刑事訴訟法 第120条
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- 押収をした場合には、その目録を作り、所有者、所持者若しくは保管者(第百十条の二の規定による処分又は電磁的記録提供命令(第百二条の二第一項第一号イに掲げる方法による提供を命ずるものに限る。)を受けた者を含む。)又はこれらの者に代わるべき者に交付しなければならない。
- 2.電磁的記録提供命令(第百二条の二第一項第一号ロに掲げる方法による提供を命ずるものに限る。)により電磁的記録を提供させた場合には、書面又は電磁的記録をもつてその目録を作り、当該電磁的記録提供命令を受けた者又はこれに代わるべき者に提供しなければならない。
- 3.前項の規定にかかわらず、電磁的記録をもつて作成する目録の提供は、これを受ける者に異議があるときは、することができない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第120条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第120条の条文原文は「押収をした場合には、その目録を作り、所有者、所持者若しくは保管者(第百十条の二の規定による処分又は電磁的記録提供命令(第百二条の二第一項第一号イに掲げる方法によ…」で始まります。
- 刑事訴訟法第120条は第九章 押収及び捜索に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第120条の前の条は刑事訴訟法第119条です。
- 刑事訴訟法第120条の次の条は刑事訴訟法第121条です。
- 刑事訴訟法第120条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第120条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第120条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/120
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法120条は、押収をした場合に押収目録を作成し、所有者・所持者・保管者などに交付しなければならないと定める。目録は押収範囲を示す唯一の公式記録となる。
Q · 家宅捜索で物を持っていかれたとき、リストはもらえるの?
原則その場で交付され、品目を必ず確認すべきです
刑事訴訟法120条により、捜査機関は押収をした場合、押収目録を作成して所有者・所持者・保管者(電磁的記録の差押えに代わる処分を受けた者を含む)またはこれに代わるべき者に交付しなければなりません。原則はその場での交付です。目録は何がいくつ押収されたかを示す唯一の公式記録なので、受け取ったらその場で品目・数量・型番を現物と一品ずつ照合し、相違があれば訂正を求めることが重要です。後の還付請求(123条)や違法押収を争う起点になります。
解説
ある朝、警察が令状を持って自宅に踏み込み、パソコン、スマホ、書類の束を箱に詰めて持ち去っていく。このとき、捜査員があなたに一枚の紙を渡す義務を負っていることを知る人は少ない。それが押収目録だ。刑事訴訟法120条は、押収をしたら必ず目録を作り、所有者・所持者・保管者(またはこれらの者に代わるべき者)に交付しなければならないと定める。これは儀礼ではない。何が、いくつ持ち去られたかを記録した唯一の公式証拠であり、後で押収物の還付(返還)を求めるときの土台になる。目録がなければ、あなたは「何を取られたか」すら証明できず、返還請求も、押収の違法性を争うことも著しく難しくなる。捜査員がバタバタと引き上げようとするその場で、目録を一品ずつ突き合わせて確認する数分間が、後の数か月を左右する。
法的な位置づけ
刑事訴訟法120条は押収目録の交付義務を定める規定であり、捜査機関が押収をした場合に押収物の目録を作成し、所有者・所持者・保管者またはこれらに代わるべき者へ交付すべき旨を規定する。電磁的記録の差押えに代わる処分(110条の2)を受けた者も交付対象に含まれ、押収の範囲を可視化する公的記録として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.押収目録をその場で必ず受け取る 捜査員が引き上げる前に、押収目録の交付を求めて受け取る。120条は原則その場交付を予定しており、『後日郵送』で流されないよう、いま渡すよう明確に要求する
- 2.品目を一品ずつ現物と照合する 目録を品目ごとに読み上げ、型番・容量・数量・特徴を現物と突き合わせる。『HDD 1台』のような曖昧な記載は、型番・容量まで具体化するよう求め、相違があればその場で訂正を要求する
- 3.自分でも押収物リストを残す その場で受け取れない事情がある場合でも、誰が・いつ・どの物を押収したかを写真とメモで記録する。後日の還付請求・国家賠償・違法押収の主張の足場になる
- 4.必要な原本は仮還付を書面請求する 事業や生活に必要な原本書類は、刑訴123条の仮還付を書面で請求し、コピー提供を条件に原本の返還を求める。捜査が進むほど『必要だから返せない』と言われやすいため早めに動く
- 5.違法の疑いがあれば不服申立てを検討する 令状の範囲外の押収や目録の不交付など違法の疑いがあれば、準抗告など不服申立てを弁護人と検討する。目録は範囲外押収を示す客観的証拠になる
よくある質問 AI による整理
Q1押収目録とは何ですか?
押収目録とは、捜査機関が押収をした際に作成する、押収物の品目・数量・特徴を記載した公式の一覧表です。刑事訴訟法120条が所有者等への交付を義務づけています。
Q2押収目録はいつもらえますか?
120条は押収『した場合』の交付を予定しており、原則は押収の場での交付です。『後日郵送する』と言われても、その場で受け取れるよう求めるのが基本です。
Q3押収目録に記載すべき内容は?
押収物の品目・数量のほか、型番・容量・特徴など個体を特定できる情報が重要です。『HDD 1台』のような曖昧な記載は、後のすり替えや紛失の争いを困難にします。
Q4押収目録に署名する必要はありますか?
受領の事実を示す署名を求められることがありますが、署名は自白ではありません。署名の前に品目を現物と照合し、相違があれば訂正を求めてから受領するのが安全です。
Q5被疑者でなくても押収目録はもらえますか?
もらえます。120条は所有者・所持者・保管者を対象とし、被疑者に限りません。同居人の事件で自分の物が押収された場合も、所有者として目録の交付を受けられます。
Q6電子データを押収された場合も目録はもらえますか?
もらえます。110条の2の電磁的記録の差押えに代わる処分を受けた者も、120条の交付対象に明記されています。コピーされたデータの範囲を目録で確認できます。
Q7押収目録と差押調書はどう違いますか?
差押調書は押収の経過を記録する捜査側の書面、押収目録は押収物の一覧を被押収者へ交付する受領記録です。目録は還付請求の対象特定に直結します。
Q8押収目録の記載と現物が違ったらどうすればいいですか?
その場で捜査員に相違を指摘し、訂正を求めます。受領後の訂正は困難なため、署名前の照合が肝心です。写真やメモで自分でも記録を残しておくと後の争いで役立ちます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1押収目録をもらえなかったんですが、それって違法ですよね?
120条は交付を義務付けているので、正当な理由なく渡さないのは手続上の違反です。ただし目録の不交付それ自体で押収全体が当然に無効になるわけではなく、違法の程度と証拠への影響で判断されます(捜査の押収には刑訴222条で準用)。実務のポイント:実務では『後で郵送します』と言われてうやむやになる例があります。その場で受け取れないなら、誰が・いつ・どの物を押収したかを自分でもメモと写真で残す。それが後日の還付請求や国家賠償を主張する足場になります
Q2目録に書かれた物を返してほしいんですが、どうすればいいですか?
押収物が捜査に不要になれば所有者などは還付(返還)を、原本がどうしても必要なら仮還付を請求できます(刑訴123条)。目録は『何が押収されたか』の公式証拠なので、請求対象の特定に直結します。実務のポイント:捜査機関は積極的には返してくれません。事件が不起訴・終結しても放置されがちなので、こちらから書面で還付請求を出すのが基本。仮還付なら原本のコピーを取らせて先に原本を戻す運用があり、事業書類はこれで業務を止めずに済むことが多い
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば目録はただの「預かり証」かもしれないが、法律から見れば押収の適法性と範囲を画定する公的記録だ。目録に載っていない物を捜査機関が握っていれば、それは令状の範囲外の違法押収を疑う材料になる。この落差を知らないと、戻るはずの物を取り戻し損ね、争えるはずの押収を見逃す
- 目録をもらったことは覚えていても、その場で中身を一品ずつ確認しなかった人が大半だ。後から「USB が3本あったはずなのに2本しか書かれていない」と気づいても、いったん受け取った目録を覆すのは至難。確認の数分を省いた代償が、紛失物の泣き寝入りになる
- 「目録は捜査が終わってから郵送される」と思い込んでいる人がいるが、120条は押収「した場合」の交付を予定しており、原則はその場での交付だ。後日でいいと流されたら、それ自体が手続の緩みのサインだと気づけるかどうかが分かれ目になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 120条:押収目録の作成・交付 | 110条:差押状の呈示 123条:押収物の還付・仮還付 |
| タイミング | 押収をした場合(原則その場) | 押収執行の着手時 押収物が不要・原本が必要になった後 |
| 目的 | 押収範囲の可視化と受領の記録 | 押収の法的根拠の提示 財産の回復(返還) |
| 被押収者の関与 | 目録の受領・内容の照合・訂正要求 | 令状記載内容の確認 還付・仮還付の請求 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も扣押時に收据(受領書)を作成し所有者・持有人・保管者へ交付する点で日本120条と同趣旨。
韓国も押収時に目録を作成し、所有者・所持者・保管者等へ交付する義務を定める。
ドイツも捜索を受けた者へ、押収・保管した物の目録(受領書)を交付すべきと定める。
米連邦規則も押収時に押収物の受領書(receipt)と目録(inventory)の作成・交付を求める。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、ある朝の家宅捜索でノートパソコンと外付け HDD を押収されたら、その場で何を確認すべきか分かるだろうか。目録に「HDD 1台」とだけ書かれ、型番も容量も記載されなければ、後で「別物とすり替えられた」「もう一台あったはずだ」と争うのは極めて難しい。確認の数分を惜しんだ側が、結果がどうあれ不利になる
- 同居人が被疑者で、家中が捜索された。あなた名義のカメラやアクセサリーも一緒に箱へ入れられた。あなたは被疑者ではないが、所有者として目録の交付を求め、自分の物のリストを確保できる。これを知らないと、他人の事件であなたの財産が宙に浮く
- 会社に査察が入った。段ボール十数箱の帳簿が運び出されていく。経理のあなたが何より先に手にすべき一枚は、その箱の中身を書いた目録だ
- 押収から数日、事業に必要な原本書類が戻らず取引が止まりかけている。目録を根拠に仮還付(コピーを取って原本を返す運用、刑訴123条)を請求できるが、動くなら早いほどいい。捜査が進むほど「必要だから返せない」と言われやすくなる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 押収の場で目録を必ず受け取り、品目・数量・型番・特徴を現物と一品ずつ照合、相違があればその場で訂正を要求2. その場で受け取れない事情があっても、自分でも写真とメモで押収物リストを作る3. 事業や生活に必要な原本は、仮還付(刑訴123条)を書面で請求し、コピー提供を条件に原本の返還を求める4. 押収自体に違法の疑い(令状の範囲外、目録の不交付)があれば、準抗告など不服申立てを弁護人と検討
訴えられた側:1. 黙秘権を保ちつつ、目録の受領と内容確認だけは冷静に行う、ここでの確認は自白ではない2. 弁護人を早期に選任し、目録の写しを通じて何が証拠化されつつあるかを把握3. 令状記載の範囲を超える押収物がないか目録で照合、あれば違法収集証拠(証拠排除)主張の材料にする4. 不要物・生活必需品の還付請求を並行して進め、捜査機関に握られたままの状態を放置しない
時効(請求できる期限):押収目録の交付それ自体に特定の期限条文はないが、120条は押収『した場合』の交付を予定しており、原則はその場での交付が想定される。還付・仮還付請求(刑訴123条)にも法定の出訴期限はないが、押収物の廃棄等の処分(刑訴122条)が進む前に早く動くほど実効性が高い。押収処分への準抗告は処分を知った後すみやかに(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:120条の目録交付は義務的手続だが、目録の不交付それ自体で押収全体が当然に無効となるわけではなく、違法の程度と証拠への影響を総合して判断するのが一般的理解とされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成23年(2011年)改正 情報処理の高度化に対処するための刑訴法改正に伴い、第百十条の二(電磁的記録に係る記録媒体の差押えに代わる処分)が新設され、120条にも『第百十条の二の規定による処分を受けた者を含む。』の括弧書きが加えられた。これにより記録媒体のコピー等の処分を受けた者も目録交付の対象となった。総改正回数は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定により、押収をした場合の押収目録の作成・交付義務を規定。
- 2.平成23年(2011年) 改正:情報処理の高度化に対処する刑訴法改正で110条の2が新設され、120条に同条の処分を受けた者を交付対象に含む括弧書きが追加された。総改正回数は人的検証が必要。
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