民事訴訟法 第397条(電子情報処理組織による支払督促の申立て)
クイックジャンプ
この章の規定による督促手続を取り扱う裁判所として最高裁判所規則で定める簡易裁判所(次条第一項及び第三百九十九条において「指定簡易裁判所」という。)の裁判所書記官に対しては、第三百八十三条の規定による場合のほか、同条に規定する簡易裁判所が別に最高裁判所規則で定める簡易裁判所である場合にも、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法により支払督促の申立てをすることができる。
この条文の基本情報
電子情報処理組織による支払督促の申立てとは何ですか?
定義電子情報処理組織による支払督促の申立てとは、民事訴訟法第397条に定められた規定で、「この章の規定による督促手続を取り扱う裁判所として最高裁判所規則で定める簡易裁判所(次条第一項及び第三百九十九条において「指定簡易裁判所」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第397条(電子情報処理組織による支払督促の申立て)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第397条の条文原文は「この章の規定による督促手続を取り扱う裁判所として最高裁判所規則で定める簡易裁判所(次条第一項及び第三百九十九条において「指定簡易裁判所」という。」で始まります。
- 民事訴訟法第397条は第二章 電子情報処理組織による督促手続の特則に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第397条の前の条は民事訴訟法第396条です。
- 民事訴訟法第397条の次の条は民事訴訟法第398条です。
- 民事訴訟法第397条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第397条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第397条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/397
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法397条は、指定簡易裁判所の書記官に対し電子情報処理組織を用いて支払督促を申し立てできると定める。督促オンラインの根拠規定で、裁判所に出向かず金銭債権を請求できる。
Q · 支払督促って、裁判所に行かずにネットで申し立てできるんですか?
はい、督促オンラインで自宅から申立てできます
民事訴訟法397条により、最高裁判所規則で定める指定簡易裁判所の裁判所書記官に対し、電子情報処理組織(オンライン)を用いて支払督促を申し立てできます。これが「督促手続オンラインシステム(督促オンライン)」の根拠規定です。書面で簡易裁判所に出向く通常の督促手続(383条)に対する電子的な特則であり、争いのない金銭債権の回収を迅速・低コストで進められます。ただし相手が督促異議を出せば手続は通常訴訟へ移行し、原則として相手の住所地の裁判所が管轄します(395条)。
解説
取引先が代金を払わない。納品したのに報酬が振り込まれない。家賃が三か月滞っている。多くの人は「裁判は時間も金もかかる」とここで諦める。だが397条が開くのは別の入口だ。督促手続オンラインシステムを使えば、裁判所に一度も足を運ばず、パソコンから支払督促を申し立てられる。相手が二週間以内に異議を出さなければ仮執行宣言が付き、その電子データはあなたの債務名義になる。つまり相手の銀行口座や給料を差し押さえる効力を持つ。通常訴訟なら数か月かかるところを、争いのない金銭債権なら数週間で執行段階まで進める。ただし落とし穴がある。相手が異議を一枚出せば、手続は自動的に通常訴訟へ移行し、しかも舞台は相手の住所地を管轄する裁判所になる。スピードと引き換えに、相手へ主導権を渡す瞬間が制度の中に組み込まれている。
法的な位置づけ
民事訴訟法397条は督促手続のオンライン申立てを定める規定であり、最高裁判所規則で定める指定簡易裁判所の裁判所書記官に対し、電子情報処理組織を用いて支払督促の申立てをすることを認める。書面による通常の督促手続(383条)に対する電子的特則として機能し、督促オンラインの法的基礎を構成する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.対象債権と相手情報を確定する 回収したい債権が金銭・代替物・有価証券の給付請求か(民訴382条)を確認し、相手の正確な氏名・住所(法人なら商号・本店所在地)と請求額・発生原因を裏づける資料を揃える
- 2.督促手続オンラインシステムに登録 督促オンライン(電子情報処理組織)の利用環境を整え、申立人情報を登録する。相手の住所地を管轄する指定簡易裁判所が対象かを最高裁規則の枠内で確認する(民訴397条・383条)
- 3.支払督促をオンライン申立て 請求の趣旨・原因と請求額を入力し、手数料(収入印紙相当)と郵券を納付して電子的に支払督促を申し立てる。書記官の発付後、相手への送達日を起点に2週間を管理する
- 4.仮執行宣言を申し立てる 相手が送達後2週間以内に督促異議を出さなければ、仮執行宣言を申し立てる(民訴391条)。仮執行宣言付支払督促は債務名義となり、口座・給与の差押えが可能になる
- 5.異議が出たら通常訴訟へ切替える 相手が督促異議を出した場合、手続は申立て時に訴え提起があったものとみなされ通常訴訟へ移行する(民訴395条・398条)。審理は原則相手の住所地となるため、主張・証拠を再整理する
よくある質問 AI による整理
Q1督促オンラインとは何ですか?
裁判所に出向かず支払督促を申し立てられる電子システムです。民事訴訟法397条が根拠で、指定簡易裁判所の書記官にオンラインで申立てができます。
Q2督促オンラインの費用はいくらですか?
申立手数料(収入印紙相当)は請求額に応じて変わり、通常訴訟の半額です。これに加えて相手への送達費用(郵券)等が必要になります。
Q3支払督促はどこの裁判所に申し立てますか?
原則として相手(債務者)の住所地を管轄する簡易裁判所です(民訴383条)。督促オンラインでは最高裁規則で定める指定簡易裁判所に申し立てます。
Q4オンラインの支払督促はどんな請求に使えますか?
金銭、その他の代替物または有価証券の一定数量の給付請求に限られます(民訴382条)。引渡しや作為を求める請求には使えません。
Q5支払督促を申し立てたあとの流れは?
書記官が支払督促を発付・送達し、相手が2週間異議を出さなければ仮執行宣言を申し立てられます。確定すれば差押え等の強制執行が可能です。
Q6督促オンラインは個人でも利用できますか?
利用できます。法人だけでなく個人の債権者も申立て可能です。事前にシステム利用の登録と環境設定が必要です。
Q7支払督促が相手に届かないとどうなりますか?
送達できないと手続が進みません。督促は公示送達ができないため、相手の住所が不明だと通常訴訟を選ぶ必要があります。
Q8督促オンラインと少額訴訟はどちらが良いですか?
争いがなく相手の住所が分かるなら督促オンラインが速くて安いです。相手が争う可能性が高いなら少額訴訟や通常訴訟が向きます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1支払督促って、結局ふつうの裁判と何が違うんですか?
最大の違いは、相手の言い分を聞く審理がない点です。督促手続は申立人の主張だけで裁判所書記官が支払督促を出し(民事訴訟法382条、386条)、相手が異議を出さなければそのまま確定します。だから速くて安い。実務のポイント:実務では『相手が争ってこなさそうか』を最初に見極めるのが勝負どころです。異議が出れば通常訴訟に戻り、しかも相手の地元へ移る(395条)ので、争われる見込みが高い相手には最初から通常訴訟を選ぶ弁護士も多い。督促は万能ではなく、相手の性格を読んで使う道具です
Q2相手が異議を出したら、それまでの手間は全部無駄になるんですか?
無駄にはなりません。督促異議が出ると支払督促の効力は失われますが、申立ては督促を申し立てた時に訴えの提起があったものとみなされ、自動的に通常訴訟へ移行します(民事訴訟法395条、398条)。時効中断(完成猶予)の効果も申立て時点に遡ります。実務のポイント:見落とされがちですが、移行後の管轄は原則として相手方の住所地です。遠方の相手に督促をかけて異議を出されると、自分が遠くまで出廷する羽目になる。だから相手が遠隔地のときは、督促より最初から自分に有利な管轄で訴える方が得な場合があります
間違えやすい点 AI による整理
- オンラインで便利だと知ってはいても、相手が異議を出した瞬間、審理の舞台が相手の住所地の裁判所へ飛ばされる深刻さを軽視している人が多い。地方の相手に督促をかけ、異議が出た途端、自分が片道数時間かけて出廷する側に回る。スピードを取りに行ったはずが、地理的不利を背負うことがある
- 「支払督促を出せば必ず取り立てられる」という問いの立て方そのものが誤っている。督促はあくまで相手が争わない場合の高速ルートであって、争われた瞬間に通常訴訟と同じ土俵へ戻る。本当に問うべきは「相手は異議を出してくるタイプか、出さず放置するタイプか」であり、そこを読み違えると戦略全体が崩れる
- 「オンラインだから誰でもどんな債権でも使える」と思われがちだが、申立先の裁判所も、対象となる金銭・有価証券等の請求も、手続の方式もすべて最高裁判所規則で細かく限定されている。条文が繰り返し『最高裁判所規則で定めるところにより』と書いているのは、入口に細い枠が設けられている証拠だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 申立ての方式 | 397条:電子情報処理組織(オンライン)で申立て | 383条:書面で簡易裁判所書記官に申立て 382条:金銭等の給付請求であることが前提 |
| 規律の役割 | 397条:オンライン申立ての特則・指定簡易裁判所 | 383条:管轄(相手の住所地簡易裁判所) 386条:書記官による支払督促の発付 |
| 次の段階 | 397条:申立て後は通常の督促手続に合流 | 391条:仮執行宣言(債務名義化) 395条:督促異議による通常訴訟への移行 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も書面審理なしで支払命令を発する点が共通。争いのない金銭債権の迅速回収手続として日本の督促に近い
韓国は전자소송システムで전자독촉を運用しており、オンライン申立てを広く認める点で397条と類似する
ドイツの Mahnverfahren が日本督促手続の母体。電子的 Mahnverfahren が普及し、オンライン化の系譜も共通する
米国には大陸法的な督促手続が存在せず、少額訴訟や欠席判決が機能的代替となる。書記官が一方的に債務名義を発する仕組みはない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- フリーランスのあなたが受注側として80万円の制作を納品したのに、発注企業が三か月支払いを引き延ばしている。督促オンラインで支払督促を申し立てれば、裁判所に出向かず、印紙代も通常訴訟の半額で着手できる。相手が異議を出さなければ二週間後には差押えへ進める。回収のスピードが、相手が資金を別口座へ移す前に間に合うかどうかを分ける
- もし相手があなたの督促に異議を出したら、これまでの手間は無駄になるのか。答えは半分イエス、半分ノーだ。督促としての効力は消えるが、申立ては自動的に通常訴訟に切り替わり、それまでの主張は引き継がれる。ただし審理の場はあなたの地元ではなく、相手の住所地の裁判所に移る。遠隔地なら出廷コストが一気に重くのしかかる
- ある日、裁判所から「支払督促」と書かれた書類が届いた。身に覚えのない、あるいは金額に争いのある請求。あなたに残された時間は二週間。何もしなければ仮執行宣言が付き、給料や口座を差し押さえられる。この二週間は、人生で最も短く感じる二週間になりうる
- アパートを貸している大家のあなた。滞納家賃の回収で、借主と顔を合わせる気まずさを避けたい。督促オンラインなら対面交渉も法廷も経ずに申し立てられる。だが借主が「修繕されていない」と異議を出せば、敷金・原状回復まで含めた本格的な賃貸借紛争へ発展する点は覚悟しておく
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手の正確な氏名・住所(法人なら商号・本店所在地)と、請求額・発生原因を証する資料(契約書、請求書、納品記録)を揃える2. 督促手続オンラインシステムの利用環境を確認し、相手の住所地を管轄する簡易裁判所が対象か、最高裁規則の枠内かをチェック3. 電子的に支払督促を申し立て、相手への送達後の二週間を起点に管理4. 相手が異議を出さなければ仮執行宣言を申し立て、債務名義として民事執行(口座・給与差押え)へ。異議が出たら通常訴訟への移行を前提に主張・証拠を再整理する
訴えられた側:1. 支払督促が届いたら、まず送達日と『二週間』の期限を最優先で確認、机に放り投げない2. 請求に争いがある(金額が違う、既に払った、債務が存在しない)なら、期限内に必ず督促異議を申し立てる。異議は理由を詳細に書かなくても効力が生じる3. 異議を出せば手続は通常訴訟へ移り、あなたの住所地の裁判所で反論できる4. 期限を過ぎると仮執行宣言が付き差押えが可能になるので、判断に迷うならまず異議を出して時間を確保する
時効(請求できる期限):仮執行宣言前は、支払督促の送達後すぐ督促異議を申し立てられる(民事訴訟法390条)。仮執行宣言付支払督促の送達を受けた場合は、その送達日から二週間の不変期間内に督促異議を申し立てなければ確定する(同393条、395条)。なお回収対象となる原債権そのものにも消滅時効(民法166条、債権は権利行使可能を知った時から5年または権利行使可能時から10年)が走る点に注意
学説
通説:督促手続は相手方の言い分を聞く審理を経ずに書記官が支払督促を発付する簡易・迅速な手続であり、債務者の手続保障は『督促異議による通常訴訟への移行』という安全弁で確保されると理解されている。397条のオンライン化はこの迅速性をさらに高める手続的特則と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正。督促手続を382条以下に整理し、簡易・迅速な債権回収手続として再構成
- 2.平成16年(2004年) 新設:電子情報処理組織を用いた支払督促申立て(督促オンライン)の規定を導入。指定簡易裁判所への電子申立てを可能にした
- 3.令和4年(2022年) 改正:民事訴訟手続の IT 化改正。オンライン申立て・電子化の全体枠組みを整備し、督促手続の電子的取扱いも改正の影響下に置かれた
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める