刑事訴訟法 第316条の35
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被害者参加人又はその委託を受けた弁護士は、検察官に対し、当該被告事件についてのこの法律の規定による検察官の権限の行使に関し、意見を述べることができる。この場合において、検察官は、当該権限を行使し又は行使しないこととしたときは、必要に応じ、当該意見を述べた者に対し、その理由を説明しなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第316条の35は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第316条の35の条文原文は「被害者参加人又はその委託を受けた弁護士は、検察官に対し、当該被告事件についてのこの法律の規定による検察官の権限の行使に関し、意見を述べることができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第316条の35は第三節 被害者参加に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第316条の35の前の条は刑事訴訟法第316条の34です。
- 刑事訴訟法第316条の35の次の条は刑事訴訟法第316条の36です。
- 刑事訴訟法第316条の35には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第316条の35 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第316条の35(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/316_35
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法316条の35は、被害者参加人が検察官の権限行使について意見を述べられると定める。検察官は権限を行使しまたは行使しないと決めたとき、必要に応じ理由を説明しなければならない。
Q · 検察官が控訴しないと決めたとき、被害者は理由を教えてもらえるの?
被害者参加人なら意見を述べ、理由の説明を求められる
刑事訴訟法316条の35により、被害者参加人またはその委託を受けた弁護士は、検察官の権限行使について意見を述べることができます。検察官は権限を行使し、または行使しないこととしたときは、必要に応じてその理由を説明しなければなりません。ただし本条に検察官の判断を拘束する力はなく、訴追裁量(刑訴248条)は検察官に残ります。利用できるのは裁判所の許可を得た被害者参加人(刑訴316条の33)に限られます。
解説
検察官は、起訴するかしないか、どの罪名で起訴するか、証拠をどう請求するか、控訴するかしないか、これらを一手に握っている。被害者やその遺族は、その決定を後から通知で知らされるだけの存在だと思われてきた。刑事訴訟法316条の35は、その構造に一本の穴を開けた。被害者参加人(裁判所の許可を得て手続に参加した被害者・遺族)またはその委託を受けた弁護士は、検察官の権限行使について意見を述べることができる。そしてここからが本命だ。検察官が権限を行使する、あるいはしないと決めたとき、必要に応じてその理由を説明する義務を負う。あなたが「なぜあの証拠を請求しなかったのか」「なぜ控訴しないのか」と問えば、検察官は沈黙で押し通せない。日本の刑事司法で、一市民が検察官に説明を求める法的な足場は、そう多くない。これはその数少ない一本である。
法的な位置づけ
刑事訴訟法316条の35は、被害者参加人およびその委託を受けた弁護士に対し、当該被告事件についての検察官の権限行使に関する意見表明権を認めるとともに、検察官が権限を行使しまたは行使しないこととした場合に、必要に応じて理由を説明すべき義務を定める規定である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.被害者参加の申出を行い許可を得る 担当検察官に被害者参加の申出を伝え、検察官を経由して裁判所へ申出書を提出する。裁判所の許可(刑訴316条の33)を得て初めて316条の35の入口に立てる。対象犯罪と被害者・遺族の範囲を事前に確認する
- 2.国選被害者参加弁護士の選定を求める 資力が基準を下回る場合、法テラス(日本司法支援センター)に問い合わせ、国選被害者参加弁護士の選定を求める。待っていても検察官から必ず説明されるとは限らないため、参加申出の段階で自分から動く
- 3.争点ごとに書面で意見を提出する 訴因、証拠請求、求刑、控訴の要否といった争点ごとに、具体的な理由を付して書面で意見を提出する。口頭より書面のほうが検察庁内で回覧され、決裁ラインの上位者の判断材料になる
- 4.権限行使の前に届くよう時期を合わせる 証拠請求の締切前、論告求刑の前、控訴期限(判決の日の翌日から14日、刑訴373条)の前に届くよう提出時期を逆算する。決定後の意見は説明義務を発動させるだけで、判断そのものは動かせない
- 5.説明を受けたら日時と内容を記録する 検察官の判断が示されたら理由の説明を求め、日時・担当者名・説明内容をメモに残す。不起訴の場合、この記録が検察審査会への審査申立書で「何が説明されていないか」を具体的に書く土台になる
よくある質問 AI による整理
Q1刑事訴訟法316条の35とは何ですか?
被害者参加人とその委託弁護士が、検察官の権限行使について意見を述べられる規定です。検察官は権限を行使しまたは行使しないと決めたとき、必要に応じ理由を説明する義務を負います。
Q2被害者参加人になるにはどうすればいいですか?
検察官を経由して裁判所に参加の申出を行い、許可を得ます(刑訴316条の33)。対象は殺人・傷害・不同意性交等・過失運転致死傷など一定の罪の被害者や遺族です。
Q3検察官への意見はいつまでに出すべきですか?
権限行使の前が勝負です。証拠請求の締切前、論告求刑の前、控訴期限(判決翌日から14日、刑訴373条)の前に出さないと、判断そのものは動かせません。
Q4検察官が説明を拒んだらどうなりますか?
本条の説明義務は「必要に応じ」とされ、違反に対する直接の制裁規定はありません。不起訴の場合は検察審査会への審査申立て(検察審査会法30条)が別ルートになります。
Q5被害者参加弁護士の費用は誰が払いますか?
資力が基準を下回る場合、国選被害者参加弁護士制度により国が負担します。法テラス(日本司法支援センター)経由で選定を求めます。最新の資力基準は要確認です。
Q6意見は口頭と書面のどちらがいいですか?
書面が有利です。検察庁内で回覧され決裁ラインの上位者の目に触れるため、担当検察官一人の判断に留まらず組織としての判断に押し上げやすくなります。
Q7検察官への意見に法的な拘束力はありますか?
ありません。起訴便宜主義(刑訴248条)の下、訴追裁量は検察官に残ります。本条が与えるのは意思決定への参加権ではなく、意見表明権と説明を受ける地位です。
Q8訴因が軽すぎると感じたら意見を言えますか?
言えます。訴因変更請求(刑訴312条)は検察官の権限であり本条の射程内です。危険運転致死ではなく過失運転致死で起訴された場合などが典型例です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1意見を言っても検察官が無視したら、どうにもならないんですか?
本条は説明を求める地位を与えますが、判断を強制する力はありません。ただし不起訴処分なら検察審査会への審査申立て(検察審査会法30条)という別ルートがあります。実務のポイント:検察官の説明内容を日時つきでメモに残しておくと、審査申立書の中で「検察官はこう説明したが、この点が説明されていない」と具体的に書ける。抽象的な不満より、記録された説明の穴を突く方が審査会は動く
Q2被害者参加って、弁護士を雇うお金がないと無理ですよね?
資力が乏しい場合、国選被害者参加弁護士制度を利用できます。日本司法支援センター(法テラス)経由で選定を求める仕組みで、一定の資力基準を下回れば費用は国が負担します(最新の資力基準はご確認ください)。実務のポイント:この制度の存在は検察官から必ず説明されるわけではありません。参加申出の段階で自分から法テラスに問い合わせた人と、待っていた人とで、代理人が付くまでの時間が数か月変わる
Q3検察官への意見って、法廷で話す意見陳述とは違うんですか?
別物です。本条(316条の35)は法廷外で検察官の権限行使について述べるもの、法廷での意見陳述は316条の38に基づき裁判官・裁判員に向けて述べるものです。前者は判断の前、後者は判決の材料。実務のポイント:実務では前者の方が結果を動かす余地が大きい。求刑や訴因が決まる前に検察官へ書面で届けた意見は、法廷で泣きながら訴える言葉より、量刑の起点を動かしていることがある
間違えやすい点 AI による整理
- 「意見を述べれば検察官はそれに従う」と期待する人が多いが、本条は検察官の権限行使を拘束しない。訴追裁量(起訴便宜主義、刑訴248条)は検察官に残る。本条が与えるのは意思決定への参加権ではなく、意見表明権と説明を受ける地位である。ここを誤解すると「言ったのに聞いてもらえなかった」という二次的な失望を生む
- 被害者参加制度は知っていても、その中で316条の35が最も静かで最も実務的な武器であることは知られていない。法廷での意見陳述(316条の38)は目立つが、判決前に検察官の判断そのものへ働きかけられるのは本条だけ。舞台の上より、舞台裏で効く
- 「被害者ならば誰でも使える」と考えるのは前提が違う。本条を使えるのは、裁判所の許可を得た『被害者参加人』とその委託弁護士に限られる(刑訴316条の33)。まず参加許可の申出を検察官経由で行うところが出発点であり、そこを踏まないと本条の入口に立てない
- 「必要に応じ」という文言を軽く読む人が多いが、これは検察官の裁量を残す語であると同時に、実務上は説明を尽くす運用が求められている部分でもある。この文言をどこまで厳格な義務と読むかは、実務上、解釈が分かれている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 誰に向けて述べるか | 316条の35:検察官に向けて(法廷外) | 316条の38:裁判官・裁判員に向けて(法廷内) 316条の36:証人に対する尋問の申出 |
| 働きかけの対象 | 検察官の権限行使そのもの(訴因・証拠請求・求刑・控訴) | 事実認定と法律の適用についての意見 情状に関する証人の供述の証明力 |
| タイミング | 検察官が判断を下す前(判決前・控訴期限前) | 証拠調べ終了後の弁論手続 情状に関する証人尋問の際 |
| 相手方の応答義務 | 検察官は必要に応じ理由を説明する義務あり | 裁判所に応答義務はなく、量刑の一資料 裁判所が相当と認めるときに尋問を許可 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も被害者・遺族の意見陳述の機会を制度化しているが、検察官の権限行使に対する理由説明義務という形の明文化は日本316条の35のほうが具体的
韓国は法廷での被害者陳述権を中心に構成し、検察官の権限行使への意見と理由説明という法廷外の回路は日本ほど明示されていない
ドイツは Nebenkläger が独立して証拠申請・上訴できる強い地位を与える点で日本より踏み込む。不起訴には起訴強制手続という裁判所ルートがある
米国連邦法は被害者に検察官との協議権(right to confer)と裁判所での意見表明権を与える。強制力の弱さと手続的関与にとどまる構造は日本316条の35と近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 息子が飲酒運転の車に轢かれて死亡。検察官は危険運転致死ではなく過失運転致死で起訴した。法定刑の上限が全く違う。被害者参加人になったあなたは、316条の35に基づき「危険運転致死での訴因変更を検討してほしい」と意見を述べ、検察官に判断理由の説明を求められる。起訴後の訴因変更請求(刑訴312条)は検察官の権限であり、まさにこの条文の射程内
- 第一審の判決が予想より軽かった。検察官が控訴期限までに動くかどうかが分からない。控訴期間は判決の日の翌日から14日(刑訴373条)。あなたに残された時間はその14日だけ。この間に「控訴してほしい」と意見を述べ、しない場合は理由の説明を求める。期限を過ぎれば、判決はそのまま確定する
- もし、加害者側が示談を持ちかけてきて、検察官がそれを量刑資料として重視する構えを見せたら? あなたは「示談は成立していない、金銭を受け取る意思はない」と検察官に意見を述べられる。被害者の処罰感情がどう伝わるかは、検察官の求刑に直接跳ね返る
- 被告人の立場から見ると、この条文は検察官の背後に「説明義務を発動できる第三者」がいることを意味する。被害者参加人が付いた事件で、検察官が安易に軽い求刑や不控訴を選びにくくなる構造がある。弁護人が示談交渉を急ぐ理由の一つがここにある
- 友人が性犯罪の被害に遭い、「検察官が何も教えてくれない」と相談してきた。あなたは被害者参加制度(刑訴316条の33)で参加許可を得れば意見陳述と理由説明請求ができると、三分で説明できる
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず検察官に被害者参加の申出(刑訴316条の33)を行い、裁判所の許可を得る。ここを飛ばすと本条は使えない2. 国選被害者参加弁護士制度(犯罪被害者等保護法)を確認、資力要件を満たせば費用負担なしで弁護士を委託できる3. 意見は口頭より書面で、争点ごとに具体的に(訴因、証拠請求、求刑、控訴の要否) 4. 検察官の判断が示されたら理由の説明を求め、日付と内容を記録に残す。控訴期限は判決翌日から14日、そこが最終防衛線
訴えられた側:1. 被害者参加人が付いた事件は、検察官の判断が被害者側の意見に晒されていると前提する2. 示談交渉は起訴前・論告前の早い段階で。被害者感情が検察官の求刑に反映される前に動く3. 被害者が金銭受領を拒む場合でも、謝罪文・贖罪寄付・供託の記録を積む。これらは検察官が説明義務を果たす際の判断材料になる4. 弁護人を通じて被害者側の意向を把握、直接接触は逆効果になりやすい
時効(請求できる期限):本条自体に固有の期間制限はない。ただし実務上の勝負どころは各権限行使の期限に縛られる:控訴期間は判決の日の翌日から14日(刑事訴訟法373条)、被害者参加の申出は公判係属中に行う必要がある。損害賠償を別途民事で求める場合は、損害および加害者を知った時から人の生命・身体侵害で5年(民法724条の2)
学説
通説:本条は被害者に訴追の決定権を与えるものではなく、意見表明権と説明を受ける地位という手続的関与にとどまる。起訴便宜主義(刑訴248条)の下での検察官の独立した訴追裁量は維持されるという理解が一般的である
「必要に応じ」の解釈をめぐる議論:説明義務の発動要件である「必要に応じ」を検察官の広い裁量と読む立場と、被害者参加制度の趣旨から原則として説明を尽くすべき運用上の義務と読む立場があり、実務上解釈が分かれている
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成19年(2007年) 新設:犯罪被害者等基本法(平成16年)および基本計画を受けた刑事訴訟法改正により、被害者参加制度(316条の33〜316条の39)が新設され、本条が置かれた。平成20年(2008年)12月施行
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