民事再生法 第123条(開始後債権)
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- 再生手続開始後の原因に基づいて生じた財産上の請求権(共益債権、一般優先債権又は再生債権であるものを除く。)は、開始後債権とする。
- 2.開始後債権は、再生手続が開始された時から再生計画で定められた弁済期間が満了する時(再生計画認可の決定が確定する前に再生手続が終了した場合にあっては再生手続が終了した時、その期間の満了前に、再生計画に基づく弁済が完了した場合又は再生計画が取り消された場合にあっては弁済が完了した時又は再生計画が取り消された時)までの間は、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。
- 3.開始後債権に基づく再生債務者の財産に対する強制執行、仮差押え及び仮処分並びに財産開示手続及び第三者からの情報取得手続の申立ては、前項に規定する期間は、することができない。開始後債権である共助対象外国租税の請求権に基づく再生債務者の財産に対する国税滞納処分の例によってする処分についても、同様とする。
この条文の基本情報
開始後債権とは何ですか?
定義開始後債権とは、民事再生法第123条に定められた規定で、「再生手続開始後の原因に基づいて生じた財産上の請求権(共益債権、一般優先債権又は再生債権であるものを除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第123条(開始後債権)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第123条の条文原文は「再生手続開始後の原因に基づいて生じた財産上の請求権(共益債権、一般優先債権又は再生債権であるものを除く。」で始まります。
- 民事再生法第123条は第五章 共益債権、一般優先債権及び開始後債権に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第123条の前の条は民事再生法第122条です。
- 民事再生法第123条の次の条は民事再生法第124条です。
- 民事再生法第123条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第123条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第123条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/123
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法123条は、手続開始後に生じた請求権のうち共益債権等に当たらないものを開始後債権と定め、再生計画の弁済期間が満了するまで弁済も差押えもできないと規定する。
Q · 民事再生に入った取引先に開始後も売った代金は、いつ回収できますか?
共益債権でなければ弁済期間満了まで凍結される
その代金が共益債権(民事再生法119条)と認められれば随時かつ優先的に弁済されますが、そこから漏れると開始後債権(123条)になります。開始後債権は、手続開始から再生計画で定めた弁済期間が満了するまで、弁済も受領も差押えもできず凍結されます。ただし再生債権と異なり原則として減額・免除はされず、全額が残ります。取引を続けるなら開始直後に監督委員へ共益債権としての扱いを文書で確認するのが要点です。
解説
取引先が民事再生を申し立てた。あなたはその後も部品を納め続け、代金を請求した。すると「再生計画が終わるまでお支払いできません、差押えもできませんよ」と返ってくる。これが開始後債権の正体だ。民事再生法123条は、手続開始後の原因で生じた請求権のうち、共益債権でも一般優先債権でも再生債権でもないものを「開始後債権」と分類する。やっかいなのは、同じ開始後の取引でも、裁判所の許可や手続遂行のために生じた債権は共益債権として随時かつ優先的に弁済されるのに対し、そこから漏れた開始後債権は、手続開始から計画弁済期間が満了するまでの長い間、弁済も受領も差押えも一切凍結される点だ。免除以外の方法で消すこともできない。「再生中の会社でも普通に取引すれば代金はもらえる」と思い込んでいると、回収不能の罠に正面から落ちる。
法的な位置づけ
開始後債権とは、再生手続開始後の原因に基づいて生じた財産上の請求権のうち、共益債権・一般優先債権・再生債権のいずれにも該当しないものをいう。民事再生法123条が定義し、手続開始から再生計画の弁済期間が満了するまでの間は、弁済・受領その他これを消滅させる行為および強制執行が禁止される、期間限定で凍結される債権類型である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.債権の発生原因が手続開始の前か後かを確定する 自分の請求権が、再生手続開始決定より前の原因か後の原因かをまず切り分ける。開始前なら再生債権、開始後なら共益債権か開始後債権かの分岐に進む。この起点を誤ると回収戦略全体がずれる
- 2.共益債権(119条)に該当する余地を点検する 開始後の債権であっても、裁判所の許可や事業継続に不可欠な取引から生じたものは共益債権になりうる。該当要件に当てはまるかを条文と照らして洗い出す。ここで拾えれば随時優先弁済の対象になる
- 3.監督委員・再生債務者に文書で共益債権扱いを働きかける 共益債権に該当する余地があれば、監督委員および再生債務者に対し、その取引が事業継続に不可欠である旨を文書で主張し、必要なら裁判所の許可取得を促す。事後主張では凍結庫から出られないため、開始直後の初動が勝負
- 4.開始後債権と確定したら弁済期間の満了日を逆算して管理する 開始後債権と判明したら、再生計画で定めた弁済期間の満了日を確認し、その日まで弁済請求も差押えもできない前提で資金繰りを組み直す。同時に原債権の消滅時効を別カレンダーで管理する
- 5.満了日を起点に内容証明・強制執行の準備を仕込む 凍結が解ける満了日を起点に、内容証明郵便と強制執行の書面を事前に用意しておく。解禁と同時に動けるようにすることで、他の解禁債権者に先んじて回収の初動を取れる
よくある質問 AI による整理
Q1開始後債権とは何ですか?
再生手続開始後の原因で生じた請求権のうち、共益債権・一般優先債権・再生債権のいずれにも当たらないものです。民事再生法123条が定義し、弁済期間満了まで凍結されます。
Q2開始後債権と共益債権の違いは何ですか?
共益債権(119条)は事業継続に不可欠な債権として随時かつ優先的に払われますが、開始後債権はそこから漏れた債権で、弁済期間が満了するまで弁済も差押えもできません。
Q3民事再生に入った取引先の売掛金は回収できますか?
共益債権と認められれば優先的に回収できますが、開始後債権に落ちると弁済期間満了まで回収も差押えもできません。開始直後に共益債権の手当てをするかが分かれ目です。
Q4開始後債権はいつから請求できますか?
再生計画で定めた弁済期間が満了した時(手続終了・弁済完了・計画取消があればその時)から、弁済請求も強制執行も解禁されます。それまでは請求できません。
Q5開始後債権は相殺できますか?
123条2項は期間中の弁済・受領その他これを消滅させる行為を禁じており、相殺による消滅もこの制限に服する場面があります。自己判断せず監督委員に確認が必要です。
Q6開始後債権に差押えはできますか?
できません。123条3項により、凍結期間中は強制執行・仮差押え・仮処分のほか、財産開示手続や第三者からの情報取得手続の申立ても制限されます。
Q7開始後債権は再生計画で減額されますか?
原則として減額・免除されません。再生債権(84条)が計画で圧縮されるのと異なり、開始後債権は全額が残ります。消えるのではなく、期間中は動かせないだけです。
Q8開始後債権の消滅時効は何年ですか?
123条固有の時効はありません。原債権には民法166条の一般時効(権利行使できると知った時から5年、または行使できる時から10年)が適用されます。凍結と時効は別管理が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1再生に入った取引先に、開始後も普通に商品を売っていました。この代金、結局もらえるんですか?
もらえる可能性は残りますが、扱いは大きく分かれます。その取引が事業継続に不可欠で共益債権(119条)と認められれば随時かつ優先的に払われますが、そこから漏れると開始後債権(123条)になり、計画弁済期間が満了するまで弁済も差押えもできません。実務のポイント:実務では、取引を続けるなら開始直後に監督委員へ『これは共益債権として扱ってほしい』と文書で確認を取るのが鉄則です。事後に主張しても凍結庫からは出られないので、動くなら最初の数日が勝負です
Q2開始後債権って、結局は再生債権より損なんですか得なんですか?
一概には言えません。再生債権(84条)は計画で減額・免除されることが多い一方、開始後債権は原則として全額が残ります。ただし計画弁済期間が満了するまで一切回収できない凍結期間がある点が重い。減るが早く動ける再生債権と、減らないが長く凍る開始後債権、性格が違います。実務のポイント:凍結が解ける満了日と原債権の消滅時効を別々に管理できているかで、最終的な回収率が変わります。多くの債権者は解禁日を意識せず、動けるのに動かないまま時効を進めてしまいます
Q3再生中の会社が『今は払えないけど待ってくれ』と言うので待っています。問題ないですか?
あなたの債権が開始後債権なら、その『待つ』は法律が強制している状態であって、相手の好意ではありません。123条2項は期間中の弁済・受領を禁じているので、待つ以外の選択肢が今はないだけです。実務のポイント:危ういのは、相手が善意で一部だけ払おうとするケース。これは禁止行為への弁済となり、後で否認されたり相手の責任問題になったりします。受け取ってしまったあなたも巻き込まれることがあるので、安易に受領しないことです
間違えやすい点 AI による整理
- 「開始後に発生した債権だから、開始前の再生債権より扱いはマシだろう」と考える人が多いが、ここが落とし穴だ。開始後の債権でも共益債権に該当しなければ、計画弁済期間が満了するまで弁済も受領も差押えも一切できない。タイミングが新しいことは、有利を意味しない。むしろ凍結庫に直行する危険がある
- 「弁済が禁止されているなら、せめて相殺や担保実行で回収できるはず」と思いがちだが、123条2項は弁済・受領その他これを消滅させる行為そのものを期間中禁じる。あなたが立てている『どうやって回収するか』という問いの前に、『そもそも今は動かせない』という現実が立ちはだかる。問いの順序を間違えている
- 「凍結されたら債権が消えるのと同じ」と諦める人がいるが、それは深刻さの方向を読み違えている。開始後債権は再生債権のように計画で減額・免除されるわけではなく、原則として全額が残る。消えるのではなく、期間満了まで動かせないだけ。だからこそ凍結が解ける瞬間と時効の管理を取り違えた者だけが、本当に取りはぐれる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発生原因の時点 | 開始後債権(123条):手続開始後の原因 | 共益債権(119条):手続開始後だが手続遂行・事業継続に不可欠 再生債権(84条):手続開始前の原因 |
| 弁済のタイミング | 弁済期間満了まで弁済・受領・差押え禁止(凍結) | 随時かつ優先的に弁済 再生計画に従い期間内に分割弁済 |
| 減額・免除の有無 | 原則として減額・免除なし、全額が残る | 減額されず全額弁済 計画で減額・免除されることが多い |
| 強制執行の可否 | 期間中は強制執行・財産開示等の申立て不可(123条3項) | 不履行なら回収手段を取りうる 個別執行は原則禁止、計画弁済で回収 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は民事再生に完全対応する単一手続を持たず、会社更生型の公司重整や消費者債務清理條例の中で開始後の債権区分を扱う。凍結と優先の二分法という発想は近い
韓国は再生手続を統合倒産法で規律し、공익채권(共益債権)と회생채권(再生債権)を区分。手続後に生じる債権の優先・非優先の分岐は日本と類似の構造
ドイツは手続開始後の債権を Masseverbindlichkeiten(財団債権)として優先弁済する。日本の共益債権に近く、そこから外れる開始後の債権の扱いに機能的対応が見られる
米国チャプター11では申立後に生じた債権を administrative expense として優先弁済する。民事再生法自体がチャプター11を参照して設計されており、共益債権/開始後債権の区分と機能的に対応する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの会社が民事再生に入った得意先に対して、開始決定後も従来どおり原材料を納品し続けたらどうなる? 裁判所の許可を取らず共益債権の手当てもしていなければ、その代金は開始後債権になり、計画弁済が終わるまで一円も回収できず、差押えという最後の手段すら封じられる
- 建設下請のあなたが、元請の再生開始後に追加工事を完成させた。出来高は数百万円。だがその請負代金が共益債権と認められなければ開始後債権となり、再生期間中は仮差押えも財産開示の申立てもできない。完成させた事実だけでは、回収のタイミングは守れない
- あなたが再生債務者側の経理担当だとする。開始後に取引先へ「払いたいから払う」と支払ってしまうと、それが開始後債権への弁済なら123条2項違反。善意でやった支払いが、後で否認や責任追及の火種になる
- あと数日で計画弁済期間が満了する。あなたが抱える開始後債権は、その瞬間まで凍結されている。満了と同時に弁済も差押えも解禁されるが、消滅時効は別途進んでいる。解禁日を1日も取り違えれば、回収の初動が丸ごと遅れる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分の債権の発生原因が手続開始の前か後かをまず確定する。後なら共益債権(119条)に該当するか、裁判所の許可や事業継続に不可欠かを点検する2. 共益債権に該当する余地があれば、監督委員・再生債務者に文書で主張し、許可の取得を働きかける。ここで取りこぼすと開始後債権に確定する3. 開始後債権と判明したら、計画弁済期間の満了日を確認し、その日まで弁済請求・差押えができないことを前提に資金繰りを組み直す4. 満了日を起点に内容証明・強制執行の準備を仕込み、解禁と同時に動けるようにする
訴えられた側:1. 再生債務者側なら、開始後に生じた支払請求に対して安易に応じない。それが開始後債権への弁済なら123条2項違反となり、後の否認や責任追及を招く2. 取引継続が事業再建に不可欠なら、共益債権としての処理を監督委員・裁判所と整理し、適法に支払える枠組みを作る3. 開始後債権者から差押えや財産開示の申立てを受けたら、123条3項により期間中はそれが制限されることを指摘して対応する4. 弁済の可否は時期と債権種別で機械的に決まるため、自己判断で支払わず必ず監督委員と確認する
時効(請求できる期限):123条2項の凍結期間は、手続開始時から再生計画で定められた弁済期間が満了する時まで(認可確定前に手続終了なら終了時、期間満了前に弁済完了・計画取消があればその時)。この期間は弁済も受領も差押え等もできない。123条自体に固有の消滅時効はないが、原債権には一般の消滅時効(民法166条、債権は権利行使可能を知った時から5年または権利行使可能時から10年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:123条の開始後債権は、共益債権にも一般優先債権にも再生債権にも該当しない残余類型と位置づけられる。再建原資の保全という目的から弁済・執行を期間限定で凍結するが、債権自体の減額はせず実体を温存する点に、再生債権の圧縮とは異なる本条の性格があると解される。
改正沿革 AI による整理
- 令和元年(2019年)民事執行法改正に伴う改正(令和2年施行、要確認) 第3項に『第三者からの情報取得手続』および財産開示手続の申立て制限が反映された。これら手続自体が令和元年改正で整備されたもので、開始後債権者による期間中の利用も制限対象に加わった。施行年・改正の正確な範囲は人的検証を要する
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)制定に伴い、再生手続開始後に生じる残余の請求権を開始後債権として定義し、弁済禁止と執行制限を規定
- 2.令和元年(2019年) 改正:民事執行法改正に伴い、第3項に財産開示手続および第三者からの情報取得手続の申立て制限が反映された(施行年・改正の正確な範囲は人的検証を要する)
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