るべき行動
被害を受けた側:1. あなたが被告人で、検察官側の証拠開示が時期・方法・条件で制限されたら、弁護人を通じてその制限の必要性そのものを争う2. 防御に不可欠な証拠であれば、316条の26の開示命令の裁定を申し立て、制限の解除や緩和を求める3. 裁判所の決定に不服なら3日以内に即時抗告(316条の25第3項、刑訴法422条) 4. 弁護人限りの開示という条件が付いても、内容の要旨説明は受けられるので、被告人本人は弁護人と密に情報を共有し、防御方針を一緒に組み立てる
訴えられた側:1. あなたが事件の証人や被害者で、自分の氏名・住所が被告人に渡ることに危険を感じるなら、その不安を検察官に具体的に伝える2. 検察官は316条の23で開示制限を求め、316条の25で裁判所に開示の時期・方法・条件の指定を請求できる3. 証人威迫や報復のおそれを、過去の接触や脅迫の履歴など具体的な事実で示すと、制限が認められやすい4. 制限を認めない決定が出たら、検察官は即時抗告で争える
時効(請求できる期限):本条の決定に対する即時抗告の提起期間は3日(刑訴法422条、起算は決定の告知を受けた日の翌日から)。証拠開示自体に特定の時効はないが、公判前整理手続の進行に組み込まれるため、争うなら手続の各段階で機を逃さないことが要点(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:316条の25は証拠開示を全面開示か非開示かで決めるのではなく、開示の必要性と弊害を比較衡量し、時期・方法・条件で調整する規定と解される。被告人の防御権(武器対等)と証人・被害者保護および証拠隠滅防止を両立させる中間的手段として位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年) 裁判員制度導入に向けた刑事訴訟法改正で公判前整理手続を新設した際に、証拠開示の時期・方法の指定および条件付けを定める本条が新設された(平成17年〔2005年〕11月施行)
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:裁判員制度導入に向けた刑事訴訟法改正で公判前整理手続を新設した際に、証拠開示の時期・方法の指定および条件付けを定める本条が新設された(平成17年〔2005年〕施行)。
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