刑事訴訟法 第316条の26
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- 裁判所は、検察官が第三百十六条の十四第一項若しくは第三百十六条の十五第一項若しくは第二項(第三百十六条の二十一第四項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)若しくは第三百十六条の二十第一項(第三百十六条の二十二第五項において準用する場合を含む。)の規定による開示をすべき証拠を開示していないと認めるとき、又は被告人若しくは弁護人が第三百十六条の十八(第三百十六条の二十二第四項において準用する場合を含む。)の規定による開示をすべき証拠を開示していないと認めるときは、相手方の請求により、決定で、当該証拠の開示を命じなければならない。この場合において、裁判所は、開示の時期若しくは方法を指定し、又は条件を付することができる。
- 2.裁判所は、前項の請求について決定をするときは、相手方の意見を聴かなければならない。
- 3.第一項の請求についてした決定に対しては、即時抗告をすることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第316条の26は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第316条の26の条文原文は「裁判所は、検察官が第三百十六条の十四第一項若しくは第三百十六条の十五第一項若しくは第二項(第三百十六条の二十一第四項においてこれらの規定を準用する場合を含む。」で始まります。
- 刑事訴訟法第316条の26は第三目 証拠開示に関する裁定に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第316条の26の前の条は刑事訴訟法第316条の25です。
- 刑事訴訟法第316条の26の次の条は刑事訴訟法第316条の27です。
- 刑事訴訟法第316条の26には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第316条の26 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第316条の26(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/316_26
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法316条の26は、開示すべき証拠が開示されないとき、裁判所が相手方の請求により決定で開示を命じる制度を定める。決定には三日以内の即時抗告ができる。
Q · 検察が証拠を出してくれないとき、裁判所に出させる方法はあるの?
裁判所が相手方の請求で検察等に証拠開示を命じる制度です
刑事訴訟法316条の26により、検察官(または被告人・弁護人)が法定の開示義務に従って証拠を開示しないと裁判所が認めるとき、相手方の請求に基づき、決定で証拠の開示を命じることができます。これが証拠開示命令です。裁判所は開示の時期・方法を指定し、条件を付すこともできます。前提として類型証拠開示(316条の15)・主張関連証拠開示(316条の20)の請求を踏む必要があり、検察が「証拠は存在しない」と争うときは提示命令(316条の27)へ進みます。命令の決定には三日以内の即時抗告ができます。
解説
起訴された瞬間、検察官の手元には捜査で集めた証拠が山のように積まれている。その山の中に、あなたを救う一枚が埋もれているかもしれない。だが日本の刑事裁判には米国のような全面開示の制度がなく、検察官は自分が法廷で使う証拠しか自動では見せない。ここで効くのが証拠開示命令だ。被告側が請求しても検察が出さないと裁判所が判断すれば、決定で「その証拠を開示せよ」と命じることができる。開示の時期や方法を指定し、条件を付けることもできる。そしてこの命令の請求には必ず相手方の意見を聴く手続が挟まり、出た決定には三日以内の即時抗告が用意されている。検察だけが手札を見ているテーブルを、ひっくり返すための一手がここにある。
法的な位置づけ
刑事訴訟法316条の26は、証拠開示命令を定める規定である。検察官または被告人・弁護人が法定の開示義務(類型証拠開示・主張関連証拠開示等)に従わないと裁判所が認めるとき、相手方の請求により、決定で当該証拠の開示を命じる。裁判所は開示の時期・方法を指定し条件を付すことができ、その決定には即時抗告が認められる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.証拠一覧表の交付を請求して全体像を把握 まず弁護人を通じて検察に証拠一覧表(刑訴法316条の14第2項)の交付を請求し、検察の手持ち証拠の存在をリストで確認する。「証拠はない」で終わらせないための第一歩
- 2.類型証拠開示・主張関連証拠開示を請求 必要な証拠の類型を特定し、類型証拠開示(316条の15)と主張関連証拠開示(316条の20)を検察に請求する。争点が固まる前のタイミングで戦略的に打つのが鍵
- 3.検察の拒否経緯を記録に残す 検察が任意開示を拒否したら、その経緯を書面・期日調書で記録に残す。「請求した、拒否された」という事実の積み重ねが、後の命令請求での裁判所の心証を動かす
- 4.裁判所に証拠開示命令を請求 拒否の事実を固めたうえで、刑訴法316条の26に基づき裁判所に証拠開示命令を請求する。裁判所は相手方の意見を聴いたうえで、決定により開示の時期・方法を指定して命じる
- 5.存在を否定されたら提示命令へ進む 検察が「その証拠は存在しない」と主張して止まったら、提示命令(316条の27)を求め、裁判官だけに証拠そのものを確認させる。ここで諦めないことが分かれ目になる
- 6.決定に不服なら三日以内に即時抗告 証拠開示命令の決定に不服がある場合は、告知から三日以内に即時抗告を申し立てる(316条の26第3項、刑訴法422条)。三日は極めて短いので即動く
よくある質問 AI による整理
Q1証拠開示命令とは何ですか?
開示すべき証拠が開示されないとき、裁判所が相手方の請求により決定で開示を命じる制度です。刑事訴訟法316条の26が根拠で、検察側にも被告側にも向けられ得ます。
Q2証拠開示命令はいつ請求できますか?
原則として公判前整理手続の進行中に請求します。類型証拠開示や主張関連証拠開示の請求を踏み、相手が応じない段階で裁判所に命令を求めるのが基本の流れです。
Q3検察が証拠開示命令に従わないとどうなりますか?
検察が「証拠が存在しない」と争う場面では、提示命令(316条の27)で裁判官だけに証拠を確認させる手続へ進めます。これで存在の有無と開示の要否を判断します。
Q4類型証拠開示と主張関連証拠開示はどう違いますか?
類型証拠開示(316条の15)は検察請求証拠の証明力に関わる一定類型の証拠、主張関連証拠開示(316条の20)は被告側の主張に関連する証拠を対象とします。
Q5証拠開示命令の決定に不服がある場合はどうしますか?
決定の告知から三日以内に即時抗告ができます(316条の26第3項、刑訴法422条)。三日は極めて短いため、不服があれば直ちに動く必要があります。
Q6公判前整理手続とは何ですか?
起訴後・公判前に争点と証拠を整理する手続です。証拠開示の攻防はこの中で行われ、裁判員裁判の対象事件では必ず実施されます。終結後の後出しは制限されます。
Q7検察の証拠一覧表は請求できますか?
できます。2016年改正で導入された証拠一覧表(316条の14第2項)を請求すれば、検察の手持ち証拠の存在が一覧で見え、「証拠はない」で済まされにくくなります。
Q8提示命令とは何ですか?
裁判所が開示の要否を判断するため、検察官に証拠そのものを裁判官だけに提示させる手続です(316条の27)。証拠の存在自体が争われたときの最終手段になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1検察が「そんな証拠は存在しない」と言い張ったら、確かめようがないのでは?
そこで効くのが提示命令(刑訴法316条の27)です。裁判所は、証拠の有無や開示すべきものかを判断するため、検察官にその証拠そのものを裁判官だけに提示させることができます。裁判官が中身を確認し、開示すべきと判断すれば命令につながります。実務のポイント:2016年改正で、被告側は検察が持つ証拠の一覧表(証拠リスト)の交付を請求できるようになりました(刑訴法316条の14第2項)。これを使えば「証拠はない」の一言で済まされず、リスト上に存在が見えてくる。請求しない弁護人も多いので必ず確認する
Q2証拠開示命令って、弁護士がいないと請求できないんですか?
被告人本人でも請求自体は可能ですが、現実には公判前整理手続の中で類型証拠開示や主張関連証拠開示(刑訴法316条の15、316条の20)の段取りを踏んだ上で初めて命令請求の土俵に乗ります。専門知識なしで独力で進めるのは困難です。実務のポイント:同じ国選弁護人でも、証拠開示に積極的に動く人とそうでない人がいます。最初の面会で「類型証拠開示はどこまで請求する方針か」と尋ねるだけで弁護人の本気度が測れる。受け身の弁護人なら、私選への切り替えや弁護士会への相談も選択肢に入る
間違えやすい点 AI による整理
- 「裁判になれば検察の証拠は当然すべて見られる」と考えている人が多いが、その前提そのものが日本の制度を誤解している。日本に全面開示はなく、類型証拠開示・主張関連証拠開示という段階を被告側が請求し、争った末に初めて出てくる。黙っていて出てくるのは、検察が法廷で使うごく一部だけだ
- 証拠開示命令という制度があることは知っていても、それが「開示請求→検察の拒否→裁判所への裁定請求」という順序を正確に踏まなければ土俵にすら乗らない手続だと知る人は少ない。弁護人がこの段取りを公判前整理手続の中で的確に打てるかどうかで、引き出せる証拠の量がまるで変わる
- 命令が出れば検察は必ず従うと思われがちだが、検察が「その証拠は存在しない」と主張する場面は実在する。そこで止まらず、裁判官だけに証拠を見せさせる提示命令(刑訴法316条の27)へ進めるかどうかが、本当の分かれ目になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 機能 | 316条の26:開示すべき証拠の開示そのものを命じる | 316条の25:開示の時期・方法・条件について裁定する 316条の27:証拠を裁判官だけに提示させる(in-camera) |
| 発動の前提 | 開示義務がある証拠が開示されていないと裁判所が認めること | 開示自体は争われず、時期・方法・条件に争いがあること 証拠の存在・該当性の判断のため中身の確認が必要なこと |
| 誰の意見を聴くか | 相手方の意見を聴く(316条の26第2項) | 相手方の意見を聴いて裁定 原則として検察官に提示させ裁判官が確認 |
| 不服申立て | 即時抗告(三日以内、316条の26第3項) | 即時抗告(316条の25第3項) 命令へつながる中間手続(独立の即時抗告は予定されない) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は弁護人による訴訟記録の閲覧・抄録(閲卷)を権利として保障する方式で、日本のような段階的開示請求+命令という構造とは異なる
韓国も公判準備手続の中で証拠開示を制度化し、裁判所が開示を決定できる点で日本に近い設計を採る
ドイツは弁護人の記録閲覧(Akteneinsicht)を広く認める職権主義的な構造で、検察が捜査記録全体を開示する点が日本と大きく異なる
米国は被告に有利な証拠の開示義務(ブレイディ義務)と広範なディスカバリーを採り、日本の限定的・段階的開示とは思想が根本的に異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 身に覚えのない事件で起訴された。検察が出してきた証拠だけ見ると不利だが、現場には防犯カメラが複数あったはずだ。開示されたのは自分に不利な一台分だけ。残りの映像を類型証拠開示で請求し、出なければこの命令で引きずり出す。その一台に映った別の人物が、無罪への分岐点になる
- もし公判前整理手続の終盤で、検察が握る供述調書の一部しか開示されていないと気付いたら? 争点が固まる前に動かないと、後から証拠を出しても主張を組み直す土俵が閉じる。残された時間で弁護人がこの請求を打てるかどうかが、結審の中身を変える
- 家族が逮捕され、国選弁護人がついた。面会でまず確かめるべきは一つ。証拠開示の請求はもう出ているか。出ていなければ、ここから攻防が始まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず弁護人と検察の手持ち証拠の全体像を把握する。2016年改正の証拠一覧表(刑訴法316条の14第2項)の交付を請求2. 必要な証拠の類型を特定し、類型証拠開示(316条の15)・主張関連証拠開示(316条の20)を請求3. 検察が拒否したら、その経緯を記録に残した上で裁判所に証拠開示命令(本条)を請求4. 検察が存在を否定するなら提示命令(316条の27)で裁判官の確認を求める。すべて公判前整理手続の中で、争点が固まる前に打つ
訴えられた側:1. 被告人・弁護側も刑訴法316条の18により一定の証拠開示義務を負い、検察から開示命令を求められうる立場でもあると認識する2. 開示を拒む正当な理由(証人威迫のおそれ、関係者のプライバシー等)があれば、相手方の意見聴取(本条2項)の場で具体的に主張3. 開示命令が出ても不当と考えれば、決定の告知から三日以内に即時抗告(本条3項、刑訴法422条) 4. 命令に従う場合も、時期・方法の指定や条件付与を求め、開示の範囲をコントロールする
時効(請求できる期限):証拠開示請求は公判前整理手続の進行中に行う必要があり、手続が終結すると原則として後出しの主張・証拠は制限される(刑訴法316条の32)。開示命令の決定に対する即時抗告は、決定の告知から三日以内(刑訴法422条)。この三日は極めて短く、不服があるなら即動く
学説
通説:本条の証拠開示命令は、類型証拠開示・主張関連証拠開示という段階的開示制度を実効化する裁判所の関与手段と位置づけられる。当事者主義の下での検察の証拠独占を是正し、被告人の防御権を実質化する武器対等の要請を担うものと解される
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年) 公判前整理手続の創設に伴い新設された条文(平成17年施行)。ただし、その後の平成28年(2016年)証拠開示拡充改正で引用先(316条の15第2項等)が変動した可能性があり、本条文言の改正履歴・回数は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:刑事訴訟法改正により公判前整理手続が創設され、その一環として証拠開示の規律(本条を含む)が新設された(平成17年施行)
- 2.平成28年(2016年) 改正:刑事司法改革により証拠開示が拡充され、証拠一覧表の交付請求(316条の14第2項)が導入されるなど、本条が機能する前提手続が強化された
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