刑事訴訟法 第316条の36
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- 裁判所は、証人を尋問する場合において、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から、その者がその証人を尋問することの申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、審理の状況、申出に係る尋問事項の内容、申出をした者の数その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、情状に関する事項(犯罪事実に関するものを除く。)についての証人の供述の証明力を争うために必要な事項について、申出をした者がその証人を尋問することを許すものとする。
- 2.前項の申出は、検察官の尋問が終わつた後(検察官の尋問がないときは、被告人又は弁護人の尋問が終わつた後)直ちに、尋問事項を明らかにして、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、当該事項について自ら尋問する場合を除き、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。
- 3.裁判長は、第二百九十五条第一項から第四項までに規定する場合のほか、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士のする尋問が第一項に規定する事項以外の事項にわたるときは、これを制限することができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第316条の36は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第316条の36の条文原文は「裁判所は、証人を尋問する場合において、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から、その者がその証人を尋問することの申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き…」で始まります。
- 刑事訴訟法第316条の36は第三節 被害者参加に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第316条の36の前の条は刑事訴訟法第316条の35です。
- 刑事訴訟法第316条の36の次の条は刑事訴訟法第316条の37です。
- 刑事訴訟法第316条の36には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第316条の36 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第316条の36(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/316_36
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法316条の36は、被害者参加人が情状に関する証人の証言の証明力を争うため、裁判所の許可を得て自ら尋問できると定める。犯罪事実は対象外で、検察官の尋問直後に申し出る。
Q · 被害者参加人になったら、加害者側の情状証人に自分で質問できるの?
情状証言の信用性を争う範囲で自ら尋問できます
刑事訴訟法316条の36により、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士は、裁判所の許可を得て、情状に関する証人の供述の証明力を争うために必要な事項について自ら尋問できます。ただし範囲は厳格に限られ、犯罪事実そのものは問えず、証言の信用性を崩すための質問に限られます。さらに検察官の尋問が終わった直後に尋問事項を明らかにして申し出る必要があり(2項)、このタイミングを逃すと権利は行使できません。尋問が範囲を超えると裁判長が制限できます(3項)。
解説
あなたの家族が飲酒運転の車にはねられて亡くなった。裁判が始まり、弁護側は被告人の同僚を情状証人として呼ぶ。「彼は普段は真面目で、深く反省している」と証言する。傍聴席のあなたは、その証言が本当なのか問いただしたい。だが従来、被害者は法廷で口を開けなかった。316条の36が変えたのはここだ。被害者参加人やその委託を受けた弁護士は、情状に関する証人の証言について、その証明力を争うために、自ら証人を尋問できる。ただし範囲は厳格に限られる。犯罪事実そのものは問えない、情状に限る、しかも証言の信用性を崩すための質問に限る。さらに検察官の尋問が終わった直後に申し出る必要があり、このタイミングを逃せば権利は静かに消える。
法的な位置づけ
刑事訴訟法316条の36は、犯罪被害者参加制度における被害者参加人の証人尋問権を定める規定である。被害者参加人又はその委託を受けた弁護士は、裁判所の許可を得て、情状に関する証人の供述の証明力を争うために必要な事項について尋問できる。犯罪事実に関する尋問は除外され、検察官の尋問終了直後に尋問事項を明らかにして申し出ることを要する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.検察官を通じて被害者参加を申し出る 対象事件(316条の33)に該当することを確認し、起訴後、検察官を経由して裁判所に被害者参加の申出をして許可を得る。許可が参加人としての全手続の前提になる
- 2.国選被害者参加弁護士の選定を検討する 資力要件を満たせば費用負担なく弁護士を選定できる。刑事に強く、損害賠償命令申立まで一貫対応できる弁護士を選ぶことで刑事・民事を切れ目なく進められる
- 3.情状尋問の尋問事項を事前に準備する 弁護側の情状証人が語る「反省」「更生可能性」を崩すため、具体的事実を問う尋問事項を書面で詰める。犯罪事実に踏み込まない範囲に絞り、制限を受けない設計にする
- 4.検察官の尋問終了直後に申し出る 検察官の証人尋問が終わった直後に、尋問事項を明らかにして検察官に申し出る(2項)。この「直ちに」を過ぎると申出は認められないため、その場で躊躇しない
- 5.範囲内に絞って尋問を実行する 情状に関し証明力を争う事項に限定して尋問する。範囲を超えると裁判長が制限できる(3項、295条)。制止されても範囲内に絞り直せば続行できる
よくある質問 AI による整理
Q1被害者参加制度とは何ですか?
殺人・傷害致死・自動車運転過失致死傷など一定の事件で、被害者や遺族が刑事裁判に参加人として加わり、意見陳述や証人尋問、被告人質問ができる制度です。平成20年から施行されています。
Q2情状証人とは何ですか?
犯罪事実ではなく、被告人の性格・反省・更生可能性・身元引受など量刑判断の材料となる事情を証言する証人です。弁護側が被告人の上司や家族を呼ぶことが多くあります。
Q3被害者参加人は被告人に直接質問できますか?
できます。証人尋問とは別に、316条の37で意見陳述に必要な範囲で被告人質問が認められています。証人尋問の316条の36とは条文も範囲も異なります。
Q4国選被害者参加弁護士の費用はいくらですか?
一定の資力要件(おおむね現金・預貯金が基準額以下)を満たせば、被害者参加人の費用負担はなく国が負担します。地方裁判所に選定を請求します。
Q5被害者参加できる事件の種類は?
故意の犯罪行為で人を死傷させた罪、強制わいせつ・不同意性交等の罪、業務上過失致死傷、自動車運転死傷行為処罰法違反など、316条の33に列挙された事件に限られます。
Q6被害者参加人の証人尋問はいつ申し出ますか?
検察官の証人尋問が終わった直後(検察官の尋問がないときは被告人・弁護人の尋問終了後)に、尋問事項を明らかにして検察官に申し出ます。タイミングを逃すと認められません。
Q7証明力を争うとはどういう意味ですか?
証人の証言の信用性を低下させることです。情状証人が語る「反省」「更生」などの抽象的証言について、具体的事実を問い、その信用性を崩す質問が許されます。
Q8被害者参加と傍聴の違いは何ですか?
傍聴は審理を見るだけですが、被害者参加人は検察官の隣等に着席し、証人尋問・被告人質問・意見陳述といった手続行為ができる当事者に準じた地位を得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1被害者参加って、自分一人で法廷に立って加害者側の証人に質問するんですか?
本人も尋問できますが、実務では委託を受けた弁護士(被害者参加弁護士)を通すのが一般的です。一定の資力要件を満たせば、国選被害者参加弁護士の制度で費用負担なく弁護士を立てられます。実務のポイント:被害者参加弁護士は刑事に強い人を選ぶのが鉄則。刑事から民事の損害賠償命令申立まで一貫して任せられる弁護士なら、刑事と民事を切れ目なく進められる。最初の弁護士選びで結果が大きく変わる
Q2情状にしか質問できないなら、被害者参加する意味あるんですか?
意味は大きいです。量刑は情状で決まり、被告人の「反省」「更生可能性」「示談状況」といった情状証言の信用性を、被害者側が法廷で直接崩せます(316条の36第1項)。事実関係は検察官が立証しますが、情状の攻防こそ刑の重さを左右します。実務のポイント:弁護側の情状証人は「普段は真面目」「深く反省」と抽象的に語りがち。その抽象性こそ突きどころで、具体的な反省の中身を一つずつ問うと、用意された美談が崩れる。裁判員裁判ではこの崩しが心証に直結する
Q3もし質問が途中で制止されたら、もうチャンスはないんですか?
尋問が情状の範囲を超えたり、証明力を争う目的を外れると、裁判長が制限できます(316条の36第3項、295条)。ただし制止は質問単位なので、範囲内に絞り直せば続行できます。実務のポイント:制止を避ける最大のコツは、事前に尋問事項を書面で詰めておくこと。「犯罪事実」と「情状」の境界は微妙で、その場の思いつきで質問すると境界を踏み越えて止められる。準備された尋問だけが、限られた機会を最大化する
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば「被害者なのだから法廷で何でも問える」はずだが、法律から見れば被害者参加人の尋問は情状に厳格に限定され、犯罪事実そのものには一切踏み込めない。この落差を知らずに事実関係を問おうとすると、裁判長に即座に制限され、用意した発言機会を空費する
- 被害者参加できることは知っていても、その尋問が「証明力を争うため」という目的に縛られていることまでは意識されにくい。情状証人が語る美談に感情的に反論するのではなく、その証言の信用性を具体的事実で崩す質問でなければ許されない。この目的限定の重さこそ、見落とされている深刻な点だ
- 「被害者参加すれば一人で全部できる」と思われがちだが、実務では委託を受けた弁護士(被害者参加弁護士)を通すのが通常で、資力要件を満たせば費用負担のない国選被害者参加弁護士の制度もある。自力で挑むより専門家を立てた方が、限られた尋問機会を活かせる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続行為の種類 | 316条の36:情状証人の証人尋問 | 316条の37:被告人質問 316条の38:事実・法律適用の意見陳述 |
| 対象・範囲 | 情状に関する証言の証明力を争う事項(犯罪事実を除く) | 意見陳述に必要な範囲の被告人質問 訴因の範囲内での事実・法律適用の意見 |
| 前提手続 | 被害者参加の許可(316条の33)+証人尋問ごとの許可 | 被害者参加の許可(316条の33) 被害者参加の許可(316条の33) |
| タイミング | 検察官の尋問終了直後に申出(2項) | 証拠調べ後の被告人質問の段階 弁論手続(論告求刑の前後) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も2020年改正で被害人訴訟參與制度を導入。訴訟參與人は意見陳述や一定の手続関与ができるが、尋問は裁判長を介する設計で、被害者参加人が独立して尋問する日本より関与は緩やか
韓国は被害者等の進述権(陳述権)を中心とし、被害者が証人として陳述する枠組み。日本のように参加人として情状証人を独自尋問する制度とは構造が異なる
ドイツの付帯訴追(Nebenklage)では、被害者が Nebenkläger として尋問権・質問権・申立権を広く持つ。日本の被害者参加制度はこのドイツ型を参照しつつ尋問範囲を情状に限定した点が特徴
米国は被害者に意見陳述権(特に量刑段階の victim impact statement)を保障するが、当事者主義の下で証人尋問は検察官が担い、被害者が直接尋問する権利は原則ない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 飲酒運転で家族を奪われた裁判。弁護側が被告人の上司を情状証人に呼び、「彼は深く反省し、二度と運転しないと誓っている」と証言させる。あなたは被害者参加人として、その「反省」が口先だけでないか、具体的な行動を一つずつ問いただせる。証言の信用性を崩せるかどうかで、量刑が実刑か執行猶予かを分けることがある
- もし加害者の弁護人が情状証人を通じて「被害者側とは示談が成立し、宥恕も得ている」と法廷で印象づけてきたら? 実際には許していないあなたは、この尋問権でその証言の信用性をその場で崩せる。示談の中身と被害感情の実態が、ここで初めて表に出る
- あなたが被告人側で情状証人を立てる立場なら、その証人は被害者参加弁護士からの尋問に耐えられるか事前に検証が要る。抽象的な美談だけでは、具体的事実を問われた瞬間に崩れ、かえって裁判官や裁判員の心証を悪くする
- 検察官の証人尋問が終わった。被害者参加人が情状証人に質問できるのは、この直後の一瞬だけだ。準備した尋問事項を出すのをためらえば、その機会は静かに閉じる
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず検察官を通じて被害者参加の申出をし、裁判所の許可を得る(316条の33) 2. 国選被害者参加弁護士の選定を検討、資力要件を満たせば自己負担なしで弁護士を立てられる3. 証人尋問では、検察官の尋問終了の直後に、尋問事項を明らかにして検察官へ申し出る、このタイミングを逃さない4. 質問は情状に限り犯罪事実には踏み込まない、証言の信用性を崩す具体的事実に絞る
訴えられた側:1. 弁護人は被害者参加人の尋問申出に対し意見を述べる権利がある(1項)、不当に広範な尋問には反対意見を出す2. 尋問が情状の範囲を超え犯罪事実に及んだら、裁判長に制限を求める(3項、295条) 3. 情状証人を立てる前に、被害者側の反対尋問で崩れない具体的根拠を準備しておく4. 被害者の処罰感情が量刑に直結するため、誠実な謝罪と被害弁償の実績を積み上げる
時効(請求できる期限):尋問の申出は、検察官の尋問が終わった後(検察官の尋問がないときは被告人または弁護人の尋問が終わった後)直ちに行わなければならない(316条の36第2項)。この「直ちに」を過ぎると申出は認められない。被害者参加自体の申出は公判の進行に応じ随時可能だが、各証人ごとの尋問機会は一度きり
学説
通説:本条の被害者参加人の証人尋問は、被害者の手続参加を実質化する一方、被告人の公正な裁判を受ける権利を損なわないよう、対象を情状に限定し、目的を証明力を争うことに絞り、裁判所の許可と裁判長の制限権(3項)で枠付けたものと理解される。犯罪事実の認定は検察官と被告人の対峙に委ねる役割分担が前提とされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成19年(2007年)新設、平成20年(2008年)施行 犯罪被害者等基本法を受けた刑事訴訟法改正(平成19年法律第95号)により、被害者参加制度の一環として新設。被害者参加人またはその委託を受けた弁護士が、情状に関する証人尋問を行う権利を初めて法定した
改正の年表
- 1.平成19年(2007年) 新設:犯罪被害者等基本法を受けた刑事訴訟法改正(平成19年法律第95号)により被害者参加制度の一環として新設。被害者参加人又はその委託を受けた弁護士による情状証人の尋問権を初めて法定した。
- 2.平成20年(2008年) 改正:平成20年12月1日に被害者参加制度が施行され、本条に基づく証人尋問の運用が開始された。
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