要点商業登記法 146 条は、審査請求に理由があると認めた法務局長が登記官に相当の処分を命じ、審査請求人と登記上の利害関係人に通知すべきことを定める。局長は登記を自ら行わない。
Q · 登記の審査請求に勝ったら、法務局長が登記を直してくれるの?
いいえ。局長は登記官に命じるだけで、実際に登記するのは登記官です
商業登記法 146 条 1 項により、法務局または地方法務局の長は審査請求に理由があると認めるとき、登記官に相当の処分を命じ、その旨を審査請求人のほか登記上の利害関係人にも通知します。局長自身が登記記録に手を入れるのではなく、是正を実行するのは命令を受けた登記官です。また同条 2 項では、不作為に係る審査請求について申請を却下すべきと認める場合、局長は登記官に却下処分を命じます。却下という処分が出ることで、以後の争訟の対象が生まれます。
役員変更の登記申請が却下された。納得できずに監督法務局の長へ審査請求を出し、そして通った。ここで多くの人が誤解する。法務局長が自ら登記簿を書き換えてくれる、と。違う。本条が定めるのは「命令」である。法務局長は登記官に相当の処分を命じるだけで、実際にペンを持つのは、あなたを却下したその登記官本人だ。もう一つ、読み飛ばされる一文がある。法務局長は結果を審査請求人だけでなく「登記上の利害関係人」にも通知しなければならない。あなたが勝った瞬間、その登記で立場が揺らぐ取締役や共同出資者にも通知が飛ぶ。勝利は密室では終わらない。そして第2項。登記官が何もしないという不作為を攻めた場合、法務局長は逆に「却下せよ」と命じることがある。負けたように見えて、実は前に進んでいる。動かない役所は攻めにくいが、却下という処分が生まれれば、そこから先の争い方が開ける。
商業登記法 146 条は、登記官の処分または不作為に対する審査請求の裁断方法を定める規定である。監督する法務局または地方法務局の長は、審査請求に理由があると認めるときは登記官に相当の処分を命じ、審査請求人および登記上の利害関係人に通知する。申請を却下すべきと認めるときは、登記官に却下処分を命じる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
登記官の処分や不作為に不服がある人が、その登記官を監督する法務局・地方法務局の長に是正を求める行政上の不服申立てです。商業登記法 142 条以下が定めます。
宛先は監督する法務局または地方法務局の長ですが、提出は当該登記官を経由して行います(商業登記法 143 条)。窓口の登記官が自ら誤りを認めれば 144 条でその場で是正されます。
146 条 1 項により局長が登記官に相当の処分を命じ、審査請求人と登記上の利害関係人に通知します。実際の登記の実行は命令を受けた登記官が行います。
登記の是正はその登記に利害を持つ第三者の地位も動かすためです。146 条 1 項は当事者と行政の二者だけで第三者が不意打ちを受けないよう通知を義務づけています。
できます。不作為も審査請求の対象で、局長が処分をすべきと認めれば登記官に命じ、逆に申請に理由がないと認めれば 146 条 2 項により却下処分を命じます。
実務上は必ずしも敗北ではありません。却下という処分が出ることで、その処分を対象に審査請求や取消訴訟で争える形が生まれ、放置状態の膠着を破れます。
登記官の処分に対する審査請求には行政不服審査法の請求期間の規定が適用されず、違法状態が是正されない限り申立て可能と解されています。ただし登記完了後は実務上の制約があります。
審査請求は費用も時間も軽く、まず選ばれます。局長の判断に納得できない場合や不作為が続く場合に、行政事件訴訟法 3 条の取消訴訟・不作為の違法確認訴訟へ進む流れが一般的です。
法務局長の命令は登記官を職務上拘束するので、従わないという事態は実務上まず起きない。多くは実行までの事務処理に数日かかっているだけである。まず登記官に完了予定日を確認し、それでも進まなければ監督法務局へ照会する。業界裏話ヒント:命令の段階で法務局長名の通知書が手元に来る。金融機関や取引先には、証明書が書き換わる前でもこの通知書の写しで事情を説明できることが多い。待つしかないと思い込んでいる人だけが、数日分の信用を落とす
不作為の違法確認訴訟(行政事件訴訟法3条5項)は重く時間もかかる。先に商業登記法142条の不作為に係る審査請求を出す方が速い。法務局長が申請に理由がないと認めれば、本条2項により却下を命じる。業界裏話ヒント:この「却下せよ」という命令は敗北ではない。却下処分という形が出て初めて、その処分を対象に争える。放置され続ける状態こそ最も不利だと知っている実務家は、あえて却下を取りに行く
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 誰が判断し誰が実行するか | 146 条:局長が命令、登記官が実行 | — |
| 手続上の位置 | 審査請求の終局的な処理段階 | — |
| 期限の定め | 命令後の登記実行に法定期限なし | — |
| 第三者への通知 | 審査請求人のほか登記上の利害関係人にも通知が必要 | — |
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