刑事訴訟法 第350条の11
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検察官が第三百五十条の二第一項第二号イに係る同項の合意に基づいて公訴を提起しない処分をした事件について、検察審査会法第三十九条の五第一項第一号若しくは第二号の議決又は同法第四十一条の六第一項の起訴議決があつたときは、当該合意は、その効力を失う。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第350条の11は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第350条の11の条文原文は「検察官が第三百五十条の二第一項第二号イに係る同項の合意に基づいて公訴を提起しない処分をした事件について、検察審査会法第三十九条の五第一項第一号若しくは第二号の議…」で始まります。
- 刑事訴訟法第350条の11は第三節 合意の終了に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第350条の11の前の条は刑事訴訟法第350条の10です。
- 刑事訴訟法第350条の11の次の条は刑事訴訟法第350条の12です。
- 刑事訴訟法第350条の11には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の11 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の11(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/350_11
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法350条の11は、司法取引に基づく不起訴でも、検察審査会が起訴相当・不起訴不当を議決すれば合意が失効すると定める。市民の審査が検察官の判断を覆す。
Q · 司法取引で検察官と不起訴の約束をしたら、それは絶対に守られるの?
守られるとは限らない。検察審査会が覆せる
刑事訴訟法350条の11により、検察官が司法取引(協議・合意制度)に基づいて不起訴にしても、検察審査会が起訴相当または不起訴不当を議決すれば、合意そのものが効力を失います。あなたはすでに共犯者の関与を証言し手の内をさらしているのに、命綱だった不起訴の約束だけが消える事態が起こり得ます。検察官個人の判断は最終決定ではなく、くじで選ばれた市民11人の審査がその上に乗っているためです。
解説
検察官が「お前を起訴しない代わりに、共犯者の関与を証言しろ」と持ちかける。これは日本に実在する制度だ。2018年6月から動いている協議・合意制度、世間でいう司法取引である。あなたが取引に応じて他人の犯罪を語り、検察官が約束どおり不起訴の処分をした。物語はここで終わらない。検察審査会、くじで選ばれた市民11人の合議体が、その不起訴を「起訴相当」または「不起訴不当」と議決した瞬間、350条の11はあなたの合意を丸ごと失効させる。あなたはすでに証言を済ませている。手の内は全部さらした。それなのに、命綱だった不起訴の約束だけが消える。検察官個人の判断は、この国では最終決定ではない。市民の監視がその上に乗っている。この一行を知らずに取引のテーブルに着くことが、どれほど危ういか。
法的な位置づけ
刑事訴訟法350条の11は、協議・合意制度における合意の失効を定める規定である。検察官が同制度に基づいて不起訴処分をした事件について、検察審査会法による起訴相当・不起訴不当の議決または起訴議決があったときは、当該合意は当然にその効力を失う。検察官の訴追裁量に対する市民的統制を、司法取引の安定性に優先させた例外規定として機能する。
よくある質問 AI による整理
Q1協議・合意制度とは?
被疑者・被告人が他人の犯罪の解明に協力する見返りに、検察官が不起訴や軽い求刑などの恩典を与える日本版の司法取引制度です。2018年6月から運用されています。
Q2日本で司法取引はいつから始まった?
平成28年(2016年)の刑訴法改正で導入され、平成30年(2018年)6月1日から施行されています。アメリカのドラマの話ではなく、現実の制度です。
Q3司法取引の対象になる犯罪は?
贈収賄、談合、脱税、独占禁止法違反、薬物・銃器犯罪、組織犯罪などの特定犯罪に限られます。殺人など個人の生命に関わる重大犯罪は原則対象外です。
Q4検察審査会はどんな組織ですか?
選挙人名簿からくじで選ばれた市民11人が、検察官の不起訴処分の当否を審査する組織です。起訴相当・不起訴不当・不起訴相当の議決を出します。
Q5共犯者が司法取引で不起訴になったら被害者は何ができる?
告訴人・被害者は検察審査会に審査を申し立てられます。起訴相当または不起訴不当の議決が出れば、350条の11によりその合意は失効します。
Q6司法取引に応じる前に注意すべきことは?
処罰感情の強い被害者や告発者がいる事件ほど検察審査会が動きやすく、合意が後から崩れます。供述する前に弁護人とリスクを評価することが重要です。
Q7司法取引の合意書にサインしたら撤回できる?
検察官・被疑者ともに一定の事由で合意から離脱できます(350条の10)。また検察審査会の議決でも失効します(本条)。合意は最終確定ではありません。
Q8内部告発で検察に協力すれば守られますか?
協力して不起訴になっても、被害者が検察審査会に申し立てれば350条の11でその安全が覆る余地があります。協力=完全な保護ではありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1司法取引って、検察官と約束したら絶対に守られるんじゃないんですか?
守られるとは限らない。350条の11は、検察官が合意に基づいて不起訴にしても、検察審査会が起訴相当(検察審査会法39条の5第1項1号)または不起訴不当(同2号)を議決すれば、合意そのものが失効すると定める。実務のポイント:弁護人は、被害者や告発者が多い事件の合意ほど構造的に脆いと知っている。だから取引に応じる前に「この不起訴を不服として審査を申し立てる人間がいるか」を真っ先に読む
Q2もし合意が失効したら、自分が話したことは証拠に使われてしまうんですか?
原則として使えない。刑訴法350条の14が、合意が失効した場合、合意に基づく被疑者・被告人の供述等を本人の事件で証拠にできないと定めて保護している(現行の条番号は要確認)。実務のポイント:ただし保護には穴がある。あなたの供述で「他人」を捜査・起訴する流れが先に動いてしまえば、その事件は止まらない。自分の証拠制限と、他人の事件で生じた現実とは別物だ
Q3検察審査会って、そんなに簡単に検察官の判断をひっくり返せるんですか?
簡単ではないが、可能だ。起訴相当の議決には11人中8人以上の賛成が要る(検察審査会法39条の5)。不起訴不当は過半数。起訴相当後も検察官が不起訴を維持すれば、第二段階の起訴議決(同法41条の6)で強制起訴に至る。実務のポイント:この二段構えは小沢一郎事件や明石歩道橋事故で実際に強制起訴を生んでいる。市民の議決は飾りではなく、検察官の不起訴を現に覆してきた実績がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「司法取引なんてアメリカのドラマの話で、日本にはない」と思っている人が多い。実際は2018年6月から協議・合意制度として稼働しており、贈収賄、談合、脱税、独占禁止法違反などの事件で現に使われている
- 「検察官と合意できれば不起訴は確定する」という前提そのものが誤っている。検察官の不起訴は終点ではなく、検察審査会という市民の審査を通過して初めて安定する。350条の11は、その審査で覆れば合意自体が消えると明言している(深化ではなく前提の修正)
- あなたから見れば、それは検察官と交わした拘束力のある「契約」だ。だが法の構造から見れば、検察官の訴追裁量に市民的統制を被せた可変的な処分にすぎない。この落差を知らずに先に証言すると、保護なしで自白だけが残る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 350条の11:検察審査会の議決による合意の失効 | 350条の10:当事者の離脱による合意の失効 350条の14:失効した場合の供述等の証拠使用制限 |
| 発動の引き金 | 検察審査会の起訴相当・不起訴不当の議決または起訴議決 | 検察官または被疑者・被告人による合意からの離脱 合意が失効したこと(本条・350条の10等) |
| 効果 | 合意が当然に失効し、検察官は訴追を再検討する | 合意が将来に向かって効力を失う 合意に基づく供述等を本人の事件で証拠にできない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は認罪協商制度を持ち、不起訴に対する統制として交付審判(職権主義的な裁判所審査)がある。市民合議体ではなく裁判所が統制する点で日本の検察審査会と異なる。
韓国は本格的な司法取引制度を持たないが、不起訴に対する裁判所審査(재정신청)で訴追統制を行う。市民合議体による審査ではない点が日本と異なる。
ドイツは公判での Verständigung(合意)を認めつつ、不起訴に対しては Klageerzwingungsverfahren(起訴強制手続)で裁判所が統制する。市民審査会型ではない。
米国は plea bargaining が刑事司法の中核で、訴追統制は大陪審(grand jury)が担う。市民が起訴側を統制する点で日本の検察審査会と発想が近い。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 談合事件で、あなたは中堅社員。検察官が「上層部の関与を証言すれば不起訴にする」と持ちかけ、あなたは応じて全部話した。ところが談合で損害を受けた発注者が検察審査会に申し立て、不起訴不当の議決。350条の11であなたの不起訴の約束は消え、証言だけが手元に残る
- もし証言を終えた後で検察審査会が「起訴相当」を議決したら、あなたに残された時間で何ができるか。合意は失効し、検察官は起訴に向けて動き出す。手札はもう切ってしまった後だ
- 贈収賄事件で「雑魚だけ見逃された」と感じた被害者が、検察審査会への申立書を書く。その一枚が、成立済みの取引を崩す引き金になる
- 薬物の密売組織で末端のあなたが上位者を売る取引に応じた。だが組織犯罪は告発者や被害者が多く、検察審査会が動くリスクが高い。弁護人は最初に「この事件で合意は危ない」と警告しておくべきだった
取るべき行動
被害を受けた側:1. 共犯者が司法取引で不起訴になったと知ったら、あなたは告訴人・被害者として検察審査会に審査を申し立てられる(検察審査会法30条)。2. 申立書に不起訴が不当である理由を具体的に書く。3. 起訴相当または不起訴不当の議決が出れば、350条の11によりその合意は失効し、検察官は再検討を迫られる。4. 起訴相当後もなお不起訴なら、起訴議決(同法41条の6)で強制起訴に至る道が残る
訴えられた側:1. 合意に応じる前に、被害者や告発者が検察審査会に動く可能性を弁護人と評価する。2. 供述の順序を設計し、350条の14による証拠制限の射程を確認してから話す。3. 万一合意が失効しても、合意に基づく供述は原則として自分の事件で証拠にできない点を押さえる。4. 失効後は検察官の訴追方針を見極め、改めて防御方針(否認・情状)を組み直す
時効(請求できる期限):合意は、検察審査会の起訴相当・不起訴不当の議決、または起訴議決があった時点で当然に失効する(特定の出訴期間ではなく、議決の時が分水嶺)。被害者側の審査申立て自体に厳格な期限はないが、不起訴処分後に行うのが通常で、証拠やログが散逸する前に動くのが実務上の鍵となる
学説
一般的理解(通説):350条の11は、協議・合意制度の安定性を一定犠牲にしてでも、検察審査会による不起訴の市民的統制を優先させた規定と理解される。協力供述を先行させた被疑者の地位の脆弱性は、350条の14の証拠使用制限で部分的に補われるにとどまる。
改正沿革 AI による整理
- 平成28年(2016年)刑訴法改正、平成30年(2018年)6月1日施行 司法取引(協議・合意制度)の導入に伴い新設。検察官が合意に基づいてした不起訴処分が、検察審査会の起訴相当・不起訴不当の議決または起訴議決によって覆る場合に、当該合意を失効させる規定を設けた
改正の年表
- 1.平成28年(2016年) 新設:刑訴法改正(平成28年法律第54号)で協議・合意制度を導入。検察官が合意に基づいてした不起訴処分が検察審査会の議決により覆る場合に、当該合意を失効させる規定を新設した。
- 2.平成30年(2018年) 施行:2018年6月1日施行。贈収賄・談合・脱税・独占禁止法違反等の特定犯罪で協議・合意制度の運用が開始され、本条が現実に機能する前提が整った。
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