刑事訴訟法 第350条の14
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- 検察官が第三百五十条の二第一項の合意に違反したときは、被告人が第三百五十条の四の協議においてした供述及び当該合意に基づいてした被告人の行為により得られた証拠は、これらを証拠とすることができない。
- 2.前項の規定は、当該被告人の刑事事件の証拠とすることについて当該被告人に異議がない場合及び当該被告人以外の者の刑事事件の証拠とすることについてその者に異議がない場合には、これを適用しない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第350条の14は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第350条の14の条文原文は「検察官が第三百五十条の二第一項の合意に違反したときは、被告人が第三百五十条の四の協議においてした供述及び当該合意に基づいてした被告人の行為により得られた証拠は、…」で始まります。
- 刑事訴訟法第350条の14は第四節 合意の履行の確保に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第350条の14の前の条は刑事訴訟法第350条の13です。
- 刑事訴訟法第350条の14の次の条は刑事訴訟法第350条の15です。
- 刑事訴訟法第350条の14には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の14 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の14(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/350_14
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法350条の14は、検察官が協議・合意に違反したとき、協議でした供述と合意に基づき得た証拠の証拠能力を否定する規定である。
Q · 検察官が司法取引の約束を破ったら、私が話した内容は法廷で使われるの?
合意違反の瞬間、協議の供述と証拠は排除されます
刑事訴訟法350条の14により、検察官が協議・合意に違反したときは、被告人が協議でした供述と、合意に基づく行為で得られた証拠は証拠能力を失います。ただし排除されるのは「協議由来」の証拠だけで、検察が取引以前から独自に握っていた証拠は法廷に残ります。また被告人本人や第三者が「証拠とすることに異議がない」場合には、本条は適用されません(2項)。
解説
会社ぐるみの談合や脱税に末端で巻き込まれた。ある日、検察官が「上の関与を全部話せば、君は不起訴にしてやる」と持ちかけてくる。これが2018年6月に始まった協議・合意制度、日本版の司法取引だ。あなたは弁護人を立てて検察と合意し、他人の犯罪について供述や証拠を差し出す。だが、もし検察官が約束を破ったら、あなたは仲間を売った上に自分まで起訴される最悪の立場に落ちる。350条の14は、その地獄を防ぐ安全装置だ。検察官が合意に違反した瞬間、あなたが協議の場で話した供述も、合意に基づいて差し出した証拠も、あなたに不利な証拠としては一切使えなくなる。取引のテーブルに着く前に、この一条があるかないかで、あなたが背負うリスクの天井がまるで違ってくる。
法的な位置づけ
刑事訴訟法350条の14は、協議・合意制度における証拠排除を定める規定である。検察官が350条の2の合意に違反した場合、被告人が350条の4の協議でした供述、および当該合意に基づく行為により得られた証拠は、証拠能力を失う。ただし当事者に異議がない場合には適用されない例外を伴う。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.検察官の誘いに即答せず弁護人を呼ぶ 検察官から協議・合意を持ちかけられても、その場で内容を話し始めない。弁護人を立てない合意は無効であり、何を話してよいかの線引きは弁護人と決める。まず弁護人の同席を確保する
- 2.合意違反時の証拠排除と虚偽供述罪の射程を確認 合意書にサインする前に、検察が違反した場合に何が証拠から消え(350条の14)、虚偽供述にどんな罰がかかるか(350条の15)を弁護人と詰める。排除されるのは協議由来の供述・証拠に限られる点を理解する
- 3.提供する供述・証拠の範囲を書面で明確化 どこまでの供述・証拠を提供し、検察がどの処分を約束するかを合意書で具体的に固める。曖昧な合意は後の紛争の種になるため、対象事件・行為を特定して書面化する
- 4.検察が違反したら証拠調べ前に排除を申し立てる 検察官が不起訴の約束を反故にするなど合意違反があれば、公判で当該供述・証拠が取調べ請求された段階、すなわち証拠調べに入る前に証拠能力を争い排除を申し立てる。法廷に顕出された後では心証への影響を排除しきれない
よくある質問 AI による整理
Q1協議・合意制度とは何ですか?
2018年施行の日本版司法取引です。被疑者・被告人が弁護人を立てて検察と合意し、他人の犯罪について供述や証拠を提供する見返りに、自分が不起訴や軽い求刑など有利な扱いを受ける仕組みです(350条の2)。
Q2司法取引の対象になる犯罪は何ですか?
対象は限定列挙で、贈収賄・脱税・談合などの財政経済犯罪と、薬物・銃器犯罪が中心です。殺人や傷害などの生命身体に対する暴力犯罪は対象外とされています。
Q3弁護人なしで司法取引できますか?
できません。協議・合意には弁護人の関与が必須で、合意には弁護人の同意も必要です。弁護人を立てずに検察と交わした合意は無効です。検察と話す前に必ず弁護人を呼んでください。
Q4司法取引の供述はいつ証拠から排除されますか?
検察官が合意に違反した瞬間です。350条の14により、協議でした供述と合意に基づく行為で得た証拠は証拠能力を失います。争うのは公判で証拠調べに入る前のタイミングが重要です。
Q5引っ張り込みの危険とは何ですか?
合意者が自分の処分を軽くしたい動機から、関与していない第三者を巻き込む虚偽供述をする危険のことです。弁護実務では合意者の供述のみで有罪認定する危うさとして最大の争点になります。
Q6350条の15の虚偽供述罪とは何ですか?
合意制度において虚偽の供述をしたり偽造証拠を提出したりした者を処罰する規定です。軽い処分欲しさの嘘に歯止めをかけ、取引の信頼性を支える役割を担います。
Q7司法取引を断ったら不利になりますか?
応じる義務はなく、断ったこと自体が量刑で不利に扱われるわけではありません。ただし合意違反時の証拠排除の射程を理解せず恐れて断ると、有利な取引機会を逃すこともあります。
Q8司法取引の合意はどうやって結びますか?
弁護人を交えて検察官と協議し、提供する協力内容と検察側の処分を書面の合意でまとめます。違反時の証拠排除と虚偽供述罪の射程を弁護人と詰めた上でサインすることが重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1司法取引って、自分が罪を認める代わりに刑を軽くしてもらう、海外ドラマのあれですよね?
それとは違います。日本の協議・合意制度(350条の2)は『捜査・公判協力型』で、原則として他人の犯罪について供述や証拠を提供する見返りに自分が有利な扱いを受ける仕組みです。自分一人の罪を認めるだけの『自己負罪型』は導入が見送られました。実務のポイント:対象犯罪も限定され、財政経済犯罪と薬物銃器犯罪が中心です。殺人など暴力犯罪は対象外なので、ニュースで見る凶悪事件には基本使えません。
Q2検察が約束を破るなんてこと、本当にあるんですか?
制度上ありうるからこそ本条が置かれています。350条の2の合意違反、たとえば不起訴の約束を反故にして起訴する、軽い求刑の約束を破るといった場合です。違反した瞬間、協議でのあなたの供述と合意に基づき差し出した証拠は証拠能力を失います。実務のポイント:ただし消えるのは『協議由来』の証拠だけ。検察が取引前から独自に握っていた証拠は生き残ります。『話せば全部チャラ』と油断するのが一番危ない。
Q3他人が司法取引で自分の名前を出したら、もう終わりですか?
終わりではありません。合意者の供述は自分の処分を軽くしたい強い動機の下でなされるため、信用性が厳しく吟味されます。虚偽供述をすれば350条の15で重い罰が科されます(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:弁護実務では『引っ張り込みの危険』と呼ばれ、合意者の供述だけで有罪にできるかが最大の争点です。裏付けとなる独立証拠を検察が出せるかを徹底的に突くのが定石です。
間違えやすい点 AI による整理
- 「司法取引なら自分の罪を認める代わりに刑を軽くできる」と思って調べ始める人が多いが、問いの立て方そのものがずれている。日本の協議・合意制度(350条の2)は自分の罪の取引ではなく、他人の犯罪への捜査協力が原則。自分一人の事件では、そもそも取引のテーブルに乗れない
- 「検察が約束を破れば証拠は全部排除される」と知っている人でも、その射程を過大評価している。本条で消えるのは協議でした供述と合意に基づく行為で得た証拠だけ。検察が取引以前から独自に握っていた証拠は法廷に残る。「話せば全部チャラ」ではない、ここを誤ると防御の組み立てを間違える
- あなたから見れば「協力したご褒美」に見える司法取引も、巻き込まれる第三者から見れば「他人の口先一つで人生を奪う凶器」になりうる。この落差を法は直視し、虚偽供述への重い罰(350条の15)と、違反時の証拠排除(本条)という二段構えで歯止めをかけている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 350条の14:合意違反時の証拠排除(安全装置) | 350条の2:協議・合意の対象と内容(制度の本体) 350条の15:虚偽供述・証拠偽造の処罰 |
| 作動する場面 | 検察官が合意に違反したとき | 協議を経て合意が成立するとき 合意者が虚偽の供述・証拠を出したとき |
| 保護の対象 | 合意した被告人(裏切られた協力者) | 捜査機関と協力者の双方の合意枠組み 巻き込まれる第三者・制度の信頼性 |
| 並列する保護規定 | 350条の5:協議不調時の供述使用制限 | 319条:自白の任意性と証拠能力の一般原則 憲法38条:自己負罪拒否特権 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾の認罪協商では、協商不成立の場合に被告がした陳述を本案で不利益な証拠としない旨を定める。協力型ではなく自己の有罪答弁型である点が日本と構造的に異なる
ドイツの Verständigung(量刑合意)は裁判所主導の量刑に関する合意であり、他人の犯罪への協力を引き出す日本型とは目的が異なる。合意が崩れた場合の自白の利用制限の議論がある
米国は有罪答弁が撤回された場合や司法取引交渉中の供述を原則として証拠から排除する。日本の本条が参照した比較法上の最も近い類型
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 会社の談合に末端で関わっていたあなたに、検察官が「役員の指示を証言すれば不起訴にする」と持ちかけてきた。応じて全部話した後、検察官がその約束を反故にしたらどうなる? 350条の14がなければ、あなたが協議で吐いた供述だけが法廷に残り、上は逃げ切り、あなた一人が起訴される。この一条が、その筋書きを断ち切る
- あなたは何もしていないのに、共犯とされた誰かが司法取引で「あいつも関与していた」と供述し、その一言で起訴されかけている。知っておくべきは、軽い処分欲しさの虚偽供述には350条の15の処罰規定が睨みを利かせ、公判でその信用性を徹底的に弾劾できるという点だ
- 薬物事件で末端の運び屋として捕まった。上の密売組織を話せば量刑で大きく酌量される。だが弁護人を立てない合意は無効だ。検察と話す前に、必ず弁護人を呼べ
- 検察官との協議が大詰めで、合意書へのサインを求められている。あと数日で起訴か不起訴かが決まる局面。この瞬間、合意違反のとき何が証拠から消え、何が残るのかを理解せずにペンを握れば、もう後戻りはできない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 検察官の行為が350条の2の合意違反に当たるか弁護人と精査(不起訴合意の反故、約束した求刑の引き上げなど) 2. 協議でした供述と合意に基づき提出した証拠を一覧化し、本条1項で排除される範囲を特定3. 公判では証拠調べに入る前に証拠能力を争い、排除を申し立てる4. 本条2項の異議を安易に出さない、出せば排除の利益を自ら手放すことになる
訴えられた側:1. あなたを名指しした供述が司法取引由来かを公判で確認(合意内容を記した書面は証拠開示の対象になりうる) 2. 軽い処分欲しさの虚偽供述の動機を弾劾し、350条の15の虚偽供述罪の存在を突く3. 供述を裏付ける独立証拠の有無を厳しく問う4. 引っ張り込みの危険を裁判所に明示し、合意者の供述のみで有罪認定する危うさを正面から主張する
時効(請求できる期限):本条には特定の消滅時効はない。争うタイミングこそが鍵で、検察官が当該供述や証拠を取調べ請求した段階、すなわち公判で証拠調べに入る前に証拠排除を申し立てる必要がある。法廷に顕出された後では心証への影響を排除しきれない
学説
通説:本条は協議・合意制度の実効性を担保する核心規定であり、検察官の合意違反時に協議供述と合意由来証拠の証拠能力を一律否定することで、協力者に『裏切られても致命傷は負わない』最低限の安全を保障すると解される
弁護実務上の通説(引っ張り込みの危険論):合意者の供述は自己の処分軽減という強い動機の下でなされるため信用性を厳格に吟味すべきで、独立の補強証拠なく合意者供述のみで第三者を有罪認定することは『引っ張り込みの危険』として戒められる
改正沿革 AI による整理
- 平成28年(2016年)改正、平成30年(2018年)6月1日施行 協議・合意制度(日本版司法取引)の新設に伴い本条を新設。検察官が合意に違反した場合に、協議でした供述と合意に基づく行為で得られた証拠の証拠能力を否定する安全装置として導入された
改正の年表
- 1.平成28年(2016年) 新設:刑事訴訟法等の一部改正により協議・合意制度(日本版司法取引)を新設。本条はその安全装置として、検察官の合意違反時に協議供述・合意由来証拠の証拠能力を否定する規定として導入された
- 2.平成30年(2018年)6月1日 改正:協議・合意制度の施行に伴い本条が実際に効力を発生。対象犯罪は財政経済犯罪・薬物銃器犯罪に限定された
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