受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 7 分7 分7 分

民事訴訟法 第326条(破棄自判)

クイックジャンプ
  1. 次に掲げる場合には、上告裁判所は、事件について裁判をしなければならない。
  2. 一確定した事実について憲法その他の法令の適用を誤ったことを理由として判決を破棄する場合において、事件がその事実に基づき裁判をするのに熟するとき。
  3. 二事件が裁判所の権限に属しないことを理由として判決を破棄するとき。

この条文の基本情報

破棄自判とは何ですか?

定義破棄自判とは、民事訴訟法第326条に定められた規定で、「次に掲げる場合には、上告裁判所は、事件について裁判をしなければならない。」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 民事訴訟法第326条(破棄自判)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
  2. 民事訴訟法第326条の条文原文は「次に掲げる場合には、上告裁判所は、事件について裁判をしなければならない。」で始まります。
  3. 民事訴訟法第326条は第二章 上告に置かれています。
  4. 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
  5. 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 民事訴訟法第326条の前の条は民事訴訟法第325条です。
  7. 民事訴訟法第326条の次の条は民事訴訟法第327条です。
  8. 民事訴訟法第326条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第326条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109
  • 本サイト収録民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第326条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/326
裁判例 1件に引用されています

関連度の高い1件を表示しています

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点民事訴訟法326条は、上告裁判所が原判決を破棄したとき、確定事実で裁判に熟するか、または事件が裁判所の権限に属しない場合は、差し戻さず自ら裁判すべきことを定める破棄自判の規定である。

Q · 最高裁で原判決が破棄されたら、必ず高裁でやり直しになるの?

破棄されても差戻しではなく自判で負けが確定することがあります

いいえ。民事訴訟法326条により、確定した事実への法令適用の誤りが破棄理由で、その事実だけで結論が出るほど事件が「熟している」とき(1号)、または事件が裁判所の権限に属しないとき(2号)は、上告裁判所は差し戻さず自ら裁判をしなければなりません。これが破棄自判です。事実認定をやり直す必要があれば高裁へ差し戻されますが(民訴325条)、熟していれば最高裁がその場で結論を出すため、破棄=逆転勝訴とは限りません。

解説

上告して原判決を破棄させた。多くの人はここで「勝った」と思う。だがそれは半分しか当たっていない。上告審が原判決を破棄したあと、進む先には二つの分かれ道がある。一つは事件を高裁へ送り返す差戻し(民訴325条)、もう一つが上告裁判所自身がその場で結論を出す自判だ。民訴326条は、その自判が義務になる二つの場面を定める。確定した事実への法令適用を誤ったことが破棄理由で、その事実だけで判決を下せるほど事件が「熟して」いるとき。そして事件がそもそも裁判所の権限に属しないことが破棄理由のとき。あなたが知っておくべきは、自判に出た瞬間、もう一回の審理は永遠に来ないという点だ。差戻しなら高裁でやり直す余地が残るが、自判はその場で扉を閉める。だから上告する側は、破棄を求めるだけでなく、破棄後に何を望むのか、差戻しか自判かまで戦略を組まなければならない。

法的な位置づけ

民事訴訟法326条は破棄自判を定める規定であり、上告裁判所が原判決を破棄する場合に、事件を原審へ差し戻さず自ら終局判決をすべき二つの場面を規律する。確定した事実への法令適用の誤りで事件が裁判をするのに熟するとき(1号)と、事件が裁判所の権限に属しないとき(2号)がこれにあたり、破棄差戻し(325条)に対する例外的処理を構成する。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.破棄理由の性質を切り分ける 上告する側に立ったら、まず狙う破棄理由が「確定事実への法令適用の誤り」か「事実認定のやり直しが必要な誤り」かを切り分ける。前者は自判、後者は差戻しに向かう分岐点になる
  2. 2.望む出口を上告理由書に明示する 破棄を求めるだけでなく、「破棄のうえ自判を求める」のか「破棄のうえ差戻しを求める」のかまで明示して論じる。確定事実で自分に有利な結論が出る事件なら自判、事実審理のやり直しが必要なら差戻しを狙う
  3. 3.被上告人側は自判要件を崩す 被上告人に立つときは、上告答弁書で「本件は確定事実だけで裁判をするのに熟していない」と主張し、326条1号の自判要件を崩す。自判を防げれば最悪でも差戻しで止まり、事実審でもう一度争える
  4. 4.上告・上告理由書の期限を死守する 上告は判決書の送達から2週間の不変期間内に提起する(民訴313条による285条準用)。上告理由書は上告提起通知書の送達から50日以内に提出する(民訴規則194条)。期限を逃すと326条の自判か差戻しかを論じる土俵にすら立てない

よくある質問 AI による整理

Q1破棄自判とは何ですか?

上告裁判所が原判決を破棄したあと、事件を下級審へ差し戻さず自ら終局判決を下すことです。民事訴訟法326条が根拠で、破棄差戻し(325条)と対をなす処理です。

Q2破棄自判と破棄差戻しの違いは何ですか?

差戻しは事件を高裁へ戻して審理をやり直させ、自判は最高裁がその場で結論を出します。事実審理が必要なら差戻し、確定事実で裁判に熟していれば自判となります。

Q3破棄自判はどんなときに認められますか?

確定した事実への法令適用の誤りで裁判に熟するとき(326条1号)と、事件が裁判所の権限に属しないとき(同2号)の二つです。要件は厳格に限定されています。

Q4上告審で新しい証拠は出せますか?

出せません。上告審は原判決が確定した事実に拘束されます(民訴321条)。事実審理は事実審で終わっており、上告審で証拠を追加することはできません。

Q5「裁判をするのに熟する」とはどういう意味ですか?

確定した事実をそのまま当てはめれば結論が出せ、これ以上の事実審理を要しない状態を指します。熟していれば差戻しを経ず自判で決着します。

Q6破棄自判の判決にさらに不服を申し立てられますか?

破棄自判は上告審の終局判決のため、原則として通常の不服申立てはできません。再審事由がある場合に限り再審を申し立てる余地があります。

Q7行政訴訟でも破棄自判はありますか?

あります。行政事件訴訟法7条が民事訴訟法を準用するため、行政処分の取消訴訟が最高裁まで行けば、破棄後に差戻しか自判かの同じ分岐に立ちます。

Q8破棄されれば逆転勝訴が確定しますか?

確定しません。326条1号の自判では、法令適用は是正されても、確定事実に当てはめた結論が自分に不利になることがあります。破棄は通過点にすぎません。

この条文についての質問 AI による整理

Q1最高裁まで行けば、また一から審理し直してもらえるんですか?

いいえ。上告審は原判決が確定した事実に拘束されます(民訴321条)。事実をやり直す必要があれば事件は高裁へ差し戻されますが(民訴325条)、確定した事実だけで結論が出るほど熟していれば、326条1号で上告裁判所がその場で自判します。実務のポイント:だからこそ「事実審が勝負の本番」です。証拠も主張も事実審のうちに出し切らないと、上告審では取り返しがきかない。最高裁を最後の砦と勘違いして事実審で手を抜いた側が、自判で一気に詰む

Q2破棄自判って、上告した側に有利なんですか、不利なんですか?

どちらにもなり得ます。確定事実に当てはめて自分に有利な結論が出るなら、差戻しの手間を省いて即勝訴できる武器です。逆に、法令解釈は直っても当てはめた結論が不利なら、破棄されたのに自判で負けが確定します(326条1号)。実務のポイント:ベテランは上告理由書で「破棄後に自判を求めるか差戻しを求めるか」まで書き分けます。出口を指定せず破棄だけ叫ぶと、望まない出口から不利な結論が飛び出すことがある

間違えやすい点 AI による整理

  • 「原判決が破棄されれば自分の勝ちが確定する」と思い込みがちだが、326条1号の自判では、法令の適用は是正されても、確定した事実に当てはめた結論が自分に不利になることがある。破棄は通過点であって終着点ではない。本当に見るべきは、破棄後にどちらの出口へ出るかだ
  • 「上告審は事実をもう一度調べてくれる」と多くの人が期待するが、上告裁判所は原判決が確定した事実に拘束される(民訴321条)。だからこそ事実をいじらず法令適用だけ直せば結論が出る事件は、差戻しではなく自判で即決される。事実審の段階で証拠を出し切れなかった者は、上告審でその取り返しがきかない
  • 「破棄自判は上告した側に有利な制度だ」と片付けられがちだが、視点を変えると正反対の顔を見せる。被上告人から見れば、自判は差戻しという緩衝地帯を飛び越えて敗訴が直撃する装置になる。同じ条文が、立つ位置によって武器にも刃にもなる
比較の観点この条文ほかの条文
処理の方向326条:自判(上告審がその場で終局判決)325条:差戻し(事件を原審へ戻す)
321条:原判決の確定事実に拘束(自判の前提)
発動要件確定事実で裁判に熟する(1号)/裁判所の権限不属(2号)事実認定のやり直しが必要なとき
上告審は事実審の確定事実を動かせない
もう一回戦の有無なし(その場で扉が閉じる)あり(高裁で事実審をやり直せる)
—(拘束ルールであり処理形式ではない)
当事者の戦略有利なら自判を狙い、不利なら回避を主張事実審理の余地を主張して誘導
事実審のうちに証拠を出し切る必要

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
中華民国民事訴訟法第477条・第478条第3項

台湾も第三審(最高法院)の廃棄差戻しを原則とし、必要なときに自為判決(自判)を認める点で日本と構造が近い。

韓国
대한민국 민사소송법 제437조(파기자판)

韓国も大法院による파기자판を認める。日本の継受系統にあり要件構造が類似する。

ドイツ
ZPO § 563 Abs. 3

ドイツの Revision では、事件が裁判に熟しているとき連邦通常裁判所(BGH)が差戻しに代えて自ら本案について裁判できる。日本326条の母法的位置にある。

アメリカ
Appellate procedure(reversal and render vs. reversal and remand)

米国でも上訴審は事件を差し戻す(remand)か自ら終局判決を下す(render)かを選ぶが、成文の統一要件ではなく各法域の手続規則・判例法によって運用される。

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • あなたが上告人として最高裁で原判決を破棄させた。歓喜したのも束の間、最高裁は差し戻さず自判で請求を棄却した。法令の解釈は是正されたが、確定した事実に当てはめると結論はあなたに不利だった。「破棄=勝訴」と信じて自判のリスクを読まなかった代償は、もう一度争う機会の喪失だ
  • もし最高裁が原判決を破棄したら、また高裁で一から審理し直してもらえるのか。答えは場面による。事実認定をやり直す必要があれば差戻し、確定した事実だけで結論が出るほど熟していれば自判で即決着する。どちらに転ぶかは破棄理由の性質で決まる
  • 被上告人としてあなたは原審で勝った。相手が上告してきたが、争点は純粋な法令解釈だけで、事実関係はもう動かない。この構図はあなたに危険信号だ。破棄されれば差戻しを経ず自判で一気に逆転敗訴がありうる。上告答弁書の段階から自判リスクを想定して防御を組む必要がある
  • 管轄違いを見落としたまま本案判決が出てしまった事件。上告審は事件が裁判所の権限に属しないことを理由に破棄し、326条2号で自判する。差戻しの一手間すら踏まず、訴え自体が却下されて終わる

取るべき行動

被害を受けた側:1. 上告する側に立ったら、まず破棄理由が「確定事実への法令適用の誤り」か「事実認定のやり直しが必要な誤り」かを切り分ける2. 前者で結論が自分に有利なら自判を、事実審理が必要なら差戻し(民訴325条)を、上告理由書に明示して求める3. 確定した事実は上告審を拘束する(民訴321条)ため、事実関係で勝てる材料は事実審のうちに出し切る、上告審では足せない4. 自判で不利な結論が出るリスクがあるなら、その事件で上告するメリットと天秤にかける

訴えられた側:1. 被上告人として、争点が純粋な法令解釈だけで事実に争いがないなら、破棄=自判で即逆転敗訴の危険を最初に認識する2. 上告答弁書で「本件は確定事実だけで裁判をするのに熟していない」と主張し、326条1号の自判要件を崩す3. 自判を防げれば最悪でも差戻しで止まり、事実審でもう一度争える4. 管轄や裁判所の権限に疑義があれば、2号の自判(訴え却下)の可能性も視野に、手続全体を点検する

時効(請求できる期限):上告自体に期限がある。上告は判決書の送達を受けた日から2週間の不変期間内に提起しなければならない(民訴313条による285条準用)。上告理由書は、上告提起通知書の送達を受けた日から50日以内に提出する(民事訴訟規則194条)。この期間を過ぎると上告は却下され、326条の自判か差戻しかを論じる土俵にすら立てない

学説

通説:破棄自判の要件は厳格に限定的に解される。326条1号の自判は、上告審が原判決の確定した事実に拘束される(民訴321条)ことを前提に、その確定事実をそのまま当てはめれば結論が出る「裁判に熟する」場合に限られ、事実認定のやり直しを要する事件は差戻し(325条)によるべきとされる。

改正沿革 AI による整理

  • 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧民事訴訟法の上告審に関する規定を全面的に再構成し、現行の条文番号326条に整理。破棄自判の要件を1号(確定事実への法令適用の誤りで裁判に熟するとき)と2号(裁判所の権限不属)に明確化した

改正の年表

  1. 1.明治23年(1890年) 新設:旧民事訴訟法がドイツ ZPO を母体に制定され、上告審の破棄後処理として差戻しと自判の枠組みが導入された。
  2. 2.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正により上告審に関する規定を再構成。破棄自判の要件を1号(確定事実への法令適用の誤りで裁判に熟するとき)と2号(裁判所の権限不属)に整理し、現行326条とした。

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

民事訴訟法の全文を見る所属する編章節を開く:第二章 上告

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›