民事再生法 第112条(訴訟費用の償還)
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再生債務者財産が再生債権の確定に関する訴訟(第百五条第一項本文の査定の申立てについての裁判を含む。)によって利益を受けたときは、異議を主張した再生債権者は、その利益の限度において、再生債務者財産から訴訟費用の償還を請求することができる。
この条文の基本情報
訴訟費用の償還とは何ですか?
定義訴訟費用の償還とは、民事再生法第112条に定められた規定で、「再生債務者財産が再生債権の確定に関する訴訟(第百五条第一項本文の査定の申立てについての裁判を含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第112条(訴訟費用の償還)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第112条の条文原文は「再生債務者財産が再生債権の確定に関する訴訟(第百五条第一項本文の査定の申立てについての裁判を含む。」で始まります。
- 民事再生法第112条は第三節 再生債権の調査及び確定に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第112条の前の条は民事再生法第111条です。
- 民事再生法第112条の次の条は民事再生法第112条の2です。
- 民事再生法第112条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第112条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第112条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/112
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法112条は、異議を述べた再生債権者の訴訟で再生債務者財産が利益を受けたとき、その利益の限度で訴訟費用の償還を請求できると定める。
Q · 他人の水増し債権を裁判で削ったら、その費用は誰が払ってくれるの?
利益を受けた限度で再生債務者財産から戻ります
民事再生法112条により、異議を述べた再生債権者の訴訟(査定の申立ての裁判を含む)によって再生債務者財産が利益を受けたときは、その利益の限度で訴訟費用の償還を請求できます。全額ではなく『財産が受けた利益が上限』である点が要注意で、利益を超える持ち出しは戻りません。償還対象の中心は民事訴訟法上の訴訟費用であり、弁護士報酬は原則含まれません。動く前に『削れる債権額×自分の配当割合』で見込み利益を試算するのが鉄則です。
解説
取引先が民事再生を申し立てた。あなたは債権者として届出をした。ところが債権者一覧を見ると、どう考えても水増しとしか思えない巨額債権を主張している別の債権者がいる。その分だけ、あなたを含む全員の配当が薄まる。普通は「再生債務者(手続を進める会社側)が審査するだろう」と諦める。だが、あなたにも異議を述べ、訴訟で争う権利がある。そこで効いてくるのが112条だ。あなたが異議を唱えて争い、その結果として再生債務者財産が利益を受けた、つまり不当な債権が削られて配当原資が守られたなら、あなたはその利益の限度で、訴訟費用を再生債務者財産から償還してもらえる。あなた一人が立てた裁判が全債権者の取り分を守り、その戦費を会社の財産が肩代わりする構図である。自腹で公益的な戦いをして終わり、ではない。
法的な位置づけ
民事再生法112条は、再生債権の確定に関する訴訟により再生債務者財産が利益を受けた場合に、異議を主張した再生債権者がその利益の限度で訴訟費用の償還を請求できる旨を定める規定である。訴訟費用の敗訴者負担原則(民事訴訟法61条)に対する特則として、個別債権者の公益的な争訟行為に費用補填を認める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.再生債権者表で不当債権を洗い出す 再生債権者表・債権者一覧を入手し、不自然に大きい債権や根拠不明な債権を特定する。その債権が満額通れば自分の配当がどれだけ薄まるかを数値で把握する
- 2.調査期間内に書面で異議を述べる 再生債権の調査期間内に、対象債権について書面で異議を申し出る。この窓口を逃すと後から争えなくなるため、期限を最優先で管理する
- 3.査定の申立て・異議の訴えで具体的に争う 査定の申立て(105条)または査定決定に対する異議の訴え(106条)で、相手債権の証拠不備や金額の過大を具体的に主張立証する
- 4.利益発生後に112条で費用償還を請求する 勝訴して再生債務者財産に利益が生じたら、その利益の限度で訴訟費用の償還を請求する。着手前に『削れる債権額×自分の配当割合』で見込み利益を試算し、利益を超える持ち出しがないか確認する
よくある質問 AI による整理
Q1民事再生法112条の訴訟費用の償還とは何ですか?
異議を述べた再生債権者の訴訟で再生債務者財産が利益を受けたとき、その利益の限度で訴訟費用を財産から取り戻せる制度です。敗訴者負担原則の特則にあたります。
Q2再生債権の査定の申立てとは何ですか?
届出された再生債権に異議が出た場合、裁判所に債権額の確定を求める手続です(民事再生法105条)。112条はこの査定の裁判で生じた費用も償還対象に含めます。
Q3再生債権に異議を述べる期限はいつまでですか?
再生債権の調査期間内に書面で異議を述べる必要があります。この窓口を逃すと疑わしい債権はそのまま確定し、後から争えなくなります。
Q4訴訟費用の償還はいつ請求できますか?
訴訟によって再生債務者財産が現実に利益を受けたこと(不当債権の削減など)が前提です。利益が生じて初めて、その限度で償還請求権が発生します。
Q5弁護士費用も償還してもらえますか?
原則として戻りません。112条の償還対象の中心は民事訴訟法上の訴訟費用であり、弁護士報酬は敗訴者負担の訴訟費用に含まれないのが原則です。
Q6償還される費用に上限はありますか?
あります。償還は『再生債務者財産が受けた利益の限度』までです。生じた利益を超える自己負担分は戻らないため、費用対効果の事前試算が重要です。
Q7異議の訴えと査定の申立ては何が違いますか?
まず査定の申立て(105条)で裁判所の査定を受け、その決定に不服があれば査定決定に対する異議の訴え(106条)で争います。いずれの費用も112条の対象になり得ます。
Q8個人の債権者でも訴訟費用の償還を受けられますか?
受けられます。クラウドファンディングや小口融資で会社に資金を出した個人も再生債権者であり、異議を述べて勝てば112条の償還の道が開きます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1債権者なのに、他人の債権にケチをつけられるんですか?
つけられます。再生債権の調査手続では、再生債務者だけでなく届出をした他の再生債権者も異議を述べられます。異議の後は査定の申立て(105条)や査定決定に対する異議の訴え(106条)で争い、勝てば112条で費用償還の道が開きます。実務のポイント:実務では債権者が他人の債権に異議を出す例は少なく、多くが再生債務者任せです。だからこそ、動いた債権者は不当債権を削って配当率を実質的に引き上げられる。沈黙する多数の中で、動く一人が得をする構造になっています
Q2費用が戻るって、弁護士費用も全部戻ってくるんですか?
全額ではありません。112条が償還するのは『再生債務者財産が受けた利益の限度』までで、しかも対象の中心は民事訴訟法上の訴訟費用です。生じた利益が上限なので、それを超える自己負担は戻りません。実務のポイント:法律上『訴訟費用』と『弁護士費用』は別物で、敗訴者が負担する訴訟費用に弁護士報酬は原則含まれません。112条の償還を当て込んで弁護士費用まで戻ると考えると当てが外れる。費用対効果は『削れる債権額×自分の配当割合』で冷静に試算するのが鉄則です
間違えやすい点 AI による整理
- 「再生債権の審査は再生債務者(会社側)の仕事で、いち債権者にできることはない」と思い込んでいる人が多い。実際には債権者にも異議を述べる権利があり、しかも勝てば費用まで戻る。傍観する理由は法律上どこにもない
- 異議を述べられること自体は知っていても、「自腹を切る覚悟がなければ無理」と考えて止まる人が多い。深刻なのは、その思い込みが112条の費用償還の存在を視界から消し、本来動くべき債権者を沈黙させてしまう点だ。動かない理由の正体は、リスクではなく情報不足である
- 「費用は全額戻るのか」という問いの立て方自体がずれている。112条が償還するのは『再生債務者財産が受けた利益の限度』までであり、利益を超える分は自己負担になる。問うべきは「いくら戻るか」ではなく「自分の訴訟がいくらの利益を生み出すか」だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の役割 | 112条:訴訟で財産が利益を受けた場合の費用償還 | 105条:再生債権の査定の申立て(債権額の確定) 106条:査定決定に対する異議の訴え(裁判で確定) |
| 発動の前提 | 訴訟により再生債務者財産が現実に利益を受けたこと | 届出再生債権に異議が述べられたこと 査定決定に不服があること |
| 得られるもの | 利益の限度での訴訟費用の償還 | 裁判所による債権額の査定決定 債権の存否・金額の終局的確定 |
他国ではどう定めているか 2 か国
ドイツ倒産法は財団債務(Masseverbindlichkeiten)の観念で財団のために生じた費用を優先処理する。異議債権者の費用償還を112条のように個別明文化する構造とは設計が異なる。
米国連邦倒産法は財団に利益をもたらした費用を administrative expense として優先弁済し得る。償還の枠組みは類似するが、個別異議債権者への限度付き償還を独立条文で定める形ではない。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の民事再生で、見覚えのない大口債権者が突然名簿に現れた。その債権が満額通れば、あなたの配当は半分に減る。異議を述べて訴訟で削れたら、その裁判費用は誰が払うのか。112条は「あなたではなく、利益を受けた再生債務者財産が、その利益の限度で負担する」と答える
- 再生債権の調査期間は限られている。異議を述べられる窓口が閉じるまであと数日。今動けば費用償還の道も残るが、期間を逃せば疑わしい債権はそのまま確定し、あなたの取り分は永久に薄まる
- あなたが届け出た債権に、他の債権者から異議が入り査定の手続に進んだ。もしあなたの債権が過大と判断されて削られれば、相手は112条でその訴訟費用を再生債務者財産から回収する。あなたの水増し分が、相手の戦費を生むことになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 再生債権者表・債権者一覧を入手し、不自然に大きい債権や根拠が不明な債権を洗い出す2. 再生債権の調査期間内に、書面で異議を述べる。この窓口を逃すと後から争えない3. 査定の申立て(105条)または査定決定に対する異議の訴え(106条)で具体的に争い、相手債権の証拠不備を突く4. 勝訴して再生債務者財産に利益が生じたら、その利益の限度で112条に基づき訴訟費用の償還を請求する。着手前に『削れる債権額×自分の配当割合』で見込み利益を試算し、利益を超える持ち出しがないか確認する
訴えられた側:1. 自分の届出債権に異議が入ったら、契約書・請求書・入金記録など、債権の存在と金額を裏付ける証拠を即座に固める2. 査定手続・訴訟では立証構造を確認し、過大と指摘された部分を冷静に切り分ける3. 争う実益の薄い部分は早期に減額・取下げを検討する。訴訟が長引くほど相手の償還対象費用が膨らみ、再生債務者財産を経由して間接的に全体の負担として跳ね返る4. 正当な債権なら証拠で正面突破、曖昧な部分は早期決着がコスト最小になる
時効(請求できる期限):費用償還は、再生債権の確定に関する訴訟によって再生債務者財産が利益を受けたことが前提となる。その前提となる異議は再生債権の調査期間内に述べる必要があり、期間を逃すと争えない。償還請求権そのものに固有の時効規定はないが、一般の消滅時効(民法166条、債権は権利を行使できると知った時から5年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:112条は訴訟費用の敗訴者負担原則(民事訴訟法61条)の特則であり、個別債権者が再生債務者の代わりに不当債権を排除した場合の公益的行為に費用補填を与える趣旨と解される。償還範囲は再生債務者財産が現実に受けた利益の限度に限られる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(法律第225号)の制定により新設。旧和議法に代わる再生手続のなかで、再生債権の確定に関する訴訟で財産が利益を受けた場合の異議債権者への費用償還を定めた。
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