電気事業法 第58条(一時使用)
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- 電気事業者(小売電気事業者及び特定卸供給事業者を除く。以下この章において同じ。)は、次に掲げる目的のため他人の土地又はこれに定着する建物その他の工作物(以下「土地等」という。)を利用することが必要であり、かつ、やむを得ないときは、その土地等の利用を著しく妨げない限度において、これを一時使用することができる。ただし、建物その他の工作物にあつては、電線路(その電線路の維持及び運用に必要な通信の用に供する線路を含む。)又はその附属設備(以下この章において「電線路」と総称する。)を支持するために利用する場合に限る。
- 一電気事業(小売電気事業及び特定卸供給事業を除く。以下この章において同じ。)の用に供する電線路に関する工事の施行のため必要な資材若しくは車両の置場、土石の捨場、作業場、架線のためのやぐら又は索道の設置
- 二天災、事変その他の非常事態が発生した場合において、緊急に電気を供給するための電線路の設置
- 三電気事業の用に供する電気工作物の設置のための測標の設置
- 2.電気事業者は、前項の規定により他人の土地等を一時使用しようとするときは、経済産業大臣の許可を受けなければならない。ただし、天災、事変その他の非常事態が発生した場合において、十五日以内の期間一時使用するときは、この限りでない。
- 3.経済産業大臣は、前項の許可の申請があつたときは、その旨を土地等の所有者及び占有者に通知し、意見書を提出する機会を与えなければならない。
- 4.電気事業者は、第一項の規定により他人の土地等を一時使用しようとするときは、あらかじめ、土地等の占有者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難なときは、使用の開始の後、遅滞なく、通知することをもつて足りる。
- 5.第一項の規定により一時使用しようとする土地等が居住の用に供されているときは、その居住者の承諾を得なければならない。
- 6.第一項の規定による一時使用の期間は、六月(同項第二号の場合において、仮電線路を設置したとき、又は同項第三号の規定により一時使用するときは、一年)をこえることができない。
- 7.第一項の規定による一時使用のため他人の土地等に立ち入る者は、第二項の許可を受けたことを証する書面を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。ただし、同項ただし書の場合は、この限りでない。
この条文の基本情報
一時使用とは何ですか?
定義一時使用とは、電気事業法第58条に定められた規定で、「電気事業者(小売電気事業者及び特定卸供給事業者を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 電気事業法第58条(一時使用)は、日本の電気事業法に含まれる条文です。
- 電気事業法第58条の条文原文は「電気事業者(小売電気事業者及び特定卸供給事業者を除く。」で始まります。
- 電気事業法第58条は第四章 土地等の使用に置かれています。
- 電気事業法の公布日は昭和39年7月11日です。
- 電気事業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 電気事業法第58条の前の条は電気事業法第57条の2です。
- 電気事業法第58条の次の条は電気事業法第59条です。
- 電気事業法第58条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第58条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000170 - 本サイト収録
電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第58条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/339AC0000000170/58
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点電気事業法58条は、電気事業者が工事の資材置場・非常時の電線路・測標のため他人の土地等を一時使用できると定め、原則として経済産業大臣の許可を要する。
Q · 電力会社が自分の土地に勝手に資材を置いていたら、違法ですか?
原則は大臣の許可が必要。非常時の15日以内のみ例外
電気事業法58条により、電気事業者は工事の資材置場や作業場、非常時の電線路、測標のために他人の土地等を一時使用できますが、原則として経済産業大臣の許可を受け、あらかじめ占有者に通知しなければなりません。許可が不要になるのは、非常事態で15日以内の使用に限られます。居住の用に供されている土地等は、非常時でも居住者の承諾が必要です。許可も通知もなく、非常時でもなければ、本条の要件を欠いている可能性があります。
解説
台風が去った翌朝、自分の畑に電力会社の資材と高所作業車が並んでいる。電気事業法58条によれば、これは不法占拠とは限らない。一般送配電事業者などは、工事用の資材置場や作業場、非常時の仮設電線路、測量用の目印を置くために、他人の土地を「一時使用」できる。ただし、何でも許されるわけではない。原則として経済産業大臣の許可が必要である。許可の申請があると、所有者と占有者には意見書を出す機会が与えられる。使う前には占有者に通知しなければならない。使える期間は最長6か月(仮設電線路と測標は1年)である。非常時でも許可を省けるのは15日以内の使用に限られる。人が住んでいる土地や建物なら、非常時であっても居住者の承諾がなければ使えない。建物を使えるのは電線を支える場合だけである。立ち入る作業員は許可証を持ち歩く義務を負っており、あなたが「見せてください」と言えば提示しなければならない(非常時に許可なしで使う場合を除く)。電力会社に従うしかないと思っていた場面で、あなたが確認すべき項目は条文にすべて書いてある
法的な位置づけ
電気事業法58条は、小売電気事業者及び特定卸供給事業者を除く電気事業者が、電線路工事の資材置場・作業場等、非常時の電線路、電気工作物設置のための測標の各目的で、必要かつやむを得ない場合に、利用を著しく妨げない限度で他人の土地等を一時使用できる旨を定める規定である。原則として経済産業大臣の許可を要する。
手順
- 1.作業の根拠と許可証を確認する 作業責任者に、使用目的が58条1項のどの号に当たるかと、経済産業大臣の許可証の有無を尋ね、許可証を撮影する。非常時を理由とする場合は、その旨と使用開始日を記録する
- 2.通知と期間の上限を照合する 事前の通知(困難な場合は事後の遅滞ない通知)があったかを確認し、使用期間が6か月(仮電線路・測標は1年、非常時の許可不要使用は15日)を超えないかをカレンダーで管理する
- 3.居住部分への使用は承諾の有無を明確にする 住居として使っている土地・建物が対象なら、居住者本人の承諾が必要である。承諾しない場合や条件付きで承諾する場合は、その内容を書面で事業者に伝える
- 4.損失の記録と補償請求の準備 使用前後の土地・作物・舗装の状態を日付入り写真で残し、原状回復費用や作物被害の見積りを取ったうえで、事業者に損失補償を求める
よくある質問 AI による整理
Q1電気事業法58条とは?
電気事業者が電線路工事や非常時の電線路設置、測標設置のために、他人の土地や建物を一時的に使用できる条件を定めた規定です。
Q2電力会社の土地の一時使用はいつまで?
原則6か月以内です。非常時に仮電線路を設置した場合と測標の場合は1年が上限です(58条6項)。
Q3電力会社の作業員に許可証を見せてもらえる?
できます。立ち入る者は許可を証する書面を携帯し、関係人の請求があれば提示する義務があります。非常時の許可不要の場合は除きます(58条7項)。
Q4電力会社は建物も一時使用できる?
建物その他の工作物を使えるのは、電線路やその附属設備を支持するために利用する場合に限られます(58条1項ただし書)。
Q5小売電気事業者も土地を一時使用できる?
できません。本条の主体から小売電気事業者と特定卸供給事業者は除かれています。主に送配電を担う事業者が想定されています。
Q6電力会社の一時使用の通知はいつ来る?
原則として使用前に占有者へ通知されます。あらかじめ通知することが困難なときは、使用開始後遅滞なく通知すれば足ります(58条4項)。
Q7大臣から一時使用許可申請の通知が来たらどうする?
所有者・占有者には意見書を提出する機会があります(58条3項)。使用範囲や時間帯、原状回復方法などの要望を具体的に書くのが有効です。
Q8電力会社に土地を使われたら補償はある?
適法な一時使用でも損失が生じれば、同法の損失補償規定に基づく請求を検討できます。使用前後の写真など、被害を示す記録が重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1電力会社に『資材を置かせて』と言われたら、断れないんですか?
ありません。電気事業法58条の一時使用は、原則として経済産業大臣の許可を前提にしています。許可を受けていなければ、法的な裏付けのない、ただのお願いにすぎません。許可を受けていても、所有者と占有者には意見書を出す機会があります。実務のポイント:現場はたいてい任意交渉で済ませようとします。そのため、条文の手続を踏んでいるかと尋ねるだけで、提示される条件が変わることがあります
Q2停電の復旧で庭に仮設の電柱を立てられました。後からでも補償してもらえますか?
非常時には、許可なしでも15日以内なら使用が認められ、通知も事後で構いません(58条2項・4項)。ただし、適法な使用だからといって損失が発生しないわけではありません。作物や舗装の損傷については、同じ章の損失補償規定にもとづいて請求を検討できます。実務のポイント:補償額は、使用前の写真があるかどうかで大きく変わります。復旧作業が終わるのを待たず、今日のうちに撮影しておくことです
Q3うちはアパートの大家です。借主に断りなく電力会社に使わせても大丈夫ですか?
大丈夫ではありません。居住の用に供されている土地等については、居住者(借主)の承諾が必要です(58条5項)。また、事前の通知を受けるのは占有者です(58条4項)。大家だけで勝手に了承すると、借主との間で別のトラブルを生みます。実務のポイント:電力会社の担当者が大家の同意だけで済ませようとすることがあります。後で責任を問われる立場になるのは大家なので、借主の承諾書を取ったかどうか、担当者に確認しておくとよいでしょう
間違えやすい点 AI による整理
- 「電気は公益だから、電力会社は他人の土地を自由に使える」と思われがちだが、条文が想定しているのは「必要であり、かつ、やむを得ないとき」に「土地等の利用を著しく妨げない限度」で行う一時的な使用だけである。恒久的に電線路を設置するには、別の手続(使用権の設定や土地収用法による収用など)を踏む必要がある
- 非常時なら何でも許されると考えている人は多い。確かに、非常時には15日以内の使用に限って許可が不要になる。しかし、人が住んでいる土地や建物については、非常時でも居住者の承諾が必要である。許可の要否と居住者の承諾の要否は別々の要件であり、この二つを混同すると、現場で引くべき一線を見誤る
- 所有者の視点では「自分の土地」でも、法律は所有者・占有者・居住者を別々の立場として扱っている。大臣からの通知を受けるのは所有者と占有者、事前の通知を受けるのは占有者、承諾を与えるのは居住者である。土地を貸している地主や、農地を借りて耕している人は、自分がどの立場にあたるかを把握しておかないと、自分の権利を見落とす
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 使用の性質 | 電気事業法58条:工事・非常時・測標のための一時使用(原則6か月、最長1年) | 土地収用法:電気事業用工作物のための恒久的な使用・収用(事業認定等の手続) |
| 手続の重さ | 大臣許可+所有者・占有者の意見書機会+占有者への通知(非常時15日以内は許可不要) | 事業認定・収用委員会の裁決等を経る正式手続 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も送配電事業者による他人の土地の使用・立入りと補償を電業法で定める。条番号と要件の詳細は現行条文で要確認。
ドイツは接続利用者に配電設備のための土地利用受忍義務を課し、恒久的な権利取得は収用手続で行う二段構成。
フランスは公共工事のための私有地の一時占用(occupation temporaire)を一般法で規律し、行政の許可と補償を前提とする。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 自宅の裏の空き地に、電力会社の下請け業者が「送電線の工事で資材を置かせてもらいます」と言いながらトラックを入れてきた。最初に確認するのは二つである。経済産業大臣の許可証を持っているか。あらかじめ通知があったか。どちらもなく、緊急事態でもないなら、法律上の一時使用の手続を踏んでいない可能性が高い
- 大型台風で地域一帯が停電した。電力会社が、あなたの所有する駐車場に仮設の電柱を立てた。許可も事前の連絡もなかった。非常事態であれば、15日以内に限り許可なしで使える。事前の通知が難しければ、使い始めてから遅滞なく通知すれば足りる。気をつけたいのは16日目以降である。それ以上使い続けるなら許可が必要になる。カレンダーに印をつけておくとよい
- あなたが送配電会社の用地担当者だとしたら、どうなる? 工期に追われて、借家人の住んでいる住宅の庭先を作業場として使い始めた。ところが、所有者の了解しか取っていなかった。居住の用に供されている土地では、居住者本人の承諾が必要である。所有者の同意だけでは、この要件を満たさない
- 相続した山林に、ある日突然、測量用の杭とピンクのテープが打たれていた。電気工作物を設置するための測標であれば、一時使用は最長1年まで認められる。1年を過ぎても杭が残っているなら、撤去を求めることを考えてよい
- 経済産業大臣から、あなた宛てに「土地等の一時使用許可申請があった」という通知が届いた。意見書を出せる機会は今しかない。期限内に何も出さなければ、許可はあなたの意見を聞かないまま進む
取るべき行動
被害を受けた側:1. 作業責任者に、大臣の許可証を見せてもらい、写真を撮る(非常時の例外にあたる場合は、その旨と開始日を記録する) 2. 事前の通知があったか、使用期間が上限(6か月、1年、非常時なら15日)を超えていないかを確認する3. 住居として使っている場所であれば、承諾していないことを書面で伝える4. 使用前後の土地の状態を日付入りの写真で残し、作物の被害や原状回復の費用について、電力会社に損失補償を求める準備をする
訴えられた側:1. 用地担当者は、使用目的が1項の三つの号のどれにあたるかを社内で確定させる2. 原則として大臣の許可を事前に取り、占有者への通知を記録に残る形で行う3. 居住中の物件では、所有者とは別に、居住者本人の承諾書を取る4. 非常時の例外で使い始めた場合は、使用開始日から15日を数え、16日目以降も使うなら許可申請を急ぐ5. 作業員に許可証を持たせ、提示を求められたら応じるよう教育する
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。一時使用の期間は、本条により最長6か月(1項2号で仮設電線路を設置した場合と、3号の測標の場合は1年)である。非常時に許可なしで使えるのは15日以内に限られ、その日数は使用開始日から数える。損失補償の請求期限は、同じ章の補償規定を確認すること(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条の一時使用は、公益事業の遂行に必要な限度での公用負担であり、要件(必要かつやむを得ないこと、利用を著しく妨げない限度)と手続(許可・通知・承諾・期間上限)の双方を満たして初めて適法となると解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)改正(電力システム改革、要検証) 小売全面自由化に伴って事業類型が再編され、小売電気事業者が一時使用の主体から除外されたとみられる。条文の文言と施行日は人による検証が必要
- 令和2年(2020年)改正(エネルギー供給強靱化法、要検証) 特定卸供給事業者の類型が新たに設けられ、本条の主体から除外する括弧書きが加わったとみられる。災害時の対応強化との関係も含め、検証が必要
改正の年表
- 1.昭和39年(1964年) 新設:電気事業法の制定に伴い、電気事業者による土地等の一時使用の規定として設けられた。
- 電気事業法 第2条電気事業者・各事業類型の定義
- 電気事業法 第59条同章の土地使用関連規定(現行効力を要確認)
- 電気事業法 第61条植物の伐採・移植の規定(現行効力を要確認)
- 土地収用法 第3条電気事業用工作物は収用適格事業、恒久使用の手続
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