刑事訴訟法 第316条の38
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- 裁判所は、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から、事実又は法律の適用について意見を陳述することの申出がある場合において、審理の状況、申出をした者の数その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、公判期日において、第二百九十三条第一項の規定による検察官の意見の陳述の後に、訴因として特定された事実の範囲内で、申出をした者がその意見を陳述することを許すものとする。
- 2.前項の申出は、あらかじめ、陳述する意見の要旨を明らかにして、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。
- 3.裁判長は、第二百九十五条第一項、第三項及び第四項に規定する場合のほか、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士の意見の陳述が第一項に規定する範囲を超えるときは、これを制限することができる。
- 4.第一項の規定による陳述は、証拠とはならないものとする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第316条の38は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第316条の38の条文原文は「裁判所は、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から、事実又は法律の適用について意見を陳述することの申出がある場合において、審理の状況、申出をした者の数その他の…」で始まります。
- 刑事訴訟法第316条の38は第三節 被害者参加に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第316条の38の前の条は刑事訴訟法第316条の37です。
- 刑事訴訟法第316条の38の次の条は刑事訴訟法第316条の39です。
- 刑事訴訟法第316条の38には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第316条の38 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第316条の38(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/316_38
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法316条の38は、被害者参加人が検察官の論告後に、訴因の範囲内で求刑を含む意見を陳述できると定める。ただし4項によりこの陳述は証拠とならない。
Q · 被害者は刑事法廷で自分から「被告人を○年にしてほしい」と求刑できるの?
求刑を含む意見を述べられるが証拠にはならない
刑事訴訟法316条の38により、参加を許可された被害者参加人またはその委託弁護士は、検察官の論告求刑(293条1項)の後に、訴因として特定された事実の範囲内で、事実および法律の適用について意見を陳述できます。これには「被告人を懲役○年に」という求刑意見も含まれます。ただし4項により、この陳述は証拠とはならず、有罪認定の根拠ではなく裁判官・裁判員の心証に訴える意見にとどまります。範囲を超える陳述は裁判長が制限できます(3項)。
解説
あなたの家族が飲酒運転の車に轢かれて亡くなった。法廷に座っても、被害者であるあなたは長い間ただの傍聴人だった。検察官が証人を呼び、検察官が求刑し、あなたは後ろの席で全部を見ているだけ。だが刑事訴訟法316条の38は、その構図を変えた。被害者参加の許可(316条の33)を得たあなたは、検察官の論告求刑(293条1項)の後に、自ら法廷で立ち、訴因として特定された事実の範囲内で「事実」と「法律の適用」について意見を述べられる。つまり、あなた自身の口で「被告人を懲役○年にしてほしい」と求刑意見を述べられるのだ。注意すべき制約が一つある。4項により、この陳述は証拠にはならない。あなたの言葉が有罪の証拠として使われるわけではなく、裁判所の心証に訴える意見である。それでも、被害者本人が裁判官と裁判員の目の前で語る一言の重みは、調書の何ページにも勝る。
法的な位置づけ
刑事訴訟法316条の38は、被害者参加人による意見陳述を定める規定である。参加を許可された被害者参加人またはその委託弁護士は、検察官の論告の後、訴因の範囲内で事実および法律の適用について意見を述べることができ、求刑意見も含むが、当該陳述は証拠とはならない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.対象犯罪か確認し検察官に参加の申出 まず事件が被害者参加の対象犯罪(316条の33:故意の死傷・性犯罪・業務上過失致死傷・逮捕監禁・略取誘拐等)に当たるかを確認し、担当検察官に被害者参加の申出をする
- 2.被害者参加弁護士の選任を検討 参加が許可されたら、被害者参加弁護士の選任を検討する。資力が一定基準以下なら国選の制度を利用でき、日本司法支援センター(法テラス)が窓口になる。一人で抱え込まない
- 3.意見陳述の要旨を事前に検察官へ提出 316条の38の意見陳述は、あらかじめ要旨を明らかにして検察官に提出する(2項)。このとき検察官の論告求刑とトーンをすり合わせ、二つの声が同じ方向で重なるよう調整する
- 4.論告後に訴因の範囲内で意見陳述 検察官の論告求刑の後の公判期日に、訴因として特定された事実の範囲内で事実と法律の適用について意見を述べる。何を意見陳述で語り、何を証人尋問(証拠になる方)で語るかを弁護士と切り分ける
よくある質問 AI による整理
Q1被害者参加制度とは何ですか?
一定の重大犯罪の被害者等が、刑事公判に参加して出席・尋問・意見陳述などができる制度です。316条の33で許可を得た参加人を被害者参加人と呼びます。
Q2被害者参加できる事件は何ですか?
故意の犯罪行為による死傷、性犯罪、業務上過失致死傷、逮捕監禁、略取誘拐など316条の33が定める一定の対象犯罪に限られます。交通死亡事故も含まれます。
Q3被害者は法廷で求刑できますか?
できます。316条の38により、論告求刑の後に事実と法律の適用について意見を述べられ、具体的な刑を求める求刑意見も含められます。ただし証拠にはなりません。
Q4被害者参加の意見陳述はいつ行いますか?
検察官の論告求刑(293条1項)の後の公判期日に行います。審理の最後に近い段階のため、結審前に要旨を固めておく必要があります。
Q5被害者参加に弁護士は必要ですか?
必須ではありませんが、尋問や意見陳述は専門知識を要します。資力要件を満たせば国選の被害者参加弁護士を選任でき、法テラスが窓口です。
Q6被害者参加の意見陳述で話せる範囲は?
訴因として特定された事実の範囲内に限られます。起訴された事実と関係のない過去の経緯などを述べると、3項により裁判長が陳述を制限できます。
Q7損害賠償命令制度とは何ですか?
刑事裁判の証拠と判断を用いて、付随的に被告人へ損害賠償を命じる制度です。犯罪被害者保護法23条以下が定め、別途民事訴訟を起こすより早く安く済みます。
Q8交通事故の遺族も被害者参加できますか?
業務上過失致死傷罪も対象犯罪に含まれるため、交通死亡事故や医療事故・労災事故の遺族も被害者参加し、316条の38で意見を述べられる立場にあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1被害者参加って、結局法廷で気持ちを言えるだけですか?
それは292条の2の『心情その他の意見陳述』のイメージです。316条の38はさらに踏み込み、被害者参加人が『事実』と『法律の適用』について、つまり求刑を含めた意見まで述べられます。検察官の論告の後に、あなた自身の口で具体的な刑を求められます。実務のポイント:実務では、被害者の求刑意見と検察官の論告がそろっていると量刑審理での説得力が増します。事前に検察官と要旨をすり合わせられるので、参加弁護士は必ず検察官と打ち合わせをします。被害者が単独で突っ走るより、検察官と歩調を合わせた方が効く
Q2私が法廷で言ったことは、被告人を有罪にする証拠になりますか?
なりません。316条の38第4項が『陳述は証拠とはならない』と定めています。あなたの意見は裁判官・裁判員の心証に訴えるものであって、有罪認定の証拠ではありません。証拠になるのは、あなたが証人として尋問を受けた供述の方です。実務のポイント:だからこそ『証拠にしたい核心的な事実』は証人尋問で、『量刑への思いと求刑意見』は316条の38の意見陳述で、と役割を分けるのが定石。両者を混同して意見陳述で事実を語っても証拠にならず、もったいない。弁護士はこの切り分けを最初に設計する
Q3費用が心配です。被害者参加に弁護士をつけるとお金がかかりますか?
被害者参加人のための国選弁護制度(被害者参加弁護士)があり、資力が一定額(現金・預貯金等が基準額)以下であれば国の費用で弁護士を選任できます。日本司法支援センター(法テラス)が窓口です。実務のポイント:被害者参加制度の手続(証人尋問・被告人質問・316条の38の意見陳述)は、専門知識なしに一人でこなすのは難しい。多くの被害者がこの国選制度を知らずに諦めますが、まず法テラスか担当検察官に資力要件を確認するのが第一歩。お金がないから参加できない、は誤解です(最新の資力基準額をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「被害者参加制度は知っているが、せいぜい意見を言えるだけだろう」と軽く見られがちだ。だが316条の38で被害者ができるのは、検察官と並んで『事実』と『法律の適用』、つまり求刑にまで踏み込んだ意見陳述である。被害者が法廷で具体的な刑期を述べられること、その実務上のインパクトの大きさを多くの人は過小評価している
- 被害者が法廷で語ったことは、そのまま有罪認定の証拠になると思われている。だが4項は明確に「証拠とはならない」と定める。これは被害者の言葉を軽んじているのではなく、被害者は反対尋問を経ない立場で語るため、証拠として扱えば被告人の防御権を害するからだ。証拠になるのは、被害者が証人(316条の36関連)として尋問を受けた供述の方である。この区別を取り違えると、何を証人尋問で言い、何を意見陳述で言うべきかの戦略を誤る
- 「被害者の心情を述べる手続(292条の2)と同じものだろう」と混同されやすい。292条の2は被害者等が広く『心情その他の意見』を述べる制度で、参加の許可がなくても使える。一方316条の38は、参加を許可された被害者参加人が『事実と法律の適用』について、論告の後に述べる、より踏み込んだ手続だ。射程も対象者も要件も違う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制度の性質 | 316条の38:被害者参加人による事実・法律適用の意見陳述(求刑を含む) | 292条の2:被害者等の心情その他の意見陳述 316条の36:被害者参加人による証人尋問 |
| 対象者・要件 | 参加許可を得た被害者参加人または委託弁護士(316条の33が前提) | 被害者等。参加の許可は不要で広く利用できる 参加許可を得た被害者参加人または委託弁護士 |
| 述べられる内容・タイミング | 論告求刑後に、訴因の範囲内で事実と法律の適用(求刑意見まで) | 被害に関する心情その他の意見を比較的広く陳述 証人への尋問。情状に関する事項等 |
| 証拠能力 | 4項により証拠とならない(心証に訴える意見) | 原則として証拠とならない(心情陳述) 証人の供述として証拠となる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は2020年改正で被害人訴訟参加を導入。参加した被害人は言詞弁論終結前に意見を述べられ、日本の被害者参加に近い構造を持つ
韓国は被害者等の進述権を定める。法廷での意見陳述の機会を保障する点で日本と共通するが、参加人としての地位構成は異なる
ドイツの付帯私訴(Nebenklage)は被害者に独立した訴訟参加者の地位を与え、尋問権や意見陳述権を広く認める。日本の被害者参加制度の母法的位置にある
米国は量刑手続で被害者意見陳述(victim impact statement)を権利として保障する。日本のように公判中の求刑意見を当事者隣で述べる構成とは手続位置が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 飲酒運転で配偶者を奪われた。検察官の求刑が「思っていたより軽い」と感じたとき、あなたは検察官にあらかじめ要旨を伝えた上で、論告の後に自ら「これでは遺族の被害感情に見合わない」と求刑意見を述べられる。検察官と被害者、二つの声が量刑審理に重なる
- 性犯罪の被害者として、被告人質問(316条の37)で被告の弁解の不自然さを引き出した。その積み重ねを踏まえ、最後に316条の38で「被告人の供述は事実に反する」と事実認定への意見を述べる。証拠にはならないが、裁判員の心証形成に直接働きかける
- もし、あなたが被害者参加を申し出たのに、陳述の内容が訴因の範囲を超えていたらどうなる? 裁判長は3項に基づいてその陳述を制限できる。起訴された事実と関係のない過去の恨みつらみを述べ始めれば、途中で止められる。何を述べてよく、何が範囲外かを事前に弁護士と整理しておかないと、せっかくの機会が空振りに終わる
- 業務上過失致死の遺族として参加を許可されたが、公判はあと一回で結審。論告の後にしか意見陳述はできず、要旨は事前に検察官へ提出しておく必要がある。残された準備時間はわずか。誰が、何を、どの順で語るかを今週中に固めなければ間に合わない
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず事件が被害者参加の対象犯罪(316条の33、故意の死傷・性犯罪・業務上過失致死傷・逮捕監禁・略取誘拐等)か確認し、検察官に参加の申出をする2. 参加が許可されたら、被害者参加弁護士(国選を含む、資力要件あり)の選任を検討、一人で抱えない3. 316条の38の意見陳述は、論告後に述べる『求刑を含む意見』。要旨を事前に検察官へ提出し(2項)、検察官の論告とトーンをすり合わせる4. 何を意見陳述で語り、何を証人尋問(証拠になる方)で語るかを弁護士と切り分ける。訴因の範囲を超えると裁判長に制限される(3項)ため、起訴された事実に絞る
訴えられた側:1. 被害者参加人の意見陳述(316条の38)は証拠にならない(4項)と理解する。量刑への心証には影響するが、有罪認定の証拠ではない2. 被害者の陳述が訴因として特定された事実の範囲を超える、または不当に感情的であれば、弁護人を通じて3項・295条による制限を裁判長に求める3. 被害者の処罰感情を和らげる方向で、起訴前から示談・謝罪・贖罪寄付を進める。被害者参加事件では量刑に被害感情が強く反映されやすい4. 被害者が証人尋問で述べた供述(証拠になる)と、意見陳述(証拠にならない)を弁護人と区別し、反論の的を絞る
時効(請求できる期限):特定の出訴期間や時効はないが、被害者参加の許可(316条の33)を得た上で、意見陳述の要旨をあらかじめ検察官に提出する必要がある(2項)。陳述は検察官の論告求刑(293条1項)の後の公判期日に行われるため、結審前のタイミングに合わせた事前準備が不可欠。公判の進行状況を検察官に確認し、間に合うよう要旨を固めること
学説
通説:316条の38の意見陳述は、被害者の手続参加と尊厳を保障する一方、反対尋問を経ない陳述であるため証拠とはならない(4項)。心証への影響と証拠の領域を切り分け、被告人の防御権・無罪推定との均衡を図った規定と理解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成19年(2007年)改正、平成20年(2008年)12月1日施行 被害者参加制度の創設に伴い新設。被害者参加人またはその委託を受けた弁護士が、検察官の論告後に、訴因の範囲内で事実および法律の適用について意見を陳述できる手続を整備し、4項で当該陳述は証拠とならない旨を明記した
改正の年表
- 1.平成19年(2007年) 新設:被害者参加制度の創設に伴い新設。被害者参加人またはその委託弁護士が、検察官の論告後に訴因の範囲内で事実および法律の適用について意見を陳述でき、4項で当該陳述は証拠とならない旨を明記した。平成20年(2008年)12月1日施行。
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