(受託者の注意義務)
第29条
受託者は、信託の本旨に従い、信託事務を処理しなければならない。
2受託者は、信託事務を処理するに当たっては、善良な管理者の注意をもって、これをしなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる注意をもって、これをするものとする。
(受託者の注意義務)
受託者は、信託の本旨に従い、信託事務を処理しなければならない。
2受託者は、信託事務を処理するに当たっては、善良な管理者の注意をもって、これをしなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる注意をもって、これをするものとする。
(忠実義務)
受託者は、受益者のため忠実に信託事務の処理その他の行為をしなければならない。
(利益相反行為の制限)
受託者は、次に掲げる行為をしてはならない。
一信託財産に属する財産(当該財産に係る権利を含む。)を固有財産に帰属させ、又は固有財産に属する財産(当該財産に係る権利を含む。)を信託財産に帰属させること。
二信託財産に属する財産(当該財産に係る権利を含む。)を他の信託の信託財産に帰属させること。
三第三者との間において信託財産のためにする行為であって、自己が当該第三者の代理人となって行うもの
四信託財産に属する財産につき固有財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う債務に係る債権を被担保債権とする担保権を設定することその他第三者との間において信託財産のためにする行為であって受託者又はその利害関係人と受益者との利益が相反することとなるもの
2前項の規定にかかわらず、次のいずれかに該当するときは、同項各号に掲げる行為をすることができる。ただし、第二号に掲げる事由にあっては、同号に該当する場合でも当該行為をすることができない旨の信託行為の定めがあるときは、この限りでない。
一信託行為に当該行為をすることを許容する旨の定めがあるとき。
二受託者が当該行為について重要な事実を開示して受益者の承認を得たとき。
三相続その他の包括承継により信託財産に属する財産に係る権利が固有財産に帰属したとき。
四受託者が当該行為をすることが信託の目的の達成のために合理的に必要と認められる場合であって、受益者の利益を害しないことが明らかであるとき、又は当該行為の信託財産に与える影響、当該行為の目的及び態様、受託者の受益者との実質的な利害関係の状況その他の事情に照らして正当な理由があるとき。
3受託者は、第一項各号に掲げる行為をしたときは、受益者に対し、当該行為についての重要な事実を通知しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
4第一項及び第二項の規定に違反して第一項第一号又は第二号に掲げる行為がされた場合には、これらの行為は、無効とする。
5前項の行為は、受益者の追認により、当該行為の時にさかのぼってその効力を生ずる。
6第四項に規定する場合において、受託者が第三者との間において第一項第一号又は第二号の財産について処分その他の行為をしたときは、当該第三者が同項及び第二項の規定に違反して第一項第一号又は第二号に掲げる行為がされたことを知っていたとき又は知らなかったことにつき重大な過失があったときに限り、受益者は、当該処分その他の行為を取り消すことができる。この場合においては、第二十七条第三項及び第四項の規定を準用する。
7第一項及び第二項の規定に違反して第一項第三号又は第四号に掲げる行為がされた場合には、当該第三者がこれを知っていたとき又は知らなかったことにつき重大な過失があったときに限り、受益者は、当該行為を取り消すことができる。この場合においては、第二十七条第三項及び第四項の規定を準用する。
第三十二条
受託者は、受託者として有する権限に基づいて信託事務の処理としてすることができる行為であってこれをしないことが受益者の利益に反するものについては、これを固有財産又は受託者の利害関係人の計算でしてはならない。
2前項の規定にかかわらず、次のいずれかに該当するときは、同項に規定する行為を固有財産又は受託者の利害関係人の計算ですることができる。ただし、第二号に掲げる事由にあっては、同号に該当する場合でも当該行為を固有財産又は受託者の利害関係人の計算ですることができない旨の信託行為の定めがあるときは、この限りでない。
一信託行為に当該行為を固有財産又は受託者の利害関係人の計算ですることを許容する旨の定めがあるとき。
二受託者が当該行為を固有財産又は受託者の利害関係人の計算ですることについて重要な事実を開示して受益者の承認を得たとき。
3受託者は、第一項に規定する行為を固有財産又は受託者の利害関係人の計算でした場合には、受益者に対し、当該行為についての重要な事実を通知しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
4第一項及び第二項の規定に違反して受託者が第一項に規定する行為をした場合には、受益者は、当該行為は信託財産のためにされたものとみなすことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
5前項の規定による権利は、当該行為の時から一年を経過したときは、消滅する。
(公平義務)
受益者が二人以上ある信託においては、受託者は、受益者のために公平にその職務を行わなければならない。
(分別管理義務)
受託者は、信託財産に属する財産と固有財産及び他の信託の信託財産に属する財産とを、次の各号に掲げる財産の区分に応じ、当該各号に定める方法により、分別して管理しなければならない。ただし、分別して管理する方法について、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
一第十四条の信託の登記又は登録をすることができる財産(第三号に掲げるものを除く。)当該信託の登記又は登録
二第十四条の信託の登記又は登録をすることができない財産(次号に掲げるものを除く。)次のイ又はロに掲げる財産の区分に応じ、当該イ又はロに定める方法
一動産(金銭を除く。)信託財産に属する財産と固有財産及び他の信託の信託財産に属する財産とを外形上区別することができる状態で保管する方法
二金銭その他のイに掲げる財産以外の財産その計算を明らかにする方法
三法務省令で定める財産当該財産を適切に分別して管理する方法として法務省令で定めるもの
2前項ただし書の規定にかかわらず、同項第一号に掲げる財産について第十四条の信託の登記又は登録をする義務は、これを免除することができない。
(信託事務の処理の委託における第三者の選任及び監督に関する義務)
第二十八条の規定により信託事務の処理を第三者に委託するときは、受託者は、信託の目的に照らして適切な者に委託しなければならない。
2第二十八条の規定により信託事務の処理を第三者に委託したときは、受託者は、当該第三者に対し、信託の目的の達成のために必要かつ適切な監督を行わなければならない。
3受託者が信託事務の処理を次に掲げる第三者に委託したときは、前二項の規定は、適用しない。ただし、受託者は、当該第三者が不適任若しくは不誠実であること又は当該第三者による事務の処理が不適切であることを知ったときは、その旨の受益者に対する通知、当該第三者への委託の解除その他の必要な措置をとらなければならない。
一信託行為において指名された第三者
二信託行為において受託者が委託者又は受益者の指名に従い信託事務の処理を第三者に委託する旨の定めがある場合において、当該定めに従い指名された第三者
4前項ただし書の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
(信託事務の処理の状況についての報告義務)
委託者又は受益者は、受託者に対し、信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況について報告を求めることができる。
(帳簿等の作成等、報告及び保存の義務)
受託者は、信託事務に関する計算並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、信託財産に係る帳簿その他の書類又は電磁的記録を作成しなければならない。
2受託者は、毎年一回、一定の時期に、法務省令で定めるところにより、貸借対照表、損益計算書その他の法務省令で定める書類又は電磁的記録を作成しなければならない。
3受託者は、前項の書類又は電磁的記録を作成したときは、その内容について受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)に報告しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
4受託者は、第一項の書類又は電磁的記録を作成した場合には、その作成の日から十年間(当該期間内に信託の清算の結了があったときは、その日までの間。次項において同じ。)、当該書類(当該書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては、当該電磁的記録)又は電磁的記録(当該電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては、当該書面)を保存しなければならない。ただし、受益者(二人以上の受益者が現に存する場合にあってはそのすべての受益者、信託管理人が現に存する場合にあっては信託管理人。第六項ただし書において同じ。)に対し、当該書類若しくはその写しを交付し、又は当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供したときは、この限りでない。
5受託者は、信託財産に属する財産の処分に係る契約書その他の信託事務の処理に関する書類又は電磁的記録を作成し、又は取得した場合には、その作成又は取得の日から十年間、当該書類(当該書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては、当該電磁的記録)又は電磁的記録(当該電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては、当該書面)を保存しなければならない。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
6受託者は、第二項の書類又は電磁的記録を作成した場合には、信託の清算の結了の日までの間、当該書類(当該書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては、当該電磁的記録)又は電磁的記録(当該電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては、当該書面)を保存しなければならない。ただし、その作成の日から十年間を経過した後において、受益者に対し、当該書類若しくはその写しを交付し、又は当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供したときは、この限りでない。
(帳簿等の閲覧等の請求)
受益者は、受託者に対し、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一前条第一項又は第五項の書類の閲覧又は謄写の請求
二前条第一項又は第五項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
2前項の請求があったときは、受託者は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。
一当該請求を行う者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二請求者が不適当な時に請求を行ったとき。
三請求者が信託事務の処理を妨げ、又は受益者の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
四請求者が当該信託に係る業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。
五請求者が前項の規定による閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき。
六請求者が、過去二年以内において、前項の規定による閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
3前項(第一号及び第二号を除く。)の規定は、受益者が二人以上ある信託のすべての受益者から第一項の請求があったとき、又は受益者が一人である信託の当該受益者から同項の請求があったときは、適用しない。
4信託行為において、次に掲げる情報以外の情報について、受益者が同意をしたときは第一項の規定による閲覧又は謄写の請求をすることができない旨の定めがある場合には、当該同意をした受益者(その承継人を含む。以下この条において同じ。)は、その同意を撤回することができない。
一前条第二項の書類又は電磁的記録の作成に欠くことのできない情報その他の信託に関する重要な情報
二当該受益者以外の者の利益を害するおそれのない情報
5受託者は、前項の同意をした受益者から第一項の規定による閲覧又は謄写の請求があったときは、前項各号に掲げる情報に該当する部分を除き、これを拒むことができる。
6利害関係人は、受託者に対し、次に掲げる請求をすることができる。
一前条第二項の書類の閲覧又は謄写の請求
二前条第二項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
(他の受益者の氏名等の開示の請求)
受益者が二人以上ある信託においては、受益者は、受託者に対し、次に掲げる事項を相当な方法により開示することを請求することができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一他の受益者の氏名又は名称及び住所
二他の受益者が有する受益権の内容
2前項の請求があったときは、受託者は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。
一当該請求を行う者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二請求者が不適当な時に請求を行ったとき。
三請求者が信託事務の処理を妨げ、又は受益者の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
四請求者が前項の規定による開示によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
五請求者が、過去二年以内において、前項の規定による開示によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
3前二項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)