国税徴収法 第135条(売却決定の取消に伴う措置)
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- 税務署長は、売却決定を取り消したときは、次に掲げる手続をしなければならない。ただし、第百十二条第一項(動産等の売却決定の取消)の規定により、その取消をもつて買受人に対抗することができないときは、この限りでない。
- 一徴収職員が受領した換価代金等の買受人への返還
- 二第百二十一条(権利移転の登記の嘱託)その他の法令の規定により嘱託した換価に係る権利の移転の登記のまつ消の嘱託
- 三第百二十五条(換価に伴い消滅する権利の登記のまつ消の嘱託)その他の法令の規定による嘱託で換価に係るものによりまつ消された質権、抵当権その他の権利の登記の回復の登記の嘱託
- 2.前項第三号の規定により嘱託した回復の登記に係る質権者、抵当権者又は先取特権者に対し換価代金等から配当した金額がある場合において、これらの者がその金額を返還しないときは、税務署長は、その金額を限度として、これらの者に代位することができる。この場合において、配当した金額がその質権、抵当権又は先取特権により担保される債権の一部であるときは、税務署長は、その代位した債権者の承諾を要しないで、その代位に係る権利を行使し、かつ、その債権者に優先して弁済を受けることができる。
この条文の基本情報
売却決定の取消に伴う措置とは何ですか?
定義売却決定の取消に伴う措置とは、国税徴収法第135条に定められた規定で、「税務署長は、売却決定を取り消したときは、次に掲げる手続をしなければならない。ただし、第百十二条第一項(動産等の売却決定の取消)の規定により、その取消をもつて買受…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第135条(売却決定の取消に伴う措置)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第135条の条文原文は「税務署長は、売却決定を取り消したときは、次に掲げる手続をしなければならない。ただし、第百十二条第一項(動産等の売却決定の取消)の規定により、その取消をもつて買受…」で始まります。
- 国税徴収法第135条は第四節に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第135条の前の条は国税徴収法第134条です。
- 国税徴収法第135条の次の条は国税徴収法第136条です。
- 国税徴収法第135条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第135条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第135条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/135
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法135条は、売却決定が取り消されたとき、税務署長が換価代金等の返還、移転登記の抹消嘱託、消滅した担保権登記の回復嘱託を行う義務を定める規定である。
Q · 公売で落札した物件の売却決定が取り消されたら、払ったお金と登記はどうなるの?
代金は返還され、登記は取消前の状態に巻き戻される
国税徴収法135条1項により、税務署長は売却決定を取り消したとき、①徴収職員が受領した換価代金等を買受人に返還し、②嘱託した権利移転登記の抹消を嘱託し、③換価により抹消された質権・抵当権等の登記の回復を嘱託しなければなりません。ただし同法112条1項により、動産等について取消を買受人に対抗できない場合は、この巻き戻しは行われません。さらに2項では、回復登記に係る担保権者が配当金を返還しないとき、税務署長がその金額を限度で代位でき、一部代位でも承諾なしにその債権者に優先して弁済を受けられます。
解説
公売で競り落とした土地の売却決定が、後から取り消される。滞納者が期限ぎりぎりに国税を完納した、手続に瑕疵があった、理由はさまざまだ。そのとき国税徴収法135条が動き出し、時計の針を巻き戻す。税務署長はあなたに買受代金を返し、あなた名義に移した登記を消し、公売で消滅した抵当権を元に戻すよう登記所に嘱託する(嘱託とは、役所が登記所に登記を頼む手続のこと)。ただし本条ただし書が指す112条1項の場面、つまり動産や有価証券の取消を買受人に対抗できない場合は、巻き戻しは起きない。物はあなたの手元に残る。そして本当の本体は2項にある。配当を受けた抵当権者が金を返さないとき、税務署長はその者に代位する(代位とは、他人の債権者としての立場にそのまま乗り移ること)。しかも配当が被担保債権の一部にすぎなくても、その債権者の承諾はいらず、その債権者に優先して弁済を受けられる。民法502条の原則を正面から裏返した規定である。
法的な位置づけ
国税徴収法135条は、売却決定が取り消された場合の原状回復手続を定める規定である。1項は換価代金等の返還、権利移転登記の抹消嘱託、換価により消滅した担保権登記の回復嘱託の三手続を税務署長に義務づけ、112条1項による買受人保護が働く場合を除外する。2項は、配当金を返還しない担保権者に対する税務署長の代位権と、一部代位における優先弁済を規定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.取消通知の根拠と該当号を仕分ける 取消通知書に記載された取消の根拠条文を特定し、自分に関係するのが135条1項1号(代金返還)、2号(移転登記の抹消嘱託)、3号(担保権登記の回復嘱託)のどれかを仕分ける。買受人か担保権者かで動きが全く変わる
- 2.112条1項の適用の有無を先に確認する 対象が動産・有価証券の場合、135条ただし書が指す112条1項により取消を買受人に対抗できない場面ではないかを確認する。確認前に返還や引渡しに応じると、返す必要のないものを返すことになる
- 3.買受代金の返還を書面で請求し日付を残す 買受人は、取消通知を受領した直後に返還請求を書面で行い、請求日と受領日を記録する。口頭のやり取りだけで時間が経過すると、遅れに対する主張の起点そのものが失われる
- 4.担保権者は配当金の内訳を伝票レベルで検証する 配当金の返還を求められた担保権者は、その配当が本当に取り消された売却決定に基づくものか、金額と充当先を伝票レベルで確認する。争うなら債権額や充当の当否で争い、返還そのものの引き延ばしは選ばない
- 5.回復登記後に自分の順位を登記事項証明書で確認する 3号による回復登記の嘱託が入った後、登記事項証明書を取得して自分の担保権が取消前の順位で回復しているかを確認する。不動産登記法72条の利害関係人の承諾が絡む場合、想定どおりに戻っていないことがある
- 6.処分自体を争うなら不服申立ての期限を同時に押さえる 取消処分そのものに納得がいかない場合、返還や登記の実務対応と並行して審査請求の期限を確認する。滞納処分に関する不服申立ては国税通則法77条のほか国税徴収法171条の特例があるため、起算日を早期に確定させる
よくある質問 AI による整理
Q1公売の売却決定の取消とは何ですか?
税務署長が一度行った公売物件の売却決定を、滞納国税の完納や手続の瑕疵などを理由に撤回する処分です。取消後は国税徴収法135条の原状回復手続が動きます。
Q2売却決定が取り消されたら代金はいつ返ってきますか?
135条1項1号が返還を義務づけていますが、条文に期限の定めはありません。取消手続と並行して処理されるのが通例で、遅延分の扱いには明文がありません。
Q3公売で消えた抵当権は戻りますか?
戻ります。135条1項3号により、税務署長が抹消された質権・抵当権等の登記の回復を登記所に嘱託します。ただし不動産登記法72条の利害関係人の承諾が壁になる場合があります。
Q4配当を受けた銀行は返還しないとどうなりますか?
税務署長がその金額を限度として当該債権者に代位します(135条2項)。一部代位でも承諾不要で、その債権者に優先して弁済を受けられます。
Q5国税徴収法135条ただし書はどんな場面ですか?
同法112条1項により、動産等の売却決定の取消を買受人に対抗できない場合です。この場合は原状回復手続を行わず、物は買受人の手元に残ります。
Q6売却決定の取消処分に不服がある場合はどうしますか?
滞納処分に関する不服申立てとして審査請求を検討します。国税通則法77条の期限のほか、国税徴収法171条の特例が適用される場面があります。
Q7民法502条の一部代位と何が違いますか?
民法502条では一部代位者は原債権者に劣後しますが、135条2項後段は債権者の承諾不要かつ優先弁済を認めます。原則を正面から裏返した特則です。
Q8回復登記で自分の担保順位は元に戻りますか?
原則として取消前の順位に戻りますが、抹消登記の回復には不動産登記法72条の利害関係人の承諾が必要です。取消までに新たな権利者が登場していると調整が要ります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1公売で買った土地が取り消されました。払ったお金ってすぐ返ってくるんですか?
135条1項1号で返還は義務づけられていますが、いつまでにという期限は条文にありません。実務では取消手続と並行して返還されますが、遅れた場合の利息相当分の扱いには明文がなく、争点になりえます。実務のポイント:返還請求は必ず書面で日付を残す。取消の理由が国税の完納なのか手続の瑕疵なのかで、その後の損害の主張構成が変わるため、取消通知に書かれた根拠条文をまず特定する
Q2銀行が受け取った配当金を返さなかったら、どうなるんですか?
税務署長がその金額を限度に、その銀行の債権者としての立場に代位します(135条2項)。配当が被担保債権の一部でも、民法502条の原則と違って銀行の承諾なしに担保権を行使でき、銀行に優先して弁済を受けられます。実務のポイント:一部代位で原債権者に優先できる規定はきわめて例外的。返還を渋る実益はほぼなく、交渉するなら返還の可否ではなく金額の内訳で詰める
間違えやすい点 AI による整理
- 取り消されたのだから全部元通りになる、と考えるのが自然だ。だが本条ただし書が働く場面、すなわち112条1項により取消を買受人に対抗できない動産・有価証券では、巻き戻しは止まる。滞納者の側から見れば、国税を完納しても物は戻ってこないことがある
- 配当金を返さなければならないこと自体は多くの担当者が知っている。知られていないのはその深刻度だ。返さなければ国が代位するだけでなく、一部代位であるにもかかわらず承諾は不要で、しかもあなたに優先して弁済を受ける。民法502条の下なら守られていたはずの原債権者の地位が、ここでは丸ごと消える
- あなたから見れば「登記が元に戻るだけ」の事務手続だが、登記所から見れば抹消された登記の回復には利害関係人の承諾という壁がある(不動産登記法72条)。取消までの間に新たな権利者が登場していると、机上の巻き戻し図どおりには進まない。この場面の処理は実務上、慎重な検討を要する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文が扱う場面 | 135条:売却決定の取消後の原状回復(代金返還・登記抹消・担保権回復) | 112条:動産等について取消を買受人に対抗できない場合の買受人保護 115条:買受代金の不納付による売却決定の取消 |
| 主たる名宛人 | 税務署長(返還・嘱託義務)と配当を受けた担保権者 | 動産・有価証券の買受人 代金を納付しない買受人 |
| 買受人への効果 | 代金が返還され、取得した権利の移転登記が抹消される | 取消を対抗されず、目的物を保持できる 売却決定を失い、公売保証金は国税に充てられる扱いとなる |
| 担保権者への効果 | 消滅した担保権登記が回復し、配当金の返還義務と代位のリスクが生じる | 巻き戻しが止まるため担保権の回復も生じない 再公売に向けて手続がやり直される |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も拍賣が撤銷された場合、買受人への代金返還と塗銷された抵当権登記の回復という枠組みをとる。ただし日本135条2項のような、配当金未返還者に対する優先弁済付き代位の明文規定は置かれていない
韓国の国税徴収法も日本法を範に体系化されており、売却決定取消後の代金返還と登記回復の構造は近い
ドイツでは租税債権の不動産執行も原則として ZVG の枠組みに乗り、Zuschlag(競落許可)の取消後の代金返還・登記の処理は民事執行法制に統合されている
米国では公売後も一定期間の redemption(受戻し)が認められ、受戻しがあった場合の買受人への金銭処理という形で類似の巻き戻しが設計されている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 公売で落札した土地の売却決定が、代金を納めた三日後に取り消されたとしたら、あなたの金はいつ戻る? 135条1項1号は返還を義務づけているが、いつまでにという期限は一文字も書かれていない。つなぎ融資を組んで入札していれば、その間の利息はあなたの持ち出しになる。遅延分をどう扱うかは明文がなく、そこが交渉と争いの余地として残っている
- あなたが融資先の不動産の公売で配当を受けた金融機関の担当者だとする。半年後に売却決定が取り消され、税務署から配当金の返還を求められた。返さずに粘れば、税務署はあなたの抵当権そのものに代位し、あなたより先に回収していく。返還を渋るほど、担保から取れる実入りは減っていく
- 消えたはずの二番抵当が、登記簿に戻ってくる。売却決定取消の巻き戻しは、あなたの担保順位も巻き戻す。融資審査で「先順位なし」と判断した資料は、その日から使えない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取消通知が届いたら、1号(代金返還)、2号(移転登記の抹消嘱託)、3号(消滅した担保権の回復嘱託)のうち自分に関係する号を仕分ける2. 買受人なら返還請求を書面で行い、請求日と受領日を記録する3. 対象が動産・有価証券なら、112条1項により取消を対抗できない場面ではないかを先に確認する。確認前に返すと、返す必要のないものを返すことになる4. 取消処分自体に納得がいかないなら、審査請求の期限を同時に押さえる
訴えられた側:1. 配当金の返還を求められたら、その配当が本当に取り消された売却決定に基づくものか、金額と充当先を伝票レベルで確認する2. 返還を拒めば税務署長が2項で代位し、あなたの承諾なしに担保権を行使し、あなたより先に弁済を受ける3. 争うなら債権額や充当の当否で争い、返還そのものを引き延ばす戦い方は選ばない4. 回復登記が入る場合、自分の順位が本当に元に戻っているかを登記事項証明書で確認する
時効(請求できる期限):本条には返還や嘱託を行う期限の定めがない。取消処分そのものを争う場合、審査請求は処分があったことを知った日の翌日から3月以内が原則(国税通則法77条)で、滞納処分に関する不服申立てには国税徴収法171条の期限の特例がある。返還金の請求権については、公法上の金銭債権として会計法30条の5年を見るか、一般の消滅時効(民法166条)を見るかで実務上、解釈が分かれている。(最新の改正状況をご確認ください)
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