民事再生法 第155条(再生計画による権利の変更)
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- 再生計画による権利の変更の内容は、再生債権者の間では平等でなければならない。ただし、不利益を受ける再生債権者の同意がある場合又は少額の再生債権若しくは第八十四条第二項に掲げる請求権について別段の定めをし、その他これらの者の間に差を設けても衡平を害しない場合は、この限りでない。
- 2.前項の規定にかかわらず、約定劣後再生債権の届出がある場合における再生計画においては、再生債権(約定劣後再生債権を除く。)を有する者と約定劣後再生債権を有する者との間においては、第三十五条第四項に規定する配当の順位についての合意の内容を考慮して、再生計画の内容に公正かつ衡平な差を設けなければならない。
- 3.再生計画によって債務が負担され、又は債務の期限が猶予されるときは、特別の事情がある場合を除き、再生計画認可の決定の確定から十年を超えない範囲で、その債務の期限を定めるものとする。
- 4.再生手続開始前の罰金等については、再生計画において減免その他権利に影響を及ぼす定めをすることができない。
- 5.再生手続開始前の共助対象外国租税の請求権について、再生計画において減免その他権利に影響を及ぼす定めをする場合には、徴収の権限を有する者の意見を聴かなければならない。
この条文の基本情報
再生計画による権利の変更とは何ですか?
定義再生計画による権利の変更とは、民事再生法第155条に定められた規定で、「再生計画による権利の変更の内容は、再生債権者の間では平等でなければならない。ただし、不利益を受ける再生債権者の同意がある場合又は少額の再生債権若しくは第八十四条…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第155条(再生計画による権利の変更)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第155条の条文原文は「再生計画による権利の変更の内容は、再生債権者の間では平等でなければならない。ただし、不利益を受ける再生債権者の同意がある場合又は少額の再生債権若しくは第八十四条…」で始まります。
- 民事再生法第155条は第一節 再生計画の条項に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第155条の前の条は民事再生法第154条です。
- 民事再生法第155条の次の条は民事再生法第156条です。
- 民事再生法第155条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第155条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第155条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/155
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法155条は、再生計画による権利変更は再生債権者間で平等であるべきと定めるが、少額債権の別段の定めや衡平を害しない差は認められ、弁済期間は原則10年以内、罰金等は減免できない。
Q · 民事再生になったら、貸したお金は全員一律で同じだけカットされるんですか?
いいえ。少額債権は満額、大口は大幅カットもあり得ます
民事再生法155条の「平等」は一律カットではなく、衡平を害しない範囲での差を認める実質的平等です。少額の再生債権は別段の定めで満額または高率弁済ができ(1項ただし書)、約定劣後再生債権は最後尾に置かれます(2項)。弁済の繰り延べは原則10年以内(3項)、開始前の罰金等は計画で一切減免できません(4項)。自分の債権が少額枠か大口か、劣後特約や罰金性のものが混じっていないかで回収額が大きく変わります。
解説
あなたの会社が取引先に800万円を貸していて、その取引先が民事再生を申し立てた。多くの経営者はここで「もう全部パーだ、せいぜい数パーセント返ってくればいい」と諦める。だが155条を読むと景色が変わる。再生計画は再生債権者の間で「平等でなければならない」が、この平等は機械的な一律カットではない。少額の債権は別扱いにして満額弁済できる(1項ただし書)。あなたの債権が少額の枠に入れば、大口債権者が90% カットされる横で、あなたは全額回収できることがある。逆に、あなたが大口なら、約定で劣後を約束していた債権者(約定劣後再生債権)より優先される公正な差が付く(2項)。さらに知っておくべき急所が二つ。罰金や追徴金は計画でビタ一文減らせない(4項)。そして弁済の繰り延べは原則10年が上限(3項)。「平等」という一語の裏に、誰がどの順番でいくら取れるかの設計図が丸ごと隠れている。
法的な位置づけ
民事再生法155条は、再生計画による権利変更の内容が再生債権者の間で平等でなければならない旨を定める規定である。この平等は絶対的平等ではなく、少額の再生債権や罰金等の請求権について別段の定めを認め、衡平を害しない範囲での合理的な差を許容する実質的平等を意味する。約定劣後再生債権の順位、弁済期間の上限、罰金等の不可減免を併せて規律する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分の債権を性質ごとに仕分ける 回収する側として、まず債権額と性質を確定する。少額か大口か、劣後特約の有無、罰金性・税性のものが含まれるかを分ける。少額枠に入れば満額回収の可能性が高い
- 2.債権届出を期間内に正確に行う 裁判所の定める債権届出期間内に、金額と性質を正確に届け出る。届出を怠ると原則として計画弁済から除外される。期間は事件ごとに設定されるため通知を必ず確認する
- 3.再生計画案で自分の区分と弁済率を確認 計画案が届いたら、自分がどの区分に置かれ、弁済率と他区分との差がどうなっているかを確認する。少額枠に入っていなければ衡平の観点から区分見直しを債権者集会で主張する
- 4.重大な不平等があれば即時抗告を検討 計画に衡平を害する重大な不平等があると考えるなら、認可決定に対する即時抗告を検討する。期間が短いため、計画案の段階で早めに弁護士へ相談しておく
よくある質問 AI による整理
Q1民事再生の債権者平等とは?
全員を同率カットする絶対的平等ではなく、衡平を害しない範囲で合理的な差を認める実質的平等です。少額債権の別扱いや劣後順位が典型例で、民事再生法155条が根拠です。
Q2少額債権の別段の定めとは?
少額の再生債権を他と分けて満額または高率で弁済する定めです。事務簡素化や取引維持のため実務で多用されます。金額基準は法律になく事件ごとに計画で線引きされます。
Q3約定劣後再生債権とは?
他の債権者に劣後する特約付きの再生債権です。再生計画では通常の再生債権より下の順位に置かれ、公正かつ衡平な差が付されます(民事再生法155条2項)。
Q4民事再生の弁済期間は何年まで?
特別の事情がある場合を除き、再生計画認可決定の確定から10年を超えない範囲で定めます(155条3項)。超える場合は理由の明示が必要です。
Q5再生計画で罰金や税金は減額できる?
再生手続開始前の罰金・科料・過料・追徴金は計画で減免も期限猶予も一切できません(155条4項)。満額が残るため弁済原資から先に除いて計算します。
Q6共助対象外国租税は再生計画で減額できる?
減免等の定めをする場合は徴収の権限を有する者の意見聴取が必須です(155条5項)。手続を省くと認可後に蒸し返されるリスクがあります。
Q7再生計画の平等に不服なら争えますか?
認可決定に対する即時抗告で争えますが、衡平が認められれば覆りにくいです。計画作成段階で区分や弁済率を交渉する方が実利は大きいです。
Q8再生債権の届出をしないとどうなる?
裁判所の定める債権届出期間を徒過すると、原則として計画弁済から除外されます。期間は事件ごとに設定されるため早期確認が重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちみたいな小さい下請けの売掛金でも、ちゃんと返ってくるんですか?
むしろ少額だからこそ有利な場合があります。155条1項ただし書は少額の再生債権を別扱いにできると定め、実務では事務処理の簡素化や取引維持のため、少額債権者に満額または高率の弁済をする計画が多く見られます。実務のポイント: 『少額』の基準は法律に金額が書いておらず、事件ごとに計画で線引きされます。自分の債権がその線の少し上にあるなら、線を引き上げてもらえないか早期に交渉する価値がある。確定してからでは動かしにくい
Q2再生計画で借金を減らしてもらえるなら、滞納してる税金や罰金も一緒に消えますよね?
消えません。155条4項により、再生手続開始前の罰金・科料・過料・追徴金等は再生計画で減免も期限猶予も一切できず、満額が残ります。税(共助対象外国租税)についても5項で徴収権限者の意見聴取という重い手続が要ります。実務のポイント: 再生を検討する経営者ほどこの『減らせない塊』を見落とす。弁済原資を組むとき、まず罰金等を別枠で確保してから残りで計画を作らないと、認可後に資金がショートして再生が頓挫する
Q3大口で貸してる銀行が9割カットされるのに、小さい業者が満額もらうのは不平等じゃないんですか?
形式的には不平等に見えますが、155条の平等は『絶対的平等』ではなく『衡平を害しない範囲での差』を許す実質的平等です。少額債権の別扱いや、取引継続の必要性による合理的な差は適法とされます。実務のポイント: 大口債権者がこの差を不服として認可決定に即時抗告しても、衡平性が認められれば覆りません。争うより、計画作成段階で自社の弁済率や弁済方法(分割か一括か、スポンサー資金か)を交渉する方が実利は大きい
間違えやすい点 AI による整理
- 「民事再生なら債権者は全員平等に同じ割合でカットされる」と信じられているが、155条1項ただし書は明確に例外を認めている。少額債権の別段の定め、不利益を受ける債権者の同意がある場合、衡平を害しない範囲の差。平等とは『同じ扱い』ではなく『衡平な扱い』であり、両者は全く違う
- 平等原則は知っていても、その平等が『絶対的平等』ではなく『実質的・衡平的平等』であることまで踏み込めている人は少ない。深刻なのはこの点だ。あなたが大口債権者として『なぜ少額の仕入先は満額で、自分は90% カットなのか、不平等だ』と争っても、衡平を害しないと判断されれば計画は認可される。条文の存在を知るだけでは足りず、『衡平』の中身を読めないと反論の足場を失う
- 「罰金や税金も再生で減らせる」と思い込んで弁済計画を立てると破綻する。4項により再生手続開始前の罰金等は計画で減免・期限猶予が一切できず、満額がそのまま残る。前提となる『何が減らせて何が減らせないか』の仕分けを誤ると、計画全体の資金計算が狂う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 155条:再生計画による権利変更の平等原則 | 84条:再生債権の範囲・罰金等請求権の位置づけ 35条:約定劣後再生債権の配当順位の合意 |
| 平等の性質 | 実質的平等(衡平を害しない差を許容) | 債権の種類・範囲を確定する前提規定 当事者間の順位合意を尊重 |
| 罰金等の扱い | 計画で減免・期限猶予不可(4項) | 84条2項が罰金等請求権を列挙、155条が参照 対象外 |
| 劣後債権の扱い | 公正かつ衡平な差を設ける(2項) | 対象外 配当順位の合意内容を155条2項が考慮 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は個人再建を消費者債務清理條例の更生方案で扱い、債権者平等を基礎としつつ弁済方案で調整。企業の再建は公司法の重整手続が担う
韓国は再建・破産を統合した債務者回生法で規律し、会生計画において債権の組分けと組内平等を採用。日本の民事再生・会社更生の両制度を参照した統合型
ドイツは倒産計画(Insolvenzplan)でグループ内の平等取扱いを原則とし、グループ間の合理的な差を許容。単一の倒産手続に再建と清算を統合
米国は再建計画で同一クラス内の平等取扱いを要求し、クラス分けと各クラスの投票により柔軟に権利変更。DIP(占有債務者)制度が特徴
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 下請けのあなたが元請けに数十万円の売掛金を持っていて、元請けが民事再生に入った。あなたの債権は「少額」枠に入る可能性がある。そうなれば大口の銀行が大幅カットされる横で、あなたは満額または高率で弁済を受けられる。再生計画案が届いたら、自分が少額枠に区分されているか真っ先に確認する
- あなたが再生債務者(会社)側で、計画案を作る立場にいる。取引を続けたい少額の仕入先には満額払い、巨額の金融債権は大幅カットしたい。155条1項ただし書の『衡平を害しない』範囲ならそれが許される。どこまでの差なら裁判所が認可するか、その線引きが計画成立の生命線になる
- もし、あなたの会社の役員が業法違反で課された過料や、税の延滞税を抱えたまま再生に入ったら? 罰金等(4項)は再生計画で一切減免できない。再生して身軽になったつもりでも、この債務だけは満額残る。計画の弁済原資を組むとき、この『減らせない塊』を最初に除けて計算しないと資金繰りが破綻する
- あなたがメインバンクで、貸付に『他の債権者に劣後する』特約(約定劣後)を付けていた。再生計画では、あなたは通常の再生債権者より下の順位に置かれ、公正かつ衡平な差を付けられる(2項)。平時に結んだ一行の劣後特約が、有事に回収順位を最後尾へ動かす
- 海外子会社がらみで、租税条約に基づく外国税の徴収共助の対象となる請求権が再生債権に紛れ込んでいた。これを計画で減免するには徴収権限者の意見聴取が必須(5項)。手続を飛ばすと計画認可後に蒸し返されるリスクがある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 債権者(回収する側)として、まず自分の債権額と性質を確定。少額か大口か、劣後特約の有無、罰金性・税性のものが含まれるか仕分ける2. 届出を期限内に正確に行う(届出を怠ると計画から除外される) 3. 再生計画案が届いたら、自分の区分と弁済率、他の区分との差を確認。少額枠に入っていなければ、衡平の観点から区分の見直しを債権者集会で主張4. 計画に重大な不平等があると考えるなら、認可決定に対する即時抗告(民事再生法の不服申立手続)を検討、ただし期間が短いので弁護士へ即相談
訴えられた側:1. 債務者・管財人として計画を作る側なら、少額債権者の範囲と弁済率を『衡平を害しない』線の内側で設計、過大な差は不認可リスク2. 罰金等(4項)と外国租税共助の請求権(5項)を弁済原資の計算から先に除外、後者は徴収権限者の意見聴取を必ず実施3. 約定劣後再生債権があれば、35条4項の合意内容を踏まえ公正かつ衡平な差を設定4. 弁済期間は原則10年以内(3項)で組む、特別の事情で超える場合は理由を明確に
時効(請求できる期限):弁済期間は特別の事情がある場合を除き、再生計画認可決定の確定から10年を超えない範囲で定める(本条3項)。再生債権の届出には裁判所の定める債権届出期間があり、これを徒過すると原則として計画弁済から除外される(最新の事件ごとの期間設定をご確認ください)
学説
通説:155条の債権者平等は絶対的平等ではなく実質的・衡平的平等であり、少額債権の別扱い、取引継続の必要性に基づく合理的な差、不利益を受ける債権者の同意がある場合の差は適法とされる。過度な優遇は不認可事由となり得るため、衡平の範囲が計画認可の生命線となる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)制定により旧和議法を廃止し再建型倒産手続を整備。再生計画の平等原則と少額債権の別段の定め、弁済期間の上限、罰金等の不可減免を規定。
- 民事再生法 第84条再生債権の範囲、84条2項の罰金等請求権を本条が参照
- 民事再生法 第35条約定劣後再生債権の配当順位の合意、本条2項が参照(現行効力を要確認)
- 民事再生法 第156条再生計画における権利変更の議決権・基準と連動(現行効力を要確認)
- 民事再生法 第174条再生計画認可の決定、平等違反は不認可事由(現行効力を要確認)
- 民事再生法 第229条小規模個人再生における権利変更の特則(現行効力を要確認)
- 会社更生法 第168条更生計画における平等原則の対応規定(現行効力を要確認)
- 破産法 第194条配当における債権者平等の対応規定(現行効力を要確認)
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