要点国民年金法108条の4は、厚生労働大臣に保険料の納付実態などの統計調査を義務づける規定である。調査のため官公署へ情報提供を求めることはできるが、被調査者を識別できない方法に限られる。
Q · 年金の統計調査のために、役所同士で自分の納付データをやり取りされることはありますか?
統計目的なら、あなたの名前が付いたままでは役所間を流れません
国民年金法108条の4の1項は、厚生労働大臣に保険料の納付実態などの統計調査を行う義務を課しています。2項では調査に必要な範囲で官公署(市区町村や税務署など)に情報提供を求めることができますが、3項はその求めを「被調査者を識別することができない方法」に限定しています。つまり統計目的では、氏名や基礎年金番号に紐づいたデータが省庁間を流れる建て付けにはなっていません。他方、徴収や給付の事務のためであれば同法108条が別に用意されており、そちらは識別できる資料も対象になります。照会文書の根拠条文がどちらかを見れば、求められている情報の範囲を測ることができます。
「行うものとする」。1項の語尾は、やってもよいという許可ではなく、義務の書き方である。厚生労働大臣は保険料の納付実態などを調べ続けなければならない立場に置かれている。だが本当に読む価値があるのは3項だ。2項で厚生労働大臣は他の官公署(市区町村、税務署など国や自治体の役所)に情報提供を求められるのに、その求め方は「被調査者を識別することができない方法」に限られる。統計のためという名目で、あなたの氏名や番号に紐づいたデータが役所間を流れる建て付けにはなっていない。一方、同じ法律の108条は、徴収や給付の事務のためなら識別できる資料の提供を求めることを認めている。取り立てのためなら特定できる、統計のためなら特定できない。この一線の存在を知っている人だけが、役所からの照会文書を見て「その求め方は行き過ぎではないか」と言える。
国民年金法108条の4は、公的年金に関する統計調査の権限と限界を定める規定である。1項は厚生労働大臣に、被保険者等に係る保険料納付の実態その他厚生労働省令で定める事項について統計調査を行う義務を課す。2項は調査に必要な範囲で官公署への情報提供の求めを認め、3項はその求めを被調査者を識別することができない方法に限定する。
厚生労働大臣に保険料の納付実態などの統計調査を義務づける規定です。調査のため官公署に情報提供を求められますが、被調査者を識別できない方法に限られます。
本条系統の統計調査として、標本を抽出し保険料の納付行動や就業・所得の状況、納めていない理由などを尋ねる調査です。結果は集計されて公表されます。
政府統計ポータル e-Stat と厚生労働省サイトで報告書が無料公開されています。納めていない理由の内訳など、報道が引用する数字の元データを自分で確認できます。
108条の4第2項により、統計調査に必要と認めるときは官公署に情報提供を求められます。ただし3項で、識別できない方法での提供に限定されています。
氏名や番号を外すだけでなく、地域・年齢・所得帯などの抽出条件の粒度も含め、特定の個人が復元されない形で情報を受け取ることを意味します。
別物です。一般に報じられる納付率は日本年金機構の収納実績という業務データ、本条系統の実態調査は標本抽出で納付行動そのものを尋ねる統計調査です。
調査の種別で結論が変わります。一般統計調査であれば報告義務も罰則もなく、期日後の督促にも強制力はありません。基幹統計調査には報告義務があります。
20歳以上60歳未満で日本国内に住所があれば国籍を問わず第1号被保険者となり(国民年金法7条)、その加入・納付の実態も調査の射程に入ります。
調査の種別で結論が変わる。基幹統計調査であれば報告義務があり、拒否や虚偽報告に罰則が用意されている(統計法13条、61条)。一般統計調査には報告義務も罰則もない。業界裏話ヒント:調査票の表紙には必ず「統計法に基づく○○調査」と根拠が書かれている。基幹か一般かはその一行で判別でき、督促の連絡が来ても一般統計調査なら強制力はない。
本条2項の情報提供の求めは、3項で被調査者を識別できない方法に限定されている。統計目的で氏名つきのデータが省庁間を流れる建て付けにはなっていない。ただし徴収や給付の事務のためであれば108条が別に用意されており、そちらは識別できる資料も対象になる。業界裏話ヒント:役所からの照会文書には根拠条文が必ず記載される。統計目的か事務目的かは、その一行で見分けられる。
申請免除や納付猶予の所得基準、学生納付特例(国民年金法90条、90条の3)の設計、将来の財政検証で置く納付行動の前提などに使われる。「払えない」と「払わない」の比率が動けば、制度の打ち手も変わる。業界裏話ヒント:報告書は e-Stat と厚生労働省サイトで全文が無料公開されており、納めていない理由の内訳まで載っている。報道が引く一行の元データを自分で確かめられる人は驚くほど少ない。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 情報を取る目的 | 国民年金法108条の4:統計調査(制度設計・政策検討のため) | — |
| 識別情報の可否 | 3項により被調査者を識別することができない方法に限定 | — |
| 求める相手 | 官公署(市区町村・税務署など国や自治体の機関) | — |
| 本人にとっての意味 | 自分に近い層の実像が統計に残るかどうかの問題 | — |
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