電気事業法 第60条(通行)
クイックジャンプ
- 電気事業者は、電気事業の用に供する電線路に関する工事又は電線路の維持のため必要があるときは、他人の土地を通行することができる。
- 2.前項の規定により他人の土地を通行する者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
- 3.第五十八条第四項及び第五項の規定は、電気事業者が第一項の規定により他人の土地を通行する場合に準用する。
この条文の基本情報
通行とは何ですか?
定義通行とは、電気事業法第60条に定められた規定で、「電気事業者は、電気事業の用に供する電線路に関する工事又は電線路の維持のため必要があるときは、他人の土地を通行することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 電気事業法第60条(通行)は、日本の電気事業法に含まれる条文です。
- 電気事業法第60条の条文原文は「電気事業者は、電気事業の用に供する電線路に関する工事又は電線路の維持のため必要があるときは、他人の土地を通行することができる。」で始まります。
- 電気事業法第60条は第四章 土地等の使用に置かれています。
- 電気事業法の公布日は昭和39年7月11日です。
- 電気事業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 電気事業法第60条の前の条は電気事業法第59条です。
- 電気事業法第60条の次の条は電気事業法第61条です。
- 電気事業法第60条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第60条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000170 - 本サイト収録
電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第60条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/339AC0000000170/60
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点電気事業法60条は、電気事業者が電線路の工事や維持に必要なとき、他人の土地を通行できると定める。通行者は身分証明書を携帯し、請求があれば提示する義務を負う。
Q · 電力会社の作業員が、承諾なしに自分の土地を通ってもいいの?
工事・維持に必要な通行なら適法。ただし通行に限られる
電気事業法60条1項により、電気事業者は電線路に関する工事または維持のため必要があるとき、所有者の承諾がなくても他人の土地を通行できます。ただし認められるのは「通行」だけで、資材の設置や伐採、掘削は別の条文の要件によります。通行者は身分証明書を携帯し、関係人から請求があれば提示する義務を負い(同条2項)、58条4項・5項の手続上の制約も準用されます(同条3項)。
解説
送電線の工事や点検のために必要があれば、電気事業者はあなたの土地を通ることができる。電気事業法60条は、土地所有者の承諾を条件にしていない。これは法律が直接与えている通行権で、農地でも山林でも裏庭でも、電線路の工事や維持に必要な範囲なら通行は合法になる。ただし、この権利の中身は意外と小さい。60条が認めているのは「通行」だけである。資材を置く、木を切る、穴を掘るといった行為は、土地の一時使用(59条)や植物の伐採などを定めた別の条文の問題になり、それぞれ要件が違う。通る人には身分証明書を携帯する義務があり、関係人(土地の所有者や占有者など)から求められれば提示しなければならない。さらに58条4項・5項が準用されるため、立入りに関する手続上の制約も通行に及ぶ。作業員が来たときに「勝手に入るな」と追い返すのは筋が悪い。まず証明書を見せてもらい、通行の範囲を超えていないかを確かめ、損害が出たら補償を請求する。この順番を知っているかどうかで、結果が大きく変わる。
法的な位置づけ
電気事業法60条は、電気事業者に対し、電気事業の用に供する電線路に関する工事または電線路の維持のため必要がある場合に、他人の土地を通行する権限を付与する規定である。通行者には身分証明書の携帯および関係人の請求に応じた提示義務が課され、同法58条4項および5項が準用される。
手順
- 1.作業員に身分証明書の提示を求める 敷地内で作業員を見かけたら、60条2項に基づき身分証明書の提示を求め、会社名・氏名・工事の目的・日時を記録する
- 2.通行の範囲を超える行為がないか確認する 資材の放置、樹木の伐採、掘削など通行を超える行為がないかを確認し、あれば日付入りで写真を撮る。これらは59条など別の条文の手続によるべき行為である
- 3.着工前に通行ルートを書面で取り決める 工事が予定されている場合、通行ルートと立入禁止区域(苗床、井戸など)を電気事業者と書面で取り決め、地図に書き込んでもらう
- 4.損害が出たら書面で補償を求める 作物や塀などに損害が出たら、当日のうちに被害箇所と無傷の区画の写真を残し、平年の収穫量や単価の資料を添えて電気事業者に書面で損失補償を請求する。まとまらなければ弁護士や管轄の経済産業局に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1電気事業法60条とは何ですか?
電気事業者が電線路の工事や維持のため必要なとき、他人の土地を通行できると定めた規定です。所有者の承諾は要件になっていません。
Q2送電線の点検で土地に入られるのは違法?
電線路の工事・維持に必要な通行であれば、電気事業法60条1項に基づく適法な行為です。ただし通行の範囲を超える行為は別の条文の要件によります。
Q3電力会社の作業員 身分証 見せてもらえる?
見せてもらえます。60条2項により、通行者は身分証明書を携帯し、関係人から請求があれば提示しなければなりません。
Q4電力会社は土地の木を勝手に切れる?
60条が認めるのは通行だけです。植物の伐採や移植は同法の別の条文が定める要件・手続によるため、通行権を根拠に伐採することはできません。
Q5電力会社が土地に資材を置いてもいい?
資材置き場として使うことは通行の範囲を超えます。土地の一時使用は59条など別の規定の問題で、要件と手続が異なります。
Q6電線工事で畑が荒らされたら補償される?
電気事業法の損失補償の規定や、範囲を超えた加害なら民法709条の不法行為による請求が考えられます。被害当日の写真記録が重要です。
Q7電力会社の通行権 夜間も入れる?
60条3項は58条4項・5項を準用しており、立入りに関する時間帯や通知などの制約が通行にも及びます。具体的な内容は条文で確認が必要です。
Q8太陽光発電の事業者も他人の土地を通れる?
通行権の主体は電気事業法上の「電気事業者」です。発電事業者が2条の定義に該当すれば、電線路の工事・維持のため60条の通行が問題になりえます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1電力会社の人が勝手に畑に入ってきたんですけど、これって不法侵入じゃないんですか?
電線路に関する工事や維持に必要な通行であれば、電気事業法60条1項に基づく適法な行為で、不法侵入には当たりません。ただし、許されているのは「通行」に限られます。実務のポイント:抗議の電話をするより、作業員の身分証明書(同条2項)の内容と日時を控え、「通行の範囲を超えた損害があれば補償を求める」と書面で伝えておく方が、事業者側は丁寧に対応せざるを得なくなります
Q2作業車のせいで作物がダメになりました。弁償してもらえますか?
電気事業法には、立入りや通行などによって他人に生じた損失を補償する規定があります。通行の範囲を超える行為による損害なら、民法709条の不法行為による損害賠償請求も考えられます。実務のポイント:補償額の交渉では、被害を受けた日の写真と、平年の収穫量や出荷単価の記録が物を言います。あとで「もともと生育が悪かった」と言われないよう、近くの無傷の区画も一緒に撮っておくと効果的です
Q3身分証を見せてくれない作業員は追い返していいんですか?
60条2項は、関係人から求められたら証明書を提示する義務を定めています。提示しない者の通行を拒めるかどうかは、実務上解釈が分かれます。実務のポイント:その場で押し問答をするより、事業者の窓口に電話して「提示がないまま通行しようとしている」と伝える方が確実です。事業者にとって証明書の不携帯はコンプライアンス違反に当たるので、たいていすぐに是正されます
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分の土地なのだから、承諾なしに入られたら不法侵入だ」と考えがちだが、60条1項の要件(電線路に関する工事や維持のための必要性)を満たす通行は、法律に基づく適法な行為である。感情的に通行を妨げると、かえってあなたの側の対応が問題にされうる
- 通行権があると聞くと、電力会社は土地で何でもできると思いがちだが、それは問いの立て方が違う。60条の射程は「通る」ことに限られる。資材置き場にする、樹木を伐る、地面を掘るといった行為は別の条文の要件と手続による。確かめるべきなのは「入れるか」ではなく「その行為はどの条文の範囲か」である
- 身分証明書の提示を「礼儀の問題」と軽く見ているなら、その重さを読み違えている。2項は法律上の義務である。提示を求めたのに応じない者の通行を、所有者が拒めるかどうかは実務上解釈が分かれるが、少なくとも提示を求めた事実と相手の対応を記録しておけば、後の補償交渉や苦情申立てで具体的な材料になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 許される行為 | 電気事業法60条:他人の土地の通行のみ | 電気事業法58条:他人の土地への立入り 電気事業法59条:他人の土地の一時使用 |
| 目的 | 電線路に関する工事または電線路の維持 | 同条所定の目的(要件は同条で確認) 同条所定の目的(要件は同条で確認) |
| 手続上の制約 | 身分証明書の携帯・提示、58条4項・5項を準用 | 同条4項・5項の制約が直接適用 同条所定の手続(通行より重い利用に対応) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾でも電業設備の工事・維持のための他人土地の使用・通行が法律で規律され、損害の補償が予定されている。条文番号は要確認
ドイツでは低圧配電網の需要家たる土地所有者に、配電線の設置・通過を受忍する義務が規定されている
フランスでは配電線のための支持・通過・枝払いの地役(servitudes)が法定されている
米国では電力会社のアクセスは主に地役権の取得や州法上の公用収用で処理され、統一的な法定通行権規定はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 相続した山林の奥を送電線が通っている。ある朝、ヘルメット姿の作業員が三人、あなたの杉林の中の小道を歩いていた。60条に基づく正当な通行なら、追い返すことはできない。あなたがやるべきなのは、身分証明書の提示を求めて会社名と工事の目的を記録しておくことである
- 通行のついでに作業車が畑に入り、収穫前のキャベツが二列潰れた。ここで問われるのは「通行の権利があるか」ではなく「損害を誰がどう補償するか」である。電気事業法には損失補償の規定がある。時間がたつと被害の立証が難しくなるので、潰れたその日のうちに写真と日付を残す
- もしあなたが電力会社から委託を受けた保守業者の現場責任者で、身分証明書を事務所に置き忘れたまま地権者に提示を求められたら、どうなる? 2項の義務を果たせない以上、その場で通行を強行するのは悪手である。証明書を取りに戻るのが、後で紛争を残さない最短ルートになる
- 台風で倒木が電線にかかり、復旧班が夜のうちにあなたの敷地を抜けたいと言ってきた。夜間の立入りについては58条の準用規定に制限がある。急ぎの場面ほど、何がどこまで許されるかを条文で確かめる価値がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 作業員に身分証明書の提示を求め(60条2項)、会社名・氏名・工事の目的・日時を記録する2. 通行の範囲を超える行為(資材の放置、伐採、掘削など)がないかを確認し、あれば写真を撮る3. 作物や塀などに損害が出たら、その日のうちに写真と日付を残し、電気事業者に書面で損失補償を求める4. 話がまとまらないときは、事業者の苦情窓口を通したうえで、弁護士や管轄の経済産業局へ相談する
訴えられた側:1. 通行の前に、電線路に関する工事または維持のための必要性を社内で記録しておく2. 作業員全員に身分証明書を携帯させ、求められたらすぐに提示する運用を徹底する3. 58条4項・5項の準用による手続上の制約(事前の通知、時間帯の制限など)を、現場マニュアルで確認しておく4. 通行だけでは済まない作業は、59条など別の条文の手続に切り替える5. 損害が出たら、事後に争うより早めに補償の協議を申し出る方が、地域との関係を保てる
時効(請求できる期限):60条そのものに特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。通行の範囲を超える行為による損害を不法行為として請求する場合は、損害および加害者を知った時から3年(民法724条)。損失補償の請求期間については電気事業法の該当規定を確認すること(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和39年(1964年) 新設:現行電気事業法(昭和39年法律第170号)の制定。電気事業者による他人の土地の通行に関する規定を設ける
- 電気事業法 第58条土地への立入り、4項5項を準用(現行効力を要確認)
- 電気事業法 第59条土地の一時使用、通行を超える利用(現行効力を要確認)
- 電気事業法 第61条通行等に伴う植物伐採や損失補償の規律(現行効力を要確認)
- 電気事業法 第2条通行権の主体となる電気事業者の定義
- 民法 第210条囲繞地通行権、私人間の通行の一般原則
- 民法 第213条の2継続的給付のための他人の土地への設備設置
- 民法 第709条通行の範囲を超えた加害の損害賠償
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める