民事訴訟法 第206条(受命裁判官等の権限)
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受命裁判官又は受託裁判官が証人尋問をする場合には、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。ただし、第二百二条第三項の規定による異議についての裁判は、受訴裁判所がする。
この条文の基本情報
受命裁判官等の権限とは何ですか?
定義受命裁判官等の権限とは、民事訴訟法第206条に定められた規定で、「受命裁判官又は受託裁判官が証人尋問をする場合には、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。ただし、第二百二条第三項の規定による異議についての裁判は、受訴裁判…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第206条(受命裁判官等の権限)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第206条の条文原文は「受命裁判官又は受託裁判官が証人尋問をする場合には、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。ただし、第二百二条第三項の規定による異議についての裁判は、受訴裁判…」で始まります。
- 民事訴訟法第206条は第二節 証人尋問に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第206条の前の条は民事訴訟法第205条です。
- 民事訴訟法第206条の次の条は民事訴訟法第207条です。
- 民事訴訟法第206条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第206条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第206条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/206
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法206条は、受命・受託裁判官が証人尋問をする場合、裁判所と裁判長の職務をその裁判官が行うと定める。ただし尋問順序への異議の裁判は受訴裁判所がする。
Q · 受命裁判官や受託裁判官が証人尋問をするとき、誰が裁判所や裁判長の権限を持つの?
尋問を担当するその裁判官が裁判所と裁判長の職務を行います
民事訴訟法206条により、受命裁判官(合議体の一員)または受託裁判官(嘱託された他庁の裁判官)が証人尋問をする場合、本来「裁判所」や「裁判長」が持つ職務は、その尋問を担当する裁判官が行使します。つまり宣誓や発問の指揮などはその裁判官が采配します。ただし例外があり、尋問の順序変更への異議(202条3項)についての裁判だけは、担当裁判官ではなく事件を審理する受訴裁判所が判断します。判決を下す裁判官が証人を直接見ない事態が生じるため、信用性が争点の事件では注意が必要です。
解説
あなたの裁判で勝敗を握る証人が、判決を書く裁判官の目の前ではなく、数百キロ離れた裁判所で、その事件を一度も見ていない別の裁判官の前で尋問される。民事訴訟法206条は、それを正面から認める条文だ。証人が高齢や病気で出頭できない、あるいは遠隔地に住んでいるとき、裁判所は合議体の一員(受命裁判官)に命じるか、別の裁判所(受託裁判官、つまり頼まれた他庁の裁判官)に嘱託して尋問させることができる。そのとき、本来「裁判所」や「裁判長」が持つ権限は、尋問を担当するその裁判官に移る。問題はここからだ。判決を下す裁判官は、その証人の表情も、言いよどみも、額の汗も見ていない。手元に届くのは尋問調書という紙だけ。証言の信用性が勝負を分ける事件で、これがどれほど不利に働くか。ただし但書がある。尋問の順序変更への異議だけは、担当裁判官ではなく、事件を審理する受訴裁判所が判断する。
法的な位置づけ
民事訴訟法206条は、受命裁判官または受託裁判官による証人尋問における権限の所在を定める規定であり、尋問を担当するその裁判官が裁判所および裁判長の職務を行使する旨を規定する。直接主義(249条)の例外として裁判所外の証拠調べ(185条)を可能にする一方、尋問順序への異議についての裁判権は受訴裁判所に留保される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.重要証人が出頭困難になったら映像尋問を最優先で検討 信用性が命の核心証人が高齢・病気・遠隔地で出頭困難な場合、まず映像送受信による尋問(204条)を申し立て、判決を下す裁判官に直接見せる道を確保する。受託尋問を当然と思い込まない
- 2.受託尋問の要件を精査して安易な受託化に異議 相手が遠隔地証人を口実に受託尋問を求めてきたら、本当に出頭不能か(195条の要件を満たすか)を精査し、反対尋問の効果を保つため安易な受託尋問化に異議を述べる
- 3.受託尋問が避けられないなら代理人を立ち会わせる 受託尋問が決まった場合、必ず代理人を尋問期日に立ち会わせ、反対尋問の機会を確保する。証人の態度や反応まで尋問調書に記録するよう求め、後の心証形成に資料を残す
- 4.尋問順序の変更に不満があれば受訴裁判所へ異議 担当裁判官による尋問順序の変更に不満があれば、その期日において直後に遅滞なく異議を述べる。異議の裁判は担当裁判官ではなく受訴裁判所が行う(206条但書、202条3項)
よくある質問 AI による整理
Q1受命裁判官とは何ですか?
合議体(複数の裁判官による裁判体)の中から特定の事項を担当するよう命じられた裁判官です。証人尋問など一部の手続を、合議体を代表して単独で行います。
Q2受託裁判官とは何ですか?
事件を審理する受訴裁判所から嘱託を受け、別の裁判所で証拠調べを行う裁判官です。証人が遠隔地にいる場合などに、その地の裁判所の裁判官が担当します。
Q3受命裁判官と受託裁判官の違いは何ですか?
受命裁判官は同じ裁判体の内部から指名されるのに対し、受託裁判官は別の裁判所に嘱託される外部の裁判官です。どちらも206条で裁判所・裁判長の職務を行います。
Q4直接主義とは何ですか?
判決をする裁判官が自ら証拠調べに関与すべきという原則です。民訴249条が定め、206条の受託尋問はこの原則の例外として位置づけられます。
Q5尋問順序への異議はいつ述べますか?
その期日において、当該行為の直後に遅滞なく述べる必要があります(202条3項)。タイミングを逃すと異議権を失います。
Q6受託尋問の調書だけで判決されますか?
尋問調書は適法な証拠となり、判決の基礎になります。判決を下す裁判官が証人を直接見ていなくても、その判決自体は有効です。
Q7Web 会議方式の証人尋問とどう違いますか?
204条の映像送受信尋問では、判決を下す裁判官が画面越しに証人を直接見られます。受託尋問では担当裁判官だけが生の証人を見る点が異なります。
Q8受託尋問になるのはどんな場合ですか?
証人が受訴裁判所への出頭に著しい支障がある場合などに限られます(195条)。単に遠方というだけでは足りず、要件は限定的です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1証人が遠くに住んでいるという理由だけで、本当に近くの裁判所での尋問に回されるんですか?
回されることがあります。民事訴訟法195条は、証人が受訴裁判所への出頭に著しい支障があるなどの場合に、受託裁判官による尋問を認めています。ただし要件は限定的で、単に『遠い』だけでは足りません。実務のポイント:実務では、出頭困難の主張に対し Web 会議方式の尋問(204条)を対案として出すと、裁判所はそちらを選ぶことが増えています。受託尋問を当然と思わず、映像尋問を一言求めるだけで、判決を下す裁判官に直接証人を見せられる。
Q2判決を書く裁判官が証人を直接見ていなくても、その判決は有効なんですか?
有効です。民事訴訟法は直接主義を原則としつつ(249条)、185条・206条で裁判所外の証拠調べを例外として認めており、受託尋問の調書も適法な証拠になります。実務のポイント:とはいえ、信用性が真っ向から争われる事件で、生の証人を見ていない裁判官の心証は、控訴審で覆りにくい一方、第一審で詰めきれない弱さも残します。だからこそ重要証人は、何としても判決を下す裁判官の目の前、または映像越しで尋問させる価値がある。
間違えやすい点 AI による整理
- 「証人尋問は必ず、判決を下す裁判官の前でやる」という前提でほとんどの人は裁判を考えるが、その前提自体が常に正しいわけではない。民事訴訟法は直接主義を原則としつつ、185条・195条・206条で例外を広く認めている。問うべきは『どこで尋問するか』ではなく『誰が見て、誰が裁くか』だ。
- 受託尋問になることは知っていても、その代償の深刻さを知らない人が多い。判決を下す裁判官は調書しか読まない。証言の信用性が争点の中心にある事件では、生の証人を見ていない裁判官が心証を取ることになり、これが控訴審でもひっくり返しにくい構造を生む。
- 「受命裁判官が尋問するなら、その裁判官が全部決める」と思われがちだが、但書がある。尋問順序の変更への異議だけは、担当裁判官ではなく、事件本体を審理する受訴裁判所が判断する。担当裁判官の采配に不満があっても、争う先は別にある。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 判決を下す裁判官が証人を直接見るか | 206条(受託尋問):見ない。調書のみが手元に届く | 204条(映像尋問):画面越しに直接見られる 249条(直接主義原則):法廷で直接見る |
| 尋問を担当する者 | 受命裁判官または受託裁判官(202条等の職務を行使) | 受訴裁判所(映像送受信で実施) 受訴裁判所(合議体全員が関与) |
| 適用される場面 | 証人が遠隔地・出頭困難で裁判所外の尋問が必要なとき(185・195条) | 遠隔地等だが映像で対応可能なとき 原則形態、証人が法廷に出頭できるとき |
| 心証形成への影響 | 信用性判断に不利になりやすく控訴審で覆りにくい構造 | 直接性を相当程度確保でき信用性判断に有利 最も正確な心証形成が可能 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も受命法官・受託法官による証拠調べ制度を持ち、受訴法院が他法院に調査を嘱託できる点で日本と同構造
韓国も法院外の証拠調べおよび受命・受託法官による証人尋問を認めており、直接主義の例外という位置づけも日本と類似
ドイツの beauftragter Richter(受命裁判官)・ersuchter Richter(受託裁判官)による証拠調べが日本法の直接の源流。要件をより明確に列挙する
米国では裁判官の面前ではなくデポジション(宣誓供述)で証言を確保し、後に法廷で利用する制度が中心。受託尋問とは構造が異なるが、トライアル裁判官以外の前で証言を採る点は共通
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの事件の核心証人が遠隔地で受託尋問されることになったら、判決を下す裁判官はその証言の何を見るのか。答えは、紙の調書だけだ。証人の態度も、反対尋問で崩れた瞬間も、直接見た受託裁判官の頭の中にしか残らない。
- あなたが原告で、相手の証人の信用性を崩したい。だが相手はわざと遠方の証人として受託尋問を求めてくる。これは戦術だ。法廷の緊張の中での反対尋問と、地方裁判所の和やかな受託尋問では、証人の崩れ方が違う。あなたの代理人が映像尋問(204条)への切替えを主張するかどうかで、戦況が変わる。
- 証人が来週手術で入院する。今しか尋問できない。受訴裁判所の期日は埋まっている。受命裁判官による期日外尋問を申し立てるか、それとも証言を諦めるか。残された時間は数日。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分にとって信用性が命の重要証人が出頭困難なら、まず映像送受信による尋問(204条)を第一に検討し、判決を下す裁判官に直接見せる道を確保する2. それも難しい場合にのみ受命・受託尋問を選び、可能な限り代理人を立ち会わせる3. 受託尋問の調書には、証人の態度や反応まで記録に残すよう求める4. 信用性が争点なら、調書だけで心証が固まらないよう、補強証拠と陳述書を厚くしておく
訴えられた側:1. 相手が遠隔地証人を口実に受託尋問を求めてきたら、本当に出頭不能か(195条の要件を満たすか)を精査し、安易な受託尋問化に異議を述べる2. 反対尋問の効果を保つため、映像尋問への切替えを主張する3. 受託尋問が避けられないなら、必ず代理人を立ち会わせ、反対尋問の機会を確保する4. 尋問順序の変更に不満があれば、担当裁判官ではなく受訴裁判所に異議を申し立てる(206条但書、202条3項)
時効(請求できる期限):特定の時効はない。ただし尋問方法や順序変更への異議は、その期日において当該行為の直後に述べなければ失権する(民事訴訟法202条3項、異議は遅滞なく)。受託尋問とするか否かは証拠調べ前の段階で争うべきで、尋問実施後では取り返しがつかない。
学説
通説:206条本文は、受命・受託裁判官が証人尋問を行う際の手続権限を担当裁判官に集中させる一方、但書は尋問順序への異議の裁判権を受訴裁判所に留保することで、手続全体の統制権までは委譲しないという均衡を表すものと解される。直接主義(249条)の例外として適用は限定的に解すべきとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正により、旧法下の受命・受託裁判官に関する規定を整理し、現行206条として証人尋問における職務分配と但書(異議の裁判権の留保)を明文化
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