国税徴収法 第92条(買受人の制限)
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滞納者は、換価の目的となつた自己の財産(第二十四条第三項(譲渡担保財産に対する執行)の規定の適用を受ける譲渡担保財産を除く。)を、直接であると間接であるとを問わず、買い受けることができない。国税庁、国税局、税務署又は税関に所属する職員で国税に関する事務に従事する職員は、換価の目的となつた財産について、また同様とする。
この条文の基本情報
買受人の制限とは何ですか?
定義買受人の制限とは、国税徴収法第92条に定められた規定で、「滞納者は、換価の目的となつた自己の財産(第二十四条第三項(譲渡担保財産に対する執行)の規定の適用を受ける譲渡担保財産を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第92条(買受人の制限)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第92条の条文原文は「滞納者は、換価の目的となつた自己の財産(第二十四条第三項(譲渡担保財産に対する執行)の規定の適用を受ける譲渡担保財産を除く。」で始まります。
- 国税徴収法第92条は第一款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第92条の前の条は国税徴収法第91条です。
- 国税徴収法第92条の次の条は国税徴収法第93条です。
- 国税徴収法第92条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第92条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第92条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/92
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法92条は、滞納者が換価の目的となった自己の財産を直接・間接を問わず買い受けることを禁じる。例外は24条3項の譲渡担保財産のみで、国税の職員の買受けも禁止される。
Q · 差し押さえられた自宅を、公売で自分が落札して取り戻すことはできますか?
できません。妻や知人の名義でも資金源が本人なら覆ります
国税徴収法92条は、滞納者が換価の目的となった自己の財産を「直接であると間接であるとを問わず」買い受けることを禁じています。配偶者名義、知人名義、支配下の法人名義であっても、買受代金の出所が滞納者であれば間接の買受けとして最高価申込者の決定や売却決定が取り消されうるほか、公売実施の適正化のための措置(108条)により公売保証金が返還されず、名義を貸した側が入札制限を受ける可能性もあります。唯一の例外は、24条3項の適用を受ける譲渡担保財産の公売です。
解説
差し押さえられた自宅が公売にかけられる。落札されれば他人のものになる。ならば自分で落札し直せばいい、そう考える人は必ず出てくる。国税徴収法92条は、その道を正面から塞いでいる。滞納者は、換価の目的となった自己の財産を買い受けることができない。しかも条文は「直接であると間接であるとを問わず」と書く。配偶者名義、知人名義、自分が支配する法人名義、どれも同じ土俵に乗せられる。資金の出所が滞納者であれば、間接の買受けとして落札は覆りうる。理由は単純で、落札代金を用意できるなら、その金でまず国税を納めるべきだからだ。後段はさらに知られていない。国税庁、国税局、税務署、税関に所属し国税に関する事務に従事する職員も、換価の目的となった財産を買えない。公売を仕切る側が買い手に回る利益相反を、条文レベルで断ち切っている。
法的な位置づけ
国税徴収法92条は買受人の制限を定める規定であり、滞納者は換価の目的となった自己の財産を直接・間接を問わず買い受けることができない旨を規定する。24条3項の適用を受ける譲渡担保財産は除かれる。後段は、国税庁・国税局・税務署・税関に所属し国税に関する事務に従事する職員についても、換価の目的となった財産の買受けを禁じる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.公売公告と差押えの根拠条文を確認する 公売公告に載った財産が通常の差押財産か、24条3項の譲渡担保財産に対する執行かを最初に確認する。この区別だけが、滞納者本人に入札資格があるかどうかの判定材料になる
- 2.買い戻しではなく猶予制度に切り替える 公売公告前の段階なら、申請による換価の猶予(国税徴収法151条の2)または納税の猶予(国税通則法46条)を申請する。換価の猶予の申請は原則として納期限から6か月以内で、担保提供の要否を徴収担当と詰める
- 3.第三者に落札を依頼する場合、資金を一円も出さない 滞納者が代金の一部でも負担すれば間接の買受けとなり、落札が覆り公売保証金も戻らない。依頼する側は資金提供・貸付・立替のいずれも行わず、依頼された側は自己資金であることを入札前に書面化する
- 4.間接買受けを疑われたら資金の流れを時系列で立証する 争点は名義ではなく買受代金の出所である。入札前後の通帳履歴、融資契約書、落札後の使用・賃貸の実態を時系列で整理する。滞納者との金銭のやり取りがある場合は貸付契約書と返済記録を提出する
- 5.決定が取り消された場合の不服申立て期限を確認する 国税通則法75条の再調査の請求または審査請求で争うが、国税徴収法171条の滞納処分に関する不服申立ての期限の特例により、公売公告から売却決定までの処分は極めて短い期間内に申し立てる必要がある。期限の区分は同条の最新の改正状況を確認する
よくある質問 AI による整理
Q1買受人の制限とは何ですか?
公売で入札できない者を法律で定める制度です。国税徴収法92条により、滞納者本人(直接・間接を問わない)と、国税に関する事務に従事する職員が排除されます。
Q2間接の買受けとはどこまでを指しますか?
名義人が別でも、買受代金の実質的な出所が滞納者である場合を指します。配偶者名義、知人名義、滞納者が支配する法人名義のいずれも対象になりえます。
Q3公売で親の家を子どもが落札できますか?
親族というだけでは失格になりません。争点は買受代金の出所と落札後の使用実態で、自己資金で購入し独立して使用するなら適法です。事実認定に委ねられる領域です。
Q4譲渡担保財産の公売は例外ですか?
はい。24条3項の適用を受ける譲渡担保財産は92条の括弧書で明文の例外とされ、滞納者本人でも買受人になれます。形式上の所有者が譲渡担保権者だからです。
Q5税務署の職員は公売不動産を買えますか?
買えません。92条後段は国税庁・国税局・税務署・税関に所属し国税に関する事務に従事する職員の買受けを禁じており、管轄の内外を区別していません。
Q6名義貸しがバレたらどうなりますか?
最高価申込者の決定や売却決定が取り消され、公売実施の適正化のための措置(108条)により公売保証金が返還されず、名義人が一定期間入札制限を受ける可能性があります。
Q7差し押さえられた家を守る方法はありますか?
買い戻しではなく、公告前の申請による換価の猶予(151条の2)または納税の猶予(国税通則法46条)の申請が現実的です。公告後は交渉余地が急減します。
Q8売却決定の取消しに不服がある場合は争えますか?
国税通則法75条の再調査の請求または審査請求で争えますが、国税徴収法171条に滞納処分に関する不服申立ての期限の特例があり、申立期間が極めて短い点に注意が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1差し押さえられた自宅を、妻の名義で落札するのは本当にダメなんですか?
92条は「直接であると間接であるとを問わず」買受けを禁じており、判断されるのは名義ではなく買受代金の出所と実質的な帰属です。妻自身の収入や資産で買うなら形式上は適法ですが、滞納者が資金を出せば間接の買受けとして落札が覆ります。実務のポイント:徴収職員は落札者の入出金と滞納者の口座を突き合わせます。入札直前の不自然な入金一件で、間接買受けの認定が動く
Q2税務署の職員は、自分の管轄外の地域の公売不動産なら買えるんですか?
92条後段は、国税庁、国税局、税務署または税関に所属し国税に関する事務に従事する職員について、換価の目的となった財産の買受けを禁じています。条文は管轄の内外を区別していません。実務のポイント:文言が縛るのは職員本人であり、配偶者名義は直接の対象外です。ただし公売の公正を害すれば108条の措置や国家公務員法上の懲戒が及びうるため、実務では家族名義も避けられている
Q3落札した後で、実は滞納者の身内だったと発覚したらどうなりますか?
身内であること自体は失格事由ではなく、争点は滞納者本人の直接または間接の買受けに当たるかです。間接と認定されれば最高価申込者の決定や売却決定が取り消され、公売実施の適正化のための措置(108条)として公売保証金が返還されず、一定期間の入札制限を受ける可能性もあります。実務のポイント:代金を納付して登記が移った後でも取消しが問題になる。登記が済んだから安全という感覚は通用しない
Q4銀行に譲渡担保で出した機械が公売にかかりました。自分で買い戻せますか?
24条3項の適用を受ける譲渡担保財産は92条の括弧書で明文の例外とされており、滞納者本人でも買受人になれます。形式上の所有者が譲渡担保権者であり、条文がいう自己の財産に当たらないからです。実務のポイント:例外に当たるかは、その公売が24条に基づく譲渡担保財産への執行かどうかで決まる。公売公告と差押えの根拠条文を先に確認する。それが入札資格の唯一の判定材料になる
間違えやすい点 AI による整理
- 差し押さえられても公売で自分が落札し直せば財産は守れる、という発想は珍しくない。92条はその正面玄関を明文で塞いでいる。塞がれているのは玄関だけではなく、「直接であると間接であるとを問わず」の一句が、名義貸し、親族名義、支配下の法人名義という裏口を同時に閉じている
- 間接の買受けが禁止されていること自体は知っていても、破られたときの代償の重さまで見えている人は少ない。落札が覆るだけでは終わらない。公売実施の適正化のための措置(108条)により公売保証金が返還されず、名義を貸した第三者が一定期間、公売に参加できなくなる可能性がある。滞納者を助けようとした側が、自分の事業機会を失う
- 滞納者本人から見れば「自分の金で自分の家を買い戻すだけ」の話だが、徴収する側から見れば「国税を納める資力があるのに納めず、その金を落札に回した」という事実の証明になる。この落差が致命的で、買受けを試みた記録そのものが、納付能力の存在を示す資料として手元に残る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 92条:買受人の資格(滞納者本人・国税職員を排除) | 24条:譲渡担保財産に対する執行(92条の唯一の例外の根拠) 108条:不正な買受けに対する取消しと入札制限 |
| 働く場面 | 入札・買受申込みの資格審査の段階 | 譲渡担保権者を第二次的な物的納税義務者とする差押えの段階 違反や不正が判明した後の制裁段階 |
| 違反した場合の効果 | そもそも買受人になれない(入札が無効となる) | 24条3項適用時は滞納者も買受可能(例外を作る条文) 最高価申込者の決定・売却決定の取消し、公売保証金不返還、一定期間の入札制限 |
| 争う手段 | 資金の出所の立証(間接買受け該当性を否定) | 譲渡担保の成立時期・24条の要件充足の主張 国税通則法75条の不服申立て(171条の期限の特例に注意) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も債務者本人の応買を禁じる。ただし「直接・間接を問わず」という文言の明示は日本ほど強くなく、名義貸しの排除は個別の事実認定に依存する度合いが高い
韓国は公売参加の制限を体系的に規定し、不正入札者や関係者の参加制限を含む。滞納者本人の排除という基本構造は日本と共通する
ドイツは租税手続法が民事の強制競売法制を広く準用し、執行債務者および手続関与公務員の取得制限を置く。職員の利益相反排除という発想は日本92条後段と一致する
米国は滞納者の買受け自体を包括的に禁じる明文が薄い一方、職員の利益相反は一般的な連邦利益相反規定で処理する。禁止の所在が税法内か一般規律かで日本と分岐する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 資金繰りが詰まって消費税を滞納したまま、工場の土地建物が公売公告に載った。付き合いの長い取引先社長に「あなたの名義で落札してくれ、代金はこちらが出す」と頼む。この電話をかけた時点で、間接の買受けを企てたことになる。落札できても最高価申込者の決定や売却決定が取り消されうるうえ、名義を貸した社長の側が公売実施の適正化のための措置(108条)で入札制限を受ける可能性を負う。助けたつもりの相手を巻き添えにする構図だ
- 滞納した父の自宅を、独立して別世帯で暮らす娘が自分の貯金で落札したら、それは無効になるのか? 条文が禁じるのは滞納者本人の直接または間接の買受けであり、親族というだけで一律に失格になるわけではない。争点は名義ではなく、買受代金の出所と落札後の使用実態にある。実務上、この線引きは事実認定に委ねられており、解釈が分かれる領域である
- 公売公告が出て、入札期日まであと10日。自分で買い戻す道が制度上ないと分かった以上、残る手は納付か換価の猶予の申請しかない。動くなら今夜だ
- 税務署に勤める知人から「うちで扱う公売不動産、掘り出し物だから代わりに買っておいてくれ」と持ちかけられた。国税に関する事務に従事する職員本人の買受けは92条後段が正面から禁じている。名義を借りる形は条文の文言上は本人の買受けではないが、公売の公正を害する行為として108条の措置が及ぶ余地があり、国家公務員法上の懲戒も視野に入る。断ることが唯一の正解になる
- 運転資金を借りるために、自社のトラック10台を金融機関へ譲渡担保に出していた。その後の滞納を理由に、そのトラックが公売にかかる。ここだけは例外で、24条3項の適用を受ける譲渡担保財産であれば、滞納者であるあなた自身が買受人になれる。形式上の所有者は譲渡担保権者であり、条文がいう「自己の財産」から外れているからだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 買い戻しの検討は早々に捨て、公告前に申請による換価の猶予(国税徴収法151条の2)または納税の猶予(国税通則法46条)を申請する2. 換価の猶予の申請は原則として納期限から6か月以内、担保提供の要否を徴収担当と詰める3. 換価が避けられないなら、見積価額と公売保証金を確認する4. 第三者に落札してもらう場合、自分は資金を一円も出さない。出した瞬間に間接の買受けとして落札が覆り、保証金も戻らない
訴えられた側:1. 間接買受けを疑われたら、争点は名義ではなく買受代金の出所だと理解する2. 自己資金であることを示す通帳履歴、融資契約書、落札後の使用や賃貸の実態を時系列で揃える3. 滞納者との金銭のやり取りが一件でもあると心証は傾くため、貸付なら契約書と返済記録を出す4. 決定が取り消された場合は国税通則法75条の不服申立てで争えるが、国税徴収法171条の期限の特例で争える時期が極めて短い点に注意する
時効(請求できる期限):92条自体に時効はない。買受人の制限違反を理由とする最高価申込者の決定や売却決定の取消しなど、滞納処分に関する不服申立ては国税通則法75条の再調査の請求または審査請求で争うが、国税徴収法171条に滞納処分に関する不服申立ての期限の特例があり、公売公告から売却決定までの処分は同条所定の期限までに申し立てないと以後争えなくなる(期限の区分は同条各号の最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:92条前段の趣旨は、買受代金を調達できる資力があるならまず国税を納付すべきであるという点にあり、名義のみを第三者に移した買受けも「間接」に含まれると解される。該当性は買受代金の実質的な出所と落札後の使用・収益の帰属によって判定される
通説:92条後段は、換価手続を実施する立場にある職員が買受人となることによる利益相反と、公売手続に対する国民の信頼の毀損を防ぐ趣旨であり、所属官署の管轄区域の内外を問わず適用されると解される
改正沿革 AI による整理
- 昭和34年(1959年)全部改正 現行の国税徴収法(昭和34年法律第147号)の制定に伴い、買受人の制限が置かれた。譲渡担保財産に関する括弧書は24条の改正に連動して文言整備が行われた可能性があり、改正回数と各改正年は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行の国税徴収法(昭和34年法律第147号)の制定により、買受人の制限として本条が置かれた。譲渡担保財産に関する括弧書の文言は24条の整備に連動して調整された可能性があり、改正の各年次は人的検証が必要
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