要点国税徴収法 135 条は、売却決定が取り消されたとき、税務署長が換価代金等の返還、移転登記の抹消嘱託、消滅した担保権登記の回復嘱託を行う義務を定める規定である。
Q · 公売で落札した物件の売却決定が取り消されたら、払ったお金と登記はどうなるの?
代金は返還され、登記は取消前の状態に巻き戻される
国税徴収法 135 条 1 項により、税務署長は売却決定を取り消したとき、①徴収職員が受領した換価代金等を買受人に返還し、②嘱託した権利移転登記の抹消を嘱託し、③換価により抹消された質権・抵当権等の登記の回復を嘱託しなければなりません。ただし同法 112 条 1 項により、動産等について取消を買受人に対抗できない場合は、この巻き戻しは行われません。さらに 2 項では、回復登記に係る担保権者が配当金を返還しないとき、税務署長がその金額を限度で代位でき、一部代位でも承諾なしにその債権者に優先して弁済を受けられます。
公売で競り落とした土地の売却決定が、後から取り消される。滞納者が期限ぎりぎりに国税を完納した、手続に瑕疵があった、理由はさまざまだ。そのとき国税徴収法 135 条が動き出し、時計の針を巻き戻す。税務署長はあなたに買受代金を返し、あなた名義に移した登記を消し、公売で消滅した抵当権を元に戻すよう登記所に嘱託する(嘱託とは、役所が登記所に登記を頼む手続のこと)。ただし本条ただし書が指す 112 条 1 項の場面、つまり動産や有価証券の取消を買受人に対抗できない場合は、巻き戻しは起きない。物はあなたの手元に残る。そして本当の本体は 2 項にある。配当を受けた抵当権者が金を返さないとき、税務署長はその者に代位する(代位とは、他人の債権者としての立場にそのまま乗り移ること)。しかも配当が被担保債権の一部にすぎなくても、その債権者の承諾はいらず、その債権者に優先して弁済を受けられる。民法 502 条の原則を正面から裏返した規定である。
国税徴収法 135 条は、売却決定が取り消された場合の原状回復手続を定める規定である。1 項は換価代金等の返還、権利移転登記の抹消嘱託、換価により消滅した担保権登記の回復嘱託の三手続を税務署長に義務づけ、112 条 1 項による買受人保護が働く場合を除外する。2 項は、配当金を返還しない担保権者に対する税務署長の代位権と、一部代位における優先弁済を規定する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
税務署長が一度行った公売物件の売却決定を、滞納国税の完納や手続の瑕疵などを理由に撤回する処分です。取消後は国税徴収法 135 条の原状回復手続が動きます。
135 条 1 項 1 号が返還を義務づけていますが、条文に期限の定めはありません。取消手続と並行して処理されるのが通例で、遅延分の扱いには明文がありません。
戻ります。135 条 1 項 3 号により、税務署長が抹消された質権・抵当権等の登記の回復を登記所に嘱託します。ただし不動産登記法 72 条の利害関係人の承諾が壁になる場合があります。
税務署長がその金額を限度として当該債権者に代位します(135 条 2 項)。一部代位でも承諾不要で、その債権者に優先して弁済を受けられます。
同法 112 条 1 項により、動産等の売却決定の取消を買受人に対抗できない場合です。この場合は原状回復手続を行わず、物は買受人の手元に残ります。
滞納処分に関する不服申立てとして審査請求を検討します。国税通則法 77 条の期限のほか、国税徴収法 171 条の特例が適用される場面があります。
民法 502 条では一部代位者は原債権者に劣後しますが、135 条 2 項後段は債権者の承諾不要かつ優先弁済を認めます。原則を正面から裏返した特則です。
原則として取消前の順位に戻りますが、抹消登記の回復には不動産登記法 72 条の利害関係人の承諾が必要です。取消までに新たな権利者が登場していると調整が要ります。
135 条 1 項 1 号で返還は義務づけられていますが、いつまでにという期限は条文にありません。実務では取消手続と並行して返還されますが、遅れた場合の利息相当分の扱いには明文がなく、争点になりえます。業界裏話ヒント:返還請求は必ず書面で日付を残す。取消の理由が国税の完納なのか手続の瑕疵なのかで、その後の損害の主張構成が変わるため、取消通知に書かれた根拠条文をまず特定する
税務署長がその金額を限度に、その銀行の債権者としての立場に代位します(135 条 2 項)。配当が被担保債権の一部でも、民法 502 条の原則と違って銀行の承諾なしに担保権を行使でき、銀行に優先して弁済を受けられます。業界裏話ヒント:一部代位で原債権者に優先できる規定はきわめて例外的。返還を渋る実益はほぼなく、交渉するなら返還の可否ではなく金額の内訳で詰める
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文が扱う場面 | 135 条:売却決定の取消後の原状回復(代金返還・登記抹消・担保権回復) | — |
| 主たる名宛人 | 税務署長(返還・嘱託義務)と配当を受けた担保権者 | — |
| 買受人への効果 | 代金が返還され、取得した権利の移転登記が抹消される | — |
| 担保権者への効果 | 消滅した担保権登記が回復し、配当金の返還義務と代位のリスクが生じる | — |
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