要点民事再生法 127 条の 3 は、支払不能後などにされた既存債務への弁済や担保供与を偏頗行為として否認できると定める。ただし債権者の悪意が原則要件となる。
Q · 倒産しかけの取引先から正当に回収した代金でも、後で返せと言われるの?
倒産を知って受け取った弁済なら、後で返還を命じられます
民事再生法 127 条の 3 により、支払不能になった後や再生手続開始等の申立て後にされた既存債務への弁済・担保供与は、債権者がその事実を知っていた場合、再生手続開始後に否認され、受け取った財産を返還することになります。また、義務に属しない前倒しの弁済などは、支払不能前 30 日以内にされたものであれば、他の債権者を害すると知らなかったことを立証しない限り否認されます。否認権を行使するのは監督委員または管財人です。
あなたが資材を卸している取引先の経営が傾き、ある日「今のうちに払っておきます」と先方が約束していた代金を全額振り込んできた。あるいは、未回収分の担保にと工場の機械に譲渡担保を設定させた。胸をなで下ろしたその数か月後、裁判所から選ばれた監督委員の名前で一通の請求が届く。「先の弁済(または担保設定)は否認する。受け取った金を再生債務者の財産に戻せ」。民事再生法 127 条の 3 は、倒産寸前の債務者が一部の債権者にだけ返済したり担保を渡したりする行為(偏頗行為)を、後から巻き戻す権限を再生手続に与えている。狙われるのは二つの場面。第一に、支払不能になった後、または再生・破産の申立て後にされた弁済や担保供与で、しかもあなたがその時「もう払える状態じゃない」と知っていた場合。第二に、本来払う義務のない時期に前倒しでされた弁済などが、支払不能の 30 日前以内にされた場合。あなたが何ら不正をしていなくても、正当な債権を正当に回収しただけでも、タイミングと知っていたか否かで、受け取った財産はなかったことにされる。
民事再生法 127 条の 3 は偏頗行為否認を定める規定であり、既存の債務についてされた担保の供与または債務消滅行為のうち、支払不能後もしくは再生手続開始等の申立て後にされたもの、または非義務行為で支払不能前 30 日以内にされたものを、再生手続開始後に再生債務者財産のために否認できる旨を規定する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
倒産間際に特定の債権者だけが受けた既存債務への弁済や担保供与を、再生手続開始後に巻き戻して再生債務者財産に戻す制度です。債権者平等を守るための否認類型です。
再生手続開始の日から 2 年、または対象行為の日から 20 年を過ぎると行使できません(民事再生法 136 条)。受け取った側は開始決定から 2 年でリスクが消えます。
弁済期にある債務を一般的・継続的に弁済できない客観的状態を指します。支払停止(再生申立て等の前 1 年以内)があった後は支払不能と推定されます(3 項)。
義務に属しない前倒し弁済などの非義務行為は、支払不能前 30 日以内にされると、債権者が他の再生債権者を害すると知らなかったことを立証しない限り否認されます(1 項 2 号)。
はい。債権者が役員・親族などの内部者である場合、支払不能等を知っていたものと推定されます(2 項)。推定を覆す立証責任は債権者側が負います。
個々の債権者ではなく、監督委員または管財人が行使します(民事再生法 132 条)。他の債権者は情報提供により行使を促す形で動きます。
弁護士の受任通知は事実上の支払停止の起点とされ、以後の駆け込み回収は否認されやすくなります。通知後の弁済は原則として戻すと考えるのが安全です。
相手が支払不能・支払停止に陥る前の通常取引の流れの中で担保を取得し、対抗要件(登記等)も速やかに具備しておくことです。危機を知った後の駆け込み設定は的になります。
債権が本物かどうかは問題ではありません。127 条の 3 が守るのは『倒産間際に一部の債権者だけが満額回収して、他の債権者との平等を崩すのを防ぐ』という債権者平等の原則です。あなたの債権が正当でも、相手が支払不能になった後に、あなたがそれを知って受け取った弁済は否認されます。業界裏話ヒント:弁護士は受任通知(『当社が代理人になりました、今後の連絡はこちらへ』という通知)が出た日付を真っ先に確認します。これが事実上の支払停止の起点になり、その後の駆け込み回収は否認されやすい。通知後に振り込まれた金は、原則として戻すと思っておく方が安全です
通常の取引の範囲内(弁済期が来た債務を、普段どおりの方法で受け取る)で、かつあなたが支払不能を知らなかったなら、1 項 1 号の否認は成立しにくいです。危険なのは、期日前の前倒し弁済や、普段と違う方法での回収(1 項 2 号の非義務・非本旨行為)で、これは支払不能の 30 日前以内なら、あなたが他の債権者を害すると知らなかったことを立証しない限り否認されます。業界裏話ヒント:『相手から頼まれて先に払ってもらった』という親切が、実は最も危ない。義務のない時期の弁済は、あなたの善意悪意のハードルが一段下がる。倒産間際の前倒し回収は、感謝されても断るのが結果的に安全です
争えます。1 項 1 号の否認は『あなたが行為当時、支払不能や支払停止を知っていたこと』が要件で、あなたが内部者でなければ、知っていたという立証責任は監督委員・管財人の側にあります。当時あなたが相手の倒産を知り得なかったことを示せば、否認は退けられます。業界裏話ヒント:勝敗は『その時点で何を知っていたか』の一点に集約されます。だからこそ、与信判断の稟議書や相手とのやり取りの日付入り記録が決定的な武器になる。否認請求が来てから慌てて記録を探すのではなく、与信を絞り始めた時点の判断根拠を残しておくのが、後の防御線になります
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象行為 | 127 条の 3:既存債務への弁済・担保供与(偏頗行為) | — |
| 主観要件 | 原則、債権者の悪意(支払不能・支払停止の認識) | — |
| 時期の基準 | 支払不能後・申立て後、または支払不能前 30 日以内(非義務) | — |
| 推定規定 | 内部者の悪意推定(2 項)・支払停止からの支払不能推定(3 項) | — |
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