刑事訴訟法 第350条の5
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- 前条の協議において、検察官は、被疑者又は被告人に対し、他人の刑事事件について供述を求めることができる。この場合においては、第百九十八条第二項の規定を準用する。
- 2.被疑者又は被告人が前条の協議においてした供述は、第三百五十条の二第一項の合意が成立しなかつたときは、これを証拠とすることができない。
- 3.前項の規定は、被疑者又は被告人が当該協議においてした行為が刑法第百三条、第百四条若しくは第百七十二条の罪又は組織的犯罪処罰法第七条第一項第一号若しくは第二号に掲げる者に係る同条の罪に当たる場合において、これらの罪に係る事件において用いるときは、これを適用しない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第350条の5は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第350条の5の条文原文は「前条の協議において、検察官は、被疑者又は被告人に対し、他人の刑事事件について供述を求めることができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第350条の5は第一節 合意及び協議の手続に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第350条の5の前の条は刑事訴訟法第350条の4です。
- 刑事訴訟法第350条の5の次の条は刑事訴訟法第350条の6です。
- 刑事訴訟法第350条の5には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の5 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の5(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/350_5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法350条の5は、司法取引の協議で検察官が他人の刑事事件の供述を求められると定める。合意不成立なら協議供述は原則証拠にできないが、虚偽告訴や証拠隠滅は保護されない。
Q · 司法取引で話したことって、安全に交渉できるんですか?
自分の罪を認めるだけでは成立せず、他人を差し出す取引です
刑事訴訟法350条の5により、検察官は協議の場で「他人の刑事事件」についての供述を求めます。日本版司法取引は捜査・公判協力型のみで、誰かを差し出さなければ取引は成立しません。合意に至らなければ協議で話した内容は原則として証拠にできません(2項)。ただし、その場で虚偽告訴・証拠隠滅・犯人隠避にあたる行為をすれば保護は外れ、自分自身が新たな罪に問われます(3項)。弁護人の関与が法律上の前提です。
解説
取調室で検察官がこう切り出す。『あなたの上司の関与を話してくれれば、あなたの処分は軽くする方向で検討できる』。これが2018年に日本で始まった司法取引、その協議の現場だ。350条の5は、その協議であなたが何をどこまで話せるか、そして話した内容がどう扱われるかを定める。要点は二つ。第一に、検察官が求められるのは『他人の刑事事件』についての供述だ。あなた自身の罪を軽くする見返りは、誰か他人を差し出すことにある。第二に、もし協議が決裂して合意に至らなければ、あなたがそこで話した内容は原則として証拠に使えない(2項)。だから探りを入れる余地はある。だが落とし穴がある。協議の場で嘘の告発をしたり証拠を隠したりすれば、その保護は消え、あなた自身が虚偽告訴罪や証拠隠滅罪に問われる(3項)。安全な交渉のように見えて、踏み外せば自分が次の被告になる。
法的な位置づけ
刑事訴訟法350条の5は、協議・合意制度における協議供述の取扱いを定める規定である。検察官は協議の場で被疑者または被告人に対し他人の刑事事件について供述を求めることができ、合意が成立しなかった場合、その協議供述は原則として証拠能力を否定される。ただし虚偽告訴罪・証拠隠滅罪・犯人隠避罪等にあたる行為は、この不利益使用禁止の保護の対象外とされる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.弁護人を先に選任する 検察官から協議を持ちかけられたら、口を開く前に弁護人を選任する。協議・合意制度では弁護人の関与が法律上の前提(350条の3、350条の4)であり、弁護人なしの「非公式な揺さぶり」は制度外の取調べであって協議供述の保護を受けない
- 2.2項の保護と3項の例外の境界を確認 何を話せば2項の不利益使用禁止の保護下に入り、何が3項の例外(虚偽告訴・証拠隠滅・犯人隠避)に落ちるかを弁護人と詰める。保身で事実を盛れば、軽くするための協議が新たな犯罪の証拠に変わる
- 3.共犯者の動きと時間競争を把握 司法取引は早い者勝ちの側面を持つ。共犯者が先に検察官と協議を始めていないか情報を集め、弁護人を通じて協力の意思を早期に示せるか検討する。出遅れると主犯の責任が集中しうる
- 4.事実を正確に語る 協議では事実を正確に語り、保身のための誇張や創作をしない。虚偽供述等の罪(350条の15)や虚偽告訴罪(刑法172条)のリスクを避けるため、客観証拠と整合する範囲で供述する
よくある質問 AI による整理
Q1日本の司法取引とは何ですか?
刑訴法350条の2以下の協議・合意制度を指します。捜査・公判協力型のみで、他人の刑事事件の解明に協力する見返りに自分の処分を軽くする仕組みです。
Q2司法取引の対象になる犯罪は?
特定の財政経済関係犯罪・薬物銃器関係犯罪等に限定されます。すべての犯罪で使えるわけではなく、対象範囲は法律で定められています(最新範囲は要確認)。
Q3引っ張り込みとは何ですか?
協力者が自分の処分を軽くするため、無関係または軽微な関与の他人を犯罪に巻き込んで供述することです。冤罪リスクの核心で、本制度の構造的な危険とされます。
Q4協議・合意制度はいつから始まりましたか?
平成28年(2016年)改正で導入され、平成30年(2018年)6月1日に施行されました。日本で初めての本格的な司法取引制度です。
Q5司法取引で嘘をついたらどうなりますか?
350条の5第2項の保護が外れ、虚偽告訴罪(刑法172条)や証拠隠滅罪、さらに協議・公判での虚偽供述等の罪(350条の15)に問われます。
Q6共犯者が先に司法取引すると不利ですか?
事実上不利になりやすいです。先に合意した者が軽い処分を得て、出遅れた者に主犯の責任が集中する傾向があります。早期に弁護人を通じて意思表示することが重要です。
Q7刑事訴訟法350条の5とは?
司法取引の協議で他人の刑事事件の供述を求められること、合意不成立時の協議供述の不利益使用禁止、その例外を定める条文です。協議供述の保護規定とも呼ばれます。
Q8司法取引で得られる見返りは何ですか?
不起訴、特定の訴因での起訴、軽い求刑などです。あくまで他人の刑事事件への協力が前提で、自分の自白だけでは見返りは得られません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1司法取引って、自分の罪を認めれば刑を軽くしてもらえるんですよね?
そこが最も誤解される点です。日本の協議・合意制度(刑訴法350条の2以下)は『捜査・公判協力型』のみで、自分の罪を認めるだけでは成立しません。350条の5が示す通り、検察官が求めるのは『他人の刑事事件』についての供述。つまり誰かを差し出すことが取引の中身です。実務のポイント:米国型の『自己の罪を認めて量刑交渉』はそもそも日本に存在しません。弁護士はこの違いを最初に説明しますが、相談者の多くはドラマのイメージで来るため、期待とのギャップで方針が大きく変わります
Q2協議で話したことって、もし取引が成立しなかったら全部裁判で使われちゃうんですか?
原則として使われません。350条の5第2項が、合意が成立しなかった場合の協議供述の証拠使用を禁じています。だから探りを入れる余地はあります。ただし第3項に大きな例外があり、協議の場での虚偽告訴(刑法172条)、証拠隠滅(刑法104条)、犯人隠避(刑法103条)にあたる行為は保護されません。実務のポイント:この『保護されない領域』を知らずに保身で事実を盛ると、軽くするための協議が新たな犯罪の証拠に変わる。弁護人が同席する理由はまさにここで、境界線の管理が命綱です
Q3弁護士なしで検察官と直接協議を進めてもいいんですか?
できません。協議・合意制度では弁護人の関与が法律上の要件です(刑訴法350条の3、350条の4)。弁護人の同意なく合意はできず、協議にも原則として弁護人が関与します。実務のポイント:この弁護人必須という設計自体が、被疑者を検察官との力の非対称から守る安全装置です。逆に言えば、捜査機関が弁護人を介さず『協力すれば』と非公式に揺さぶってくる場面は制度外の取調べであり、そこでの供述は協議供述の保護を受けません。『協議』なのか『ただの取調べ』なのかを見極めることが第一歩です
間違えやすい点 AI による整理
- 日本に司法取引があることは知っていても、それが『自分の罪を認めて軽くしてもらう』制度ではないと知らない人は多い。日本版は捜査・公判協力型のみ。減免の見返りは必ず『他人の刑事事件』の解明であり、誰かを差し出さなければ取引は成立しない。深刻なのは、この一点を知らずに『正直に自白すれば軽くなる』と期待して臨むと、土俵そのものを間違えている点だ
- 『協議で話したことは全部保護されるから安全に交渉できる』という前提自体が誤っている。2項の不利益使用禁止には3項という大穴があり、協議の場での虚偽告訴・証拠隠滅・犯人隠避は保護の対象外。安全地帯に座っているつもりが、一歩踏み込んだ瞬間に処罰の対象になる
- あなたから見れば『正直に協力して処分を軽くする』善意の行為でも、巻き込まれた相手から見れば『保身のために他人を売った密告者』。さらに法廷では、あなたの供述は『見返り欲しさの作り話ではないか』と弾劾される宿命を負う。この信用性の落差が、協力者を逆に追い詰める
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 350条の5:協議における他人供述の求め・協議供述の保護と例外 | 350条の2:合意制度の対象犯罪と合意内容の基本 350条の3:協議における弁護人の必要的関与 |
| 守るもの/縛るもの | 合意不成立時の協議供述(2項で保護、3項で例外) | 取引の枠組み(どの犯罪で何を合意できるか) 手続の公正(被疑者を検察官との力の非対称から保護) |
| 違反・逸脱時 | 3項の例外行為で保護喪失、新たな罪に | 対象外犯罪での合意は無効 350条の15:協議・公判での虚偽供述等を処罰 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は汙點證人(協力者)の刑罰減免を証人保護法で、量刑型の協商を刑訴法で別個に規律する。日本のように捜査協力型に一本化していない
中国は他人の犯罪解明への協力を『立功』として減免し、自己の罪の認定協力を『認罪認罰従寛』で扱う。協力対象が他人か自己かで制度が分かれる点が日本と対照的
ドイツは捜査協力者(Kronzeuge)の刑の減軽と、当事者間の合意(Verständigung)を区別。合意の濫用には連邦憲法裁判所が厳格な統制を及ぼす
米国は答弁取引(plea bargaining)が刑事手続の中核で、自己の罪の量刑交渉型が中心。日本版は自己量刑型を採らず捜査協力型に限定する点で大きく異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、共犯者がすでに検察官と協議を始めていると弁護人から聞かされたら? 司法取引は早い者勝ちの側面を持つ。先に合意した者がより軽い処分を得て、出遅れた者に主犯の責任が集中する。残された時間は、あなたが思うより短い
- あなたが組織の末端として摘発された。検察官は上層部の立件を狙い、あなたに協議を持ちかける。上司の関与を正確に語れば350条の5第2項の保護下に入るが、保身のために事実を盛れば3項で保護が外れ、虚偽告訴罪(刑法172条)が待っている
- 企業の経理担当が贈賄事件で取り調べを受ける。役員の指示を証言する見返りに、不起訴を打診される。それが司法取引の入口だ
- ある日、面識の薄い元同僚が、検察官にあなたの名を挙げたと知る。自分の罪を軽くするためにあなたを巻き込んだ可能性がある。引っ張り込みと呼ばれるこの危険に対し、あなたは協議供述の信用性を崩す防御に回ることになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 他人の司法取引であなたの関与が供述された疑いがあれば、まずその供述が『見返りを得るための引っ張り込み』でないかを弁護人と精査する2. 協力者の供述は補強証拠なしには信用性が争われやすい、客観証拠との矛盾点を洗い出す3. 公判では協議供述の信用性を弾劾できる、協力者が得た利益(不起訴・減軽)を法廷で明らかにし、供述の動機を突く4. 捜査段階での自分の供述に流されないよう、早期に弁護人を選任する
訴えられた側:1. 検察官から協議を持ちかけられたら、まず弁護人を選任、協議には弁護人の関与が法律上の前提(350条の3)、弁護人なしで進めない2. 何を話せば2項の保護下に入り、何が3項の例外(虚偽告訴・証拠隠滅・犯人隠避)に落ちるか、境界を弁護人と詰める3. 共犯者が先に動いていないか情報を集め、早い者勝ちの構造を意識する4. 事実を正確に語る、保身で事実を盛れば虚偽供述等の罪(350条の15)や虚偽告訴罪(刑法172条)のリスクを負う
時効(請求できる期限):協議・合意制度そのものに固有の時効はない。協議は公訴提起の前後いずれの段階でも可能だが、合意の利益(不起訴・軽い求刑)を最大化できるのは捜査の早期段階。共犯者より先に協力の意思を示せるかという事実上の時間制約が、固有の期限以上に重い。なお対象は特定の財政経済関係犯罪・薬物銃器関係犯罪等に限定される(最新の対象範囲をご確認ください)
学説
通説:350条の5第2項の不利益使用禁止は協力を促す安全弁だが、3項の例外(虚偽告訴・証拠隠滅・犯人隠避)が大きな限界となる。協力者は処分軽減の強い動機を持つため、他人を巻き込む引っ張り込みの危険が構造的に内在し、協議供述の信用性は慎重に判断されるべきとされる
改正沿革 AI による整理
- 平成28年(2016年)改正、平成30年(2018年)6月1日施行 協議・合意制度(日本版司法取引)の導入に伴い新設。本条は協議における他人の刑事事件に関する供述の求め(1項)、合意不成立時の協議供述の不利益使用禁止(2項)、およびその例外(3項)を定めた
改正の年表
- 1.平成28年(2016年) 新設:刑事訴訟法等の一部改正により協議・合意制度(日本版司法取引)を導入。本条は協議における他人の刑事事件に関する供述の求め(1項)、合意不成立時の協議供述の不利益使用禁止(2項)、その例外(3項)を定めた
- 2.平成30年(2018年) 新設:2018年6月1日に協議・合意制度が施行。日本で初めて本格的な司法取引が運用開始された
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