要点道路交通法58条の5は、運転者への過積載運転の要求と、過積載と知りながらの積載物の売渡し・引渡しを禁じる。反復のおそれがあれば警察署長が禁止命令を出せる。
Q · 過積載で責任を問われるのは、運転していた人だけですか?
荷主や販売側も名宛人。要求した者が命令の対象になる
道路交通法58条の5第1項は、使用者等以外の者が運転者に過積載運転を要求すること、および過積載になると知りながら制限超過の積載物を売り渡し・引き渡すことを禁じています。同条第2項により、警察署長は反復して違反するおそれがあると認めるとき、その者に対して禁止命令を出すことができます。命令に違反すれば罰則の対象となるため、発注や販売の場面での一言が、指示を出した側自身の規制当事者性を生みます。
トラックに「あと少し積んでいけ」と指示したことはないか。あるいは砂利や資材を売るとき、その量では誰が見ても積載オーバーになると分かっていながら、それでも売り渡したことは。道路交通法58条の5は、過積載で捕まるのは運転席の人間だけ、という常識を正面から覆す。運転者に過積載運転を要求した者、そして過積載になると知りながら制限超過の積載物を売り渡し・引き渡した者、その両方を名宛人にして「やってはならない」と禁じている。しかも警察署長は、繰り返すおそれがあると見れば、その者に直接「二度とするな」と命ずることができる。この命令は行政処分(役所があなた個人に下す具体的な決定)だから、無視すれば罰則が待つ。発注書の一行、電話一本の増量指示が、あなた自身を規制の当事者に変える条文である。
道路交通法58条の5は、過積載の川上関与を規律する規定であり、第75条第1項の使用者等以外の者による過積載運転の要求、および過積載となる情を知った上での制限超過積載物の売渡し・引渡しを禁じる。第2項は、反復のおそれが認められる場合における警察署長の禁止命令権限を定める。
道路交通法57条1項が定める積載重量の制限を超えて積載した状態をいいます。車両ごとに定められた最大積載量を超えれば、走行距離や時間に関係なく過積載です。
第75条1項が定める車両の使用者や運行を直接管理する地位にある者です。58条の5はこの使用者等「以外」の者、つまり荷主・発注者・販売者などを名宛人としています。
その車両に積めば過積載になると認識していたことを指します。売渡し・引渡し類型ではこの認識が要件なので、知らなかった具体的事情があれば反論の柱になります。
貨物自動車運送事業法に基づき、運送事業者に過積載などの違反を招いた荷主に対して国土交通大臣が勧告し、社名を公表しうる制度です。道交法の命令とは別枠で作動します。
命令違反は罰則の対象となり刑事手続に移ります。罰則の条番号と法定刑は改正が続いているため、適用時点の最新条文をご確認ください。
車検証に記載された最大積載量と、道路交通法57条1項および政令の基準によって決まります。車両ごとに上限が異なるため、車種ではなく個別の車両で確認します。
なりえます。58条の5第1項2号は、過積載になると知りながら制限超過の積載物を売り渡し・引き渡す行為を独立に禁じています。売買という取引形式は免罪符になりません。
警察への申告のほか、貨物運送の文脈なら地方運輸局・運輸支局への情報提供が選択肢です。指示の記録を持参すると、要求者側の責任追及につながります。
その一言が過積載の要求にあたれば、名宛人はあなたです。58条の5第1項は要求行為そのものを禁じており、第2項で反復のおそれがあれば警察署長が禁止命令を出せます。命令に違反して初めて罰則(道路交通法118条ほか、最新の改正状況をご確認ください)です。業界裏話ヒント:現場では「言っただけ」の口頭指示が最も追及しにくいと思われがちですが、実務では運転者側が指示を録音・メモしていて、それが荷主側を追い込む決定打になる例が増えている。指示を出す側こそ記録が残る前提で動くべきである
第2項の命令は「反復して違反する行為をするおそれ」を要件にしているので、通常は1回だけで即命令とは限りません。ただし常習性がうかがえる態様や書面での要求があれば、1回でも「おそれ」が認定されうる。業界裏話ヒント:警察が見ているのは回数の数字ではなく、体制として過積載を常態化させているかどうか。運行記録や発注書のパターンから「反復のおそれ」を組み立てるので、単発かどうかより、日常の指示の残り方が命令の分かれ目になる
争えます。第2項の命令は行政処分なので、審査請求(行政不服審査法、原則3か月以内)や取消訴訟(行政事件訴訟法、原則6か月以内)で争えます。処分理由と反復のおそれの根拠を確認するのが第一歩です。業界裏話ヒント:この種の命令は、処分に至る前の警察からの事実確認や指導の段階で、記録の突き合わせをしておくと後で効く。命令が出てから慌てるより、指導の時点で自社の運行記録・発注実態を整理しておいた側が、争うにしても是正するにしても圧倒的に有利になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 名宛人 | 58条の5:使用者等以外の者(荷主・発注者・販売者) | — |
| 禁じられる行為 | 過積載運転の要求/情を知っての制限超過積載物の売渡し・引渡し | — |
| 行政の介入手段 | 反復のおそれを要件とする警察署長の禁止命令(2項) | — |
| 実務上の争点 | 要求の有無と「情を知りながら」の立証、反復のおそれの認定 | — |
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