要点商法 828 条は、航海中に不可抗力で貨物が売却されたとき、保険価額から売却代価(運送賃その他の費用を控除後)を差し引いた差額を保険者が填補すると定める。受取総額は保険価額が上限。
Q · 船が事故で積荷を途中の港で売られたら、保険金はいくら戻るの?
保険価額から売却の手取りを引いた差額が戻ります
商法 828 条により、戻るのは「保険価額(約定保険価額があればその額)から、売却代価より運送賃その他の費用を控除した額を差し引いた残額」です。売却で得た代金は手元に残る前提で、保険はその不足分を填補します。約定保険価額が証券にあるかどうかで填補額の確定スピードが変わり、約定がないと売却時点の保険価額を保険者と争うことになります。なお保険金と売却代金の二重取りはできず、受取総額は保険価額が上限です。
海外から船便で仕入れた商品が、台風で逃げ込んだ中継港で「これ以上運べない」と二束三文で叩き売られていた。輸入者であるあなたは、まずこう考える。叩き売られた分の損はどこへ消えるのか。商法 828 条は、その損を埋めるのは荷主であるあなたではなく、保険者だと宣言している。航海の途中で不可抗力(嵐、座礁、戦争、検疫など、人の力では避けられない事態)により積荷が売却されたとき、保険者は「保険価額(約定保険価額があればその額)」から「売却代価から運送賃その他の費用を差し引いた額」を控除した残りを塡補する。つまり、あなたが手にした売却の手取りと、本来の保険価値との差額を保険が穴埋めする仕組みだ。重要なのは、保険金と売却代金の二重取りはできないという一点。あなたが受け取れる総額は、最初から保険価額が天井になっている。
商法 828 条は、航海の途中に不可抗力により保険の目的物である貨物が売却された場合における保険者の填補額算定を定める規定である。填補額は、保険価額(約定保険価額があるときは当該額)から、売却代価より運送賃その他の費用を控除した額を差し引いた残額とされ、受取総額は保険価額を上限とする。
嵐・座礁・戦争・検疫など、人の力では避けられない事態を指します。船長の任意の処分は含まれず、不可抗力に基づく適法な売却だけが商法 828 条の填補対象になります。
約定保険価額があれば、その額が填補計算の基準になります。約定がないと売却時点の保険価額を保険者と争うことになり、填補額の確定が長引きます。証券に明記するのが実務の定石です。
共同海損は船と積荷を救うために犠牲にした荷の負担を全員で分け合う制度、828 条は不可抗力で売却された荷の差損を保険者が填補する制度です。最終的な負担者が異なります。
海上保険を付けていれば個人輸入でも適用されます。コンテナ便で家具やワインを輸入し、航海中の不可抗力で処分された場合、828 条の計算式で填補額が決まります。
寄港地の倉庫料、再積込費、仲介手数料、運送賃などです。これらを控除した手取りが填補計算に使われ、費用が大きいほど填補額は増える構造になっています。
保険給付請求権の消滅時効は保険法 95 条により、権利を行使できる時から 3 年です。2017 年改正で商事 5 年時効は廃止されました。最新の改正状況をご確認ください。
被保険利益と保険証券を有する側が請求します。CIF では危険負担が買主に移転するため、証券の譲渡や被保険利益の所在を確認したうえで填補請求の主体を判断する必要があります。
保険委付は全損的処理として目的物の権利を保険者に移し保険金全額を得る制度、828 条は売却された荷の差額のみを填補する制度です。状況に応じて有利な方を選択します。
戻るのは『保険価額(約定があればその額)から、売却代価の手取りを引いた差額』です(商法 828 条)。売却で得たお金は自分の手元に残る前提で、保険はその不足分を埋めます。業界裏話ヒント:約定保険価額が証券にあるかどうかで揉め方がまるで違う。約定がないと売却時点の評価額を保険者と争うことになり、塡補が長引く。契約時に約定保険価額を入れておくのが実務の定石です
船長の独断であっても、嵐や座礁などの不可抗力に基づく適法な売却なら 828 条の塡補対象になります。逆に不可抗力と無関係な任意の処分だと対象外。業界裏話ヒント:分かれ目は『不可抗力性』の立証です。海難証明や寄港地当局の記録など、客観的な資料を早く押さえた側が有利になる。船長報告だけだと弱いことがある
それは正確ではありません。828 条は売却代価を差し引いた『差額』を塡補する建付けで、代金があること自体は不払いの理由になりません。差し引けるのは運送賃その他の費用控除後の手取りだけです。業界裏話ヒント:保険者は控除する費用を多めに見積もって塡補額を圧縮しようとすることがある。倉庫料・仲介手数料などの内訳を証憑で一つずつ崩せば、戻る額が増えるケースは珍しくない
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する局面 | 商法 828 条:不可抗力による貨物の途中売却時の填補額算定 | — |
| 填補・支払の範囲 | 保険価額 − (売却代価 − 運送賃その他の費用) の差額 | — |
| 算定の基準額 | 保険価額(約定保険価額があればその額/商法 819 条) | — |
| 二重取りの可否 | 不可(受取総額は保険価額が上限、利得禁止) | — |
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