道路運送車両法 第54条(整備命令等)
クイックジャンプ
- 地方運輸局長は、自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがある状態又は適合しない状態にあるとき(次条第一項に規定するときを除く。)は、当該自動車の使用者に対し、保安基準に適合しなくなるおそれをなくするため、又は保安基準に適合させるために必要な整備を行うべきことを命ずることができる。この場合において、地方運輸局長は、保安基準に適合しない状態にある当該自動車の使用者に対し、当該自動車が保安基準に適合するに至るまでの間の運行に関し、当該自動車の使用の方法又は経路の制限その他の保安上又は公害防止その他の環境保全上必要な指示をすることができる。
- 2.地方運輸局長は、自動車の使用者が前項の規定による命令又は指示に従わない場合において、当該自動車が保安基準に適合しない状態にあるときは、当該自動車の使用を停止することができる。
- 3.地方運輸局長は、前項の処分に係る自動車が保安基準に適合するに至つたときは、直ちに同項の処分を取り消さなければならない。
- 4.地方運輸局長は、第一項の規定により整備を命ずる場合において、当該保安基準に適合しなくなるおそれがある状態又は適合しない状態が、劣化又は摩耗により生ずる状態であつて国土交通省令で定めるものであり、かつ、当該自動車について、点検整備記録簿の有無及び記載内容その他の事項を確認した結果第四十八条第一項の規定による点検で国土交通省令で定めるものが行われていないことが判明したときは、当該自動車の使用者に対し、当該点検(第一項の規定により整備を命ずる部分に係るものを除く。)をし、及び必要に応じ整備をすべきことを勧告することができる。
この条文の基本情報
整備命令等とは何ですか?
定義整備命令等とは、道路運送車両法第54条に定められた規定で、「地方運輸局長は、自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがある状態又は適合しない状態にあるとき(次条第一項に規定するときを除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 道路運送車両法第54条(整備命令等)は、日本の道路運送車両法に含まれる条文です。
- 道路運送車両法第54条の条文原文は「地方運輸局長は、自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがある状態又は適合しない状態にあるとき(次条第一項に規定するときを除く。」で始まります。
- 道路運送車両法第54条は第四章 道路運送車両の点検及び整備に置かれています。
- 道路運送車両法の公布日は昭和26年6月1日です。
- 道路運送車両法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 道路運送車両法第54条の前の条は道路運送車両法第53条です。
- 道路運送車両法第54条の次の条は道路運送車両法第54条の2です。
- 道路運送車両法第54条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第54条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185 - 本サイト収録
道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第54条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC0000000185/54
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点道路運送車両法54条は、保安基準に適合しない又はそのおそれがある自動車の使用者に対し、地方運輸局長が整備を命じ、従わなければ使用停止できると定める。
Q · 車検がまだ残っているのに、国から整備を命じられることってあるの?
ある。車検の残り期間に関係なく整備命令は出せる
道路運送車両法54条1項により、地方運輸局長は、自動車が保安基準に適合しない状態、または適合しなくなるおそれがある状態にあれば、車検の有効期間とは無関係に使用者へ整備を命じることができます。整備が終わるまでの運行経路や使用方法の制限も指示できます。命令や指示に従わず不適合が続けば使用停止(2項)となりますが、基準に適合した時点で直ちに取り消されます(3項)。
解説
車検のステッカーが有効期限内なら、その車は合法だと思い込んでいないだろうか。道路運送車両法54条は、その思い込みを崩す。保安基準(国が定める車の安全・環境の最低ライン)への適合は、車検の日の一瞬ではなく、公道を走っている間ずっと求められる。ブレーキパッドのすり減り、割れたテールランプ、黒煙を吐くディーゼル車。こうした状態が見つかれば、地方運輸局長は車検の残り期間に関係なく、使用者に整備を命じることができる。「まだ基準を割っていないが、このままでは割る」という『おそれ』の段階でも命令できる。さらに、整備が終わるまでの走行ルートや使い方の制限も指示できる。命令や指示を無視し、基準に適合しないまま使い続ければ、車の使用停止まで進む。ただし第3項により、基準に適合した時点で当局は停止を直ちに取り消さなければならない。つまり、行政がいつまでも車を止めておけるわけではない。整備して証拠を見せれば、停止は解ける。ここを知っているかどうかで、止められた後に取れる手の速さが変わる
法的な位置づけ
道路運送車両法54条は、保安基準に適合しない、または適合しなくなるおそれがある自動車について、地方運輸局長が使用者に整備を命じ、運行上の指示を行う権限を定める規定である。命令等に従わず不適合が継続する場合の使用停止、適合時の即時取消義務、劣化・摩耗による不適合で定期点検未実施の場合の点検勧告も併せて規定する。
手順
- 1.命令書の内容を確認する 命令書に記載された整備の対象箇所、期限、運行経路や使用方法の制限指示の有無を確認する。指示がある場合は、整備完了まで指示された範囲でしか運行できない点に注意する
- 2.整備工場を予約し、期限内に難しければ事前に相談する すぐに整備工場へ連絡して入庫日を確保する。部品の取り寄せ等で期限内の整備が難しい場合は、期限到来前に理由を添えて管轄の運輸支局に相談し、「従わない」と扱われる前に動く
- 3.整備を実施し、適合の証拠を揃える 整備を実施し、整備明細書、交換部品の写真、点検整備記録簿の記入を揃える。第4項の勧告を受けている場合は、勧告された定期点検もあわせて実施しておく
- 4.当局へ報告し、使用停止なら取消しを求める 整備完了を当局に報告する。使用停止処分を受けている場合は、基準適合を証明して54条3項による直ちの取消しを求める。報告しなければ停止は自動では解けない
よくある質問 AI による整理
Q1整備命令とは何ですか?
保安基準に適合しない、または適合しなくなるおそれがある自動車について、地方運輸局長が使用者に必要な整備を命じる行政処分です。道路運送車両法54条1項が根拠です。
Q2整備命令は誰に届きますか?
車検証の「使用者」欄に記載された人に出されます。所有者がリース会社やローン会社であっても、実際に車を使う使用者が命令の名宛人です。
Q3整備命令の期限はいつまでですか?
法律で一律の日数は定められておらず、命令書ごとに期限が指定されます。受け取ったらまず命令書に記載された期限と対象箇所を確認してください。
Q4使用停止中に車を運転したら違法ですか?
違法です。使用停止処分は行政処分であり、停止中の使用は処分違反として罰則の対象になりえます。解除は基準適合後の取消しを待つ必要があります。
Q5整備命令と不正改造車の整備命令は違う?
違います。54条は劣化・摩耗なども含む一般的な不適合が対象で、不正改造による場合は次条の54条の2が特則として適用されます。
Q6整備命令に不服があるときはどうする?
処分を知った日の翌日から3か月以内に審査請求、または6か月以内に取消訴訟を検討できます(行政不服審査法18条、行政事件訴訟法14条)。
Q7点検の勧告を無視するとどうなりますか?
54条4項の勧告は命令ではなく、それ自体に直接の強制力は規定されていません。ただし記録簿の未点検は、事故や紛争時に不利な事情として扱われかねません。
Q8黒煙が出るだけで整備命令の対象になる?
なりえます。54条は保安上だけでなく公害防止その他の環境保全上の観点も明記しており、排出ガスが保安基準を満たさなければ対象になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1車検に通ったばかりなのに整備命令って出るんですか?
出ます。54条は車検の有効期間とは切り離され、「今この時点で保安基準に適合していない、またはそのおそれがある」ことを要件にしています。車検後に壊れた部品や、車検後に交換した部品が対象になることもあります。実務のポイント:車検直後に命令が出た場合、どの時点から不具合があったかが整備工場との責任の分かれ目になります。車検時の整備明細書は必ず保管しておきましょう
Q2使用停止になったら、いつまで乗れないんですか?
期限は決まっていません。第3項は、保安基準に適合した時点で当局が直ちに処分を取り消さなければならないと定めています。整備を終えて適合を証明した日が解除の日です。実務のポイント:整備が終わっても当局に知らせなければ、停止は自動では解けません。整備工場に修理を頼むとき、当局への証明書類まで一緒に作ってもらうと手戻りがありません
Q312か月点検をサボってたら、それだけで罰せられますか?
定期点検(48条)を怠ったこと自体への直接の罰則は、一般的な自家用車については置かれていないと解されています。ただし第4項により、整備命令の場面で記録簿から未点検が判明すると、点検と整備の勧告を受けることがあります。実務のポイント:事業用車では点検整備の管理が事業監査で厳しく見られます。自家用車でも記録簿の空欄は、トラブル時に『整備を怠っていた』証拠として相手方に使われかねません
間違えやすい点 AI による整理
- 「車検が有効なら公道を走っても問題ない」と思われがちだが、車検はあくまでその日時点の適合確認にすぎない。保安基準に適合させておく義務は走行中ずっと続き、車検の残り期間があっても整備命令は出せる
- 整備命令は、違法改造をした悪質なドライバーにだけ出るものだと思われている。実際には、劣化や摩耗のような「普通に乗っていれば起こる」状態でも対象になる。第4項は劣化・摩耗を前提に、定期点検をしていない使用者へ点検を勧告する仕組みまで置いている。問題にされるのは改造したかどうかより、整備をしてきたかどうかだ
- あなたにとっては自分の愛車を止められるかどうかの問題だが、法律から見れば、あなたの車が周囲の歩行者や他の車、沿道の住民の空気にとって危険物になっていないかという問題である。『自分の車なのに』という感覚で命令を軽く扱うと、使用停止まで一気に進む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる状態 | 道路運送車両法54条:劣化・摩耗を含む保安基準不適合またはそのおそれ | 道路運送車両法54条の2:不正改造等による保安基準不適合 道路交通法63条:整備不良車両(街頭での検査) |
| 処分・措置をする者 | 地方運輸局長 | 地方運輸局長 警察官 |
| 主な措置 | 整備命令、運行経路・使用方法の指示、使用停止、点検勧告 | 不正改造車に対する整備命令(特則) 車両の検査、応急措置・運転の停止等 |
| 解除の仕組み | 基準適合時に直ちに使用停止を取り消す義務(3項) | 同条の規定による(条文要確認) 整備・応急措置後に運転可能となる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は行政処分としての整備命令より、設備不全や検験不受検に対する過料と期限付き修復・検験の組み合わせで担保する色彩が強い
韓国も地方自治体の長が点検・整備・検査を命じ、運行停止まで命じうる段階的な仕組みを持つ点で日本と類似
ドイツは不適合車両について当局が期限を定めて欠陥除去を求め、運行の制限・禁止ができる構造で、日本の54条と近い
米国は連邦レベルでは商用車中心の規律で、路上検査による out-of-service 命令が中核。自家用車の検査制度は州ごとに異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 深夜の国道で街頭検査に呼び止められた。車検はあと1年残っているが、ヘッドライトの光軸がずれていて片方のブレーキランプが切れている。「車検が通っているから大丈夫」という反論は通らない。検査官が見るのは車検証の日付ではなく、今この瞬間の車の状態だ
- 運送会社の配車担当であるあなた宛てに、自社トラックへの整備命令が届いた。命令書に書かれた期限まであと10日。その間、指示された経路制限を守りながら30台の配送ルートを組み直さなければならない。1台の整備遅れが、会社全体の運行計画を崩しかねない
- 整備命令を受けた中古車を「どうせ近所しか走らない」と放置したらどうなる? 基準に適合しない状態が続いていれば使用停止処分の対象になる。そうなれば仕事の足も通勤手段も、その日から失う
- リース車の車検証を見たら、所有者欄はリース会社、使用者欄はあなたの名前だった。整備命令の宛先は所有者ではなく使用者。車の持ち主でなくても、命令を受けて対応する責任はあなたにある
- マフラーを交換した友人から「黒煙がひどいと言われて整備を命じられた。改造じゃなくて劣化なのに」と相談された。劣化や摩耗が原因でも、基準に適合しない状態であれば命令の対象になる。改造かどうかは入口の問題にすぎない
取るべき行動
被害を受けた側:通学路を黒煙を吐くトラックが毎日走る、明らかに灯火が壊れた車が近所を走り回っている、そんなときは車体番号やナンバー、日時、写真を記録し、管轄の運輸支局や警察に情報提供する。警察は道路交通法63条にもとづいて整備不良車両を検査できる。感情的に直接注意するより、記録を当局に渡すほうが確実に動く
訴えられた側:1. 命令書の期限と対象箇所を確認し、すぐに整備工場を予約する2. 期限内に整備が難しい場合は、期限前に理由を添えて当局に相談する3. 整備明細・写真・点検整備記録簿を揃えて適合を証明する4. 使用停止を受けたら、適合後ただちに届け出て第3項による取消しを求める5. 処分自体に不服があれば、審査請求や取消訴訟の期限内に弁護士へ相談する
時効(請求できる期限):整備の期限は命令書ごとに指定される。命令や使用停止処分に不服がある場合、審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)、取消訴訟は処分を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)。罰則の内容は最新の改正状況をご確認ください
- 道路運送車両法 第46条保安基準の原則、命令の判断基準
- 道路運送車両法 第47条使用者の点検及び整備の義務
- 道路運送車両法 第48条定期点検整備、第4項勧告の前提
- 道路運送車両法 第49条点検整備記録簿、勧告時の確認対象
- 道路運送車両法 第54条の2不正改造車に対する整備命令の特則
- 道路交通法 第62条整備不良車両の運転禁止
- 道路交通法 第63条警察官による整備不良車両の検査・運転停止
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める