電気事業法 第62条(損失補償)
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電気事業者は、第五十八条第一項の規定により他人の土地等を一時使用し、第五十九条第一項の規定により他人の土地に立ち入り、第六十条第一項の規定により他人の土地を通行し、又は前条第一項若しくは第三項の規定により植物を伐採し、若しくは移植したことによつて損失を生じたときは、損失を受けた者に対し、通常生ずる損失を補償しなければならない。
この条文の基本情報
損失補償とは何ですか?
定義損失補償とは、電気事業法第62条に定められた規定で、「電気事業者は、第五十八条第一項の規定により他人の土地等を一時使用し、第五十九条第一項の規定により他人の土地に立ち入り、第六十条第一項の規定により他人の土地を通行…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 電気事業法第62条(損失補償)は、日本の電気事業法に含まれる条文です。
- 電気事業法第62条の条文原文は「電気事業者は、第五十八条第一項の規定により他人の土地等を一時使用し、第五十九条第一項の規定により他人の土地に立ち入り、第六十条第一項の規定により他人の土地を通行…」で始まります。
- 電気事業法第62条は第四章 土地等の使用に置かれています。
- 電気事業法の公布日は昭和39年7月11日です。
- 電気事業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 電気事業法第62条の前の条は電気事業法第61条です。
- 電気事業法第62条の次の条は電気事業法第63条です。
- 電気事業法第62条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第62条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000170 - 本サイト収録
電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第62条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/339AC0000000170/62
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点電気事業法62条は、電気事業者が58条から61条の権限で他人の土地を一時使用・立入り・通行し、植物を伐採・移植して損失を生じさせたとき、通常生ずる損失の補償を義務付ける。
Q · 電線工事で庭木を伐られたら、電力会社に補償を請求できる?
できる。適法な伐採でも通常生ずる損失は補償される
電気事業法62条により、電気事業者が58条から61条の権限で土地を一時使用・立入り・通行し、又は植物を伐採・移植して損失を生じさせたときは、損失を受けた者に「通常生ずる損失」を補償しなければなりません。事業者に落ち度がなくても補償義務は生じます。対象は立木の価値、植え直し費用、作物の減収など通常の損失が中心で、精神的苦痛は原則含まれないと解されています。
解説
台風の翌朝、裏山の杉が何本も切り倒され、切り株だけが残っていた。電線を守るために送配電事業者の作業員が伐ったのだと、後になって知る。腹は立つ。それでも相手は電気事業法の手続に沿って動いている可能性が高く、伐採そのものを違法だと責めても通らないことが多い。ただ、話はそこで終わらない。62条は、58条から61条で認められた土地の一時使用・立入り・通行・植物の伐採や移植によって損失が出たとき、電気事業者に「通常生ずる損失」の補償を義務付けている。相手に落ち度がなくても払わせる仕組みである。だから問うべきは「なぜ切ったのか」より「いくら補償されるのか」だ。木材の価値、植え直しの費用、作物の減収、資材置き場にされて畑が使えなかった期間。何を損失として数え上げるかで、受け取る額は変わる。
法的な位置づけ
電気事業法62条の損失補償とは、電気事業者が58条の土地等の一時使用、59条の立入り、60条の通行、61条1項・3項の植物の伐採・移植という権限行使によって他人に損失を生じさせた場合に、損失を受けた者に対し通常生ずる損失を金銭で填補する義務をいう。公共のための財産権制約に正当な補償を求める憲法29条3項の考え方を具体化した規定である。
手順
- 1.現場を残したまま記録する 伐採・移植された木、資材置き場にされた土地、立入りで荒れた庭などを、片付ける前に写真・動画で記録し、日付・本数・樹種・作物の状態をメモする
- 2.相手方と権限の根拠を確認する 作業した事業者名(一般送配電事業者か委託先の工事会社か)を確認し、58条から61条のどの権限に基づく行為か、許可や通知の有無を照会する
- 3.損失を項目別に見積もる 立木の価値、植え直し費用、作物の減収、土地を使えなかった期間など「通常生ずる損失」を項目ごとに整理し、見積書や前年の出荷伝票で裏付ける
- 4.62条に基づく補償を書面で申し出る 電気事業法62条に基づく補償を求める旨と損失の内訳・根拠を書面で事業者に通知する。提示額に納得できなければ森林組合や不動産鑑定士の評価を添えて再算定を求め、必要に応じて弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1電気事業法62条とは何ですか?
電気事業者が電線路の工事や保守のために他人の土地を使ったり木を伐ったりして損失を与えたとき、通常生ずる損失を補償する義務を定めた条文です。
Q2電線の近くの木を伐られた 補償はいくら?
樹種・樹齢・材積に応じた立木の価値や植え直し費用が中心です。一律の金額はなく、損失の項目と根拠資料をそろえて算定を求めることになります。
Q3送電線工事で畑を資材置き場にされた 補償される?
58条の一時使用による損失として62条の補償対象になりえます。使えなかった期間の減収や原状回復費を、前年の出荷記録などで示すのが基本です。
Q4電線路の伐採 補償の請求先はどこ?
電線路を管理する電気事業者です。送配電部門は分社化されており、多くの場合は小売電気事業者ではなく一般送配電事業者が相手方になります。
Q5電気事業法の損失補償 いつまで請求できる?
本条に特別な期間制限はなく、民法166条の一般消滅時効が基本です。伐採や使用の日付を記録し、早めに書面で申し出ることが重要です。
Q6電線工事の立入りで庭を荒らされた 請求できる?
59条の立入りによって生じた損失も62条の対象です。踏み荒らされた芝生や花壇の補修費などを、写真と見積書で示して請求できます。
Q7木の移植後に枯れたら補償の対象?
61条の移植によって生じた損失は62条の対象になりえます。移植に同意する前に、枯死した場合の扱いを事業者と書面で確認しておくと安心です。
Q8電線のための伐採で慰謝料はもらえる?
62条の「通常生ずる損失」は財産的損失が中心で、精神的苦痛は原則として含まれないと解されています。権限外の伐採なら民法709条で別に争う余地があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1電力会社が勝手に木を切ったんですけど、拒否できなかったんですか?
電気事業法61条により、電線路に障害を及ぼす植物は、許可を受けて、または緊急時には許可なしで伐採・移植できる場合があります。要件を満たす限り所有者の同意は必須ではなく、その代わりに62条で損失補償が義務付けられています。実務のポイント:争点にするなら「伐るな」より「どの手続で伐ったか」です。許可や通知の記録を具体的に照会すると、相手の対応が一段丁寧になることが多い
Q2補償って、いくらぐらいもらえるものなんですか?
62条の基準は「通常生ずる損失」です。立木なら樹種・樹齢・材積に応じた価値、畑なら使えなかった期間の減収や原状回復費が中心になります。精神的な損害は原則として含まれないと解されています。実務のポイント:最初の提示額は、事業者側の一定の算定基準を機械的に当てはめたものであることが多い。森林組合や鑑定士の評価を添えて再算定を求めると、上がる余地がある
Q3切られたのが借りてる土地の木だったら、補償は誰がもらえるの?
62条は「損失を受けた者」に補償すると定めており、所有者に限っていません。立木を植えて育てていた借地人や、畑を耕作していた賃借人も、自分に生じた損失について補償を受けうる立場にあります。実務のポイント:事業者は登記簿上の所有者にだけ連絡しがちです。耕作者や立木を育てていた人は自分から名乗り出ないと、補償が地主だけに払われて終わることがある
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば、勝手に木を伐られたのは被害であり、謝罪と賠償を求めたくなる。法律から見れば、適法な権限行使に伴う損失の調整であって、責任追及の場ではない。この落差に気付かないまま「違法だ」と怒りの書面を送ると交渉が硬直し、本来受け取れたはずの補償の話が遠のく。ただし、必要な許可がないなど権限の範囲を超えた伐採であれば、民法709条の不法行為として別に争う道が残る
- 補償がもらえることは知っていても、「通常生ずる損失」という範囲の狭さまでは知らない人が多い。木材の市場価値や作物の減収のように、その行為から普通に生じる損失は対象になりやすい。一方、記念樹への思い入れのような精神的苦痛は対象外と解されるのが一般的である。特別な事情による損失がどこまで含まれるかは、実務上、解釈が分かれている
- 「電力会社に請求する」という発想そのものがずれていることがある。電力システム改革で送配電部門は分社化され、電線路を管理しているのは一般送配電事業者(例:東京電力パワーグリッド)であることが多い。毎月電気料金を払っている小売電気事業者とは別会社である。請求先を間違えると、たらい回しで時間を失う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 62条:権限行使に伴う損失の補償義務 | 58条:他人の土地等を一時使用する権限 61条:植物を伐採・移植する権限 |
| 土地所有者等の立場 | 損失を受けた者として補償を請求する側 | 一時使用を受忍する側 伐採・移植を受忍する側 |
| 要件の中心 | 58条〜61条の行為によって損失が生じたこと | 電気工作物の工事等のための必要性と所定の手続 植物が電線路に障害を及ぼすこと(3項は緊急時) |
| 金銭的な帰結 | 通常生ずる損失を補償 | 使用による損失は62条で補償 伐採・移植による損失は62条で補償 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も電線路の設置・保守のための他人の土地の使用や竹木の伐除を認め、それに伴う補償を定める構造をとる
フランスは電線路のための地役権として樹木の剪定・伐採を認め、損害に対する補償を定める
米国では電力会社の地役権に基づく植生管理が一般的で、収用に当たる場合は正当な補償が問題となる。州ごとに扱いが異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし畑の一角が送電線工事の資材置き場として三か月ロープで囲われたら、その間に植えられなかった野菜の売上はどうなる? 58条の一時使用による損失として、62条の補償対象になりうる。作付け計画と前年の出荷伝票が、そのまま請求の根拠になる
- あなたは一般送配電事業者の保守担当で、電線に倒れかかりそうな私有林の竹を緊急で伐った。数週間後、所有者から「あの竹林からは毎年タケノコの出荷収入があった」と連絡が来る。伐採が適法でも、補償の話はそれとは別に始まる
- 測量の作業員が庭に入り、芝生と花壇が踏み荒らされた。小さな話でも、59条の立入りによる損失である。
- 相続した山林の売買決済まであと10日。その直前に電線路沿いの立木が伐られた。買主が値引きを言い出す前に、伐られた本数と樹種を写真に残し、電気事業者へ補償を書面で申し出ておかないと、誰の損失なのかがうやむやになる
- 実家の母から電話が来た。「電力の人が庭木を移植させてほしいと言ってる」。同意するにしても、移植後に木が枯れたらどう扱うのかを先に確かめておく価値がある。移植による損失も62条の補償対象に含まれるからだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 伐採や使用の現場に手を付けず、写真・動画・日付を記録する2. 作業した事業者名(一般送配電事業者か、その委託先の工事会社か)と、許可や通知の有無を確認する3. 木材価格、植え直し費用、作物の減収、土地を使えなかった期間を項目別に見積もり、62条に基づく補償を書面で申し出る4. 金額で折り合わなければ、森林組合や不動産鑑定士の評価を取り、弁護士に相談する。権限外の伐採が疑われる場合は民法709条も視野に入れる
訴えられた側:1. 伐採や使用の根拠条文(58条から61条)と、許可・通知の記録を一件ごとに保存する2. 緊急伐採(61条3項)を行った場合は、所有者への通知など法定の手続を確実に済ませ、伐採前後の写真を残す3. 補償は「通常生ずる損失」に限られることを説明しつつ、樹種別の評価など算定根拠を示して納得感を作る4. 過大な請求には、行為との因果関係が薄い項目を具体的に指摘して整理する
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年が基本で、起算点は損失が生じた時点が軸になるため、伐採や使用の日付の記録が重要である(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:62条の補償は適法な権限行使に伴う損失補償であり、違法行為を前提とする不法行為責任とは性質が異なる。補償範囲は通常生ずる損失に限られ、権限の範囲を超えた侵害には民法709条が別途適用されうる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和39年(1964年) 新設:電気事業法(昭和39年法律第170号)の制定。電気事業者の土地使用等の権限とあわせて損失補償の規定が置かれた
- 電気事業法 第58条他人の土地等の一時使用の権限
- 電気事業法 第59条他人の土地への立入りの権限
- 電気事業法 第60条他人の土地の通行の権限
- 電気事業法 第61条植物の伐採・移植の権限(緊急時含む)
- 民法 第709条権限外の侵害に対する不法行為責任
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