電気事業法 第64条(原状回復の義務)
クイックジャンプ
電気事業者は、第五十八条第一項の規定による土地等の一時使用が終わつたときは、その土地等を原状に回復し、又は原状に回復しないことによつて通常生ずる損失を補償して、その土地等を返還しなければならない。
この条文の基本情報
原状回復の義務とは何ですか?
定義原状回復の義務とは、電気事業法第64条に定められた規定で、「電気事業者は、第五十八条第一項の規定による土地等の一時使用が終わつたときは、その土地等を原状に回復し、又は原状に回復しないことによつて通常生ずる損失を補償して、…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 電気事業法第64条(原状回復の義務)は、日本の電気事業法に含まれる条文です。
- 電気事業法第64条の条文原文は「電気事業者は、第五十八条第一項の規定による土地等の一時使用が終わつたときは、その土地等を原状に回復し、又は原状に回復しないことによつて通常生ずる損失を補償して、…」で始まります。
- 電気事業法第64条は第四章 土地等の使用に置かれています。
- 電気事業法の公布日は昭和39年7月11日です。
- 電気事業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 電気事業法第64条の前の条は電気事業法第63条です。
- 電気事業法第64条の次の条は電気事業法第65条です。
- 電気事業法第64条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第64条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000170 - 本サイト収録
電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第64条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/339AC0000000170/64
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点電気事業法64条は、電気事業者が一時使用した土地等を返還する際、原状回復するか、回復しない場合に通常生ずる損失を補償して返還する義務を定める。
Q · 電力会社が工事で使った土地は、元通りにして返してもらえるの?
元に戻すか、通常生ずる損失を補償して返すかのどちらかです
電気事業法64条により、電気事業者は58条1項にもとづく土地等の一時使用が終わったとき、その土地等を原状に回復するか、原状に回復しないことによって通常生ずる損失を補償して返還しなければなりません。条文上は二つの方法が並列されており、必ず元通りになるとは限りません。また補償は「通常生ずる損失」に限られるため、使用前の状態を記録しておくことが、回復範囲や補償額の交渉で重要になります。
解説
送電線の工事が終わり、資材置き場として貸した畑から重機が出ていった。返ってきた土地は踏み固められ、砂利が混じり、元の作物はもう育たない。電気事業法64条は、電気事業者が58条にもとづいて他人の土地を一時使用した後、その土地を返すときのルールを定めている。選択肢は二つ。土地を元の状態に戻して返すか、元に戻さない代わりに「戻さないことで通常生ずる損失」を補償して返すかである。見落とされやすいのは、条文が「どちらか一方」で足りるとしていることだ。つまり、電力会社が原状回復をせずにお金で済ませる道が、法律上用意されている。もう一つの注意点は、補償の範囲が「通常生ずる損失」に絞られていることだ。あなた固有の事情、たとえば有機栽培の認証を取り直すための数年分の損失を全額取れるかどうかは、自動的には決まらない。土地を返してもらう前に、何が「原状」だったのかを証明できるかどうかで、受け取る額が変わる。
法的な位置づけ
電気事業法64条は、電気事業者が同法58条1項の規定による土地等の一時使用を終了した際の返還義務を定める規定である。返還の方法として、土地等の原状回復、または原状に回復しないことによって通常生ずる損失の補償のいずれかを要求し、一時使用による財産権の制約を事後的に調整する機能を持つ。
手順
- 1.使用開始前に土地の現況を記録する 一時使用の通知を受けたら、工事開始前に土地の全景写真・動画、土壌や作付けの状態、暗渠排水などの設備、境界杭の位置を日付付きで記録する。可能なら事業者と共同で現況確認を行う
- 2.返還条件を事前に書面で合意する 工事開始前に、原状の定義、返還時の立会い方法、返還後に工事起因の不具合が判明した場合の協議条項を事業者と書面で取り決める
- 3.返還時に立会い、回復不足を指摘する 返還時は必ず立会い、使用前の記録と照合して回復不足の箇所を具体的に指摘する。受領書へのサインは指摘事項の扱いが決まってから行う
- 4.回復か補償かを合意書で確定させる 原状回復工事で返すか、通常生ずる損失の補償で返すかを確定させ、補償の場合は算定根拠資料の開示を求めたうえで金額を合意書に明記する。協議がまとまらなければ弁護士・不動産鑑定士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1電気事業法64条とは何ですか?
電気事業者が工事などで一時使用した土地等を返すときのルールです。原状回復するか、回復しない場合は通常生ずる損失を補償して返還する義務を定めています。
Q2電力会社の工事で土地を一時使用されるのはどんな場合?
電気事業法58条1項にもとづき、電気工作物の設置や工事のために必要な場合、手続を経て他人の土地等を一時使用できます。64条はその使用終了後の返還ルールです。
Q3原状回復の「原状」はどう判断する?
条文に詳細な定義はなく、使用開始前の土地の状態や機能が基準になると考えられます。写真・土壌・排水設備などの記録が、原状の立証に大きく影響します。
Q4通常生ずる損失には何が含まれる?
典型例は作物の減収、整地や復旧に要する費用、利用できなかった期間の地代相当額などです。所有者固有の特別な事情による損失は当然には含まれません。
Q5電力会社の土地一時使用 補償 相場は?
法令に一律の金額はなく、土地の用途・面積・期間・損傷の程度により個別に算定されます。近隣の地代や農業関係資料が算定根拠の比較材料になります。
Q6返還時の立会いは必要?
条文上の義務規定ではありませんが、回復状況を確認し不足箇所を指摘するため、地権者は立会いを求めるべきです。受領書へのサイン前が交渉の要点です。
Q7返還後に不具合が出たら補償請求できる?
返還時の合意内容と工事との因果関係の立証によります。予見できなかった損失なら争える余地があり、請求権には民法166条の消滅時効が問題になります。
Q8電気事業法64条の義務を負うのは誰?
58条1項により土地等を一時使用した「電気事業者」です。電気事業者の範囲は同法2条の定義によります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1電力会社が「元に戻すのは無理なのでお金で」と言ってきた。断れないんですか?
64条は原状回復と、回復しない場合の通常損失の補償を選択肢として並べている。文言上は事業者が補償による返還を選ぶ余地がある。ただし補償額や回復範囲は協議事項であり、地権者が黙っている必要はない。実務のポイント:用地担当者は、地権者が使用前の記録を持っているかどうかを最初に探る。記録があるとわかると、補償で済ませるより回復工事をする方向に傾きやすい
Q2補償の金額って、誰がどうやって決めるんですか?
まず事業者と地権者の協議で決まるのが通常である。基準は「通常生ずる損失」であり、作物の減収、整地費用、利用できなかった期間の地代相当額などが典型的な項目となる。協議が整わない場合の手続は法令の定めによる(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:事業者の最初の提示額は社内基準による標準額であることが多い。地域の農業委員会の資料や近隣の地代データを示すと、算定根拠の見直しに応じることがある
Q3返してもらってから1年後に排水不良が出てきた。今からでも言えますか?
返還時の合意内容による。合意書に清算条項があっても、返還時に予見できなかった損失であれば争える余地がある。工事との因果関係を示す証拠が鍵になる(64条、民法166条)。実務のポイント:返還時の合意書に「返還後に工事起因の不具合が判明した場合は別途協議する」という一文を入れておくだけで、後からの交渉のしやすさがまったく違う
間違えやすい点 AI による整理
- 「電力会社が使った土地は、当然元通りにして返してもらえる」と思われがちだが、条文は原状回復と損失補償を並べている。文言上、元に戻さずにお金で済ませて返還する道も認められている。どちらの方法が選ばれるか、地権者の希望がどこまで通るかについては、実務上解釈が分かれうる
- 補償があるなら損はしないと考えるのは早い。補償の対象は「通常生ずる損失」であり、あなた固有の特別な事情から生じた損失まで当然に含まれるわけではない。高付加価値作物、認証農地、観光用の景観など、特別な価値を持つ土地ほど、補償額と実際の損失の差が大きくなる
- 「いくら補償してもらえるか」から考えるのは順序が逆である。先に決めるべきは「原状とは何だったか」だ。使用開始前の状態の記録がなければ、回復の範囲も補償の基準も、事業者側の資料をもとに決まってしまう
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 電気事業法64条:一時使用終了後の返還 | 電気事業法58条:土地等の一時使用の開始 |
| 事業者の行為 | 原状回復、または通常損失の補償をして返還 | 工事等のため他人の土地等を一時使用 |
| 地権者の主な関心事 | 何が返ってくるか(回復範囲・補償額) | 使用されるか、期間・範囲はどうか |
| 地権者の対応ポイント | 返還時の立会い、記録との照合、合意書の確定 | 使用開始前の現況記録、返還条件の事前合意 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾でも電力線路の設置等に伴う他人の土地使用と損失補償が電業法で規律される。具体的な条番号と返還時の扱いは原典で要確認
韓国の電気事業法にも他人の土地等の一時使用と損失補償に関する規定がある。原状回復との関係は原典で要確認
ドイツではエネルギー設備のための土地利用は収用・補償法制と結びつけて規律される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 電力会社から「鉄塔の建替え工事のため、半年ほど畑を資材置き場として使わせてほしい」と通知が来た。使用が始まる前の写真、土壌の状態、作付け記録を一枚も残していなければ、工事後に何が失われたのかを証明する材料がない
- もし工事が終わった後、電力会社が「整地はしたので原状回復は完了です」と言ってきたら、どうする? 表面が平らになっていても、暗渠排水が潰れていれば原状とは言えない。原状の中身を決めるのは見た目ではなく、使用前の土地の機能である
- あなたは送配電会社の用地担当者だ。工期が延びて、地権者への返還予定日まであと10日しかない。原状回復工事が間に合わないなら、64条にもとづいて補償で返還する選択肢を地権者に説明し、合意を書面にしなければならない
- 親から相続した山林の一角が、数年前に電力会社の工事で一時使用されていた。返還後に植林地が荒れたままであることに今になって気付いた。補償の請求ができるかどうかは、返還時に何が合意されたかと時効の経過で決まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 使用開始前に、土地の写真・動画、作付けや排水設備の状況、境界杭の位置を記録する2. 使用中も定期的に状況を撮影し、日付を残す3. 返還時には必ず立会いを求め、回復不足の箇所を書面で指摘する4. 原状回復か損失補償かの選択と補償額は合意書で確定させ、根拠となる算定資料の開示を求める5. 協議がまとまらない場合は、弁護士や土地家屋調査士、不動産鑑定士への相談を検討する
訴えられた側:1. 使用開始前に地権者と共同で現況を確認し、写真付きの記録を双方で保管する2. 原状回復で返すか補償で返すかの方針を早い段階で示し、地権者の意向を聴く3. 補償を選ぶ場合は、通常生ずる損失の算定根拠を説明できるように準備する4. 返還の合意内容と受領確認を書面化し、後日の追加請求に備える
時効(請求できる期限):64条自体に特定の時効はないが、補償請求権には一般消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)が適用されると考えられる。補償額の協議や裁定の手続については、電気事業法の関係規定を確認すること(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和39年(1964年) 新設:電気事業法(昭和39年法律第170号)の制定により、土地等の一時使用とその終了後の返還に関する規定が整備された
- 電気事業法 第58条土地等の一時使用の根拠規定
- 電気事業法 第2条義務主体である電気事業者の定義
- 土地収用法 第3条電気事業を収用適格事業とする規定
- 民法 第166条補償請求権の一般消滅時効
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める