要点民事再生法 129 条は、支払停止後に権利移転の日から 15 日を過ぎ、悪意で備えた対抗要件(登記・登録)を否認できると定める。権利移転自体は残り、対抗力だけが巻き戻る。
Q · 支払停止の後に慌てて登記を入れたら、その登記は取り消されてしまうの?
権利移転から 15 日超かつ悪意なら否認されうる
民事再生法 129 条は、支払停止等の後に対抗要件(登記・登録)を備える行為をしても、権利移転の日から 15 日を経過した後に悪意でしたものは否認できると定めます。否認されるのは対抗要件具備行為だけで、売買や譲渡そのものは有効なまま残ります。その結果、権利は持つのに第三者に対抗できない宙吊り状態になります。逆に 15 日以内であれば、たとえ悪意でも否認は届きません。守るべきは心の善悪ではなくカレンダーの日数です。
会社から不動産を買った、あるいは債権の担保に資産を譲り受けた。だが登記費用や手間を惜しんで、対抗要件(登記・登録、つまり自分の権利を第三者に主張するための手続)を後回しにした。その数週間後、相手企業が支払を停止し、慌ててあなたは登記に走る。この瞬間、あなたは民事再生法 129 条の射程に踏み込んでいる。本条は、権利の移転そのものではなく、その移転を世間に主張するための「対抗要件を備える行為」だけを狙い撃ちにして否認(巻き戻し)できると定める。条件は二つ。権利移転の日から 15 日を過ぎた後にしたこと、そして支払停止等を知った悪意でしたこと。この二つが揃うと、監督委員や管財人(再生手続で債権者全体の利益を守る役)はあなたの登記を覆し、せっかく備えた対抗力を奪える。あなたが安心していた「登記したから大丈夫」は、タイミング次第で砂上の楼閣に変わる。
対抗要件の否認とは、支払停止等の後に権利の設定・移転・変更を第三者へ対抗するために備えた行為を、一定の要件の下で巻き戻す制度である。民事再生法 129 条は、権利変動の日から 15 日を経過した後に悪意でされた対抗要件具備行為(仮登記・仮登録を含む)を否認の対象とし、権利移転自体ではなく対抗力の取得のみを否定する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
支払停止等の後に登記・登録など対抗要件を備えた行為を巻き戻す制度です。民事再生法 129 条が根拠で、否認されるのは対抗要件具備行為のみ、権利移転自体は残ります。
民事再生法 139 条により、再生手続開始の日から 2 年で行使できなくなります。害する行為の時から 20 年経過でも同様に消滅します。期間経過後は否認できません。
監督委員または管財人が、否認の訴え・否認の請求・抗弁のいずれかで行使します(民事再生法 135 条)。実務では簡易な否認の請求が用いられることが多いです。
否認する側(監督委員・管財人)が、受益者が支払停止等を知っていた悪意を立証します。受益者は善意を主張して反論できます。取引履歴や督促の事実が証拠になります。
129 条で否認されるのは対抗要件具備行為であり、原因たる権利変動は残るため、反対給付の扱いは事案により異なります。個別に弁護士へ相談すべき論点です。
占有改定も対抗要件具備行為に含まれ得ますが、契約当日に備えていれば 15 日以内で否認は届きません。備えたタイミングが分かれ目になります。
会社更生法にも対抗要件否認の並行規定があります。基本構造は共通ですが、手続の主体や細部が異なるため、適用条文を確認する必要があります。
あります。破産法 164 条が対応する規定で、支払停止後 15 日超・悪意という枠組みは民事再生法 129 条と平仄を合わせています。倒産法制に共通の仕組みです。
129 条が否認するのは権利移転そのものではなく、それを第三者に主張するための対抗要件具備行為(登記・登録)だけだからです。だから売買契約は生きているのに対抗力だけが消え、登記名義を失います。業界裏話ヒント:この『権利はあるが対抗できない』宙吊り状態は実務で最も厄介で、対抗要件は移転と同時に取るのが鉄則。節約のための登記先延ばしは弁護士が最も嫌う一手です
登記を申請した日ではなく、権利の設定・移転・変更があった日(売買なら所有権移転の効力が生じた日)から数えます。この日から 15 日以内に対抗要件を備えれば、たとえ支払停止後で悪意でも 129 条の否認は届きません。業界裏話ヒント:起算点を『登記から 15 日』と取り違えると、安全だと思った取引が否認圏内に入る。日付の起点こそが生命線です
本条ただし書が、先行する仮登記・仮登録に基づいてされた本登記・本登録は否認の対象外と定めています。早い段階で仮登記を打って順位を押さえておけば、後の本登記が 15 日を超えても巻き戻されません。業界裏話ヒント:危ない取引先から担保や資産を取るとき、本登記を急げないなら最低限『仮登記』だけは先に入れる。この一手が後の否認を封じる保険になります
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 否認の対象 | 民再 129 条:対抗要件を備える行為(登記・登録)のみ | — |
| 主要な要件 | 権利変動日から 15 日超 + 悪意(支払停止等の認識) | — |
| 否認後の権利変動 | 権利移転自体は残り、対抗力のみ喪失 | — |
| 除外・特則 | 先行仮登記に基づく本登記は否認対象外(ただし書) | — |
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