民事再生法 第109条(執行力ある債務名義のある債権等に対する異議の主張)
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- 異議等のある再生債権のうち執行力ある債務名義又は終局判決のあるものについては、異議者等は、再生債務者がすることのできる訴訟手続によってのみ、異議を主張することができる。
- 2.前項に規定する再生債権に関し再生手続開始当時訴訟が係属する場合において、異議者等が同項の規定による異議を主張しようとするときは、異議者等は、当該再生債権を有する再生債権者を相手方とする訴訟手続を受け継がなければならない。
- 3.第百五条第二項は第一項の規定による異議の主張又は前項の規定による受継について、第百六条第五項及び第六項並びに前条の規定は前二項の場合について準用する。この場合においては、第百六条第五項中「同項の期間」とあるのは、「異議等のある再生債権に係る調査期間の末日から一月の不変期間」と読み替えるものとする。
- 4.前項において準用する第百五条第二項に規定する期間内に第一項の規定による異議の主張又は第二項の規定による受継がされなかった場合には、異議者等が再生債権者であるときは第百二条第一項又は第百三条第四項の異議はなかったものとみなし、異議者等が再生債務者等であるときは再生債務者等においてその再生債権を認めたものとみなす。
この条文の基本情報
執行力ある債務名義のある債権等に対する異議の主張とは何ですか?
定義執行力ある債務名義のある債権等に対する異議の主張とは、民事再生法第109条に定められた規定で、「異議等のある再生債権のうち執行力ある債務名義又は終局判決のあるものについては、異議者等は、再生債務者がすることのできる訴訟手続によってのみ、異議を主張することが…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第109条(執行力ある債務名義のある債権等に対する異議の主張)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第109条の条文原文は「異議等のある再生債権のうち執行力ある債務名義又は終局判決のあるものについては、異議者等は、再生債務者がすることのできる訴訟手続によってのみ、異議を主張することが…」で始まります。
- 民事再生法第109条は第三節 再生債権の調査及び確定に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第109条の前の条は民事再生法第108条です。
- 民事再生法第109条の次の条は民事再生法第110条です。
- 民事再生法第109条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第109条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第109条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/109
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法109条は、執行力ある債務名義や終局判決のある再生債権について、異議者が再生債務者のなしえた訴訟手続でのみ争えると定め、立証責任を異議者側へ転換する。
Q · 判決を取った相手が民事再生に入ったら、私の債権はまた立証し直すの?
立証し直す必要はなく、争うのは異議者側です
民事再生法109条により、執行力ある債務名義や終局判決のある再生債権については、異議のある側(異議者等)が、再生債務者のなしえた訴訟手続(請求異議の訴えなど)によってのみ異議を主張できます。立証責任は債権者ではなく異議者へ転換されます。さらに調査期間の末日から一月の不変期間内に提起または受継しなければ、異議はなかったものとみなされ、債権はそのまま確定します。逆にあなたが異議者側なら、この一月を逃すと争う権利そのものを失います。
解説
裁判で何年も争ってようやく勝訴の確定判決を取った。あるいは公正証書(執行認諾文言付き、すなわち執行証書)で相手の支払いを担保していた。ところが取引先が民事再生を申し立てた瞬間、あなたの債権にも「異議」が入る。ここで多くの人が誤解する。判決を取り直さなければ、また一から立証し直さなければ、と。違う。109条はそのルールをひっくり返す。確定判決や執行力ある債務名義(裁判所が強制執行を認めた公式の証書)を持つ債権については、文句がある側、つまり異議者の方が、再生債務者ができたはずの訴訟手続(請求異議の訴えなど)で攻めてこなければならない。しかも調査期間の末日から一月という不変期間(延ばせない締切)の内に。動かなければ、異議はなかったものとみなされ、あなたの債権はそのまま確定する。立証責任という重い荷物を、相手の背中に括り付ける条文だ。
法的な位置づけ
民事再生法109条は、執行力ある債務名義または終局判決のある再生債権に対する異議の方法を定める規定である。異議者等は再生債務者がなしえた訴訟手続によってのみ異議を主張でき、調査期間の末日から一月の不変期間内に提起または受継しなければ、異議はなかったものとみなされる。立証責任を異議者側へ転換する点に特徴がある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分の債権に債務名義があるか確認する 確定判決、執行認諾文言付き公正証書(執行証書)、仮執行宣言付支払督促、終局判決のいずれかがあるかを確認する。あれば109条の守りの立場、なければ自分から確定を求める立場になる
- 2.立場を確定し、起算日をカレンダーに登録する 異議者側(再生債務者等または他の届出債権者)なら、調査期間の末日を起点に一月の不変期間のカウントダウンを期日管理に登録する。不変期間は伸長されないため一日も誤らない
- 3.争う手段を債務名義の種類ごとに特定する 争いの土俵は『再生債務者がなしえた訴訟手続』に限定される。請求異議の訴え(民事執行法35条)、再審、控訴など、債務名義の種類に応じた手段を選ぶ。新たな別訴は不可
- 4.開始時に係属中の訴訟があれば受継する 再生手続開始当時にその債権をめぐる訴訟が係属していた場合は、別訴ではなく当該訴訟を受継して異議を主張する(109条2項)。受継も一月の不変期間内に行う
- 5.一月以内に提起・受継し、徒過時の効果を理解する 期間内に異議の主張または受継がされなければ、異議者が再生債権者なら異議はなかったものとみなされ、異議者が再生債務者等ならその再生債権を認めたものとみなされる(109条4項)
よくある質問 AI による整理
Q1民事再生法109条とは何ですか?
債務名義や終局判決のある再生債権について、異議のある側が再生債務者のなしえた訴訟手続でのみ争え、立証責任が異議者へ移ると定める規定です。
Q2債務名義とは何ですか?
確定判決、執行認諾文言付き公正証書(執行証書)、仮執行宣言付支払督促など、強制執行の根拠となる公的な文書のことです。
Q3再生債権の異議はいつまでに出す必要がありますか?
債務名義のある債権では、異議者は調査期間の末日から一月の不変期間内に請求異議の訴え等を提起または受継しなければなりません。
Q4一月の不変期間は延長できますか?
できません。不変期間は伸長されないため、調査期間末日を起点に即座に期限管理する必要があります。
Q5終局判決と確定判決の違いは何ですか?
終局判決は審級の審理を完結させる判決で、確定判決は上訴期間が経過し確定したものです。109条は確定前の終局判決も対象に含みます。
Q6請求異議の訴えとは何ですか?
民事執行法35条に基づき、債務名義に表示された請求権の存在・内容を争う訴えです。109条で異議者が用いる代表的手段です。
Q7再生手続開始時にすでに訴訟が係属している場合はどうなりますか?
異議者は新たに別訴を起こすのではなく、係属中の訴訟を受継して争わなければなりません(109条2項)。
Q8債務名義のない再生債権の異議はどう違いますか?
債務名義がない場合は、債権を有する側(債権者)が査定の申立てや異議の訴えで確定を求める立場となり、攻守が逆になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1判決まで取った相手が民事再生を申し立てました。私の債権、また裁判で証明し直すんですか?
いいえ。確定判決や執行力ある債務名義がある債権は、109条1項で、文句のある異議者の方が、再生債務者ができたはずの訴訟手続で争わなければなりません。あなたは原則として守りの立場です。実務のポイント:実務では、債務名義の有無で攻守が真逆になることを知らず、債権者側が自分から確定訴訟を起こしてしまう事故があります。まず手元の書類が債務名義に当たるかを確認するのが先決で、当たるなら動くのは相手側です
Q2執行認諾文言って何ですか?普通の借用書じゃダメなんですか?
公正証書に「直ちに強制執行に服する」旨の陳述(執行認諾文言)が入っていると、その公正証書は執行力ある債務名義(執行証書)になります。ただの借用書や私製の契約書では債務名義にはなりません。実務のポイント:同じ金額の貸付でも、公証役場で執行認諾文言付きの公正証書にしておくかどうかで、相手が倒産したときの立場が天と地ほど変わります。貸す前のひと手間が、109条で立証責任を相手に押し付けられるかを決める。最新の手数料・要件は公証役場でご確認ください
間違えやすい点 AI による整理
- 「再生手続に入ったら、自分の債権ももう一度立証し直さないと確定しない」と思い込む人が多い。執行力ある債務名義や終局判決がある債権は逆で、異議者が訴える側に回る。あなたは守りに徹していればよい
- 債務名義があれば安心、とは知っていても、その安心に「一月の不変期間」という時限装置が組み込まれていることまでは見落としがちだ。期間が過ぎれば異議は消えるが、それは異議者が動かなかった場合の話。逆にあなたが異議者側なら、その一月を逃した瞬間に争う権利そのものが消滅する。同じ条文が、立つ位置によって盾にも墓穴にもなる
- 「異議が出た=また裁判で全部争うことになる」という問いの立て方自体がずれている。109条の世界では、争いの土俵は『新しい訴え』ではなく『再生債務者ができたはずの訴訟手続』に限定される。請求異議の訴え、再審など、相手が使える武器はあらかじめ決まっている。問うべきは「誰が争うか」だけでなく「どの手続でしか争えないか」だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる債権 | 109条:執行力ある債務名義または終局判決のある再生債権 | 108条:債務名義のない再生債権 105条:一般の再生債権の確定手続 |
| 誰が訴える側に立つか | 異議者等(立証責任が異議者へ転換) | 債権を有する再生債権者(債権者が確定を求める) 査定申立てをした債権者 |
| 争いの手段 | 再生債務者がなしえた訴訟手続(請求異議の訴え・再審等)のみ | 査定の申立て・異議の訴え 査定の申立て・査定決定に対する異議の訴え(106条) |
| 期間 | 調査期間末日から一月の不変期間(3項が105条2項を準用) | 108条が準用する確定手続の期間 査定申立期間・異議の訴え期間 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の倒産法制でも債権調査・確定の手続が設けられ、確定済みの権利の取扱いに配慮がある。再建型手続の体系は日本と類似するが、債務名義を起点とする立証責任転換の明文規律は日本ほど精緻ではない。
韓国も会社更生・個人回生の債権確定手続を整備し、確定債権の取扱いで日本と近い構造を持つ。日本法を継受した倒産法制の系譜上にある。
ドイツ倒産法は、債務名義のある債権(titulierte Forderungen)について、異議を述べる側が異議を追行しなければならないと定め、本条と同趣旨の立証責任転換を採る。日本倒産法の発想の源流の一つ。
米国連邦倒産法では届出債権は一応 allowed とされ、異議を述べる当事者が objection を提起する構造。立証の出発点を異議者側に置く点で発想が通じる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先に貸した金で勝訴判決まで取った。その取引先が民事再生を申し立て、再生債務者側があなたの債権に異議を出してきたら、あなたはまた訴訟を起こす側に回るのか? 答えはノー。109条で動くべきは異議者の方だ。あなたは原則守りに徹していればよい
- あなたが再生債務者側、あるいは届出をした別の債権者で、相手の債権には執行証書が付いている。その金額がおかしいと思っても、調査期間末日から一月以内に請求異議の訴えなどで動かなければ、あなたはその債権を認めたものとみなされる。残り時間を数え間違えれば、争う余地ごと消える。あと数日というところで気付いても、不変期間は一日も伸びない
- 再生手続開始の時点で、その債権をめぐる訴訟がすでに裁判所に係属していた。異議者は新たに別訴を起こすのではなく、その係属中の訴訟を受け継いで(受継して)争わなければならない。別訴を立てても無意味だ
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず自分の債権に執行力ある債務名義(確定判決、執行証書、仮執行宣言付支払督促など)または終局判決があるか確認2. あれば守りの立場、自分から訴える必要はない。異議者が調査期間末日から一月以内に動くか監視3. 開始時に係属中の訴訟があれば、異議者がそれを受継してくるので、その訴訟で応戦4. 一月が過ぎても異議者が動かなければ、あなたの債権は確定。届出書・債務名義の写しを管財側や裁判所へ整えておく
訴えられた側:1. 相手の債権に債務名義があると確認したら、自分が訴える側だと自覚する2. 攻め筋は『再生債務者ができたはずの訴訟手続』に限定。請求異議の訴え(民事執行法35条)、再審、控訴など、債務名義の種類ごとに手段を特定3. 開始時に係属中の訴訟があれば、新訴ではなくその訴訟を受継4. 調査期間末日から一月の不変期間内に提起・受継。逃せば、異議者が再生債権者なら異議はなかったものとみなされ、異議者が再生債務者等ならその債権を認めたものとみなされる
時効(請求できる期限):異議等のある再生債権に係る調査期間の末日から一月の不変期間(109条3項が読み替えて準用する105条2項)。不変期間のため伸長されない。開始時に係属中の訴訟がある場合の受継も同じ期間内に行う必要がある
学説
通説:執行力ある債務名義または終局判決のある再生債権については、既存の効力を尊重して安易な蒸し返しを防ぐ趣旨から、立証責任を異議者側へ転換する。争いの手段は『再生債務者がなしえた訴訟手続』に限定され、一月の不変期間による画一的処理と相まって、倒産手続の集団的・迅速な債権確定を担保すると解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)の制定により新設。和議法に代わる再建型倒産手続の整備の一環として、債務名義のある再生債権の異議方法と立証責任転換、一月の不変期間を明文化した。
- 民事再生法 第102条再生債権に対する異議の根拠規定(本条4項が引用)
- 民事再生法 第103条特別調査期間における異議の根拠規定(本条4項が引用)
- 民事再生法 第105条再生債権の査定申立てと確定手続の原則、本条3項が期間を準用
- 民事再生法 第106条査定決定に対する異議の訴え、本条3項が準用
- 民事再生法 第108条債務名義のない再生債権における主張制限、本条3項が準用
- 破産法 第129条破産手続における同趣旨の立証責任転換規定
- 民事執行法 第35条異議者が用いる請求異議の訴えの根拠
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