道路交通法 第116条
クイックジャンプ
- 車両等の運転者が業務上必要な注意を怠り、又は重大な過失により他人の建造物を損壊したときは、六月以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
- 2.特定自動運行を行う者又は特定自動運行のために使用される者が業務上必要な注意を怠り、又は重大な過失により、特定自動運行によつて他人の建造物を損壊したときは、六月以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 道路交通法第116条は、日本の道路交通法に含まれる条文です。
- 道路交通法第116条の条文原文は「車両等の運転者が業務上必要な注意を怠り、又は重大な過失により他人の建造物を損壊したときは、六月以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 道路交通法第116条は第八章 罰則に置かれています。
- 道路交通法の公布日は昭和35年6月25日です。
- 道路交通法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 道路交通法第116条の前の条は道路交通法第115条です。
- 道路交通法第116条の次の条は道路交通法第117条です。
- 道路交通法第116条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第116条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105 - 本サイト収録
道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第116条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/335AC0000000105/116
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点道路交通法116条は、運転者が業務上必要な注意を怠り、又は重大な過失で他人の建造物を損壊したとき、六月以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金を科す規定である。
Q · 車で他人の家の壁を壊したら、保険で直せば終わりですか?
重過失で建造物を壊すと刑事罰の対象になりうる
道路交通法116条は、車両等の運転者が業務上必要な注意を怠り、又は重大な過失により他人の建造物を損壊した場合、六月以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金を定めています。刑法には過失建造物損壊罪がないため、通常の不注意による物損は処罰されませんが、著しい速度超過、スマホ操作、極度の睡眠不足などが重なると重過失と評価されうる点が分岐点です。保険による修理費支払いは民事の賠償であり、刑事責任は別軌道で進行します。
解説
駐車場でハンドルを切り損ね、隣家のブロック塀を崩した。ガードレールを突き破って商店のシャッターに突っ込んだ。こういうとき「物を壊しただけだから、保険で直せば終わり」と考えるのが普通だ。だが道路交通法116条は、あなたを刑事被告人にしうる。要件は二つ、「業務上必要な注意を怠った」か「重大な過失」、そして壊したのが「他人の建造物」であること。ここが分岐点になる。単なる不注意で電柱やガードレールを壊しただけなら、この条文には乗らない。落ちるのは(1)重過失であること、(2)壊したものが建造物、つまり土地に定着し屋根と壁があり人が出入りできる構造物であることの二点。塀・門・カーポートが「建造物」に当たるかは事案ごとに争われる。さらに2項は、自動運行装置に乗った車を送り出す側、つまり特定自動運行を行う事業者と現場の担当者にも、同じ刑を用意している。ハンドルを握っていない人が刑事罰を受ける時代が、すでに条文に書き込まれている。
法的な位置づけ
道路交通法116条は、車両等の運転者又は特定自動運行に関与する者が、業務上必要な注意を怠り、又は重大な過失により他人の建造物を損壊した場合の刑事罰を定める規定である。刑法に存在しない過失建造物損壊を、道路交通の場面に限って可罰化する特別規定として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.損壊した対象の構造を即日記録する 壊した物が「建造物」に当たるかが本条成否の分岐点になるため、屋根・壁・柱の有無、土地への定着状況、家屋との接続部分を全方向から写真・動画で記録する。塀であれば基礎の深さと高さも撮影する
- 2.実況見分で憶測を語らない 重過失認定は事故直後の供述調書に記載された速度・前方不注視の程度・体調の記述で大枠が決まる。記憶が曖昧な部分は曖昧なまま述べ、断定的な自己批判の供述を避ける
- 3.業務運転なら勤務記録を確保する 業務上の運転であった場合、勤務時間・休憩時間・連続運転時間の記録を早期に取得する。過重労働が背景にあれば重過失評価が変わりうるため、会社側で記録が上書きされる前に写しを確保する
- 4.起訴判断前に修理費の支払いと示談を完了する 建物所有者から修理見積もりを取得し、保険会社の対物賠償と併せて全額支払いを進め、示談書を作成する。検察官の処分決定後では量刑への影響にとどまるため、事故から数週間が勝負どころとなる
- 5.弁護人を通じて処分意見書を提出する 示談書と領収書、構造上の争点(建造物性)、業務環境の資料をまとめ、起訴・不起訴の判断がなされる前に検察官へ提出する
よくある質問 AI による整理
Q1道路交通法116条とは何ですか?
重過失又は業務上の不注意で他人の建造物を車で壊した場合に、六月以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金を科す規定です。刑法にない過失建造物損壊を道路交通の場面に限り可罰化しています。
Q2物損事故で刑事罰を受けることはありますか?
あります。通常の物損は民事賠償で終わりますが、重過失かつ壊した対象が建造物であれば、道路交通法116条により刑事事件になりえます。
Q3重大な過失とはどの程度の不注意ですか?
著しい速度超過、赤信号無視、走行中のスマホ操作、極度の睡眠不足での運転など、わずかな注意で結果を回避できたのに漫然と運転した場合が典型です。
Q4ブロック塀は建造物に当たりますか?
争いがあります。屋根と壁があり土地に定着し人が出入りできる構造が建造物の目安で、単独の塀は否定される方向の議論が多いものの、家屋と一体なら評価が変わります。
Q5自動運転で建造物を壊したら誰が責任を負う?
道路交通法116条2項により、特定自動運行を行う者又はそのために使用される者が対象です。ハンドルを握っていない運行側の人間が刑事責任を負いえます。
Q6示談すれば起訴されませんか?
不起訴が確定するわけではありませんが、物損型の犯罪では被害回復の完了が不起訴の強い材料になります。検察官の処分決定前に示談を済ませることが重要です。
Q7道路交通法116条の時効はいつまで?
法定刑が六月以下の拘禁刑のため、公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項)です。起算点は犯罪行為が終わった時とされます。
Q8電柱やガードレールを壊した場合も116条ですか?
建造物に当たらない工作物の損壊は本条の対象外です。民事の損害賠償(民法709条)で処理され、刑事責任は原則として生じません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保険で全部直したのに、なんで警察や検察から連絡が来るんですか?
保険は民事の損害賠償を代わりに払う仕組みで、刑事責任とは別物だからである。道路交通法116条の成否は重過失の有無と対象が建造物かで決まり、修理が済んだかどうかは成立要件ではない。実務のポイント:修理完了と示談成立は成立要件ではないが、検察官の起訴裁量には強く効く。処分が決まる前に示談書と領収書を弁護人経由で提出できるかどうかで、結論が変わることがある
Q2ブロック塀を壊したんですけど、これも建造物ですか?
争いがあり、実務上、解釈が分かれている。判例上の建造物は屋根があり壁または柱で支えられ、土地に定着し人が出入りできる構造物とされる。単独のブロック塀は建造物性が否定される方向で議論されることが多いが、家屋と一体をなす部分であれば評価が変わる。実務のポイント:警察の当初の見立てが「建造物損壊」であっても、構造を争って本条の対象外に落とせる余地がある。塀の基礎・高さ・家屋との接続を事故直後に撮影しておくと、後の主張の土台になる
Q3自動運転の車が勝手に壁にぶつかったら、誰が罪に問われるんですか?
116条2項は、特定自動運行を行う者およびそのために使用される者を名指ししている。運行主体である事業者側の人間と、運行に従事する担当者が対象で、車内の乗客ではない。実務のポイント:どの職位の誰が「使用される者」に当たるかは、実際の業務分掌と指揮命令の実態で判断される。運行管理規程で責任の所在を曖昧にしておくと、事故後に現場の担当者一人が矢面に立つ構図になりやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 物を壊した場合には刑事責任はないと広く信じられている。実際、刑法には過失建造物損壊罪が存在しない。だが道路交通法116条が、車両等の運転という場面に限って、その空白を埋めている。刑法にないから安心という推論は、道路交通法の存在を見落としている
- 重過失という言葉は知っていても、そのハードルの低さを知らない人が多い。裁判実務では、著しい速度超過、赤信号無視、スマホ操作、極度の睡眠不足での運転など、日常的に起きている行為が重過失と評価されうる。特別に悪質な運転だけが対象という感覚は、実務と乖離している
- 「建造物を壊した」という問いの立て方自体がずれている場合がある。法的な争点は「壊れたものが建造物か」であって、ブロック塀・門扉・カーポートなどは屋根と壁の有無、土地への定着性、人の出入りの可否で判断が分かれる。建造物でなければ本条は成立せず、民事賠償だけで終わる。壊した物の構造こそが分岐点になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 成立要件の主観面 | 道交法116条:業務上必要な注意を怠る、又は重大な過失 | 刑法260条:故意による建造物損壊 民法709条:故意又は過失(軽過失で足りる) |
| 客体の範囲 | 他人の建造物に限定(工作物・器物は除外) | 他人の建造物又は艦船 他人の権利又は法律上保護される利益全般 |
| 効果 | 六月以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金 | 五年以下の拘禁刑(法定刑は要確認) 損害賠償義務(刑事罰なし) |
| 自動運転への適用 | 2項で特定自動運行を行う者・使用される者を明示 | 故意犯のため過失型の自動運行事案は不適用 運行供用者責任等の民事枠組で処理 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の毀壊建築物罪は故意犯であり、過失による建物損壊は民法184条の損害賠償で処理される。日本のように交通場面限定で過失を可罰化する特別規定は置かれていない
韓国は刑法典自体に業務上過失・重過失による損壊罪を置き、対象を建造物に限定しない。日本が道路交通法の特別規定で処理する領域を、韓国は一般刑法で広くカバーする点が構造的な違い
ドイツの建造物破壊罪は故意犯で、過失類型を欠く。過失による建物損壊は BGB § 823の民事責任と、道路交通法上の秩序違反(Ordnungswidrigkeit)で処理される
米国では州により recklessness を要件とする criminal mischief 類型があり、単純過失は民事のみ。建造物か否かで区別せず損害額で軽重を分ける立法例が多い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 配送業のドライバーとして、スマホを見ながら住宅街を走行中、車庫の壁に突っ込んだ。物損だけだから警察の実況見分だけで終わると思っていたら、後日検察から呼出状が届く。「業務上」と「わき見」が重なると、116条の射程に入る。保険が修理費を払っても、刑事責任は別軌道で進む
- 飲酒はしていないが、極度の睡眠不足で居眠り運転をし、コンビニの店舗に突っ込んだ。「うっかりです」で通ると思っている。だが8時間連続勤務後の運転で意識朦朧のまま走ることは、裁判所が重過失を認定しやすい典型パターンだ
- もし壊したのが自宅の隣に建つ、あなたの親名義の物置だったら? 「他人の建造物」の他人性は、所有権が誰にあるかで決まる。同居していても名義が親なら他人の建造物になりうる。ただし親告罪ではないため、親が許しても捜査は動く
- 自動運転バスを運行する事業者の運行管理担当者。センサーの汚れを知りながら整備を後回しにして車両を出し、バスが停留所の待合所を破壊した。あなたはハンドルを握っていない。それでも2項の「特定自動運行のために使用される者」として、六月以下の拘禁刑の対象になる
- 物損事故から3日。相手方の建物所有者はまだ何も言ってこない。だがこの数日で示談が動くかどうかが、検察官の起訴判断の材料になる。今週中に修理見積もりと謝罪の接触ができるかどうかが、前科の有無を分ける
取るべき行動
被害を受けた側:1. 建物の損壊状況を写真・動画で全方向から記録し、修理見積もりを複数社から取得する2. 警察に物損事故として届け出て、実況見分に立ち会う。加害者の運転状況(速度、わき見、体調)を見聞きした範囲で正確に伝える3. 修理費・営業損害・仮住まい費用などの民事賠償は道路交通法ではなく民法709条で請求する。刑事と民事は別軌道であり、示談しても捜査は続く4. 悪質性が高いと考えるなら、刑事処罰を求める意向を捜査機関に明示する
訴えられた側:1. 実況見分で憶測を語らない。速度や視線について記憶が曖昧なら、曖昧なままを述べる。断定的な自白調書が重過失認定の決め手になる2. 壊した物が「建造物」に当たるか、構造(屋根・壁・定着性)を写真で記録し弁護人と検討する3. 起訴判断前に修理費の全額支払いと示談書作成を最優先する4. 業務上の運転であれば、勤務時間・休憩の記録を確保する。過重労働が背景にあれば重過失評価が変わりうる
時効(請求できる期限):本罪の法定刑は六月以下の拘禁刑であるため、公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項)。起算点は犯罪行為が終わった時。ただし実務上の勝負どころは時効ではなく、事故から数週間から数か月で下される検察官の起訴・不起訴判断のタイミングにある
学説
通説:刑法は過失による財産損壊を原則として処罰せず、民事賠償に委ねる。道路交通法116条は、車両という高い危険源を用いる場面に限り、重過失以上の主観と建造物という客体で二重に絞り込んだうえで可罰化した例外規定と理解されている。
建造物該当性に関する議論:建造物は屋根・壁又は柱・土地への定着・人の出入り可能性で判断される。単独のブロック塀については建造物性を否定する方向の議論が有力である一方、家屋と構造的に一体をなす部分については肯定的評価もあり、事案ごとに争われる。
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)道路交通法改正 レベル4の特定自動運行に関する規定が整備され、本条に特定自動運行を行う者等を対象とする項が置かれた。具体的な項番号と施行日の対応は要検証
- 令和4年(2022年)刑法等改正、令和7年(2025年6月1日)施行 懲役と禁錮の拘禁刑への統合に伴い、本条の刑名が「懲役」から「拘禁刑」へ改められた
改正の年表
- 1.昭和35年(1960年) 新設:道路交通法の制定に伴い、車両等の運転者による業務上過失又は重過失の建造物損壊に対する罰則が置かれた。具体的な条番号の変遷は要検証
- 2.令和4年(2022年) 改正:レベル4の特定自動運行に関する規定整備に伴い、特定自動運行を行う者及びそのために使用される者を対象とする項が置かれた。施行日と項番号の対応は要検証
- 3.令和4年(2022年)成立・令和7年(2025年6月1日)施行 改正:刑法等の一部改正による懲役・禁錮の拘禁刑への統合に伴い、本条の刑名が「懲役」から「拘禁刑」に改められた
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