前二条の規定は、船舶がその航行若しくは船舶の取扱いに関する行為又は船舶に関する法令に違反する行為により他の船舶に著しく接近し、当該他の船舶又は当該他の船舶内にある人若しくは物に損害を加えた事故について準用する。
要点商法790条は、船舶が引き波や急接近で他船に損害を与えた準衝突に、衝突の規定を準用すると定める。接触がなくても過失割合で賠償責任を負い、時効は2年と短い。
Q · ぶつかっていないのに、引き波で相手の船を壊したら賠償しなきゃいけないの?
はい。準衝突として衝突と同じ責任を負います
商法790条は、船が航行・操船や海事法令違反で他船に著しく接近し、引き波などで損害を与えた場合を「準衝突」とし、衝突の規定(788条の過失割合、789条の2年時効)を準用します。接触がなくても、加害船は過失割合に応じて賠償義務を負います。逆に被害者側は、財産損害の賠償請求権が事故から2年で時効消滅する点に注意が必要です。民法の3年ではありません。
漁港に係留していたあなたの小型船が、近くを高速で通り過ぎた大型船の引き波で岸壁に叩きつけられ、船体が割れた。相手の船はあなたの船に一度も触れていない。だから「衝突」ではない、商法の衝突責任なんて使えない、そう考えるのが普通だ。そこが落とし穴。商法790条は、船舶が航行や操船、あるいは海事法令違反によって他の船に著しく接近し、その船や船内の人・物に損害を与えた事故について、衝突の規定(788条の過失割合、789条の短期時効)を準用すると定める。つまり接触ゼロでも、衝突とまったく同じ責任ルールが回り出す。あなたが握るべき武器はこの一文だ。だが同じ刃はあなたにも向く。789条の準用で、財産損害の賠償請求権は事故から2年で消える。民法の一般時効3年だと思い込んで動かないと、被害は本物なのに請求権だけが先に死ぬ。
準衝突とは、船舶が航行若しくは操船に関する行為、または海事法令違反行為により他の船舶に著しく接近し、当該他船またはその船内の人・物に損害を与えた事故をいう。商法790条はこれを衝突に準じて扱い、過失割合に基づく賠償責任(788条)と2年の短期消滅時効(789条)を準用する。接触の有無を要件としない点に特徴がある。
AI 輔助整理,以條文原文為準
船舶が航行・操船や海事法令違反で他船に著しく接近し、引き波などで損害を与えた事故です。商法790条が衝突の規定を準用し、接触の有無を要件としません。
財産損害の賠償請求権は事故の時から2年で時効消滅します(商法789条の準用)。起算点は原則として事故時で、民法の一般不法行為3年より1年短い点に注意が必要です。
相手船の船名・船舶番号、航行速度、引き波の高さ、自船と乗員の損害を写真・動画で記録します。AISの航跡データや目撃者の連絡先も早期に確保すべきです。
788条の準用により過失割合に応じて賠償責任を按分します。引き波の高さ、相手船の速度、減速義務や見張り義務の違反の有無が認定の決め手になります。
なります。接触痕がない準衝突では航跡記録が相手船の特定と過失立証の鍵です。船舶自動識別装置(AIS)のデータは事故直後に保全を求めるのが有効です。
使える余地があります。保険会社は接触のない損害を渋ることがありますが、準衝突は衝突規定の準用である以上、衝突を前提にした保険・求償の枠組みが及び得ます。
衝突は船同士の接触を前提とし788条・789条が直接適用されますが、準衝突は接触なき損害でこれらを準用します。責任ルールと2年時効は同じです。
財産損害は2年ですが、人の生命・身体の損害は商法789条の対象外とされ、民法724条の2の5年が適用される余地があります。損害の種類で時効が分かれます。
商法790条が「準衝突」として、接触のない損害も衝突規定の準用対象にしているからです。船が著しく接近し、引き波や進路妨害で他船や乗員に損害を与えれば、788条の過失割合ルールで責任を負います。業界裏話ヒント:海事の現場では「当て逃げ」ならぬ「引き波逃げ」が珍しくない。接触痕がないため逃げ得になりやすいが、AIS(船舶自動識別装置)の航跡データで相手船を特定できる。事故直後にこのデータ保全を求められるかどうかで、加害船を追えるかが決まる
本当です。商法789条の準用で、準衝突の財産損害の賠償請求権は事故から2年で消えます。民法の一般不法行為(724条)の3年より1年短い。業界裏話ヒント:海事事故は損害調査・鑑定・保険会社とのやり取りで時間が溶けやすく、気づけば残り数か月ということが多い。弁護士は海事案件を受けたら真っ先に時効を計算する。あなたも事故日をカレンダーに「2年」で印を打っておくべき
責任の中心は船舶所有者です(788条の準用は各船舶所有者の責任を定め、690条が船員の過失についての所有者責任を定める)。操船した船長個人も不法行為責任を負いうるが、資力や保険の点で所有者を相手取るのが実務の基本。業界裏話ヒント:チャーター(傭船)された船だと、所有者・船舶賃借人・運航者のうち誰が責任主体かが分かれる。契約関係を早く把握しないと、訴える相手を間違えて時効を空費する。登記簿や運航管理の書類確認が第一歩
直接の適用には議論がありますが、接触なき損害でも賠償責任が生じるという原則はレジャー船にも及びます。商用船なら790条が直接、非商用船でも民法709条で同じ結論になりやすい。業界裏話ヒント:プレジャーボートの引き波事故は加害者が「遊びだから」と軽く考えがちだが、被害が乗員の負傷に及べば刑事の業務上過失致傷(刑法211条)まで視野に入る。民事の賠償と刑事責任は別軌道で動く。遊びでも記録は残す
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 接触要件 | 準衝突(790条):接触不要、著しい接近で足りる | — |
| 責任の根拠 | 航行・操船・法令違反による接近と損害の因果関係 | — |
| 時効 | 財産損害は2年(789条の準用) | — |
| 過失割合の扱い | 788条を準用し過失割合に応じて按分 | — |
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