道路交通法 第117条
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- 車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反したときは、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
- 2.前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、十年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
- 3.特定自動運行において特定自動運行用自動車の交通による人の死傷があつた場合において、第七十五条の二十三(特定自動運行において交通事故があつた場合の措置)第一項前段又は第三項前段の規定に違反したとき(特定自動運行主任者が違反した場合に限る。)は、当該違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 道路交通法第117条は、日本の道路交通法に含まれる条文です。
- 道路交通法第117条の条文原文は「車両等(軽車両を除く。」で始まります。
- 道路交通法第117条は第八章 罰則に置かれています。
- 道路交通法の公布日は昭和35年6月25日です。
- 道路交通法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 道路交通法第117条の前の条は道路交通法第116条です。
- 道路交通法第117条の次の条は道路交通法第117条の2です。
- 道路交通法第117条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第117条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105 - 本サイト収録
道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第117条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/335AC0000000105/117
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点道路交通法117条は、事故で人を死傷させた運転者が救護義務に違反して現場を離れた場合、5年以下の拘禁刑、死傷が自らの運転に起因するときは10年以下の拘禁刑を科す。
Q · 人をはねてしまった罪より、その場から逃げた罪の方が重いって本当ですか?
本当です。逃げた不作為の方が上限が重くなります
道路交通法117条2項は、事故による死傷が自分の運転に起因する場合、救護義務に違反して現場を離れた運転者に10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金を科します。はねた行為自体の過失運転致死傷(自動車運転死傷行為処罰法5条)は7年以下ですから、上限は逃げた方が重い。しかも実務では両罪が併合罪として処理され、量刑は実刑域に届きやすくなります。死傷が自分の運転に起因しない場合でも1項で5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。
解説
深夜、人を車ではねてしまった運転者が犯す最大の誤りは、逃げることだ。多くの人が「捕まったら業務上の過失を問われる」と考えるが、実際にあなたを最も重く縛るのはその過失ではない。道路交通法117条は、事故で人を死傷させた運転者が現場で負傷者を救護せず立ち去った場合、その死傷が自分の運転に起因するとき、10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金を科す。ここで直視すべきは重さの逆転だ。うっかり人をはねた行為そのもの(過失運転致死傷、自動車運転死傷行為処罰法5条)は7年以下。ところが、はねた後に逃げるだけで、上限が10年に跳ね上がる。つまり日本の法は「事故を起こしたこと」より「見捨てて逃げたこと」を重く罰する。パニックで数十秒その場を離れた選択が、あなたの人生から数年を奪う分水嶺になる。軽車両(自転車)は1項の対象外だが、自動車と原付は例外なくこの射程に入る。
法的な位置づけ
道路交通法117条は、交通事故により人を死傷させた車両等(軽車両を除く)の運転者が、同法72条1項前段の救護義務に違反したときの罰則を定める規定である。基本類型は5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、死傷が当該運転者の運転に起因する場合は10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に加重される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.接触の感触があったら直ちに停止して外に出る 何かに当たった感触・音があった時点でハザードを点灯して停止し、車外に出て路上と車体前部・下部を目視確認する。停止しないまま走り続けた時間が長いほど「気付かなかった」の主張は通りにくくなる
- 2.負傷者の救護を最優先(119番) 負傷者がいれば119番に通報し、救急隊到着まで安全な場所への移動や止血など可能な救護を行う。72条1項前段の救護義務はこの段階の義務であり、117条が処罰するのはこの不履行である
- 3.110番で警察に報告し、通話記録を残す 相手が「大丈夫」と言って立ち去ろうとしても、自分から110番して事故の日時・場所・死傷者数・損壊状況を報告する。この通報記録が、後日ひき逃げを疑われたときに「逃げる意思はなかった」ことを裏づける客観証拠になる
- 4.人身事故として届け出て、証拠を保全する 負傷の可能性がある限り物損扱いにせず人身事故として届け出る。ドライブレコーダーの映像は上書きされる前に保存し、現場写真・目撃者の連絡先も確保する
- 5.既に現場を離れてしまった場合は自ら出頭する 怖くなって離れてしまったなら、時間が経つほど不利になる。弁護人を選任したうえで速やかに警察へ出頭する。捜査機関に発覚する前の自首は刑法42条による減軽の対象となり、身柄処分の判断にも影響する
よくある質問 AI による整理
Q1ひき逃げの罰則はどれくらいですか?
道路交通法117条1項は5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、死傷が自らの運転に起因する2項は10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。
Q2ひき逃げの時効は何年ですか?
公訴時効は法定刑で決まり、10年以下の拘禁刑にあたる117条2項は原則7年、5年以下の1項は原則5年です(刑事訴訟法250条)。起算点は犯罪行為が終わった時点です。
Q3ひき逃げは初犯でも実刑になりますか?
実刑の可能性は十分あります。過失運転致死傷と併合罪になり、被害の程度、飲酒の有無、逃走時間、示談の成否で分かれます。起訴前の救護・謝罪・賠償が執行猶予の分水嶺です。
Q4ひき逃げで免許はどうなりますか?
救護義務違反は違反点数が極めて重く、免許取消しと長期の欠格期間が原則です。具体的な点数と欠格期間は道路交通法施行令の基準によります。
Q5自転車で人をはねて逃げたらひき逃げですか?
117条1項は軽車両を除くため自転車は同項の主体になりませんが、72条の救護・報告義務は自転車にも及び、違反すれば他の罰則規定(117条の5、119条など)の適用が問題になります。
Q6ひき逃げで自首したらどうなりますか?
捜査機関に発覚する前の自首は刑法42条により刑の減軽が可能で、逮捕・勾留の必要性判断にも有利に働きます。弁護人を選任したうえで早期に出頭するのが実務の定石です。
Q7自動運転(レベル4)の事故は誰が罰せられますか?
117条3項は、特定自動運行用自動車の事故で75条の23の措置義務に違反した特定自動運行主任者を、5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金で処罰します。
Q8ひき逃げで示談すれば不起訴になりますか?
示談は不起訴や執行猶予の重要な情状ですが、被害者の意思だけで消える罪ではなく、必ず不起訴になるとは限りません。起訴前に成立させるほど効果は大きくなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1軽くコツンと当たっただけで、相手も『大丈夫』って歩いて行ったんですけど、警察呼ばなきゃダメですか?
呼ぶ必要がある。人に接触して少しでも負傷の可能性があれば人身事故で、72条の救護義務と報告義務が発生する。相手が『大丈夫』と言って去っても義務は消えず、報告せず走り去れば117条か119条に問われうる。実務のポイント:後日、相手が痛みを訴えて被害届を出し、防犯カメラであなたの車が特定されると、その場では軽微だった話が一転してひき逃げ事件になる。呼ぶ手間を惜しんだ数分が、前科の有無を分ける
Q2当て逃げとひき逃げって、そんなに違うんですか?
まったく違う。当て逃げは物(車やガードレール)だけを壊して逃げる物損の措置義務違反で、ひき逃げは人を死傷させて救護せず逃げる人身の救護義務違反だ。ひき逃げは117条2項で10年以下の拘禁刑と、桁違いに重い。実務のポイント:現場では『物損で処理してほしい』と持ちかけられることがあるが、負傷の事実を隠して物損届にすると、後で発覚したとき救護義務違反の立証で決定的に不利になる。人身は人身として届けるのが結局あなたを守る
Q3本当にぶつかったことに気付かなかった場合でも、ひき逃げになりますか?
ならない可能性がある。117条の救護義務違反は、人を死傷させたことの認識(少なくとも未必的な気付き)が前提で、まったく気付かなかったなら故意が欠ける。ただし実務では、衝突の衝撃や音、破損状況から『気付かなかったはずがない』と認定されることが多い。実務のポイント:『気付かなかった』の主張が通るかは、車速・接触部位・車体の損傷・ドラレコの音声など客観証拠の積み重ね次第。感覚論ではなく、鑑定と映像で争う領域だと知っておくと弁護方針の意味が分かる
間違えやすい点 AI による整理
- 「ひき逃げは逃げたことへのペナルティ」と軽く捉えている人が多いが、事の深刻さを見誤っている。逃げた罪(10年以下)は、はねた過失そのもの(7年以下)より上限が重い。さらに実務では両者が併合罪となり、量刑はほぼ確実に実刑域に届く。「逃げ得」という発想が成立する余地は、法の設計上どこにもない
- 「相手が『大丈夫』と言って立ち去ったから、こちらに義務はない」と考えるのは、問いの立て方が間違っている。72条の救護義務・報告義務は被害者の意向で免除される性質のものではなく、事故を起こした運転者に課された公的な義務だ。相手が去っても、あなたが警察に報告しなければ義務違反は残る
- 「軽くぶつけただけなら物損だから、当て逃げで済む」と思い込みがちだが、人にわずかでも接触して負傷があれば、それは物損ではなく人身事故だ。当て逃げ(物損の措置義務違反)とひき逃げ(人身の救護義務違反)は、適用条文も刑の重さもまるで違う。この線引きを誤ると、想定より一段重い罪に問われる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰される行為 | 道交法117条:72条1項前段の救護義務違反(逃げた不作為) | 道交法119条:報告義務違反等の措置義務違反 自動車運転死傷行為処罰法5条:過失運転致死傷(はねた行為自体) |
| 法定刑の上限 | 1項5年以下/2項10年以下の拘禁刑(罰金50万円・100万円以下) | 3月以下の懲役または5万円以下の罰金など、類型により軽い 7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 主体 | 車両等(軽車両を除く)の運転者、3項は特定自動運行主任者 | 車両等の運転者その他の乗務員(軽車両を含む類型あり) 自動車の運転者 |
| 実務での関係 | 過失運転致死傷と併合罪となり量刑が実刑域へ振れる中核 | 救護は尽くしたが報告を怠った場合の受け皿 ひき逃げの基本犯、117条と同時に起訴されるのが通常 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は逃逸を独立の刑法犯として規定し、致傷と致死で法定刑を分ける。行政罰(吊銷駕照)と刑事罰が並走する二層構造は日本と近い
韓国は「뺑소니」を特別法で加重処罰し、致死の場合は無期または5年以上の懲役と、日本より上限が著しく重い
ドイツは刑法典本体に規定し3年以下の自由刑または罰金。ただし事後の任意の届出による刑の減免(tätige Reue)制度を明文で持つ点が日本と異なる
米国は州法で規律し、負傷の程度によって felony と misdemeanor を切り分ける。連邦法の統一規定はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 深夜の帰宅路、何かに乗り上げた鈍い感触。人だったかもしれないが、酒も入っていて怖くなり、そのまま家に帰った。あと数時間で夜が明ける。今すぐ引き返して110番するか、黙って眠るか。この一晩の判断が、過失だけで済む未来と、ひき逃げで実刑になる未来を分ける
- もしスーパーの駐車場でバックしたとき歩行者の足に軽く当て、相手が「大丈夫です」と言ってその場を立ち去ったら、あなたはそのまま帰っていいのか。答えは否。72条の救護義務と報告義務は、相手の一言では消えない。軽微に見えても人身事故なら、警察に届けず走り去った時点で117条か119条の射程に入る
- 自転車の子どもと接触し、子どもは泣きながらも立ち上がって走り去った。あなたは「向こうが行ってしまったから」と自分も発進した。だが救護と報告を尽くさなかったのはあなただ。相手が去ったことは、あなたの義務違反を正当化しない
- 同乗者に「早く行こう、大したことない」と急かされ、負傷者を残して現場を出た。急かした同乗者ではなく、ハンドルを握っていたあなたが117条の主体になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. はねられて相手が逃げた場合、まず自分の身の安全確保と119番、続けて110番。相手車のナンバー・車種・色・特徴を記憶できる範囲でメモ2. 周囲の防犯カメラ・ドラレコ・目撃者を早期に確保するよう警察に依頼、映像の保存期間は短いので時間との勝負3. 診断書を取り、人身事故として届け出る(物損扱いだと救護義務違反を立証しにくくなる) 4. 賠償は別途民事で(民法709条、710条)。相手が特定できない場合は政府保障事業(自動車損害賠償保障法)による救済を検討
訴えられた側:1. 逃げてしまった、または疑われている場合、一刻も早く自ら警察へ出頭し弁護人を選任。自首(刑法42条)は量刑上の重要な情状になる2. 「衝突に気付かなかった」という認識の有無は117条成立の核心。事実を弁護人に正確に伝え、供述の一貫性を保つ3. 被害者への救護・謝罪・賠償を起訴前に尽くし、示談を目指す4. 過失運転致死傷(自動車運転死傷行為処罰法5条)との併合を前提に、実刑回避と執行猶予獲得の弁護方針を早期に固める
時効(請求できる期限):公訴時効は罪の重さで異なり、10年以下の拘禁刑にあたる運転起因のひき逃げ(2項)は原則7年、5年以下(1項)は原則5年(刑事訴訟法250条)。起算点は現場から立ち去るなど犯罪行為が終わった時点。身柄拘束は逮捕から最大23日で検察官が起訴・不起訴を判断する。(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:117条の保護法益は負傷者の生命・身体の安全であり、抽象的な交通秩序ではないと解される。したがって救護義務は被害者の同意や辞退によって免除されず、運転者が自ら現場に留まり救護と報告を尽くすことが義務の核心となる。
有力説:2項の「運転に起因する」の解釈をめぐり、運転行為と死傷との間に相当因果関係を要求する見解と、物理的な起因性で足りるとする見解が対立する。前者に立てば、被害者側の異常な挙動が介在した事案で1項に落ちる余地が生じる。
改正沿革 AI による整理
- 平成19年(2007年) ひき逃げ厳罰化。運転に起因する死傷の救護義務違反(現2項)の法定刑上限を5年から10年の懲役へ引き上げ、逃げ得を許さない量刑構造を明確化した
- 令和4年(2022年) 特定自動運行(レベル4自動運転)制度の創設に伴い、特定自動運行主任者の事故措置義務違反を処罰する3項を新設
- 令和4年(2022年)公布・令和7年(2025年6月1日)施行 刑法改正に伴う懲役・禁錮の統合により、法定刑の『懲役』を『拘禁刑』へ改めた
改正の年表
- 1.昭和35年(1960年) 新設:道路交通取締法を全面改正して道路交通法を制定。事故時の措置義務(現72条)と、その違反に対する罰則の枠組みが整備された
- 2.平成19年(2007年) 改正:ひき逃げ厳罰化。運転に起因する死傷の救護義務違反(現2項)の法定刑上限を5年から10年へ引き上げ、逃げ得を許さない量刑構造を明確化した
- 3.令和4年(2022年) 改正:特定自動運行(レベル4自動運転)制度の創設に伴い、特定自動運行主任者の事故措置義務違反を処罰する3項を新設
- 4.令和4年(2022年)公布・令和7年(2025年)施行 改正:刑法改正による懲役・禁錮の拘禁刑への一本化に伴い、本条の法定刑の表記を「懲役」から「拘禁刑」へ改めた
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