民事訴訟法 第143条(訴えの変更)
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- 原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。ただし、これにより著しく訴訟手続を遅滞させることとなるときは、この限りでない。
- 2.請求の変更は、書面でしなければならない。
- 3.前項の書面は、相手方に送達しなければならない。
- 4.裁判所は、請求又は請求の原因の変更を不当であると認めるときは、申立てにより又は職権で、その変更を許さない旨の決定をしなければならない。
この条文の基本情報
訴えの変更とは何ですか?
定義訴えの変更とは、民事訴訟法第143条に定められた規定で、「原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。ただし、これにより著しく訴訟手続を遅滞させることとなると…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第143条(訴えの変更)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第143条の条文原文は「原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。ただし、これにより著しく訴訟手続を遅滞させることとなると…」で始まります。
- 民事訴訟法第143条は第一章 訴えに置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第143条の前の条は民事訴訟法第142条です。
- 民事訴訟法第143条の次の条は民事訴訟法第144条です。
- 民事訴訟法第143条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第143条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第143条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/143
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法143条は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結まで請求や請求の原因を変更できると定める。著しく訴訟を遅らせる変更は許されない。
Q · 訴えを起こした後で、最初の請求を別の内容に変えたり金額を増やしたりできるの?
はい、口頭弁論の終結前なら請求を変更できます
民事訴訟法143条により、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで請求又は請求の原因を変更できます。書面で行い、相手方への送達が必要です(同2項・3項)。すでに取り調べた証拠や争点整理はそのまま引き継がれるため、別訴を起こすより速く安く済みます。ただし著しく訴訟を遅滞させる変更は許されず、裁判所は不当な変更を申立て又は職権で許さない決定ができます(同1項但書・4項)。
解説
訴えを起こしたあと、審理が進むにつれて、最初に立てた請求では足りないと気付くことがある。当初は未払い報酬100万円を請求したが、証拠調べで遅延損害金も取れると分かった、あるいは「貸金の返還」で訴えたが実は「不当利得の返還」のほうが筋が良いと判明した。普通なら別訴を起こし、また印紙代を払い、最初から審理をやり直す。だが民事訴訟法143条は、口頭弁論が終わるまでなら、請求の基礎が変わらない範囲で、請求も請求の原因も変更できると認めている。これまで積み上げた証拠も期日もそのまま引き継げる。条件は二つ、請求の基礎が同一であること、訴訟を著しく遅らせないこと。この一条を知っているかどうかで、あなたは二つ目の訴訟にかかる数十万円と数か月を、丸ごと節約できる。
法的な位置づけ
民事訴訟法143条にいう訴えの変更とは、訴訟係属後に原告が請求又は請求の原因を変更することをいう。請求の基礎に変更がないこと、及び著しく訴訟手続を遅滞させないことを要件とし、変更は書面により行い相手方への送達を要する。これにより別訴によらず同一手続内で紛争を解決できる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.請求の基礎が同一か確認する 変更しようとする請求が、現在の訴えと同じ紛争事実から生じているかを確認する。社会生活上同一の紛争で主要な争点・証拠が共通すれば、請求の基礎の同一性が認められやすい
- 2.訴えの変更の書面を作成する 変更後の請求の趣旨・請求の原因を明記した書面を作成する。143条2項により変更は必ず書面で行う必要があり、口頭の申述では効力を生じない
- 3.裁判所へ提出し相手方へ送達する 作成した書面を係属中の事件番号で裁判所に提出する。書面は相手方に送達され(143条3項)、相手方はこれを見て防御を組み直す
- 4.増額分の手数料を計算し追納する 請求額を拡張する場合、増額部分に対応する追加の収入印紙を計算して納付する。別訴を起こす場合の費用総額と比較し、なお有利であることを確認する
- 5.口頭弁論終結前のタイミングで行う 変更は口頭弁論の終結前、できれば証拠調べの途中までに行う。結審間際や審理を著しく遅らせる変更は143条1項但書・4項により不許可となりうる
よくある質問 AI による整理
Q1訴えの変更とは何ですか?
訴訟係属後に原告が請求や請求の原因を変える手続です。民事訴訟法143条が根拠で、請求の基礎が同一であることと著しい遅延を生まないことが要件です。
Q2請求の基礎の同一性とは?
変更前後の請求が社会生活上同一の紛争から生じ、主要な争点や証拠資料が共通することをいいます。これが保たれる範囲でのみ訴えの変更が認められます。
Q3訴えの変更はいつまでできますか?
第一審の口頭弁論の終結時までです(143条1項)。結審後は変更できません。控訴審も事実審のため変更は可能ですが相手の審級利益を害する場合は制限されます。
Q4訴えの変更に書面は必要ですか?
必要です。143条2項により請求の変更は書面でしなければならず、その書面は相手方に送達されます(同3項)。口頭だけでは効力を生じません。
Q5訴えの変更が認められないのはどんな場合?
請求の基礎に変更がある場合、著しく訴訟を遅滞させる場合です。裁判所は申立て又は職権で変更を許さない決定をします(143条1項但書・4項)。
Q6訴えの変更と反訴の違いは?
訴えの変更は原告が自分の請求を組み替える手続(143条)、反訴は被告が原告に対し新たな請求を立てる手続(146条)です。主体が逆になります。
Q7控訴審でも訴えの変更はできますか?
できます。控訴審も事実審だからです。ただし相手方の審級の利益を害する場合は制限され、相手方の同意が必要となることがあります。
Q8請求額を増やすと印紙はどうなりますか?
増額部分に対応する追加の手数料(収入印紙)が必要です。それでも別訴を起こす総額より安く、既存の審理を引き継げる分だけ早く解決できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1訴えを起こした後で、請求する金額を増やすことはできますか?
できます。同じ紛争から生じる損害であれば、請求の拡張として143条の訴えの変更にあたります。当初50万円で訴え、証拠調べでさらに損害が判明したら100万円に増額できます。実務のポイント:増額分には追加の印紙(手数料)が必要ですが、別訴を起こすより総額は安く、既存の証拠と期日をそのまま使えるので時間も圧倒的に短い。弁護士が「とりあえず一部請求で訴えて様子を見る」戦略を取れるのは、この後からの拡張ができるからです。
Q2相手が請求を勝手に変えてきたら、こちらは黙って受け入れるしかないんですか?
いいえ。請求の変更には限界があります。請求の基礎に変更がある場合、または著しく訴訟手続を遅滞させる場合は、裁判所が申立てまたは職権で変更を許さない決定を出します(143条1項但書、4項)。実務のポイント:相手の変更が「実質的に新しい訴訟」に近いと感じたら、すかさず変更不許可を申し立てること。漫然と応訴すると、変更を黙示に認めたとみなされ、争点が増えて防御コストが跳ね上がる。最初の期日での対応が分かれ目です。
間違えやすい点 AI による整理
- 「訴えた後で請求を増やすなんて、相手に失礼だしできない」と考える人がいるが、問いの立て方そのものが誤っている。問題は礼儀ではなく、請求の基礎が同一かどうかだ。同じ紛争事実から派生する請求であれば、増額も追加も法が正面から認めている。
- 請求の変更ができること自体は知っていても、その期限の厳しさを甘く見ている人が多い。変更できるのは口頭弁論の終結まで。結審したあとに「やっぱりこの請求も」と言っても遅い。さらに著しく遅延させる変更は、たとえ基礎が同一でも裁判所に却下される(143条1項但書)。
- 「請求を変更すれば、それまでの審理はやり直しになる」と思われがちだが、実際は逆だ。すでに取り調べた証拠も、成立した争点整理も、そのまま引き継がれる。だからこそ別訴より圧倒的に速くて安い。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 主体 | 143条 訴えの変更:原告が自分の請求を組み替える | 146条 反訴:被告が原告に新請求を立てる 145条 中間確認の訴え:当事者が先決的法律関係の確認を求める |
| 要件 | 請求の基礎の同一性 + 著しい遅延なし + 書面 | 本訴と関連 + 著しい遅延なし 訴訟の前提となる法律関係の存否が争われていること |
| 時的限界 | 口頭弁論の終結まで | 事実審の口頭弁論終結まで 事実審の口頭弁論終結まで |
| 裁判所の関与 | 不当な変更は申立て又は職権で不許可決定(4項) | 要件を欠けば反訴を不適法却下 確認の利益を欠けば却下 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も原則として訴えの変更・追加を相手方の同意又は請求の基礎の同一などの一定要件の下で認める点で日本と近い。
韓国も請求の基礎が同一で訴訟手続を著しく遅延させない範囲で請求の変更を認め、日本法と構造が酷似する。
ドイツは Klageänderung につき相手方の同意又は裁判所が相当(sachdienlich)と認めることを要件とし、日本の『請求の基礎の同一性』より裁判所の裁量を前面に出す。
米国は pleading の amendment を比較的柔軟に認め、相手方の同意又は裁判所の許可で行い、一定の場合に提訴時へ遡及(relation back)する点が特徴。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし結審の期日が来週に迫っているとして、今になって「遅延損害金も請求しておくべきだった」と気付いたら? 口頭弁論が終結する前なら、今週中に変更の書面を出せば間に合う。終結してしまえば、もう打つ手はない。
- あなたが被告で、原告が突然「請求を貸金返還から不当利得返還に変える」という書面を送ってきた。慌てる必要はない。請求の基礎が変わっていれば、または著しく訴訟を遅らせるなら、裁判所に変更を許さない決定を求められる(143条4項)。受け身ではなく反論できる立場だ。
- 未払い残業代を50万円で訴えた。証拠調べで実は120万円だと判明した。別訴ではなく、同じ事件番号のまま請求額を120万円へ増額する。これも訴えの変更である。
- あなたが大家で、借家人に「建物の明渡し」を求めて訴えたが、係争中に滞納賃料がさらに膨らんだ。明渡しに加えて未払賃料の支払いも、同じ訴訟の中で請求できる。二つの訴訟を並行させる手間と費用を一本に束ねられる。
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず「請求の基礎が同一か」を確認、同じ紛争事実から派生する請求なら変更できる可能性が高い2. 変更は必ず書面で作成して裁判所へ提出(143条2項)、相手方への送達が必要(同3項) 3. タイミングは口頭弁論の終結前、できれば証拠調べの途中まで、結審間際や著しい遅延を生む変更は却下されうる4. 金額の増額なら追加の印紙を計算、それでも別訴より総額は安く、しかも速い
訴えられた側:1. 送達された変更の書面を見たら、請求の基礎が同一か、著しい遅延を生まないかを即座にチェック2. どちらかに該当すれば、変更を許さない決定を申し立てる(143条4項)、職権発動も促せる3. 第一回の対応で漫然と応訴せず、変更の適否を先に争点化、後手に回ると黙示の同意とみなされうる4. 変更が認められた場合は、新しい請求の原因に対する防御を組み直し、必要なら期日の続行を求める
時効(請求できる期限):請求の変更ができるのは第一審の口頭弁論の終結時まで(143条1項)。控訴審も事実審であるため変更は可能だが、相手方の審級の利益を害する場合は制限される。著しく訴訟を遅滞させる変更は、時期にかかわらず却下されうる(同項但書)。
学説
通説:143条の訴えの変更は、請求の基礎の同一性が保たれ、かつ著しく訴訟を遅滞させない限り広く認められる。請求の基礎の同一性は、変更前後の請求が社会生活上同一の紛争に由来し主要な争点・証拠資料を共通にするかで判断され、訴訟経済と被告の防御利益の均衡を図る趣旨と解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 民事訴訟法の全部改正に伴い現行143条に整理。請求の変更は書面によること(2項)、相手方への送達(3項)、不当な変更に対する不許可決定(4項)の手続を明文化した
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正に伴い旧法の規定を現行143条に整理。請求の変更は書面によること(2項)、相手方への送達(3項)、不当な変更に対する不許可決定(4項)の手続を明文化した。
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