民事訴訟法 第299条(第一審の管轄違いの主張の制限)
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- 控訴審においては、当事者は、第一審裁判所が管轄権を有しないことを主張することができない。ただし、専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)については、この限りでない。
- 2.前項の第一審裁判所が第六条第一項各号に定める裁判所である場合において、当該訴訟が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときは、前項ただし書の規定は、適用しない。
この条文の基本情報
第一審の管轄違いの主張の制限とは何ですか?
定義第一審の管轄違いの主張の制限とは、民事訴訟法第299条に定められた規定で、「控訴審においては、当事者は、第一審裁判所が管轄権を有しないことを主張することができない。ただし、専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第299条(第一審の管轄違いの主張の制限)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第299条の条文原文は「控訴審においては、当事者は、第一審裁判所が管轄権を有しないことを主張することができない。ただし、専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。」で始まります。
- 民事訴訟法第299条は第一章 控訴に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第299条の前の条は民事訴訟法第298条です。
- 民事訴訟法第299条の次の条は民事訴訟法第300条です。
- 民事訴訟法第299条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第299条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第299条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/299
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法299条は、控訴審において当事者が第一審裁判所の管轄違いを主張できないと定める。例外は法律が定めた専属管轄のみで、合意管轄は含まれない。
Q · 第一審の判決後に、管轄がおかしいと控訴審で争えますか?
原則できません。例外は法定の専属管轄だけです。
民事訴訟法299条1項により、控訴審では当事者は第一審裁判所が管轄権を有しなかったことを主張できません。第一審の第一回口頭弁論で本案弁論をすれば応訴管轄(12条)が成立し、管轄の瑕疵は治癒します。例外は法律が定めた専属管轄(知財の6条、人事訴訟など)に限られ、しかも11条の合意による専属管轄は同項ただし書のカッコ書きで例外から外されます。管轄を争うなら第一審の最初の期日が唯一のタイミングです。
解説
第一審で負けた。判決文を読み返すうち、ふと気付く。そもそもこの裁判所、うちの事件を扱う権限があったのか。福岡の取引なのに、なぜ東京地裁で審理が進んだのか。控訴審でそこを突けば、判決ごとひっくり返せるのではないか。残念ながら、299条はその望みを正面から断つ。控訴審では、当事者は第一審裁判所に管轄権がなかったと主張できない。第一審で争わなかった管轄の瑕疵は、上の審級で蒸し返せないのだ。理由は明快。管轄は訴訟の入口の問題であり、判決まで進んだ後に入口論で全部やり直すのは、訴訟経済にも相手にも酷だから。ただし例外が一つある。法律が定めた専属管轄(知的財産事件や人事訴訟など、当事者の都合で動かせない管轄)だけは、控訴審でも主張できる。そして見落とされがちな逆転がある。あなたと相手が契約書で合意した専属管轄(11条)は、この例外から外される。つまり合意管轄違反は控訴審では救済されない。管轄を争うなら、第一審の第一回期日まで。そこが唯一のタイミングだ。
法的な位置づけ
民事訴訟法299条は控訴審における管轄違いの主張制限を定める規定であり、控訴審では第一審裁判所が管轄権を有しなかったことを主張できない旨を規律する。例外は法律が定めた専属管轄に限られ、11条の合意により定めた専属管轄はこの例外から除かれる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.訴状受領時に管轄の種類を確認 訴状を受け取ったら本案の反論を書く前に、まず管轄の種類を見極める。普通裁判籍(4条)、特別裁判籍(5条)、合意管轄(11条)、法定専属管轄(人事訴訟・知財6条など)のどれに当たるかを確認する
- 2.第一回期日前に管轄違いの抗弁を提出 管轄に疑いがあると判断したら、第一回口頭弁論期日で本案について弁論をする前に、管轄違いの抗弁を申し立てる。本案に触れた瞬間に応訴管轄(12条)が成立し、管轄カードは永久に消える
- 3.管轄裁判所への移送を申し立てる 正しい管轄裁判所がある場合は、民訴16条に基づき管轄違いによる移送を申し立てる。職権でも移送されうるが、申立てで明示的に求めるほうが確実
- 4.第一審で争いそびれたら専属管轄違反のみ控訴審で主張 第一審で抗弁を出しそびれた場合、控訴審で残るのは法定専属管轄違反の主張だけ。知財6条・人事訴訟などに該当するか精査する。合意管轄違反は299条1項ただし書のカッコ書きで救済されない
よくある質問 AI による整理
Q1控訴審で管轄違いを主張できますか?
原則できません。民訴299条1項により、控訴審では第一審の管轄違いを主張できません。例外は法律が定めた専属管轄に限られます。
Q2応訴管轄とはいつ成立しますか?
第一審の第一回口頭弁論期日で、被告が管轄違いの抗弁を出さずに本案弁論をした時点で成立します(民訴12条)。以後は管轄を争えません。
Q3合意管轄違反は控訴審で救済されますか?
されません。299条1項ただし書のカッコ書きで、11条の合意による専属管轄は例外から明示的に除外されています。第一審で争うしかありません。
Q4知財訴訟の管轄違いは控訴審で主張できますか?
できます。特許権等の訴えは東京・大阪地裁の専属管轄(6条)で、法定専属管轄違反は299条2項が絡み控訴審でも主張できます。
Q5人事訴訟の管轄違いは控訴審で争えますか?
争えます。離婚・認知などは家庭裁判所の専属管轄で、当事者が合意で動かせない法定専属管轄のため、控訴審でも主張できます。
Q6管轄違いの抗弁はいつまでに出しますか?
第一審の第一回口頭弁論期日において、本案について弁論をする前に申し立てる必要があります(民訴12条)。これを過ぎると応訴管轄で治癒します。
Q7専属管轄と任意管轄の違いは何ですか?
専属管轄は特定裁判所のみに管轄を認め他を排除します。任意管轄は当事者の合意や応訴で治癒し、控訴審での主張制限の対象になります。
Q8管轄違いがあると判決は無効になりますか?
無効にはなりません。任意管轄の瑕疵は応訴管轄等で治癒し、控訴審でも299条により主張できないため、判決そのものは有効に維持されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1第一審で管轄のことを言いそびれました。控訴審で言えばまだ間に合いますか?
原則として間に合いません。299条1項により、控訴審では第一審裁判所の管轄違いを主張できないからです。第一審の第一回口頭弁論で本案弁論をした時点で応訴管轄(12条)が成立し、管轄の瑕疵は治癒します。実務のポイント:例外は法律が定めた専属管轄(知財の6条、人事訴訟など)だけ。しかも契約書で合意した専属管轄は1項ただし書のカッコ書きで例外から外され、控訴審では争えません。弁護士が最初の期日前に管轄を必ず確認するのは、この一発勝負だからです
Q2専属管轄なら控訴審でも争えるなら、合意で専属管轄にしておけば安心ですよね?
そこが落とし穴です。299条1項ただし書は「専属管轄」を例外としつつ、カッコ書きで『当事者が11条の規定により合意で定めたものを除く』と明記します。つまり合意による専属管轄は、控訴審での救済対象から外れる。法律が定めた法定専属管轄だけが控訴審で生き残ります。実務のポイント:契約書の管轄条項を『専属的合意管轄』と書いても、控訴審の場面では普通の管轄合意と同じ扱い。第一審で争い損ねたら終わり、という点は変わりません
間違えやすい点 AI による整理
- 管轄がおかしい裁判所の判決は無効だから控訴審でいくらでも覆せる、と思いがちだが、299条はその逆。第一審で異議を出さなかった管轄違いは、控訴審では主張する資格そのものを失う
- 合意管轄は控訴審でも争えると思い込んでいる人ほど危ない。契約書で決めた専属的合意管轄に反して訴えられても、第一審で抗弁しそびれれば、299条1項ただし書のカッコ書きで救済対象から明示的に外される。知っているつもりが、最も深い落とし穴にはまる
- 「控訴審で管轄を争えるか」と問う時点で、問いがずれている。本当の分岐は第一審の第一回口頭弁論で本案弁論をする前に異議を出したか否か(12条)。控訴審に来た時点で、勝負はとうに終わっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律内容 | 299条:控訴審での管轄違いの主張制限 | 12条:応訴管轄(抗弁の時期的限界) 16条:管轄違いによる移送 |
| 主張できるタイミング | 控訴審では原則不可(法定専属管轄のみ可) | 第一回口頭弁論で本案弁論をする前まで 第一審係属中に職権または申立てで処理 |
| 合意管轄(11条)の扱い | ただし書カッコ書きで例外から除外、控訴審で争えない | 本案弁論前なら抗弁可、以後は治癒 合意先以外への提訴は移送の対象 |
| 専属管轄の効果 | 法定専属管轄違反は控訴審でも主張可(2項で6条を調整) | 専属管轄では応訴管轄が成立しない(13条) 専属管轄違反は移送される |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も第二審が第一審の管轄違いを理由に原判決を取り消せないとし、専属管轄を例外とする点で日本299条と同型の構造を持つ。
韓国も日本法を継受し、항소심での管轄違いの主張を制限する規定を置く。専属管轄を例外とする枠組みは日本と類似する。
ドイツは控訴を第一審が管轄を不当に認めたことを理由にできないと明文化。本条の母法的位置にあり、構造が一致する。
米国は人的管轄・裁判地への異議を期日内に出さなければ放棄したものとみなす。上訴審で争えなくなる点で機能的に類似するが、事物管轄(subject-matter jurisdiction)はいつでも争える点が異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 第一審判決の送達から二週間。控訴期限が迫る中、あなたは管轄違いで逆転を狙う。だが299条がそれを阻む。控訴理由書に管轄論を書いても、法定の専属管轄でない限り門前払いだ
- もし、相手が契約書の合意管轄を無視して遠方の裁判所に訴え、あなたが気付かず本案で応戦してしまったら? 第一審で勝てればいいが、負けたら控訴審ではもう管轄を争えない。11条の合意は299条1項ただし書のカッコ書きから外されているからだ
- あなたが原告で、本来は被告の住所地が管轄なのに、自分に都合のいい地元で訴えた。被告が第一回期日で何も言わず本案に入ってくれれば、応訴管轄(12条)が成立し、控訴審でも覆らない。相手の沈黙が、あなたの管轄選択を確定させる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 管轄に疑いがあるなら、訴状を受け取った直後に管轄の種類を確認。普通裁判籍(4条)、特別裁判籍(5条)、合意管轄(11条)、法定専属管轄(人事訴訟・知財など)のどれかを見極める2. 争うと決めたら、第一回口頭弁論期日で本案弁論をする前に管轄違いの抗弁を必ず出す。一度本案に入れば応訴管轄(12条)で治癒する3. 移送を求めるなら16条に基づき申し立てる4. 第一審で争いそびれた場合、控訴審で残されるのは法定専属管轄違反の主張のみ。合意管轄違反は299条1項ただし書のカッコ書きで救済されないと心得る
訴えられた側:1. 自分に有利な裁判所で訴えられた立場なら、相手が第一回期日で本案弁論に入るのを待つ。応訴管轄が成立すれば管轄は確定し、控訴審でも覆らない2. ただし法定専属管轄(知財の6条、人事訴訟など)に反する場合は、相手の沈黙でも治癒せず、控訴審で299条1項ただし書により主張されうる点に注意3. 合意による専属管轄を盾にしたいなら、契約段階で『専属的合意管轄』を明記しておく。控訴審では救済されないが、第一審の移送判断では効く
時効(請求できる期限):管轄違いの抗弁は第一審の第一回口頭弁論期日において本案について弁論をする前に申し立てる(12条、応訴管轄)。これを過ぎると控訴審では299条1項により主張不可。例外は法定専属管轄のみで、これには時期的制限がなく控訴審でも主張できる
学説
通説:任意管轄の瑕疵は応訴管轄等により治癒し、控訴審では主張できない。手続の安定・訴訟経済を優先しつつ、公益的性格を持つ法定専属管轄のみを例外とする。11条の合意による専属管轄は当事者自治の産物として例外から外される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正により現行299条が成立。控訴審における管轄違いの主張制限と、専属管轄(合意管轄を除く)の例外、6条の専属管轄に関する調整規定が整理された。
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