信託法 第269条(法人における罰則の適用)
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第二百六十七条第一項に規定する者が法人であるときは、同項の規定は、その行為をした取締役、執行役その他業務を執行する役員又は支配人に対してそれぞれ適用する。
この条文の基本情報
法人における罰則の適用とは何ですか?
定義法人における罰則の適用とは、信託法第269条に定められた規定で、「第二百六十七条第一項に規定する者が法人であるときは、同項の規定は、その行為をした取締役、執行役その他業務を執行する役員又は支配人に対してそれぞれ適用する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第269条(法人における罰則の適用)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第269条の条文原文は「第二百六十七条第一項に規定する者が法人であるときは、同項の規定は、その行為をした取締役、執行役その他業務を執行する役員又は支配人に対してそれぞれ適用する。」で始まります。
- 信託法第269条は第十三章 罰則に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第269条の前の条は信託法第268条です。
- 信託法第269条の次の条は信託法第270条です。
- 信託法第269条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第269条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第269条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/269
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法269条は、267条1項に規定する者が法人である場合、その行為をした取締役、執行役その他業務を執行する役員または支配人に同項の罰則を適用すると定める。
Q · 信託財産を管理する会社が任務違反をしたら、罰せられるのは会社?それとも役員?
行為をした役員・支配人個人が処罰されます
信託法269条により、267条1項に規定する者(信託財産管理者など)が法人である場合、同項の罰則は、実際にその行為をした取締役、執行役その他業務を執行する役員または支配人に適用されます。本条は法人に罰金を科す両罰規定ではありません。刑事責任を負うのは行為をした個人であり、関与していない役員まで一律に処罰されるわけでもありません。
解説
刑罰は手錠をかけられる人間にしか科せない。だが信託財産の管理を任されるのは、人間だけではない。裁判所が信託会社などの法人を信託財産管理者に選ぶ場面がある。その法人が任務に背いて財産に穴を開けたとき、267条1項の罰則は「法人」に向いたまま宙に浮いてしまう。本条はその抜け穴をふさぐ。実際にその行為をした取締役、執行役その他業務を執行する役員、または支配人(本店や支店の営業を包括的に任された使用人)に、同じ罰則をそのまま適用するのである。見落とされやすいのは、本条が法人に罰金を科す「両罰規定」ではない点だ。会社が罰金を払って終わる構造ではない。名前で処罰されるのは個人である。あなたが受益者なら、刑事告訴の宛先は法人名ではなく、決裁した役員の個人名になる。あなたが役員なら、「会社としてやった」は盾にならない。
法的な位置づけ
信託法269条は、法人に対する罰則の適用について定める規定である。同法267条1項に規定する者が法人である場合、同項の罰則は、その行為をした取締役、執行役その他業務を執行する役員または支配人に適用される。法人自体を処罰する両罰規定とは異なり、刑罰の適用先を行為者である自然人に付け替える構造をとる。
よくある質問 AI による整理
Q1信託法269条とは何ですか?
267条1項の罰則の対象者が法人である場合に、実際に行為をした役員や支配人個人へその罰則を適用することを定めた規定です。
Q2信託法の罰則は法人にも科されますか?
本条は法人に罰金を科す両罰規定ではありません。267条1項の刑罰は、行為をした取締役・執行役などの役員または支配人個人に適用されます。
Q3信託法269条の対象になる役員は誰?
取締役、執行役その他業務を執行する役員、または支配人のうち、問題の行為を実際にした者です。肩書だけで一律に対象になるわけではありません。
Q4支配人とはどんな人?
本店や支店の事業について包括的な代理権を与えられた使用人です。役員でなくても、支配人に当たれば本条の適用対象になりえます。
Q5信託財産管理者が背任したら告訴できる?
267条1項と本条を根拠に、行為をした役員個人を特定して告訴を検討できます。決裁者の特定には稟議書や取引記録の保全が重要です。
Q6信託法の特別背任罪の時効は何年?
267条1項の法定刑(長期10年)を前提にすると公訴時効は7年で、犯罪行為が終わった時から進行します。最新の改正状況は要確認です。
Q7取締役会で賛成しただけでも処罰される?
実行を担当していなくても、関与の程度によっては共同正犯や幇助を問われる余地があります。反対意見を記録に残すことが重要です。
Q8信託法269条と会社法972条は同じ?
ほぼ同じ文言の同型規定です。会社法972条は会社法上の罰則について、本条は信託法267条1項について、法人の行為者個人に罰則を適用します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社が罰金を払えば、役員本人はおとがめなしってことですか?
違います。信託法269条は会社に罰金を科す両罰規定ではなく、267条1項の刑罰を、行為をした取締役、執行役その他業務を執行する役員または支配人に直接適用する規定です。実務のポイント:社内では「会社が責任を取る」という言葉で処理されがちですが、刑事記録に残るのは個人名です。役員保険(D&O 保険)も、故意の犯罪行為は免責とされるのが通例です
Q2支店長だけど役員じゃない。自分には関係ないですよね?
支配人に当たれば関係があります。269条は役員と並べて支配人を明記しています。支配人とは、本店や支店の事業について包括的な代理権を与えられた使用人です。実務のポイント:肩書が「支店長」でも、登記の有無や実際に与えられた権限で判断が分かれることがあります。自分が支配人に当たるかどうかは、平時のうちに登記簿と社内規程で確認しておくのが安全です
間違えやすい点 AI による整理
- 「法人がやったことなら、罰金を払うのは会社だろう」と考えがちだが、本条は会社に罰金を科す両罰規定ではない。267条1項の刑罰そのものが、行為をした役員・支配人個人に適用される。会社の財布ではなく、個人の前科と身柄の問題になる
- 問いの立て方そのものがずれている場合がある。「会社として違法か」を問うても、本条の世界では答えが出ない。問うべきは「誰がその行為をしたか」である。決裁者、実行者、黙認した者を切り分けて初めて、刑事責任の地図が描ける
- 取締役や執行役が対象だとは知っていても、肩書のない「支配人」まで含まれることの重さは知られていない。支店長や営業所長として包括的な代理権を持っていれば、役員でなくても罰則の射程に入る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 信託法269条:267条1項の罰則の適用先を法人から行為者個人へ付け替える | 信託法267条1項:任務違反行為そのものを処罰する罰則の本体 会社法972条:会社法上の罰則について同型の付け替えを定める |
| 処罰される者 | 行為をした取締役、執行役その他業務を執行する役員または支配人 | 同項各号に掲げる受託者・信託財産管理者などの立場にある者 行為をした取締役、執行役その他業務を執行する役員または支配人 |
| 単独で犯罪を構成するか | 構成しない(267条1項とセットで初めて機能する) | 構成する(図利加害目的・任務違背・財産上の損害が要件) 構成しない(各罰則規定とセットで機能する) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では一般の背信罪が基本となり、金融関係の特別法では法人違反時に行為負責人を処罰する規定方式が多く見られる
韓国商法も特別背任罪等の主体が法人である場合に、行為をした理事・支配人等に罰則を適用する同型規定を置く
ドイツは刑法総則で、法人の機関として行為した者に身分要素を帰属させる一般規定を置き、個別法ごとの規定を要しない
米国は法人自体の刑事責任を広く認めつつ、責任ある地位の役員個人を処罰する法理も判例で発展させている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 受託者が解任され、裁判所が信託会社を信託財産管理者に選んだ。その会社の執行役が、関係会社の利益のために信託財産の不動産を相場より大幅に安く売却させた。罰則の対象は会社ではなく、売却を決めた執行役個人になる
- もし役員会の議事録に、あなたが任務違反の取引に賛成した記録だけが残っていたら、どうなる? 実行を担当していなくても、共同正犯や幇助を問われる余地がある。「担当外だった」という言い分は、記録の前では弱い
- 受益者として、損失の原因が法人の管理者側にあると分かった。検察に動いてもらうには、誰が決裁したのかを特定する必要がある。社内の稟議書や取引記録は、時間が経つほど散逸していく
- あなたは信託会社の支店長(支配人)。本社の役員から「この取引で信託財産を回してくれ」と口頭で頼まれた。罰則は役員と支配人の両方に向きうる。指示に従っただけという弁解は、本条の文言上、当然の免責にはならない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 信託財産の目減りや不自然な取引を見つけたら、帳簿、取引記録、通知書をすぐ保全する2. 管理者である法人に、取引の決裁者と経緯を書面で照会する3. 民事では受託者等の責任追及、刑事では267条1項と本条を根拠に決裁した役員個人を特定して告訴を検討する4. 法人と個人の両方を視野に入れ、弁護士と追及の順序を決める
訴えられた側:1. 自分が問題の行為を実際に決め、または実行したのかを時系列で整理する2. 反対意見や異議の記録、担当外であった証拠を集める3. 図利加害目的(自分や第三者の利益を図る、または受益者に損害を加える目的)の有無が核心になりうるので、取引の経営上の合理性を説明する資料を揃える4. 捜査機関への任意の説明に応じる前に、刑事弁護人に相談する
時効(請求できる期限):本条自体に時効はない。刑事の公訴時効は267条1項の法定刑で決まり、長期10年以上15年未満の拘禁刑なら7年(刑事訴訟法250条2項4号)で、犯罪行為が終わった時から進行する。民事の損害賠償は、損害と加害者を知った時から3年、行為時から20年(民法724条)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的理解:法人は拘禁刑の対象とならず、身分犯である267条1項をそのまま適用すると処罰が空振りになる。本条は会社法972条と同趣旨で、身分を法人が有する場合に行為者である自然人へ罰則を適用する技術的規定と理解される
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年) 旧信託法(大正11年法律第62号)を全面的に改める新信託法(平成18年法律第108号)の制定により、罰則章の一条として新設された。その後の本条文言の改正の有無は人による検証が必要である
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:旧信託法(大正11年法律第62号)を全面的に改める新信託法(平成18年法律第108号)の制定に伴い、罰則章の一条として新設された
- 信託法 第267条本条が付け替える罰則の本体
- 信託法 第270条受託者等に対する過料(現行効力を要確認)
- 刑法 第247条一般の背任罪、本条系統の一般法
- 刑法 第65条身分犯への非身分者の共犯
- 会社法 第972条法人役員への同型の罰則適用規定
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